161 / 184
第7章:新春、急展開
第32話:代官を引き受けること
しおりを挟む
「引き受けてくれるか⁉」
「はい。みんなも賛成してくれましたので」
レイはローランドに代官就任の依頼を受けると伝えました。
「しかし町の建設からということになると、相当時間がかかりますね」
「一部はジンマのエルフたちが協力してくれることになっている。町の建設にはここで城壁工事を行っている者たちの一部を先に向かわせている」
整地や城壁についてはエルフたちが魔法で行うことになっています。ジンマの城壁と同じように、植物を使った城壁を仮に作り、それから中に建物を用意するという手はずが整っていました。
レイは建設作業そのものには関わらなくてもいいのですが、人材集めと現場の指揮はしなければなりません。チェーン店が新店舗を作るのに、店舗の場所、そして店長と副店長だけを決め、バイトの採用から何からその二人に丸投げするのに近いでしょう。その副店長が誰かというと、
「レイさん、公私ともによろしくお願いします。ですので、その厄介者を見るような目はやめてください。これでも領主の娘なのですが」
ローランドの娘シェリルでした。
「やはり来るんですか?」
「はい。領地のことは頭に叩き込んでいます。今は代官補佐ですが、いずれは……ふふふっ……あ、もちろん第一夫人にしろなどと図々しいことは申しません。格落ちが甚だしいので、部屋の隅のホコリと同じ程度でいいので、たまに存在を気にしていただければ。ああ、邪魔だなあとか……」
そう言いながら、シェリルの声は消えるように小さくなっていきます。
「いや、そこで気落ちされても」
シェリルは貴族の令嬢としてそれなりに整った見た目ですが、レイの側にいるのは、シーヴを始めとして美女・美少女ばかりです。彼女が初めてシーヴたちを見たとき、そのまま回れ右をして帰ろうとし、レナードに止められました。
シェリルの名誉のために言うのではありませんが、彼女の見た目は『行雲流水』のメンバーと比べても、けっして劣っているわけではありません。それなのにそう考えてしまうのは、彼女が貴族の令嬢だからです。
貴族の家に生まれた者として、シェリルは幼いころから王都で他の令嬢との交流がありました。髪や顔は当然のこと、指の先まで身なりに気を配るのは当然です。ところが、レイの恋人たちはほぼ平民であり、しかも普段から魔物を相手に屋外を走り回るような冒険者です。それでこのレベルなのかとショックを受けてしまったのです。
◆◆◆
レイが代官を引き受けることに決めてからしばらくして、冒険者ギルドの会議室に関係者が集まりました。領主ローランドの代理として執事のレナード。代官補佐をすることになるシェリル。そしていくつかのギルドの代表者と担当者。一方で、レイたちは日本人組だけが来ています。
「ギルドは一から用意すると時間がかかるから、とりあえず冒険者ギルドのみってことだ。そこに他のギルドが加わるという形になるな。そうは言っても、冒険者ギルドが上ってわけじゃないぞ。とりあえず最初だけな」
「素材に関しちゃうちと重なるものが多いからね。商人ギルドは輸送で馬車馬のように働いてもらうよ」
「最初は忙しいそうだね」
冒険者ギルドのザカリー、薬剤師ギルドのヘザー、商人ギルドのマーク、三人のギルド長が並んでいました。
「仮のギルド長と冒険者ギルドの代表は私マーシャが担当を務めます」
「薬剤師ギルドは私ダーシーが代表になります」
「メレディスと申します。商人ギルドの代表をすることになりました」
新しい町に移籍する代表として、冒険者ギルドからはマーシャ、薬剤師ギルドからはダーシー、商人ギルドからはメレディスが呼ばれていました。
レイはマーシャとダーシーの二人とは面識があります。メレディスと会ったのは今日が初めてです。メレディスは大人しめの女性で、髪を下の方で二つ結びにしています。図書館や書店が似合いそうだとレイには思えました。
「職員の三人はこっちに来て大丈夫だったんですか?」
「はい。後任はいくらでも見つかりますので」
「薬剤師ギルドも同じですね。むしろギルド長から他に隠している秘薬がないか、一緒にベッドに入ってでも調べておくようにと言われていますよ」
「本人がいる前でそれが言えるようになるとは立派になったねえ、ダーシー。アンタ、男を知って変わったのかい?」
ヘザーの言葉を聞いたザカリーとシェリルがレイをじろっと見ました。
「レイ、お前いつの間に職員にまで手を出してたんだ?」
「そうです。私には手も触れないのにどういうことですか?」
「いや、冤罪だ冤罪。端切れでいいからパンダの毛皮が欲しいって言われたから、ホントに端切れだけで作ったマフラーを渡しただけだって。手を出したわけじゃない」
ザカリーとシェリルから問い詰められ、レイは両手を上げて自分の潔白を主張しました。
「これですよ、これ! この真っ白のフワフワ!」
ダーシーはマフラーを取り出すと首に巻いて頬ずりをしました。
「まあ普通の娘がそんなものを渡されたら簡単に堕ちるさね。娘と呼ぶにはとうが立ってるけどね」
「ギルド長にはわからないんですよ! 相手が見つかる可能性が〇パーセントから一パーセントになることの意味が!」
拳を握りしめながらダーシーはヘザーに向かって力説します。ヘザーには夫どころではなく子供も孫も曾孫いるからです。
「私は従妹の恩返しをと思いまして」
そう言ったのはメレディスです。商人ギルドの代表として大抜擢されました。
「従妹ですか?」
「はい。レイモンド様は去年、オスカーの町で大規模な盗賊団を退治なさったとか」
「ああ、たしかにそういうことがありましたね。退治するつもりじゃなくて、いつもどおりに森に行ったら、ゾロゾロと出てきたので倒したんですけど」
魔物を狩ろうと森に入ったらラケルが異変に気づいてレイに警告しました。そのリーダーがラケルを奴隷商に売ったバートで、その戦いはラケルにとっては復讐でもあったのです。
「盗賊の根城に捕らえられていた中に私の従姉がおりました。ハンナという名前です。かなりひどい状態だったそうですが、命だけは助かったそうです」
「命があってよかったですね。俺たちは森から出てきた盗賊を退治してからすぐに南へ向かったので、根城を落としたのは町にいた冒険者や兵士たちでしょう」
「はい、そうだと伺っております。ですが、ハンナはレイモンド様に大変感謝をしていました」
レイは盗賊の生き残りから情報を得ることができました。そのときに捕らえられた女性がいるという情報を得ています。だから、そのまま根城に向かうのではなく、町に戻って情報を伝えました。人手が必要だったからです。
「そのハンナですが、しばらくしてから助けてくれた兵士の一人と結婚したそうです」
「今後は幸せな人生を送れれればいいですね」
レイはそのハンナを知らないので、ごく常識的な反応をしました。しかし、メレディスの表情は曇ったままです。何かおかしなことを言ったのかと、レイは不安になりました。
「ハンナの話を聞いて私は思いました」
メレディスはそう言いながら椅子から立ち上がりました。
「どうして私の人生には、これまで心躍るようなイベントが一つもなかったのでしょうかッ⁉」
顔の前で両の拳を握りしめて悔しがるメレディスに、レイは唖然とした顔を向けました。
「ちょっと待て。盗賊に捕らえられたら殺されるかもしれないんだぞ?」
相手が年上にも関わらず、レイは思わず素で返しました。
「もちろんそれは分かっております。ですが、喜びも悲しみもない平坦な人生よりも、たとえ大きな被害があっても、山も谷もあるほうが素晴らしいと愚考いたします」
「いや、平坦なほうがいい」
「では、平坦な女体のほうがメリハリのある女体よりも興奮するとおっしゃるのですか⁉」
「体と比べるなって。それに女体って言い方はやめろ!」
「まあまあ、レイさんもメレディスさんも落ち着いて」
押され気味なレイに助け舟を出したのはダーシーでした。
「レイさん、冒険者ギルドと比べれば薬剤師ギルドも商人ギルドも出会いが少ないんですよ。うちのお客さんはみんな根暗ですし、いつも来てくれるレイさんの笑顔にどれだけ癒されたか。窓口にいてよかったと心底思いましたね」
メレディスをなだめながらも、さりげなく自慢するダーシー。助け船なのか焼き討ち船なのか、レイにはその時点では判断できませんでした。
横で話を聞いていたマーシャは困った顔をしていました。
「冒険者ギルドは騒がしいだけですよ」
「それでもマーシャさんには旦那さんがいるじゃないですか。二人とも私よりも若いのに」
「そうです。三人の中で一番若いのにお相手がいるなんて恵まれすぎです」
「ええ……まあ……」
マーシャは二人からのツッコミに微妙な表情になりました。そのやり取りを聞いて一番驚いたのはレイです。
「マーシャさんって結婚してたんですか? それならクラストンを出るのは問題では?」
「それとこれとは別問題です。問題ありません」
マーシャ自身に問題がないのなら、レイはそれ以上は何も言いません。ギルドの方針を受け入れるだけです。
さすがにこの三人だけでギルドを運営できるわけではないので、いずれは各ギルドから数人ずつ募集し、合計で二〇人ほどが新しい町に移籍することが決まりました。その際、一部の町で使われているやり方が採用されることになりました。それがザカリーの言ったように、ギルドをまとめる方法です。
多くの町では冒険者ギルド、薬剤師ギルド、商人ギルド、大工ギルド、革職人ギルド、醸造家ギルドなど、仕事内容ごとに独自のギルドがあります。ただし、小さな町ではすべてを用意することは難しく、たとえば冒険者ギルドだけがあって、そこが他の仕事を引き受けるということがよくあります。それが「総合ギルド」という形式です。いずれは分けるとしても、しばらくは同じ場所で様々な仕事をすることになります。
「新しい町なら派閥もありません。気が楽ですね」
「はい。面倒な柵もありませんからね」
「玉の輿が狙えるという役得がございますね」
「狙わせないからな」
レイの考えをよそに、町を建設するという大プロジェクトが動き始めます。立場が上になれば、それにともなって責任も大きくなります。人一倍責任感のあるレイなので問題はないのですが、わりとトラブル体質なことを彼の周りにいる女性たちは知っています。だからこそ、何が起きてもレイを支えようと一致団結しているわけですが、それでも予想を大きく超える事態は起きるものです。
「はい。みんなも賛成してくれましたので」
レイはローランドに代官就任の依頼を受けると伝えました。
「しかし町の建設からということになると、相当時間がかかりますね」
「一部はジンマのエルフたちが協力してくれることになっている。町の建設にはここで城壁工事を行っている者たちの一部を先に向かわせている」
整地や城壁についてはエルフたちが魔法で行うことになっています。ジンマの城壁と同じように、植物を使った城壁を仮に作り、それから中に建物を用意するという手はずが整っていました。
レイは建設作業そのものには関わらなくてもいいのですが、人材集めと現場の指揮はしなければなりません。チェーン店が新店舗を作るのに、店舗の場所、そして店長と副店長だけを決め、バイトの採用から何からその二人に丸投げするのに近いでしょう。その副店長が誰かというと、
「レイさん、公私ともによろしくお願いします。ですので、その厄介者を見るような目はやめてください。これでも領主の娘なのですが」
ローランドの娘シェリルでした。
「やはり来るんですか?」
「はい。領地のことは頭に叩き込んでいます。今は代官補佐ですが、いずれは……ふふふっ……あ、もちろん第一夫人にしろなどと図々しいことは申しません。格落ちが甚だしいので、部屋の隅のホコリと同じ程度でいいので、たまに存在を気にしていただければ。ああ、邪魔だなあとか……」
そう言いながら、シェリルの声は消えるように小さくなっていきます。
「いや、そこで気落ちされても」
シェリルは貴族の令嬢としてそれなりに整った見た目ですが、レイの側にいるのは、シーヴを始めとして美女・美少女ばかりです。彼女が初めてシーヴたちを見たとき、そのまま回れ右をして帰ろうとし、レナードに止められました。
シェリルの名誉のために言うのではありませんが、彼女の見た目は『行雲流水』のメンバーと比べても、けっして劣っているわけではありません。それなのにそう考えてしまうのは、彼女が貴族の令嬢だからです。
貴族の家に生まれた者として、シェリルは幼いころから王都で他の令嬢との交流がありました。髪や顔は当然のこと、指の先まで身なりに気を配るのは当然です。ところが、レイの恋人たちはほぼ平民であり、しかも普段から魔物を相手に屋外を走り回るような冒険者です。それでこのレベルなのかとショックを受けてしまったのです。
◆◆◆
レイが代官を引き受けることに決めてからしばらくして、冒険者ギルドの会議室に関係者が集まりました。領主ローランドの代理として執事のレナード。代官補佐をすることになるシェリル。そしていくつかのギルドの代表者と担当者。一方で、レイたちは日本人組だけが来ています。
「ギルドは一から用意すると時間がかかるから、とりあえず冒険者ギルドのみってことだ。そこに他のギルドが加わるという形になるな。そうは言っても、冒険者ギルドが上ってわけじゃないぞ。とりあえず最初だけな」
「素材に関しちゃうちと重なるものが多いからね。商人ギルドは輸送で馬車馬のように働いてもらうよ」
「最初は忙しいそうだね」
冒険者ギルドのザカリー、薬剤師ギルドのヘザー、商人ギルドのマーク、三人のギルド長が並んでいました。
「仮のギルド長と冒険者ギルドの代表は私マーシャが担当を務めます」
「薬剤師ギルドは私ダーシーが代表になります」
「メレディスと申します。商人ギルドの代表をすることになりました」
新しい町に移籍する代表として、冒険者ギルドからはマーシャ、薬剤師ギルドからはダーシー、商人ギルドからはメレディスが呼ばれていました。
レイはマーシャとダーシーの二人とは面識があります。メレディスと会ったのは今日が初めてです。メレディスは大人しめの女性で、髪を下の方で二つ結びにしています。図書館や書店が似合いそうだとレイには思えました。
「職員の三人はこっちに来て大丈夫だったんですか?」
「はい。後任はいくらでも見つかりますので」
「薬剤師ギルドも同じですね。むしろギルド長から他に隠している秘薬がないか、一緒にベッドに入ってでも調べておくようにと言われていますよ」
「本人がいる前でそれが言えるようになるとは立派になったねえ、ダーシー。アンタ、男を知って変わったのかい?」
ヘザーの言葉を聞いたザカリーとシェリルがレイをじろっと見ました。
「レイ、お前いつの間に職員にまで手を出してたんだ?」
「そうです。私には手も触れないのにどういうことですか?」
「いや、冤罪だ冤罪。端切れでいいからパンダの毛皮が欲しいって言われたから、ホントに端切れだけで作ったマフラーを渡しただけだって。手を出したわけじゃない」
ザカリーとシェリルから問い詰められ、レイは両手を上げて自分の潔白を主張しました。
「これですよ、これ! この真っ白のフワフワ!」
ダーシーはマフラーを取り出すと首に巻いて頬ずりをしました。
「まあ普通の娘がそんなものを渡されたら簡単に堕ちるさね。娘と呼ぶにはとうが立ってるけどね」
「ギルド長にはわからないんですよ! 相手が見つかる可能性が〇パーセントから一パーセントになることの意味が!」
拳を握りしめながらダーシーはヘザーに向かって力説します。ヘザーには夫どころではなく子供も孫も曾孫いるからです。
「私は従妹の恩返しをと思いまして」
そう言ったのはメレディスです。商人ギルドの代表として大抜擢されました。
「従妹ですか?」
「はい。レイモンド様は去年、オスカーの町で大規模な盗賊団を退治なさったとか」
「ああ、たしかにそういうことがありましたね。退治するつもりじゃなくて、いつもどおりに森に行ったら、ゾロゾロと出てきたので倒したんですけど」
魔物を狩ろうと森に入ったらラケルが異変に気づいてレイに警告しました。そのリーダーがラケルを奴隷商に売ったバートで、その戦いはラケルにとっては復讐でもあったのです。
「盗賊の根城に捕らえられていた中に私の従姉がおりました。ハンナという名前です。かなりひどい状態だったそうですが、命だけは助かったそうです」
「命があってよかったですね。俺たちは森から出てきた盗賊を退治してからすぐに南へ向かったので、根城を落としたのは町にいた冒険者や兵士たちでしょう」
「はい、そうだと伺っております。ですが、ハンナはレイモンド様に大変感謝をしていました」
レイは盗賊の生き残りから情報を得ることができました。そのときに捕らえられた女性がいるという情報を得ています。だから、そのまま根城に向かうのではなく、町に戻って情報を伝えました。人手が必要だったからです。
「そのハンナですが、しばらくしてから助けてくれた兵士の一人と結婚したそうです」
「今後は幸せな人生を送れれればいいですね」
レイはそのハンナを知らないので、ごく常識的な反応をしました。しかし、メレディスの表情は曇ったままです。何かおかしなことを言ったのかと、レイは不安になりました。
「ハンナの話を聞いて私は思いました」
メレディスはそう言いながら椅子から立ち上がりました。
「どうして私の人生には、これまで心躍るようなイベントが一つもなかったのでしょうかッ⁉」
顔の前で両の拳を握りしめて悔しがるメレディスに、レイは唖然とした顔を向けました。
「ちょっと待て。盗賊に捕らえられたら殺されるかもしれないんだぞ?」
相手が年上にも関わらず、レイは思わず素で返しました。
「もちろんそれは分かっております。ですが、喜びも悲しみもない平坦な人生よりも、たとえ大きな被害があっても、山も谷もあるほうが素晴らしいと愚考いたします」
「いや、平坦なほうがいい」
「では、平坦な女体のほうがメリハリのある女体よりも興奮するとおっしゃるのですか⁉」
「体と比べるなって。それに女体って言い方はやめろ!」
「まあまあ、レイさんもメレディスさんも落ち着いて」
押され気味なレイに助け舟を出したのはダーシーでした。
「レイさん、冒険者ギルドと比べれば薬剤師ギルドも商人ギルドも出会いが少ないんですよ。うちのお客さんはみんな根暗ですし、いつも来てくれるレイさんの笑顔にどれだけ癒されたか。窓口にいてよかったと心底思いましたね」
メレディスをなだめながらも、さりげなく自慢するダーシー。助け船なのか焼き討ち船なのか、レイにはその時点では判断できませんでした。
横で話を聞いていたマーシャは困った顔をしていました。
「冒険者ギルドは騒がしいだけですよ」
「それでもマーシャさんには旦那さんがいるじゃないですか。二人とも私よりも若いのに」
「そうです。三人の中で一番若いのにお相手がいるなんて恵まれすぎです」
「ええ……まあ……」
マーシャは二人からのツッコミに微妙な表情になりました。そのやり取りを聞いて一番驚いたのはレイです。
「マーシャさんって結婚してたんですか? それならクラストンを出るのは問題では?」
「それとこれとは別問題です。問題ありません」
マーシャ自身に問題がないのなら、レイはそれ以上は何も言いません。ギルドの方針を受け入れるだけです。
さすがにこの三人だけでギルドを運営できるわけではないので、いずれは各ギルドから数人ずつ募集し、合計で二〇人ほどが新しい町に移籍することが決まりました。その際、一部の町で使われているやり方が採用されることになりました。それがザカリーの言ったように、ギルドをまとめる方法です。
多くの町では冒険者ギルド、薬剤師ギルド、商人ギルド、大工ギルド、革職人ギルド、醸造家ギルドなど、仕事内容ごとに独自のギルドがあります。ただし、小さな町ではすべてを用意することは難しく、たとえば冒険者ギルドだけがあって、そこが他の仕事を引き受けるということがよくあります。それが「総合ギルド」という形式です。いずれは分けるとしても、しばらくは同じ場所で様々な仕事をすることになります。
「新しい町なら派閥もありません。気が楽ですね」
「はい。面倒な柵もありませんからね」
「玉の輿が狙えるという役得がございますね」
「狙わせないからな」
レイの考えをよそに、町を建設するという大プロジェクトが動き始めます。立場が上になれば、それにともなって責任も大きくなります。人一倍責任感のあるレイなので問題はないのですが、わりとトラブル体質なことを彼の周りにいる女性たちは知っています。だからこそ、何が起きてもレイを支えようと一致団結しているわけですが、それでも予想を大きく超える事態は起きるものです。
12
お気に入りに追加
490
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
スクールカースト最底辺の俺、勇者召喚された異世界でクラスの女子どもを見返す
九頭七尾
ファンタジー
名門校として知られる私立天蘭学園。
女子高から共学化したばかりのこの学校に、悠木勇人は「女の子にモテたい!」という不純な動機で合格する。
夢のような学園生活を思い浮かべていた……が、待っていたのは生徒会主導の「男子排除運動」。
酷い差別に耐えかねて次々と男子が辞めていき、気づけば勇人だけになっていた。
そんなある日のこと。突然、勇人は勇者として異世界に召喚されてしまう。…クラスの女子たちがそれに巻き込まれる形で。
スクールカースト最底辺だった彼の逆転劇が、異世界で始まるのだった。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる