5 / 92
第一章【友達以上の親友として】
第五節 剣術鍛錬
しおりを挟む
――『天国のお母様へ
ビアンカは今日、十四歳になりました。
今年もお父様が忙しいのにお仕事を抜け出して、お誕生日のお祝いをしてくれました。
屋敷のみんなもお祝いしてくれて、沢山ご馳走を作ってくれました。どのお料理もとっても美味しかった。
そうそう。ハルもね、お誕生日のプレゼントだってお花の髪飾りをくれたのよ。
「何をあげればお前が喜ぶのか、悩むんだよな」って笑っていたけど、一生懸命ハルが選んでくれたって思うだけで、凄く嬉しい気持ちになるのはなんでだろう?
ハルが屋敷に来てから、この前四年目を迎えました。
毎年、お母様に報告しているけどね。ハルが来てから屋敷にいる時間が寂しくなくなったのよ。お友達ってこんなに素敵なものだったのね。
初めてできたお友達だから、ずっと仲良くしていきたいな。
ハルはお友達だけど、時々お父さんみたいだったりお兄さんみたいだったり、不思議な感じがするのよね。
この前も木に登って遊んでいたらハルに凄く怒られたのよ。その時はお父さんみたいで心配屋さんだなって思ったわ。
家庭教師の先生の宿題でわからないところがあった時は、やり方を教えてくれたわ。その時は物知りなお兄さんみたいって思った。
あれ。なんだかハルの話ばかりになっちゃったね。
また来年、今度は十五歳のお誕生日の時にお母様にお手紙を書くね。
その時はもっとハルとの素敵なお話、お母様に報告できるといいな。
十四歳のビアンカより』――
ビアンカは羽ペンを置き、便箋にしたためた手紙を封筒に入れて、封蝋を施す。
受取人のいない手紙は、机の引き出しに入れてある箱の中に、毎年書かれている手紙と共に静かにしまわれた――。
◇◇◇
リベリア公国の将軍、ミハイル・ウェーバーの屋敷――。
その中庭の一角で、木剣同士の叩き合う小気味の良い音が響く。
中庭では、赤茶色の髪をした少年――ハルと、亜麻色の長い髪を一つに括った少女――ビアンカが、互いに木製の剣を構えて鍛錬試合を行っていた。
ハルがリベリア公国を訪れて、四年の月日が流れていた。
ハルが国に来た当初は、まだ十歳だったビアンカも今年で十四歳を迎えた。
背もいくらか伸び、愛らしかった容姿も徐々にだが、大人びた雰囲気を持つようになっていた。
反対にハルは身体的に成長した様子が見られなかった。
周りには「自分、成長期はもう止まっちゃったみたいなんですよ。あと童顔だから変わって見えないでしょう」――と、笑いながら話をしていた。
出会ったばかりの頃はハルが屈んで話をしていたビアンカとの身長差は、いつの間にかハルが屈まずとも話ができるほど大差ないものになっていた。
それでもハルの方が幾分か年上なため、ビアンカが彼を少し見上げる程度になる身長差はある。
しかし、あと数年もしたら確実にビアンカの身長はハルと同程度――、もしくはそれ以上になるだろう。
そのことにハルは、少なからず焦燥感を覚えていたのだった。
「はあっ!!」
ビアンカが大きな動きで木剣を袈裟切る動きを見せる。
ビアンカの大げさ気味な袈裟切りを、ハルは木剣を斜めに構えて受け止め、その木剣に沿って受け流す。
そして――、間髪入れずに踏み込んでいきビアンカに体当たりを食らわせた。
「わっ!!」
予想外だったハルの反撃に、ビアンカが驚いた声を上げる。
渾身を込めた一撃を受け流され隙だらけになったところに、ハルの体当たりを食らったビアンカの身体はバランスを崩し、仰向けの状態に倒れ込む。
倒れたビアンカの首元に、ハルは木剣の切っ先を静かに向ける――。
「そこまで!」
そこで剣術師範代の静止の声がかかった。
「むー……」
ビアンカは仰向けに寝転んだまま、悔しそうな面持ちで声を漏らす。
「へへ。悪いな、ビアンカ。これで俺の九勝無敗だ」
ハルは悪戯げに笑みを浮かべ、倒れるビアンカの手を取って起き上がらせる。
そして、ビアンカの背中に着いた土埃を、ハルはその手で払ってやった。
ハルはミハイルの計らいもあり、将来――リベリア公国の将軍であるミハイルの“盾持ち”となるため、剣術の師範代を屋敷に呼んでもらうという厚い処遇を受けていた。
そんなハルの剣術訓練にビアンカが殊の外羨ましがり、半ば強引に参加する――という形で共に剣術の訓練を受けていた。
ミハイルはビアンカが羨ましがることを推し当てており、『好きにやらせていい』――と許可を与えていた。
そのため、この剣術師範代である顎髭を蓄えた中年の男性――ホムラは、何も言わずビアンカが訓練へ参加することを快く引き受けていた。
「――ハル殿の先ほどの受け流し、見事な動きでした」
ホムラは静かな声音で鍛錬試合の感想を述べた。
「反対にビアンカお嬢様の動きは、前にも指摘させて頂いた通り大振りすぎますね」
ホムラはビアンカに目を向けて言う。
「以前、棍術を習われていた時の癖が抜けていないのでしょう。剣術は棍術とは違い、もう少し身体に近い位置で武器を振るわないといけません」
片や褒められて満足げなハル――。
片や駄目出しの言葉を言われ不服そうなビアンカ――。
対照的な表情をハルとビアンカは見せる。
そんな二人の様子にホムラは可笑しそうに微笑んでいた。
「今まで何度か鍛錬試合をして頂きましたが、ハル殿はどうも目が良いようですね。以前、弓などを使われていましたか?」
ホムラに問いかけられた言葉に、ハルは驚いたような表情を浮かべた。
「……よく、わかりましたね。旅をしていた頃、俺、弓を使っていました」
以前に使っていた武器をピタリと言い当てられ、ハルは驚く。
ハルは旅をしていた頃、弓の扱いを得意としていた。
旅の合間に賊に襲われることも度々あり応戦の際や――、また、食料となる獲物を狩る際に役立つためだった。
ハルの返答にホムラは、「ああ、やっぱり」――と静かに呟いた。
「ウェーバー将軍の盾持ちをするのならば剣術の取得は必須ですが、扱い慣れた物の方が向いているかも知れませんね」
「俺も剣術、向いていませんか……?」
ホムラの言葉に、ハルは眉を寄せる。
「いえ、そういうわけではありません。ただ、扱い慣れた武器を使った方が、いざとなった時に守るべき者を守ることができる可能性を持っている――、と。我が剣術流儀の心得の一つなのです」
(守るべき者を守ることができる可能性――、か……)
ハルはホムラの言葉を感慨深げに聞いていた。
「どのような武器も扱えるというのは、その者の強みとなります。――これは私の助言の一つ、として心に止めておいてください」
続けられるホムラの教えにハルは頷く。
「ビアンカお嬢様も剣術は剣術、棍術は棍術として分けて考え、どちらでも上手く立ち回れるようになさってください」
未だに不貞腐れた様子を見せるビアンカにホムラは言う。
ホムラの諭しの言葉に、ビアンカは「はーい」と、わかりましたよ――と、心の声が漏れている声音で返す。
ホムラはそんなビアンカに怒ることなく、苦笑いを浮かべた。
「それでは、今日の訓練はここまでにしましょう。お二人とも、次回まで鍛錬を怠らぬように」
そう言い残し、ホムラは会釈をすると自身の荷物を手に取り、屋敷を後にした。
ビアンカは今日、十四歳になりました。
今年もお父様が忙しいのにお仕事を抜け出して、お誕生日のお祝いをしてくれました。
屋敷のみんなもお祝いしてくれて、沢山ご馳走を作ってくれました。どのお料理もとっても美味しかった。
そうそう。ハルもね、お誕生日のプレゼントだってお花の髪飾りをくれたのよ。
「何をあげればお前が喜ぶのか、悩むんだよな」って笑っていたけど、一生懸命ハルが選んでくれたって思うだけで、凄く嬉しい気持ちになるのはなんでだろう?
ハルが屋敷に来てから、この前四年目を迎えました。
毎年、お母様に報告しているけどね。ハルが来てから屋敷にいる時間が寂しくなくなったのよ。お友達ってこんなに素敵なものだったのね。
初めてできたお友達だから、ずっと仲良くしていきたいな。
ハルはお友達だけど、時々お父さんみたいだったりお兄さんみたいだったり、不思議な感じがするのよね。
この前も木に登って遊んでいたらハルに凄く怒られたのよ。その時はお父さんみたいで心配屋さんだなって思ったわ。
家庭教師の先生の宿題でわからないところがあった時は、やり方を教えてくれたわ。その時は物知りなお兄さんみたいって思った。
あれ。なんだかハルの話ばかりになっちゃったね。
また来年、今度は十五歳のお誕生日の時にお母様にお手紙を書くね。
その時はもっとハルとの素敵なお話、お母様に報告できるといいな。
十四歳のビアンカより』――
ビアンカは羽ペンを置き、便箋にしたためた手紙を封筒に入れて、封蝋を施す。
受取人のいない手紙は、机の引き出しに入れてある箱の中に、毎年書かれている手紙と共に静かにしまわれた――。
◇◇◇
リベリア公国の将軍、ミハイル・ウェーバーの屋敷――。
その中庭の一角で、木剣同士の叩き合う小気味の良い音が響く。
中庭では、赤茶色の髪をした少年――ハルと、亜麻色の長い髪を一つに括った少女――ビアンカが、互いに木製の剣を構えて鍛錬試合を行っていた。
ハルがリベリア公国を訪れて、四年の月日が流れていた。
ハルが国に来た当初は、まだ十歳だったビアンカも今年で十四歳を迎えた。
背もいくらか伸び、愛らしかった容姿も徐々にだが、大人びた雰囲気を持つようになっていた。
反対にハルは身体的に成長した様子が見られなかった。
周りには「自分、成長期はもう止まっちゃったみたいなんですよ。あと童顔だから変わって見えないでしょう」――と、笑いながら話をしていた。
出会ったばかりの頃はハルが屈んで話をしていたビアンカとの身長差は、いつの間にかハルが屈まずとも話ができるほど大差ないものになっていた。
それでもハルの方が幾分か年上なため、ビアンカが彼を少し見上げる程度になる身長差はある。
しかし、あと数年もしたら確実にビアンカの身長はハルと同程度――、もしくはそれ以上になるだろう。
そのことにハルは、少なからず焦燥感を覚えていたのだった。
「はあっ!!」
ビアンカが大きな動きで木剣を袈裟切る動きを見せる。
ビアンカの大げさ気味な袈裟切りを、ハルは木剣を斜めに構えて受け止め、その木剣に沿って受け流す。
そして――、間髪入れずに踏み込んでいきビアンカに体当たりを食らわせた。
「わっ!!」
予想外だったハルの反撃に、ビアンカが驚いた声を上げる。
渾身を込めた一撃を受け流され隙だらけになったところに、ハルの体当たりを食らったビアンカの身体はバランスを崩し、仰向けの状態に倒れ込む。
倒れたビアンカの首元に、ハルは木剣の切っ先を静かに向ける――。
「そこまで!」
そこで剣術師範代の静止の声がかかった。
「むー……」
ビアンカは仰向けに寝転んだまま、悔しそうな面持ちで声を漏らす。
「へへ。悪いな、ビアンカ。これで俺の九勝無敗だ」
ハルは悪戯げに笑みを浮かべ、倒れるビアンカの手を取って起き上がらせる。
そして、ビアンカの背中に着いた土埃を、ハルはその手で払ってやった。
ハルはミハイルの計らいもあり、将来――リベリア公国の将軍であるミハイルの“盾持ち”となるため、剣術の師範代を屋敷に呼んでもらうという厚い処遇を受けていた。
そんなハルの剣術訓練にビアンカが殊の外羨ましがり、半ば強引に参加する――という形で共に剣術の訓練を受けていた。
ミハイルはビアンカが羨ましがることを推し当てており、『好きにやらせていい』――と許可を与えていた。
そのため、この剣術師範代である顎髭を蓄えた中年の男性――ホムラは、何も言わずビアンカが訓練へ参加することを快く引き受けていた。
「――ハル殿の先ほどの受け流し、見事な動きでした」
ホムラは静かな声音で鍛錬試合の感想を述べた。
「反対にビアンカお嬢様の動きは、前にも指摘させて頂いた通り大振りすぎますね」
ホムラはビアンカに目を向けて言う。
「以前、棍術を習われていた時の癖が抜けていないのでしょう。剣術は棍術とは違い、もう少し身体に近い位置で武器を振るわないといけません」
片や褒められて満足げなハル――。
片や駄目出しの言葉を言われ不服そうなビアンカ――。
対照的な表情をハルとビアンカは見せる。
そんな二人の様子にホムラは可笑しそうに微笑んでいた。
「今まで何度か鍛錬試合をして頂きましたが、ハル殿はどうも目が良いようですね。以前、弓などを使われていましたか?」
ホムラに問いかけられた言葉に、ハルは驚いたような表情を浮かべた。
「……よく、わかりましたね。旅をしていた頃、俺、弓を使っていました」
以前に使っていた武器をピタリと言い当てられ、ハルは驚く。
ハルは旅をしていた頃、弓の扱いを得意としていた。
旅の合間に賊に襲われることも度々あり応戦の際や――、また、食料となる獲物を狩る際に役立つためだった。
ハルの返答にホムラは、「ああ、やっぱり」――と静かに呟いた。
「ウェーバー将軍の盾持ちをするのならば剣術の取得は必須ですが、扱い慣れた物の方が向いているかも知れませんね」
「俺も剣術、向いていませんか……?」
ホムラの言葉に、ハルは眉を寄せる。
「いえ、そういうわけではありません。ただ、扱い慣れた武器を使った方が、いざとなった時に守るべき者を守ることができる可能性を持っている――、と。我が剣術流儀の心得の一つなのです」
(守るべき者を守ることができる可能性――、か……)
ハルはホムラの言葉を感慨深げに聞いていた。
「どのような武器も扱えるというのは、その者の強みとなります。――これは私の助言の一つ、として心に止めておいてください」
続けられるホムラの教えにハルは頷く。
「ビアンカお嬢様も剣術は剣術、棍術は棍術として分けて考え、どちらでも上手く立ち回れるようになさってください」
未だに不貞腐れた様子を見せるビアンカにホムラは言う。
ホムラの諭しの言葉に、ビアンカは「はーい」と、わかりましたよ――と、心の声が漏れている声音で返す。
ホムラはそんなビアンカに怒ることなく、苦笑いを浮かべた。
「それでは、今日の訓練はここまでにしましょう。お二人とも、次回まで鍛錬を怠らぬように」
そう言い残し、ホムラは会釈をすると自身の荷物を手に取り、屋敷を後にした。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
(完結)私は家政婦だったのですか?(全5話)
青空一夏
恋愛
夫の母親を5年介護していた私に子供はいない。お義母様が亡くなってすぐに夫に告げられた言葉は「わたしには6歳になる子供がいるんだよ。だから離婚してくれ」だった。
ありがちなテーマをさくっと書きたくて、短いお話しにしてみました。
さくっと因果応報物語です。ショートショートの全5話。1話ごとの字数には偏りがあります。3話目が多分1番長いかも。
青空異世界のゆるふわ設定ご都合主義です。現代的表現や現代的感覚、現代的機器など出てくる場合あります。貴族がいるヨーロッパ風の社会ですが、作者独自の世界です。
(完結)私の夫は死にました(全3話)
青空一夏
恋愛
夫が新しく始める事業の資金を借りに出かけた直後に行方不明となり、市井の治安が悪い裏通りで夫が乗っていた馬車が発見される。おびただしい血痕があり、盗賊に襲われたのだろうと判断された。1年後に失踪宣告がなされ死んだものと見なされたが、多数の債権者が押し寄せる。
私は莫大な借金を背負い、給料が高いガラス工房の仕事についた。それでも返し切れず夜中は定食屋で調理補助の仕事まで始める。半年後過労で倒れた私に従兄弟が手を差し伸べてくれた。
ところがある日、夫とそっくりな男を見かけてしまい・・・・・・
R15ざまぁ。因果応報。ゆるふわ設定ご都合主義です。全3話。お話しの長さに偏りがあるかもしれません。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる