異世界は流されるままに

椎井瑛弥

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第1章:目覚めと始まりの日々

第15話:快適な旅のために必要なもの

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「兜はこのあたりですか?」
「素材ごとに何種類かずつある。それぞれ見え方が違うからな」

 この店の兜には、全金属製のものと革製のもの、革の上に金属を貼ったものがあります。形は額から側頭部と後頭部までを覆うものと、ほぼ全面を覆うものがあります。

「顔の前はなくてもいいな」
「私も。重くなるからね。ダニールさん、やっぱり金属のほうが頑丈?」
「そうだなあ。打撃に関しては、金属製は弾く、革製は吸収する。ただまあ、一定以上の衝撃が加わりゃ、金属はヘコんで戻らねえな。革の場合は戻りはするが、その時点で強度はかなり落ちる。どっちもどっちだが、違いは真夏と真冬だ。夏は熱くて冬は冷てえからな」

 金属の鎧と兜の組み合わせが華やかに見えるのは間違いありませんが、重い上に夏場は暑いのではなく熱く、冬場はかなり冷たくなります。マントを羽織っても限度があるとダニールは説明しました。

「俺は金属で補強した革にします」
「私もそれでいいかな。軽さ重視で」

 鎧と兜が決まれば、次はブーツとその上に着けるグリーブ、それから手にはめるガントレットなどです。

「相手が人間か魔物かで、どこをどう守るかがぜんぜん違うからな。人間相手なら正面と頭、それから腕を気にしたらいい。魔物なら後ろだろうが足元だろうが好き勝手狙ってくる」

 グリーブやガントレットもそれほど選択肢がありません。選ぶのは素材とサイズだけですね。
 上級者になれば金属製のガントレットやグリーブに装飾を施してもらう人もいますが、この店で扱っている商品にはそのようなものはありません。まさに質実剛健です。

 グリープとガントレットの次は盾ですが、サラは盾は使わないことにしました。盾を持つと抜刀できないからです。それにグレイブも持てませんしね。
 レイは腕を通して持つ丸盾を万が一に備えて持つことにしました。グレイブは無理ですが、バスタードソードやメイスなら、右手一本でも振れるからです。

「ダニールさん、武器や防具以外で、初心者が用意しておいたほうがいいものはありますか?」
「用意なら……これだな」

 レイの質問を聞いたダニールは、店内をジロリと見渡してから商品の一つを手に取りました。

「少し大きいですが、園芸ゴテですか?」
「ああ、薬草を根っこから掘り起こすのに使ったり苔を削り落としたり、意外に使えるぞ。でも外で用を足す穴を掘るのが一番多いかもしれねえな」
「「ああ」」

 町の外にはトイレはありません。草むらなどで用を足します。そのままにするのが気になるなら、穴を掘ってその中にします。終わったら土をかぶせて証拠隠滅です。

「先の部分を鋭くしておけば、いざというときの武器としても使えるぞ。ゴブリンなんて大口を開けて寄ってくるから、口の中を思いっきり刺せば一撃だ」
「困ったらそうさせてもらいます」

 二人は武器だけではなく鍋や包丁、ナタなども購入し、ダニールをホクホク顔にさせました。

 ◆◆◆

 次にやってきたのは雑貨屋です。ここで食器などを買う予定をしています。

「ねえ、剣や鎧は邪魔じゃない?」
「……そうだな。一度片付けるか」

 店の中でぶつけたら大変です。剣や鎧は一度マジックバッグに片付けることにしました。それからあらためて二人は雑貨屋に入りました。
 食器を買おうとしたのには理由があります。たとえ旅の途中であっても、パンと干し肉を囓るだけという食事をしたくないと二人とも思ったからです。

「外で使うと割れるよね?」
「外で使うのは木製だろうな。ていうか、外でしか使わないだろ」

 陶器は割れるかもしれないので木製の食器を買うことにしました。値段もそれほど高くはありません。予備も含めて浅皿を六枚、深皿を六枚。それ以外にも大小のボウルサイズの器やカップ、それにカトラリーなど、料理や食事で使いそうなものを一通り買っておきます。

「鏡はないね」
「気合いを入れて磨けば作れるぞ」

 地方で意外に売っていないのが鏡です。鏡といっても銅鏡のようなもので、金属の板を磨いただけのものになります。どんな金属でも磨けばきちんと顔が映るものです。ただし、素材は青銅や黄銅(真鍮)が多くて、手入れをしないと酸化して表面がくすんでしまいます。
 レイの部屋にある姿見は、磨いた白銅の板の上に溶かしたガラスを乗せるという手法で作られています。熱で白銅が歪まないように、魔法で強度を上げてからガラスを流し入れるという力業ちからわざが使われています。
 水銀があればガラスに銀メッキができるでしょうが、水銀は毒物だと思われていますので、活用されていません。

「これって……石かな?」
「見た目は孔雀石マラカイトみたいだな」

 そこにあったのは、テニスボールほどのサイズの緑色の石で、不思議な模様がありました。レイの記憶では、孔雀石マラカイトに似ています。

「それは結界石という魔道具です」

 レイとサラが石を見ながら話をしていると、店員が近づいてきました。

「魔道具ですか?」
「厳密にはダンジョンから出る石なので魔道具ではないのですが、説明が難しいので魔道具ということにしている店が多いと思います」
「謎物質ということですか」
「そうです」

 ダンジョンから出てくるのは金銀財宝だけでなく、武器や防具、あるいはこのような不思議な物体も出ることがあります。高価な魔道具が出れば、それだけで一財産になります。

「このサイズなら、直径五メートルほどの範囲があります。複数使うと効果が高くなります」
「魔物がそれ以上近寄らないってことでいいの?」
「近寄らなくはありません。嫌がって近づきにくくなるだけです。野営地をぐるっと囲むように並べ、さらに外側にも並べて二重三重にすればかなり効果があるそうですが……」

 結界石は魔物が近寄りにくくなるのようなものです。だから突進で勢いがついた魔物はそのまま入ってきます。魔物に近寄られないようにするためには何重にも囲わなければなりません。その分だけ数が必要になってきます。

嵩張かさばりますね」
「はい。このサイズですからね」

 レイは結界石を手に取ってみました。一つ一つがテニスボールくらいあります。これを何十個も持ち歩くのは大変なことです。

「虫除けにもなりますので、一つ持っておくという人は多いですね。馬車の天井にぶら下げたり、適当な袋にでも入れて腰にぶら下げたり」
「それなら二つ買っておくか」
「そうだね」

 次に二人は、屋外で食事をするのに何が必要かを考え始めました。

「シートも必要だな」
「クッションも欲しいね」

 町の外で食事をするなら、地面にシートを敷いてその上に座って食べるでしょう。今は一年で一番寒い時期です。たとえシートを敷いても、地面の上ではすぐにお尻が冷たくなるはずです。

「椅子まではいらないよな?」
「樽で代用すればいいんじゃない? 中に何かを入れておけばいいんだから」
「それもそうだな」

 わざわざ椅子を持ち歩く冒険者はいないでしょう。樽も持ち歩かないでしょうが。いずれにせよ、レイにはマジックバッグがありますので、荷物入れとして使う樽をテーブルや椅子代わりにするのもいいかもしれません。

「お買い上げありがとうございます」

 張り切って大量購入した二人は、店員の言葉を背中に受けながら店をあとにしました。

 ◆◆◆

「食料品も買っておこうか」
「まだ町を出ないからいいんじゃないの?」
「すぐには出ないけど、いつもギリギリになって、あれがないこれがないって慌ててたのは誰だ?」
「はいはい、入るよ入るよ! ちょうどいいところに食料品店が」

 レイに睨まれると、サラは慌てて食料品店に入りました。レイの面倒見がよかったからか、サラは遠足や修学旅行の準備で手を抜くことが多かったのです。もちろん何もしていないことはありませんが、レイが忘れ物のチェックをすると、必ず二つ三つは抜けていました。

「黒パンはもちろんだけど、白パンも買うよね?」
「もちろん。他には保存食だな。ソーセージとハムは必要だろう」
「チーズも買っていい?」
「いいぞ。この干し肉とかも買っとこう。果物の干したやつとかも」

 ソーセージやハムの隣にいろいろな干し肉が売られています。このあたりでよく見かけるホーンラビット、ピッチフォークスネーク、スピアーバード、ヒュージキャタピラーの肉を調味液に浸してから燻製にしたものです。
 燻製などは酒の肴としてそのまま口にすることもありますが、刻んで煮込めば、これだけでスープの出汁と具になります。
 それ以外に買ったのは、肉の塩漬けをそれぞれ一塊ずつ、乾燥させた各種キノコ類を一山ずつ、スパゲティーやラザニア、ペンネなどの各種パスタ、さらには干した果物を数種類。
 食料品はマジックバッグに入れておいてば傷みません。いざ出発しようというころになって急いで買い集めるよりも、あらかじめ少しずつ買い溜めておいたほうがスムーズに事が運ぶでしょう。一か月ほど活動するなら一〇回ほどに分けて買っていけば十分な量がストックできるだろうとレイは考えています。

 ◆◆◆

 最後は衣類です。いずれは毛布なども購入予定です。

「服は二人ともあまり持ってないからな」
「なくてもどうにかなってたからね」

 レイは貴族服ばかりでした。サラは普段はメイド服ばかりですし、屋敷を出るときもメイド服で十分です。あえて私服を着る必要性がありませんでした。
 今のレイとサラはシャツにズボンという服装なので靴下を履いていますが、チュニックにタイツという組み合わせの人もいます。この場合のタイツは、ズボンと靴下を兼ねたような機能ですね。

「このへんでいいかなあ」

 サラは何着か広げて並べています。元々が服装にこだわりがなかったサラです。生まれ変わってもそこはあまり変わりません。

「俺もこのあたりでいいよな」

 レイもおしゃれには鈍感でした。流行の服は流行が終わったら着られないと考えて、定番で無難な服ばかりを着ていましたね。

「下着も同じ数だけ買っておくか」

 庶民のファッションに関しては、できる範囲でかなり頑張っているのがレイとサラにはわかります。
 素材の色そのままのものがそれなりにあります。もちろんそれが最安値です。淡い色で染められたものはもう少し値が張ります。濃い色は何度も染めなければなりませんので、かなり高値です。

「色は別に薄くてもいいか。さすがに生成りはちょっとな」
「淡くて問題ないね」

 一番高い商品でも買えなくはありませんが、誰かに下着を見せるわけでもないので、少し色が付いているもので十分だと二人は考えました。どうせ何度か洗えば色落ちするでしょう。
 次に、ゴムがありませんので、その代わりとして魔物の腱や靭帯が使われています。ゴムほど伸びるわけでも長持ちするわけでもありませんが、他に代わりになる素材がありません。

「どれくらい持つかなあ」
「マジックバッグに入れれば長持ちすると思うぞ」
「あ、そうか」

 悪くならないのは食品だけではありません。数か月も経たずに伸びてしまう魔物の腱でも、マジックバッグに入れておけば何年も持つでしょう。着ている間しか劣化しないからです。
 二人は話をしながら上から下まで、それぞれ数日分を購入すると店を出ました。

 ◆◆◆

「う~ん」
「どうした?」

 衣料品店を出るとサラが唸り始めました。

「もう少し色がどうにかならないかなって」
「まあなあ」

 どうしても草木染めは淡い色になってしまいます。それに色落ちもします。どうやら色止めしても落ちてしまうらしく、何度も洗うと生成りに戻ってしまいます。

「いずれパキッとした色に染めたいなあ」
「どうやって染めるんだ?」
「染料探しからだね」
「でも、色止めの方法も探す必要があるよな」

 二人はファッションについての話なのかそうでないのか微妙な話をしつつ、また鎧を着込むと武器を腰から下げ、屋敷に向かって歩き始めました。
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