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第7章:新春、急展開
第8話:怒っても最後には許す
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そろそろ昼食の準備をしようかという時間、レイとシャロンを除くメンバーがリビングに集っていました。
「いつごろ終わりますかぁ?」
「レイがマイの部屋を出てから四時間は過ぎましたか。今頃は二人でイチャイチャしながら樽風呂に入っているでしょうね。あと一時間くらいでしょう」
シーヴは【索敵】で二人の位置を把握しています。そこから今の状況が簡単に想像できました。
「ご主人さまは怒ったのではないのです?」
ラケルにはシーヴの説明が理解できませんでした。サラとシーヴとマイの三人が顔を引きつらせるほどなのに、どうしてイチャイチャしているのかと。ところが、元日本人たちにはレイが考えそうなことはわかります。
レイの行動には一定の原則があります。ルールはきちんと守りますが、そのルールがおかしい場合は臨機応変に行動します。その後はルールを直す方向に動きます。その根底にあるのは、相手を不快にさせないということです。
シャロンは半ばレイを騙すようにしてマイを抱かせました。マイはそれでいいかもしれませんが、レイはそうではありません。大切だからこそ守りたいのです。レイの根底にある考えをシャロンは汚してしまいました。
レイ本人も気づいていることですが、彼はかなり面倒な性格をしています。人当たりは悪くありません。基本は善良です。ところが、敵とみなせば徹底的に敵として扱います。それで作った敵もいることはいるのですが、味方のほうが圧倒的に多かったのです。
「どれだけ怒っても相手が反省すれば許しちゃうんだよね。さっきの話の続きだけどね、どうして悪かったのかと相手に反省を促す流れになって、そのうち相手が非を認めて泣いてみんなに頭を下げて最後はレイが許す。ほとんどがそんな流れ」
「ええ。怒鳴って終わりではなく、どれだけ悪いことをしたのか、なぜそれが悪いことなのかを滔々と語って相手に徹底的に理解させる感じです。相手が反省してくれればそれでよし、ということになっていました。レイを怒らせた人に言わせると、目の奥が笑っていないから心の底から恐ろしくて夢に見るそうですね」
「学校でも会社でも同じだったんだね」
「ですね。今回は反省を促すのに媚薬を使ったので少し違うみたいですけど、シャロンは心から反省して、媚薬の効果は《解毒》で消してもらい、ベッドで体の火照りを鎮めてもらって、それでレイの説教も終わって、今度はベッドで仲直りしているところでしょう」
「なるほど」
間違いを犯した相手を言葉だけで反省させて真人間にさせる。自分の主人はどれだけ立派な人なのだろうかと、ラケルの中でまたレイの評価が一段階上がりました。
◆◆◆
「メイドは失敗をして主人に叱られてこそ成長できるものです。私はさらに階段を一段上がりました。縛られた上でお尻を突き出すというあの格好! アブノーマルプレイという名の階段を昇りきったのです‼」
シャロンは部屋に入ると、まるで舞台女優にでもなったかのように両手を広げました。
「いや、ロープを外したら暴れそうだったから」
「ですが、後ろの穴にディルドを挿れる必要はなかったのでは?」
「……」
シャロンに「私が心から反省するような、これまでになかったお仕置きを!」と言われ、レイはこれまで一度もしたことがないことをしてしまいました。勢いで。
日本人時代、レイには恋人はいませんでしたが、ある意味では健全な男性でした。男性向けのアレコレなど、見るものは見ていたのです。
「レイも男だったってことだね」
「そうですね。今後はもっとこの世界の男性っぽくなるでしょう」
「どういうことだ?」
この世界の男性という意味がレイには理解できませんでした。
「もっと好きに振る舞ってもいいということです」
「そこそこ自由にやってると思うんだけど?」
「鎖や手錠でがんじがらめになった人間を自由とは言わない。レイ兄は我慢してる。我慢というか自分を抑えてる。おかしなことをしてると思われないように」
そこまで言われればレイにも理解できます。彼は自分の行動を客観的に見るようにしていました。他人が見ておかしくないようにと。それは元々の性格でもあり、貴族の息子として生まれたせいで染み付いた考えでもあります。大半はサラを反面教師にしたようなものですが。
「このままなら一番早く妊娠しそうなのってシャロンになりそうだよね。プレイの幅が広いし」
「そうですか? 精霊族は妊娠しづらいそうです。私よりもラケルのほうが早そうですが」
「私です? いつでもOKです!」
ラケルはいつものようにお腹をバンバンと叩いてアピールしますが、レイとしてはこの年で子持ちはどうなのかと思ってしまいます。それでも、いつまでも待たせるもの申し訳ないとも感じているのも事実です。
「日本とは感覚が違うから仕方ないよねえ」
「環境が全然違うからなあ」
「日本は晩婚化と少子化が酷かった」
何から何まで違います。同じなのは男と女が愛し合って子供を作ることくらいでしょうか。愛し合わなくても子供はできますが。
「レイ様、日本という国では子供を作るのが遅かったのですか?」
レイたちは積極的に日本の話をすることはありませんできた。世界が違えば考え方も違います。この世界にはこの世界の習慣があるので、日本と比べても仕方ないだろうと。
「そうだなあ……子供を作るというよりも、結婚そのものが遅かったな。俺の知っている限りじゃ、男性の初婚が三一歳、女性は二九歳だったか。もう少しで女性も三〇になりそうだと言われてたはずだ」
「私がお婆ちゃんだったころはもっと上がってた」
「あ、そうなのか?」
「男性が三六で女性が三四だったはず」
「そこまでいったのか⁉」
「人口はガッツリ減って七〇〇〇万人を切った。高齢者は病気で減って、若者はそもそも数が減ってた」
レイは驚いたが、マイが死んだのが九〇代、レイは三〇手前。七〇年近く違えば、環境はかなり変わります。
「どうしてそんなに遅くなりますの?」
この世界の知識しかないケイトたちからすると不思議なことでしょう。どこまで理解してもらえるがわかりませんが、日本人組はできるだけわかりやすく説明することにしました。
日本では六歳から一五歳まで義務教育があります。高校進学率も九五パーセントを超えるので、実際は高校の三年間も義務教育とほぼ同じです。だから、ほとんどが一八歳までの一二年間、勉強を続けることになります。
さらに、大学で高等教育を受ければ四年間追加で勉強することになります。大学卒業時で二二歳になってしまいます。そこから大学院に進んでしまうと、修士課程なら最低でも二年、博士課程ならさらに三年は勉強します。そうなると博士課程が終わったときには二七歳です。浪人や留年を挟めば、三〇歳を超えることも珍しくはありません。
「そんなに勉強することがある世界なんですねぇ」
「そんなに大切なことはないと思うけどね。でも読み書き計算は子供でもできたし、そう考えると意味があったのかなあ」
デューラント王国では、町の住民の識字率はそこまで低くはありませんが、村ではかなり下がります。結局のところ、読み書きをする必要がどれだけあるかの違いです。
町では商工業が中心なので、読み書き計算ができないと仕事になりません。単なる下働きならそれほど必要ではありませんが、屋台でも始めようと思えば計算できないと自分が困ることになります。
一方で、村では農作物の栽培が中心なので、読み書きできなくても困ることは多くはありません。町へ野菜を売りに行く際に使う程度の金勘定ができればいいと思われています。
「結婚するのが嫌なわけじゃないんだけど、若いと稼ぎが少ないから、共働きじゃないと大変なことになる。子育てに金がかかりすぎるからな。稼ぎが増えてからと思っているとそれなりの年齢になるって感じだなあ」
「文化と種族の違いというのは大きいです。私は一二年間も勉強したらおかしくなります」
ラケルが真面目な顔でそんな感想を口にしました。
多くの国では、ステータスを授かる一五歳になれば成人として扱われますが、結婚に関しては年齢制限はないことがほとんどです。
デューラント王国でも、最初から相手が決まっているのならさっさと結婚してしまえというのが根底にあります。どうして結婚を遅らせるのか。早く結婚したほうが一緒にいられる期間も長く、子供も生まれやすい。結婚を遅らせる理由はない。そう考えられています。
人間や獣人はこのような考えが多いのですが、長命種は若干違っています。エルフの寿命は一〇〇〇年を超えますが、ジョブを授かるのは人間と同じく一五歳です。ただし、人間と比べると肉体面でも精神面でも成長が遅く、大人になったとみなされるのが一〇〇歳を超えたころと言われています。
次に寿命が長いのはフェアリーの五〇〇歳から七〇〇歳、それからドワーフの二〇〇歳から五〇〇歳、最後がハーフリングの一五〇歳から三〇〇歳です。幅があるのは魔力量が多ければそれだけ寿命が延びるからです。人間でも上級の魔法職の場合は一五〇歳から二〇〇歳まで生きることがあります。
シャロンはハーフリングで、人間よりも寿命が長くなっています。今年で二四歳になりましたが、寿命の長さを考えると、人間ならまだ一〇代半ばに相当します。
「つまり私はまだピチピチのプリプリということになります。寿命は長いですが、できれば若いうちに結婚していただきたいと思いますね」
「だね。レイも『天使の微笑み』のレックスさんに言ったからね。結婚して落ち着くのが一番だって」
「あのときは勢いもあったけどなあ。でも、しゃべってたのは俺じゃなくてシーヴじゃなかったか?」
「私の言葉はレイの言葉も同じです。一心同体ですから」
ステイシーとレイラを助けたレックスに、シーヴが将来のことを考えるのは大切だと説明しました。冒険者としての全盛期は二〇代までで、三〇代になれば力は落ちていきます。どこかで引退を決意しなければなりません。
「俺だって結婚が嫌なわけじゃないぞ。でも、まだ独立して一年少々ということが引っかかってるんだ」
結局、このあたりの話は堂々巡りになってしまいます。レイとしては、まず三年間は真面目に働いて結果を出す必要があると考えています。もっとも、結果を出しているからこそ今の状況になっているわけです。冒険者という職業の社会的地位を除けば、経済的にはすでに成功者になっています。
「いつごろ終わりますかぁ?」
「レイがマイの部屋を出てから四時間は過ぎましたか。今頃は二人でイチャイチャしながら樽風呂に入っているでしょうね。あと一時間くらいでしょう」
シーヴは【索敵】で二人の位置を把握しています。そこから今の状況が簡単に想像できました。
「ご主人さまは怒ったのではないのです?」
ラケルにはシーヴの説明が理解できませんでした。サラとシーヴとマイの三人が顔を引きつらせるほどなのに、どうしてイチャイチャしているのかと。ところが、元日本人たちにはレイが考えそうなことはわかります。
レイの行動には一定の原則があります。ルールはきちんと守りますが、そのルールがおかしい場合は臨機応変に行動します。その後はルールを直す方向に動きます。その根底にあるのは、相手を不快にさせないということです。
シャロンは半ばレイを騙すようにしてマイを抱かせました。マイはそれでいいかもしれませんが、レイはそうではありません。大切だからこそ守りたいのです。レイの根底にある考えをシャロンは汚してしまいました。
レイ本人も気づいていることですが、彼はかなり面倒な性格をしています。人当たりは悪くありません。基本は善良です。ところが、敵とみなせば徹底的に敵として扱います。それで作った敵もいることはいるのですが、味方のほうが圧倒的に多かったのです。
「どれだけ怒っても相手が反省すれば許しちゃうんだよね。さっきの話の続きだけどね、どうして悪かったのかと相手に反省を促す流れになって、そのうち相手が非を認めて泣いてみんなに頭を下げて最後はレイが許す。ほとんどがそんな流れ」
「ええ。怒鳴って終わりではなく、どれだけ悪いことをしたのか、なぜそれが悪いことなのかを滔々と語って相手に徹底的に理解させる感じです。相手が反省してくれればそれでよし、ということになっていました。レイを怒らせた人に言わせると、目の奥が笑っていないから心の底から恐ろしくて夢に見るそうですね」
「学校でも会社でも同じだったんだね」
「ですね。今回は反省を促すのに媚薬を使ったので少し違うみたいですけど、シャロンは心から反省して、媚薬の効果は《解毒》で消してもらい、ベッドで体の火照りを鎮めてもらって、それでレイの説教も終わって、今度はベッドで仲直りしているところでしょう」
「なるほど」
間違いを犯した相手を言葉だけで反省させて真人間にさせる。自分の主人はどれだけ立派な人なのだろうかと、ラケルの中でまたレイの評価が一段階上がりました。
◆◆◆
「メイドは失敗をして主人に叱られてこそ成長できるものです。私はさらに階段を一段上がりました。縛られた上でお尻を突き出すというあの格好! アブノーマルプレイという名の階段を昇りきったのです‼」
シャロンは部屋に入ると、まるで舞台女優にでもなったかのように両手を広げました。
「いや、ロープを外したら暴れそうだったから」
「ですが、後ろの穴にディルドを挿れる必要はなかったのでは?」
「……」
シャロンに「私が心から反省するような、これまでになかったお仕置きを!」と言われ、レイはこれまで一度もしたことがないことをしてしまいました。勢いで。
日本人時代、レイには恋人はいませんでしたが、ある意味では健全な男性でした。男性向けのアレコレなど、見るものは見ていたのです。
「レイも男だったってことだね」
「そうですね。今後はもっとこの世界の男性っぽくなるでしょう」
「どういうことだ?」
この世界の男性という意味がレイには理解できませんでした。
「もっと好きに振る舞ってもいいということです」
「そこそこ自由にやってると思うんだけど?」
「鎖や手錠でがんじがらめになった人間を自由とは言わない。レイ兄は我慢してる。我慢というか自分を抑えてる。おかしなことをしてると思われないように」
そこまで言われればレイにも理解できます。彼は自分の行動を客観的に見るようにしていました。他人が見ておかしくないようにと。それは元々の性格でもあり、貴族の息子として生まれたせいで染み付いた考えでもあります。大半はサラを反面教師にしたようなものですが。
「このままなら一番早く妊娠しそうなのってシャロンになりそうだよね。プレイの幅が広いし」
「そうですか? 精霊族は妊娠しづらいそうです。私よりもラケルのほうが早そうですが」
「私です? いつでもOKです!」
ラケルはいつものようにお腹をバンバンと叩いてアピールしますが、レイとしてはこの年で子持ちはどうなのかと思ってしまいます。それでも、いつまでも待たせるもの申し訳ないとも感じているのも事実です。
「日本とは感覚が違うから仕方ないよねえ」
「環境が全然違うからなあ」
「日本は晩婚化と少子化が酷かった」
何から何まで違います。同じなのは男と女が愛し合って子供を作ることくらいでしょうか。愛し合わなくても子供はできますが。
「レイ様、日本という国では子供を作るのが遅かったのですか?」
レイたちは積極的に日本の話をすることはありませんできた。世界が違えば考え方も違います。この世界にはこの世界の習慣があるので、日本と比べても仕方ないだろうと。
「そうだなあ……子供を作るというよりも、結婚そのものが遅かったな。俺の知っている限りじゃ、男性の初婚が三一歳、女性は二九歳だったか。もう少しで女性も三〇になりそうだと言われてたはずだ」
「私がお婆ちゃんだったころはもっと上がってた」
「あ、そうなのか?」
「男性が三六で女性が三四だったはず」
「そこまでいったのか⁉」
「人口はガッツリ減って七〇〇〇万人を切った。高齢者は病気で減って、若者はそもそも数が減ってた」
レイは驚いたが、マイが死んだのが九〇代、レイは三〇手前。七〇年近く違えば、環境はかなり変わります。
「どうしてそんなに遅くなりますの?」
この世界の知識しかないケイトたちからすると不思議なことでしょう。どこまで理解してもらえるがわかりませんが、日本人組はできるだけわかりやすく説明することにしました。
日本では六歳から一五歳まで義務教育があります。高校進学率も九五パーセントを超えるので、実際は高校の三年間も義務教育とほぼ同じです。だから、ほとんどが一八歳までの一二年間、勉強を続けることになります。
さらに、大学で高等教育を受ければ四年間追加で勉強することになります。大学卒業時で二二歳になってしまいます。そこから大学院に進んでしまうと、修士課程なら最低でも二年、博士課程ならさらに三年は勉強します。そうなると博士課程が終わったときには二七歳です。浪人や留年を挟めば、三〇歳を超えることも珍しくはありません。
「そんなに勉強することがある世界なんですねぇ」
「そんなに大切なことはないと思うけどね。でも読み書き計算は子供でもできたし、そう考えると意味があったのかなあ」
デューラント王国では、町の住民の識字率はそこまで低くはありませんが、村ではかなり下がります。結局のところ、読み書きをする必要がどれだけあるかの違いです。
町では商工業が中心なので、読み書き計算ができないと仕事になりません。単なる下働きならそれほど必要ではありませんが、屋台でも始めようと思えば計算できないと自分が困ることになります。
一方で、村では農作物の栽培が中心なので、読み書きできなくても困ることは多くはありません。町へ野菜を売りに行く際に使う程度の金勘定ができればいいと思われています。
「結婚するのが嫌なわけじゃないんだけど、若いと稼ぎが少ないから、共働きじゃないと大変なことになる。子育てに金がかかりすぎるからな。稼ぎが増えてからと思っているとそれなりの年齢になるって感じだなあ」
「文化と種族の違いというのは大きいです。私は一二年間も勉強したらおかしくなります」
ラケルが真面目な顔でそんな感想を口にしました。
多くの国では、ステータスを授かる一五歳になれば成人として扱われますが、結婚に関しては年齢制限はないことがほとんどです。
デューラント王国でも、最初から相手が決まっているのならさっさと結婚してしまえというのが根底にあります。どうして結婚を遅らせるのか。早く結婚したほうが一緒にいられる期間も長く、子供も生まれやすい。結婚を遅らせる理由はない。そう考えられています。
人間や獣人はこのような考えが多いのですが、長命種は若干違っています。エルフの寿命は一〇〇〇年を超えますが、ジョブを授かるのは人間と同じく一五歳です。ただし、人間と比べると肉体面でも精神面でも成長が遅く、大人になったとみなされるのが一〇〇歳を超えたころと言われています。
次に寿命が長いのはフェアリーの五〇〇歳から七〇〇歳、それからドワーフの二〇〇歳から五〇〇歳、最後がハーフリングの一五〇歳から三〇〇歳です。幅があるのは魔力量が多ければそれだけ寿命が延びるからです。人間でも上級の魔法職の場合は一五〇歳から二〇〇歳まで生きることがあります。
シャロンはハーフリングで、人間よりも寿命が長くなっています。今年で二四歳になりましたが、寿命の長さを考えると、人間ならまだ一〇代半ばに相当します。
「つまり私はまだピチピチのプリプリということになります。寿命は長いですが、できれば若いうちに結婚していただきたいと思いますね」
「だね。レイも『天使の微笑み』のレックスさんに言ったからね。結婚して落ち着くのが一番だって」
「あのときは勢いもあったけどなあ。でも、しゃべってたのは俺じゃなくてシーヴじゃなかったか?」
「私の言葉はレイの言葉も同じです。一心同体ですから」
ステイシーとレイラを助けたレックスに、シーヴが将来のことを考えるのは大切だと説明しました。冒険者としての全盛期は二〇代までで、三〇代になれば力は落ちていきます。どこかで引退を決意しなければなりません。
「俺だって結婚が嫌なわけじゃないぞ。でも、まだ独立して一年少々ということが引っかかってるんだ」
結局、このあたりの話は堂々巡りになってしまいます。レイとしては、まず三年間は真面目に働いて結果を出す必要があると考えています。もっとも、結果を出しているからこそ今の状況になっているわけです。冒険者という職業の社会的地位を除けば、経済的にはすでに成功者になっています。
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