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第1幕
招待状
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オオニシ リョウ
俺の名前は大西涼。高校二年生。 オオニシ カナ
中学三年生の妹、大西加奈と二人暮しをしている。両親は去年亡くなり、妹と二人暮しをすることになった。
「何深刻そうな顔してるんだ」
サイトウ カズマ
親友の斎藤和馬が不意に話しかけてきた。
「うわ!ビックリさせんなよ。夕飯の献立、考えてただけだよ」
「お前、妹と二人暮しだったよな。大変だな」
「そうでもないぞ。妹と二人も結構楽しいよ。家事は二人で分担しなきゃいけないけど」
和馬は中学生のときからの親友だ。俺とは違い、成績優秀で容姿端麗。男子の憧れ的存在だ。
-放課後-
「おい!一緒に帰ろうぜ」
和馬だ。いつも一緒に帰っているが、俺が買い出しの日は断っている。今日はその日だ。
「すまん。今日、買い出しの日なんだ」
両手を合わせ、謝った。
「お前も大変だな。まぁ、頑張れよ。じゃあな」
「じゃあな、また明日」
俺はそう言って、行きつけのスーパーへ向かう。スーパーで足りない食材を買い、家に向かった。家の前に着き、インターホンを鳴らす。ドアの鍵があいた音がした。俺はドアを開ける。
「ただいま、加奈」
「お帰り。今日の夕飯何」
「今日は、加奈が好きなカレーだぞ」
俺はそう言いながら、キッチンへと向かう。昔家族四人で住んでいた家は広すぎて、二人で暮らすのは勿体無いので売り、近くのボロアパートに住んでいる。家賃は、家を売った金で支払っていた。慣れた手つきでカレーを作る。
「カレー、出来たぞ。食べよう」
夕飯を食べているときに、妹から学校の話を聞き、風呂に入り、明日の支度をして、寝る。そんな、平凡だけど幸せな日々がこれからもずっと続く。そう思っていた。だが、俺の考えはすぐに壊れた。
-二日後-
俺が学校の休み時間、和馬と話しているときだった。担任が俺の元にやってきた。
「涼、近くの総合病院からだ。お前と電話したいらしい。職員室まで行ってくれ」
「病院から?分かりました。すぐに向かいます」
俺は職員室に向かい、電話の受話器を手に取る。
「もしもし、大西加奈さんのお兄さんの、大西涼さんですか」
「はい、そうですけど。一体どういったご用件で」
「あ、はい。えっと、実は中学校で加奈さんが急に倒れてしまって。近かった、うちの総合病院に救急車で運ばれたんです。なので、すぐにこっちに来ていただけないでしょうか」
相手は医師だろうか。とても弱々しい声の男性だ。
「分かりました。すぐ、そちらに向かいます。五分くらいで着くと思いますので」
「分かりました。ありがとうございます。では、失礼します」
電話が切れたのを確認し、走って病院に向かった。
「あの、妹さん実はかなりの難病でして...」
病院に着くとすぐに、医師のところへ案内され、妹はかなりの難病だということ、手術をしなければ、治らないこと、手術の費用が百三十万ほどかかることなど、一気に伝えられた。信じられないことを一気に伝えられたせいか、どっと疲労感が襲ってきた。妹との面会は許可されず、そのまま家に帰ることにした。家に着き、すぐに眠る。疲れていたせいか、ぐっすりと眠れた。
朝起き、学校に電話をした。昨日あったことを話し、しばらく休ませてもらうことにした。
「くそ!どうすればいいんだ。百三十万なんて、払える額じゃない」
途方に暮れていると、インターホンが鳴る。ドアを開け、荷物を受け取る。封筒一枚だけだ。
「なんだ、これ」
封筒をあけると、中には紙が入っていた。何かが書いてある。読んでみると、こんな内容だ。
「大西涼様
あなたは妹さんの手術費で、大金を用意しなければいけませんね。でも、大丈夫です。この『招待状』にご捺印していただき、書かれている住所に送って頂ければ、大金を差し上げるチャンスをあげます。命を捨てるほどの覚悟があるならば、ぜひ書かれている住所に、ご捺印の上、お送りください。待ってます」本文の下には住所と、印鑑を押す欄がある。俺は印鑑を押し、すぐに送った。これが、地獄のサバイバルの始まりの合図だった。
俺の名前は大西涼。高校二年生。 オオニシ カナ
中学三年生の妹、大西加奈と二人暮しをしている。両親は去年亡くなり、妹と二人暮しをすることになった。
「何深刻そうな顔してるんだ」
サイトウ カズマ
親友の斎藤和馬が不意に話しかけてきた。
「うわ!ビックリさせんなよ。夕飯の献立、考えてただけだよ」
「お前、妹と二人暮しだったよな。大変だな」
「そうでもないぞ。妹と二人も結構楽しいよ。家事は二人で分担しなきゃいけないけど」
和馬は中学生のときからの親友だ。俺とは違い、成績優秀で容姿端麗。男子の憧れ的存在だ。
-放課後-
「おい!一緒に帰ろうぜ」
和馬だ。いつも一緒に帰っているが、俺が買い出しの日は断っている。今日はその日だ。
「すまん。今日、買い出しの日なんだ」
両手を合わせ、謝った。
「お前も大変だな。まぁ、頑張れよ。じゃあな」
「じゃあな、また明日」
俺はそう言って、行きつけのスーパーへ向かう。スーパーで足りない食材を買い、家に向かった。家の前に着き、インターホンを鳴らす。ドアの鍵があいた音がした。俺はドアを開ける。
「ただいま、加奈」
「お帰り。今日の夕飯何」
「今日は、加奈が好きなカレーだぞ」
俺はそう言いながら、キッチンへと向かう。昔家族四人で住んでいた家は広すぎて、二人で暮らすのは勿体無いので売り、近くのボロアパートに住んでいる。家賃は、家を売った金で支払っていた。慣れた手つきでカレーを作る。
「カレー、出来たぞ。食べよう」
夕飯を食べているときに、妹から学校の話を聞き、風呂に入り、明日の支度をして、寝る。そんな、平凡だけど幸せな日々がこれからもずっと続く。そう思っていた。だが、俺の考えはすぐに壊れた。
-二日後-
俺が学校の休み時間、和馬と話しているときだった。担任が俺の元にやってきた。
「涼、近くの総合病院からだ。お前と電話したいらしい。職員室まで行ってくれ」
「病院から?分かりました。すぐに向かいます」
俺は職員室に向かい、電話の受話器を手に取る。
「もしもし、大西加奈さんのお兄さんの、大西涼さんですか」
「はい、そうですけど。一体どういったご用件で」
「あ、はい。えっと、実は中学校で加奈さんが急に倒れてしまって。近かった、うちの総合病院に救急車で運ばれたんです。なので、すぐにこっちに来ていただけないでしょうか」
相手は医師だろうか。とても弱々しい声の男性だ。
「分かりました。すぐ、そちらに向かいます。五分くらいで着くと思いますので」
「分かりました。ありがとうございます。では、失礼します」
電話が切れたのを確認し、走って病院に向かった。
「あの、妹さん実はかなりの難病でして...」
病院に着くとすぐに、医師のところへ案内され、妹はかなりの難病だということ、手術をしなければ、治らないこと、手術の費用が百三十万ほどかかることなど、一気に伝えられた。信じられないことを一気に伝えられたせいか、どっと疲労感が襲ってきた。妹との面会は許可されず、そのまま家に帰ることにした。家に着き、すぐに眠る。疲れていたせいか、ぐっすりと眠れた。
朝起き、学校に電話をした。昨日あったことを話し、しばらく休ませてもらうことにした。
「くそ!どうすればいいんだ。百三十万なんて、払える額じゃない」
途方に暮れていると、インターホンが鳴る。ドアを開け、荷物を受け取る。封筒一枚だけだ。
「なんだ、これ」
封筒をあけると、中には紙が入っていた。何かが書いてある。読んでみると、こんな内容だ。
「大西涼様
あなたは妹さんの手術費で、大金を用意しなければいけませんね。でも、大丈夫です。この『招待状』にご捺印していただき、書かれている住所に送って頂ければ、大金を差し上げるチャンスをあげます。命を捨てるほどの覚悟があるならば、ぜひ書かれている住所に、ご捺印の上、お送りください。待ってます」本文の下には住所と、印鑑を押す欄がある。俺は印鑑を押し、すぐに送った。これが、地獄のサバイバルの始まりの合図だった。
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