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蒼太と付き合い始めてから3年。ついに明日待ちに待った日が訪れる。明日は蒼太の誕生日だ。碧人は鼻歌混じりに書類に目を通していく。
「ねぇ、榊。明日はなんの日だと思う?」
榊は作業しているパソコンから顔を上げため息をつく。
「それ何度目ですか。いい加減答えたくないんですが」
「いいからはやく」
「佐々木くんの誕生日です」
「何歳になると思う?」
「20歳です」
「明日の予定聞きたい? グフフ…」
「聞きたくありません」
榊は再びパソコンに目を向けキーボードを打つ。
「明日は家で誕生日パーティーするんだ」
「そうですか。楽しんでください」と棒読みで返ってきた。
「パティーの後、なにする聞きたい?」
デレデレと整った顔を緩める社長に榊はため息をついた。
「いい加減黙って仕事してくれませんか。明日休みがほしいとあなたが駄々こねたせいで、仕事は山積みなんですからね」
「ちょっとくらい話聞いてくれてもいいじゃん」
碧人は不貞腐れたように唇を小さく突き出す。
「1週間前から散々聞かされてますが」
「そうだっけ?」
「短期記憶なさすぎですね。老化現象なんじゃないですか?」
「まだ31歳だけど」
明日は蒼太の20歳の誕生日。そして、お触り禁止が解禁される日なのだ。この3年間、蒼太に触りたくても必死に我慢して、やっと解禁されるのだから楽しみじゃないわけがない。
「あなたにしてはよく我慢したほうだと思います。3年間あなたの粗相なく私も無駄な仕事が減って楽をさせていただきました。佐々木くんには感謝ですね」
「粗相なんてするわけないじゃん。もう蒼太以外とは考えられないし」
「そうですか。では、明日のために死ぬほど頑張っていただきましょうか」
榊は新たに書類の束を碧人のディスに置いた。現実に引き戻された碧人は緩みきった顔から表情が消え、無言でその書類の山を見つめる。
「……………」
「黙って書類見てても減りませんよ。さっさと片付けて下さい」
「……くすん」
「泣き真似しても無駄ですよ。終わらなかったら明日の休み返上して終わらせてもらいますからね」
「……鬼」
碧人は榊に向け舌を出した。榊はさらりと受け流し再びパソコンに目を向けた。
山のようにあった書類の山がなくなったのは、深夜2時頃だった。ロールスロイスが向日葵に着いた頃には深夜3時を過ぎていた。見ると向日葵の蒼太の部屋は消えている。碧人はロールスロイスを降りると錆だらけの階段を駆け上がっていく。静かに玄関のドアを開け、小声で「ただいま」と言う。
碧人は寝室に向かい、静かに襖を開ける。布団に包まる蒼太の寝顔を覗く。蒼太は高校卒業後、祖父の残してくれた遺産で大学に通っており、現在大学生である。高校生の頃より背は伸びたが、碧人よりはまだ低い。成長はしたが、寝顔は高校生の頃と変わりなくあどけない。
今日で蒼太も20歳になった。本当は日付が変わる瞬間に一緒にいてやりたかった。
碧人は寝ている蒼太の髪を撫でる。小さく「誕生日おめでとう」と呟き、蒼太の頬にキスをした。
「ねぇ、榊。明日はなんの日だと思う?」
榊は作業しているパソコンから顔を上げため息をつく。
「それ何度目ですか。いい加減答えたくないんですが」
「いいからはやく」
「佐々木くんの誕生日です」
「何歳になると思う?」
「20歳です」
「明日の予定聞きたい? グフフ…」
「聞きたくありません」
榊は再びパソコンに目を向けキーボードを打つ。
「明日は家で誕生日パーティーするんだ」
「そうですか。楽しんでください」と棒読みで返ってきた。
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「いい加減黙って仕事してくれませんか。明日休みがほしいとあなたが駄々こねたせいで、仕事は山積みなんですからね」
「ちょっとくらい話聞いてくれてもいいじゃん」
碧人は不貞腐れたように唇を小さく突き出す。
「1週間前から散々聞かされてますが」
「そうだっけ?」
「短期記憶なさすぎですね。老化現象なんじゃないですか?」
「まだ31歳だけど」
明日は蒼太の20歳の誕生日。そして、お触り禁止が解禁される日なのだ。この3年間、蒼太に触りたくても必死に我慢して、やっと解禁されるのだから楽しみじゃないわけがない。
「あなたにしてはよく我慢したほうだと思います。3年間あなたの粗相なく私も無駄な仕事が減って楽をさせていただきました。佐々木くんには感謝ですね」
「粗相なんてするわけないじゃん。もう蒼太以外とは考えられないし」
「そうですか。では、明日のために死ぬほど頑張っていただきましょうか」
榊は新たに書類の束を碧人のディスに置いた。現実に引き戻された碧人は緩みきった顔から表情が消え、無言でその書類の山を見つめる。
「……………」
「黙って書類見てても減りませんよ。さっさと片付けて下さい」
「……くすん」
「泣き真似しても無駄ですよ。終わらなかったら明日の休み返上して終わらせてもらいますからね」
「……鬼」
碧人は榊に向け舌を出した。榊はさらりと受け流し再びパソコンに目を向けた。
山のようにあった書類の山がなくなったのは、深夜2時頃だった。ロールスロイスが向日葵に着いた頃には深夜3時を過ぎていた。見ると向日葵の蒼太の部屋は消えている。碧人はロールスロイスを降りると錆だらけの階段を駆け上がっていく。静かに玄関のドアを開け、小声で「ただいま」と言う。
碧人は寝室に向かい、静かに襖を開ける。布団に包まる蒼太の寝顔を覗く。蒼太は高校卒業後、祖父の残してくれた遺産で大学に通っており、現在大学生である。高校生の頃より背は伸びたが、碧人よりはまだ低い。成長はしたが、寝顔は高校生の頃と変わりなくあどけない。
今日で蒼太も20歳になった。本当は日付が変わる瞬間に一緒にいてやりたかった。
碧人は寝ている蒼太の髪を撫でる。小さく「誕生日おめでとう」と呟き、蒼太の頬にキスをした。
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