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第8章:春、急カーブと思っていたらまさかのクランク
第18話:ちょうどいいところに
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「旦那様、ギルモア男爵とテニエル男爵の使いの一行が町に到着したそうです」
「ギルモア男爵とテニエル男爵?」
アシュトン子爵クリフトン・ストークスは、家令のルーファスから報告を受けて首を傾げました。それぞれの領地から王都方面に向かおうと思えば、たしかにこのアシュトン子爵領を通るしかありませんが、今は特に何もない時期です。何もなくても王都に向かうことはあるでしょうが、そろって到着したとなると、何かがあるのではないかと疑ってしまうのが貴族というものです。
「はい。衛兵からの報告ですので、間違いはないでしょう。おそらくですが、ギルモア男爵はご子息のレイモンド様が授爵されましたので、その祝いの品かと」
「そうか、それがあったか。そうなると、テニエル男爵の娘が結婚相手ということだろうな」
「もしかすると、ダンカン子爵のご息女が正室、テニエル男爵のご息女が側室かもしれません。レイモンド様は新しい町の代官を任されると予定だったそうですので」
「なるほど。その二人のどちらかか、それとも両方か」
二人はおおよその事情を言い当てていました。それでも、まさかケイトもシェリルも正室ではなく側室扱いだとは想像できませんでした。
「ルーファス、その者たちの代表と話がしたい。取り計らってくれ」
「かしこまりました。宿泊先も判明しております。すぐに話をしてまいります」
ルーファスが部屋を出ると、クリフトンは一つ息を吐きました。クリフトンが考えていることは簡単です。一つは借りを返すことで、もう一つは縁を持つことです。そのためにはこの機会を逃すべきではありません。
彼はジャレッドの件では謝罪の意を、バートの件では感謝の意を、すでにギルモア男爵のモーガンに伝えています。ところが、レイに対しては何もできていませんでした。
バートの剣が届いたあとでオスカーの冒険者ギルドに確認を入れると、レイたちはすでに町を離れていました。どうやら南に向かったようで、その後はクラストンで活動しているという話がクリフトンのところにも届いています。とはいえ、そこまで追いかけるのは、さすがに貴族の体面的には褒められた話ではありません。クラストンで会うとすれば偶然を装うしかありませんが、さすがにクリフトンがレイと偶然に出会うということはありえません。王都で何らかの行事があって、そこで顔を合わせるという機会でもなければ。
◆◆◆
オグデンの町で最も高級な宿屋である金鶏亭。そこでハリーをはじめ、レイの授爵祝いを運ぶ一行が遅めの昼食をとっていました。仮にも貴族の使いが結婚祝いを運ぶのに、庶民向けの安宿には泊まれません。防犯的にしっかりしている場所を選ぶのは当然ですが、体面的なものもあります。お金がないと思われるのは恥ずかしいですからね。
宿屋のほうでもそのあたりの事情はよく理解できています。さらに、貴族の馬車が乗り付けるというのは名誉なことなので、それなりにサービスもよくなります。
この世界には「お客様は神様です」の精神はありません。儲けるためには、神様をお客様にするのです。店が客を選ぶわけですね。だからこそ、安心して馬車を預けられるのです。
ようやく一体感が出始めた一行が落ち着いて食事をしていたところ、彼らに近づいてくる人がいました。
「ギルモア男爵家とテニエル男爵家の関係者とお見受けいたします」
ハリーたちはいきなり声をかけられて身を強張らせました。声をかけたのは正装をしたルーファスでした。相手を見てハリーは肩の力を抜きました。
「失礼いたしました。驚かせたようで申し訳ございません。私はアシュトン子爵家で家令を務めておりますルーファスと申します。こちらの代表の方はどなたでございますか?」
「私です。ギルモア男爵家に仕える執事ブライアンの息子で、ハリーと申します」
ハリーは少々緊張しながらルーファスの前に立ちました。自分たちが町に入ったことは知られているとは思っていましたが、まさかこんなに早く向こうから接触があるとは考えていなかったからです。
「実は我が主人が代表の方と少し話がしたいと。ハリー殿、本日お時間はございますか?」
領主が家令を寄越してまで招きたいということは、それなりの事情があると推測できます。ハリーはルーファスの目を見てうなずきました。
「これからでも大丈夫です。ブレンダ、ここは任せます」
「わかりました。お気をつけて」
この場をブレンダに任せると、ハリーはルーファスと並んで店を出ました。
◆◆◆
「こちらでお待ちください」
子爵邸に入ったハリーは応接室のソファーに座り、頭を動かさずに視線だけで室内を確認していました。キョロキョロするのは失礼ですからね。
ハリーは兄のアーサーと一緒に、お隣の領地に奉公に出かけていました。いずれはモーガンの下で働くための勉強ですね。執事や従者の見習いとして、普段はお客様を案内する側だったので、「案内されるとこのような感じなのか」と新鮮な気分でした。
領主邸に限りませんが、立派なお屋敷の応接室に案内されるというのは、平民ならまず経験しません。用事があって出かけたとしても、普通は玄関から入ったホールで立ったまま待たされます。応接室は案内状を持った正式な客のみが入れる場所なのです。モーガンの場合はわりと気楽に人を入れていましたが。
ハリーがこの部屋に入って数分、ルーファスが主人を連れて戻ってきました。
「忙しいところを申し訳ない」
「いえ、一日二日を争うことでもありませんのでお気になさらず」
クリフトンの言葉にハリーはそう返しましたが、それは嘘ではありません。元々今日から明日にかけてはこの町で休むことになっていたのです。
ハリーやブレンダと一緒にマリオンから来た使用人たちと違い、テニエル男爵領のダグラスから来た使用人たちは、わざわざマリオンを経由しています。直接オグデンに来ることと比べると、倍以上移動したことになりますので疲れも出るでしょう。さらに、食料品なども買わなければいけません。マジックバッグはありますが、向こうに到着してからのこともありますので、十分な量を確保しておきたいのです。そのための資金もモーガンから預かっています。
「実はレイモンド殿に祝いの品を渡したいと思ってな。うちの馬車も同行させてもらいたい」
「子爵様からですか?」
「そうだ。私はモーガン殿とレイモンド殿に大きな借りがある。なかなか会うこともできないので、それも兼ねて祝いの品を渡したいのだ」
「そうでしたか」
それを聞いてハリーはうなずきました。
「おかしなことを聞くが、お主たちは祝いの品を運んでいるので間違いないか?」
「はい。祝いの品と、レイ様にお仕えする使用人たちです」
「そうか、使用人か」
クリフトンには使用人を贈るという考えはありませんでした。貴族が贈り物をするというと、つい金品を考えてしまいます。
「はい。レイ様はこれまで冒険者をなさっていましたので、それなら使用人は必要になるだろうと」
代官を任されたところで授爵した形です。ある程度は使用人がいるかもしれませんが、人手は多くても悪くはないだろうと、モーガンは希望者を募ったのです。
「それなら、出立まで二、三日待ってほしい。準備が整えば連絡しよう。その間の宿代はこちらがすべて払う。いくらでも飲み食いしてもらってかまわない。私から金鶏亭に伝えておこう」
「承知いたしました。では、ご連絡をお待ちしております」
◆◆◆
「「「無料⁉」」」
金鶏亭に戻ったハリーがクリフトンから聞いたことを伝えると、同行者たちから歓声が上がりました。しかし、ハリーはクリフトンの言葉を鵜呑みにはしません。
「……子爵様はそうおっしゃいましたが、さすがにあまりにも無遠慮に飲み食いすれば、子爵様がギルモア男爵家とテニエル男爵家に持つ印象は悪くなるでしょう。常識のない使用人しかいないのかと。それはレイ様の評価にも繋がります」
「「「うっ……」」」
若い使用人がほとんどです。無料という言葉に腰を浮かしかけましたが、すぐに座り直しました。それを見てハリーは表情を和らげました。
「常識の範囲内に抑えてください。一回の食事でワインをグラス一、二杯くらいならいいでしょう」
相手が出してくれると言ったときに、あまりにも遠慮しすぎるのは失礼にあたります。懐具合を心配されたと思って、不快に思う人もいるからです。
アシュトン子爵家は、ギルモア男爵家とテニエル男爵家を足して何倍にもしたほどの資産があります。たかだか二〇人ほどが好き勝手に飲み食いして懐が痛むことはありません。しかし、一晩で何十本も高級酒の瓶を空にすれば、さすがに子爵といえども呆れるでしょう。何ごともほどほどが重要で、しかもそれは難しいのです。
「ギルモア男爵とテニエル男爵?」
アシュトン子爵クリフトン・ストークスは、家令のルーファスから報告を受けて首を傾げました。それぞれの領地から王都方面に向かおうと思えば、たしかにこのアシュトン子爵領を通るしかありませんが、今は特に何もない時期です。何もなくても王都に向かうことはあるでしょうが、そろって到着したとなると、何かがあるのではないかと疑ってしまうのが貴族というものです。
「はい。衛兵からの報告ですので、間違いはないでしょう。おそらくですが、ギルモア男爵はご子息のレイモンド様が授爵されましたので、その祝いの品かと」
「そうか、それがあったか。そうなると、テニエル男爵の娘が結婚相手ということだろうな」
「もしかすると、ダンカン子爵のご息女が正室、テニエル男爵のご息女が側室かもしれません。レイモンド様は新しい町の代官を任されると予定だったそうですので」
「なるほど。その二人のどちらかか、それとも両方か」
二人はおおよその事情を言い当てていました。それでも、まさかケイトもシェリルも正室ではなく側室扱いだとは想像できませんでした。
「ルーファス、その者たちの代表と話がしたい。取り計らってくれ」
「かしこまりました。宿泊先も判明しております。すぐに話をしてまいります」
ルーファスが部屋を出ると、クリフトンは一つ息を吐きました。クリフトンが考えていることは簡単です。一つは借りを返すことで、もう一つは縁を持つことです。そのためにはこの機会を逃すべきではありません。
彼はジャレッドの件では謝罪の意を、バートの件では感謝の意を、すでにギルモア男爵のモーガンに伝えています。ところが、レイに対しては何もできていませんでした。
バートの剣が届いたあとでオスカーの冒険者ギルドに確認を入れると、レイたちはすでに町を離れていました。どうやら南に向かったようで、その後はクラストンで活動しているという話がクリフトンのところにも届いています。とはいえ、そこまで追いかけるのは、さすがに貴族の体面的には褒められた話ではありません。クラストンで会うとすれば偶然を装うしかありませんが、さすがにクリフトンがレイと偶然に出会うということはありえません。王都で何らかの行事があって、そこで顔を合わせるという機会でもなければ。
◆◆◆
オグデンの町で最も高級な宿屋である金鶏亭。そこでハリーをはじめ、レイの授爵祝いを運ぶ一行が遅めの昼食をとっていました。仮にも貴族の使いが結婚祝いを運ぶのに、庶民向けの安宿には泊まれません。防犯的にしっかりしている場所を選ぶのは当然ですが、体面的なものもあります。お金がないと思われるのは恥ずかしいですからね。
宿屋のほうでもそのあたりの事情はよく理解できています。さらに、貴族の馬車が乗り付けるというのは名誉なことなので、それなりにサービスもよくなります。
この世界には「お客様は神様です」の精神はありません。儲けるためには、神様をお客様にするのです。店が客を選ぶわけですね。だからこそ、安心して馬車を預けられるのです。
ようやく一体感が出始めた一行が落ち着いて食事をしていたところ、彼らに近づいてくる人がいました。
「ギルモア男爵家とテニエル男爵家の関係者とお見受けいたします」
ハリーたちはいきなり声をかけられて身を強張らせました。声をかけたのは正装をしたルーファスでした。相手を見てハリーは肩の力を抜きました。
「失礼いたしました。驚かせたようで申し訳ございません。私はアシュトン子爵家で家令を務めておりますルーファスと申します。こちらの代表の方はどなたでございますか?」
「私です。ギルモア男爵家に仕える執事ブライアンの息子で、ハリーと申します」
ハリーは少々緊張しながらルーファスの前に立ちました。自分たちが町に入ったことは知られているとは思っていましたが、まさかこんなに早く向こうから接触があるとは考えていなかったからです。
「実は我が主人が代表の方と少し話がしたいと。ハリー殿、本日お時間はございますか?」
領主が家令を寄越してまで招きたいということは、それなりの事情があると推測できます。ハリーはルーファスの目を見てうなずきました。
「これからでも大丈夫です。ブレンダ、ここは任せます」
「わかりました。お気をつけて」
この場をブレンダに任せると、ハリーはルーファスと並んで店を出ました。
◆◆◆
「こちらでお待ちください」
子爵邸に入ったハリーは応接室のソファーに座り、頭を動かさずに視線だけで室内を確認していました。キョロキョロするのは失礼ですからね。
ハリーは兄のアーサーと一緒に、お隣の領地に奉公に出かけていました。いずれはモーガンの下で働くための勉強ですね。執事や従者の見習いとして、普段はお客様を案内する側だったので、「案内されるとこのような感じなのか」と新鮮な気分でした。
領主邸に限りませんが、立派なお屋敷の応接室に案内されるというのは、平民ならまず経験しません。用事があって出かけたとしても、普通は玄関から入ったホールで立ったまま待たされます。応接室は案内状を持った正式な客のみが入れる場所なのです。モーガンの場合はわりと気楽に人を入れていましたが。
ハリーがこの部屋に入って数分、ルーファスが主人を連れて戻ってきました。
「忙しいところを申し訳ない」
「いえ、一日二日を争うことでもありませんのでお気になさらず」
クリフトンの言葉にハリーはそう返しましたが、それは嘘ではありません。元々今日から明日にかけてはこの町で休むことになっていたのです。
ハリーやブレンダと一緒にマリオンから来た使用人たちと違い、テニエル男爵領のダグラスから来た使用人たちは、わざわざマリオンを経由しています。直接オグデンに来ることと比べると、倍以上移動したことになりますので疲れも出るでしょう。さらに、食料品なども買わなければいけません。マジックバッグはありますが、向こうに到着してからのこともありますので、十分な量を確保しておきたいのです。そのための資金もモーガンから預かっています。
「実はレイモンド殿に祝いの品を渡したいと思ってな。うちの馬車も同行させてもらいたい」
「子爵様からですか?」
「そうだ。私はモーガン殿とレイモンド殿に大きな借りがある。なかなか会うこともできないので、それも兼ねて祝いの品を渡したいのだ」
「そうでしたか」
それを聞いてハリーはうなずきました。
「おかしなことを聞くが、お主たちは祝いの品を運んでいるので間違いないか?」
「はい。祝いの品と、レイ様にお仕えする使用人たちです」
「そうか、使用人か」
クリフトンには使用人を贈るという考えはありませんでした。貴族が贈り物をするというと、つい金品を考えてしまいます。
「はい。レイ様はこれまで冒険者をなさっていましたので、それなら使用人は必要になるだろうと」
代官を任されたところで授爵した形です。ある程度は使用人がいるかもしれませんが、人手は多くても悪くはないだろうと、モーガンは希望者を募ったのです。
「それなら、出立まで二、三日待ってほしい。準備が整えば連絡しよう。その間の宿代はこちらがすべて払う。いくらでも飲み食いしてもらってかまわない。私から金鶏亭に伝えておこう」
「承知いたしました。では、ご連絡をお待ちしております」
◆◆◆
「「「無料⁉」」」
金鶏亭に戻ったハリーがクリフトンから聞いたことを伝えると、同行者たちから歓声が上がりました。しかし、ハリーはクリフトンの言葉を鵜呑みにはしません。
「……子爵様はそうおっしゃいましたが、さすがにあまりにも無遠慮に飲み食いすれば、子爵様がギルモア男爵家とテニエル男爵家に持つ印象は悪くなるでしょう。常識のない使用人しかいないのかと。それはレイ様の評価にも繋がります」
「「「うっ……」」」
若い使用人がほとんどです。無料という言葉に腰を浮かしかけましたが、すぐに座り直しました。それを見てハリーは表情を和らげました。
「常識の範囲内に抑えてください。一回の食事でワインをグラス一、二杯くらいならいいでしょう」
相手が出してくれると言ったときに、あまりにも遠慮しすぎるのは失礼にあたります。懐具合を心配されたと思って、不快に思う人もいるからです。
アシュトン子爵家は、ギルモア男爵家とテニエル男爵家を足して何倍にもしたほどの資産があります。たかだか二〇人ほどが好き勝手に飲み食いして懐が痛むことはありません。しかし、一晩で何十本も高級酒の瓶を空にすれば、さすがに子爵といえども呆れるでしょう。何ごともほどほどが重要で、しかもそれは難しいのです。
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