32 / 190
第2章:冬、活動開始と旅立ち
第16話:おでんたいやき
しおりを挟む
翌朝、レイとサラが酒場に入ると、すでにシーヴが席についていました。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「おはよ。私は大丈夫。レイは?」
「目を閉じたと思ったらもう朝だった。疲れてたんだろうなあ。おはよう」
樽風呂から出たあと、サラはそのままベッドに寝転がり、シーヴは自分の部屋に戻りました。レイは二つの樽を片付けてから自分用の樽を出し、ゆっくりと入って体を温めました。
しばらくお湯の温もりを満喫し、樽風呂から出てベッドを見たときには、サラはもう寝ていました。レイも十分疲れていたので、樽を片付けるとサラに毛布をかけ、自分も毛布にくるまって、泥のように眠ったのです。
「ビックリするくらいお腹が空いてるんだけど」
「気疲れもあったんでしょう」
「かもしれない」
「しっかりと食べておいたほうがいいよな」
「だね」
そう口にしたレイとサラの前には、いかにもガッツリという感じのキャタピラー炒めが置かれました。昨日の夜もそれなりにしっかり食べたはずですが、それでも消費カロリーが摂取カロリーを上回ったのでしょう。山盛りの肉野菜炒めはあっという間に胃袋の中に収まっていきます。
「それにしてもよく食べますね。昨日も思いましたけど」
「そうだなあ。最近は多くなったよな」
「いくらでも入るよね」
二人の食欲を見ながら、シーヴは首を傾げました。
「普通はステータスが上がると栄養の吸収効率が上がると言われます。食事量は変わらないはずですけどね」
「私たちは食欲が増したよね?」
「そうだなあ。去年と比べると五割くらい量が増えた気がする」
それは屋敷にいる間にも感じたことでした。わざわざ食事量を増やしてもらうのは申し訳ないので、部屋に戻ってから買っておいた肉串などを食べていました。
「効率がよくなったのにお腹が空くということは……ステータスが上がりすぎたのかもしれませんね」
「あ、そうか。いきなり上級ジョブになったからか」
「レベルも上がったからかも」
「しばらくすると落ち着くと思いますよ」
ステータスが上がるとエネルギー消費量が増えます。何十キロもあるプレートアーマーを着て巨大な剣を振り回す戦士の消費カロリーが三〇〇〇キロカロリー程度のはずがありません。
ところが、消化と吸収の効率も上がるので、食物から無駄なくエネルギーが取り込めるようになります。結果として、食べる量はそれほど変わりません。普通なら。
レイとサラの場合は、いきなり上級ジョブになった上にレベルアップしたせいもあって、エネルギー消費量が急激に増えてしまいました。いずれは落ち着くでしょうが、しばらくは食事量が多くなるはずだとシーヴは説明します。
「大食いキャラってのは嫌だなあ」
「そのうち落ち着くらしいから、しばらく我慢だな」
一五〇センチあるかないかないのに大柄な男性以上に食べるのは、年頃の少女としては微妙な気分でしょう。サラにもそれくらいの恥じらいはあるんですよ。
ただ、悪いことばかりではありません。エネルギー消費量が増えるので、そう簡単に太らなくなります。むしろ、食べないと体重が維持できなくなります。だからダイエットにはいいんでしょうね。
◆◆◆
朝食を済ませると三人は宿屋を出てまた南に向かいます。
「あまり人がいないな」
ライルにつながる街道には人影はそれほどありません。前方に馬車が一台、そのさらに先、見えるか見えないか、ぎりぎりのところにもう一台の馬車が見えるだけです。
「領地の端のほうに向かうわけですからね」
旅に出るというのは故郷を離れること。だから旅人はそれほど多くはありません。領民の過半数を占める農民は、旅に出る必要はないからです。
農民が移動の自由を制限されているということはありません。ただし、農地を捨てて別の場所に行ったとして、そこで何ができるのかということです。
手に職がない限り、どこへ行っても畑を耕すしかありません。そう考えると、居住地を変える意味はほとんどないのが実情なのです。悪辣な領主から逃げたいとでも思わない限りは。
町から町へ移動する必要があるのは、まずは貴族でしょう。他の貴族の領地へ行くこともありますが、自領の領民たちに顔を見せるというのも大切な仕事だからです。屋敷でゴロゴロしていてできる仕事ではありません。
次に巡察使でしょう。地方に問題が起きていないかなどをチェックする国の役人です。抜き打ちで監査・監督し、必要があれば指導さえ行う権限を持っています。この巡察使は国王の代理であり、指示に従わなければ叛意ありとみなされることもあります。
他には遍歴商人がいます。彼らの生涯は旅の繰り返しです。町で暮らす定住商人は手に入る商品だけで商売をする場合が多く、よほどの大店でないのなら、その町の中だけで商売は完結します。
それ以外には吟遊詩人や大道芸人などの旅芸人がいるでしょう。町から町へと旅をし、街角で芸をするだけではなく、場合によっては領主の屋敷に呼ばれることもあります。
そして最後が冒険者です。自分で町を出ることもあれば、護衛などの仕事で移動することもあります。
「それなら冒険者って変わり者なんだな」
「そうですね。畑仕事さえしていれば飢えることはありません。それなのにわざわざ不便な生活をしようというのが冒険者です」
ギルモア男爵領の人口は三〇万人ほどですが、一時的な移動は別として、生まれた町や村を離れて暮らす人は多くはありません。離れる必要がほとんどないからです。
領民の多くを占める村の住人の場合、三男四男となると耕す畑がないので近くの町に出ます。だから農地が広がらなければ村は人口が増えません。畑を分けてもらえない人たちが集まって故郷の近くに新しい村を作ることもありますが、開拓というのは一年や二年では終わりません。
畑がなければ仕事を探しに町に出かけます。町でも仕事がなければもっと大きな町に行くしかありません。そうして最終的に集まるのが、さらに大きな都市やダンジョン都市、あるいは王都ということになります。
それでも全員が仕事を得られるわけではないのです。大都市になるほどスラムは大きくなり、町の城壁の外には町の中で暮らせない人たちが住む掘っ立て小屋が並ぶこともあります。
「マリオンの周辺にも新しい村を作っていましたね」
「そうでもしないと人が増えないからなあ」
モーガンは領地の人口を増やそうと開拓を進めていて、冒険者ギルドにもそのような作業の依頼を出しています。
レイたちは期間の関係で受けませんでしたが、場合によっては新しく開拓した村で家と畑を与えられて住人になることもできます。とりあえず成人したから冒険者になったものの、なかなか食べていくのが難しいとなれば、このように開拓民になるというのも一つの考えです。
この件に関して、昔からレイはモーガンにアドバイスをしていました。村を離れる人を減らさなければ人口は増えないと。農家の三男四男が定住できる場所を作るべきだと。ようやくそれが実を結んだ形になっています。
新しい村は土地を集約し、集団で管理する形になっています。世帯数のわりに収穫量が多くなっていると聞き、レイは安心しました。
◆◆◆
三人がそろそろ休憩を終わろうかと思ったとき、シーヴの耳が動きました。目もそちらに動きます。
「向こうから魔物が来ます。音からすると、おそらくブッシュマウスです」
その報告を受けたレイとサラは武器を手に取りました。
「あの木の右側からです」
レイがその方向を見ると、向こうから巨大な茶色い物体がいくつも走ってくるのが見えました。マウスという名前でも、実際にはカピバラのようなサイズです。レイたちも名前は聞いていましたが、マリオンのあたりでは見かけない魔物です。
「匂いに引き寄せられたんでしょうね」
「鼻が利くのか?」
「はい。何でも食べるそうですが、人の食事を好みます。たまに人里を襲うこともあります」
「クマやイノシシみたいだな」
森で手に入るエサよりも美味しいものがあると知ってしまえば森から出てきます。それは動物でも魔物でも同じです。
「レイ、狩るよ」
「はいはい」
サラは飛び出していきました。レイはやれやれとそのあとを追おうとします。
「レイ、ブッシュマウスは歯を飛ばしますので気をつけてください! 下の歯です!」
「了解」
シーヴは馬たちが襲われないように、その場に留まって耳を澄ませます。
二〇匹ほどのブッシュマウスたちはサラの五メートルほど前まで来ると、威嚇するように後脚だけで立ち上がりました。
「「キ「キキーーーッ!」ーッ!」キッ!」
「威嚇されたっ⁉」
「冗談言ってないでやるぞ。強くはないらしい」
「はいはい。それならサクッと——⁉」
キンッキンッキンッ!
サラが刀を振ります。すると何かが刃に当たって地面に落ちました。
「おおっ、歯が飛んできた」
「シーヴが言ってただろ。一度飛ばすとまた生えるまでに時間がかかるらしい。今のうちに仕留めるぞ」
ブッシュマウスは体の大きさに対して脚が短いので、飛んでくる歯に注意すれば倒すのは難しくありません。すべてがマジックバッグに入るまでに五分もかかりませんでした。
「強くはないけど、あの歯はビックリしたね。飛んでくるのが上じゃなくて下の歯っていうのが」
「ちゃんと話を聞かないからだ。油断大敵だぞ」
ブッシュマウスは敵が近づくと後脚で立ち上がり、大きく口を開けて威嚇します。その際に凶悪な上の前歯を見せつけますが、それに気を取られると、次の瞬間に下の前歯が飛び道具のように首を目がけて飛んできます。
「わかってれば避けられるだろ」
「わかってればね。知らないとドキッとするけど」
サラは飛んできたブッシュマウスの歯をすべて刀で叩き落としました。
「解体は……後日にするか」
「オグデンに着いてからかな? 途中で味見くらいしてもいいけど」
「そうだな。野営のときにちょっと食べてみるか」
二人だけなら休憩時間に解体してもいいのでしょうが、今はシーヴを護衛しているという形です。町から町への移動は馬車で朝に出れば夕方には着くようになっていますが、モタモタしていると夜になってしまいます。できれば早いうちに次のライルに到着して宿屋に入りたいと思うのが当然でしょう。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「おはよ。私は大丈夫。レイは?」
「目を閉じたと思ったらもう朝だった。疲れてたんだろうなあ。おはよう」
樽風呂から出たあと、サラはそのままベッドに寝転がり、シーヴは自分の部屋に戻りました。レイは二つの樽を片付けてから自分用の樽を出し、ゆっくりと入って体を温めました。
しばらくお湯の温もりを満喫し、樽風呂から出てベッドを見たときには、サラはもう寝ていました。レイも十分疲れていたので、樽を片付けるとサラに毛布をかけ、自分も毛布にくるまって、泥のように眠ったのです。
「ビックリするくらいお腹が空いてるんだけど」
「気疲れもあったんでしょう」
「かもしれない」
「しっかりと食べておいたほうがいいよな」
「だね」
そう口にしたレイとサラの前には、いかにもガッツリという感じのキャタピラー炒めが置かれました。昨日の夜もそれなりにしっかり食べたはずですが、それでも消費カロリーが摂取カロリーを上回ったのでしょう。山盛りの肉野菜炒めはあっという間に胃袋の中に収まっていきます。
「それにしてもよく食べますね。昨日も思いましたけど」
「そうだなあ。最近は多くなったよな」
「いくらでも入るよね」
二人の食欲を見ながら、シーヴは首を傾げました。
「普通はステータスが上がると栄養の吸収効率が上がると言われます。食事量は変わらないはずですけどね」
「私たちは食欲が増したよね?」
「そうだなあ。去年と比べると五割くらい量が増えた気がする」
それは屋敷にいる間にも感じたことでした。わざわざ食事量を増やしてもらうのは申し訳ないので、部屋に戻ってから買っておいた肉串などを食べていました。
「効率がよくなったのにお腹が空くということは……ステータスが上がりすぎたのかもしれませんね」
「あ、そうか。いきなり上級ジョブになったからか」
「レベルも上がったからかも」
「しばらくすると落ち着くと思いますよ」
ステータスが上がるとエネルギー消費量が増えます。何十キロもあるプレートアーマーを着て巨大な剣を振り回す戦士の消費カロリーが三〇〇〇キロカロリー程度のはずがありません。
ところが、消化と吸収の効率も上がるので、食物から無駄なくエネルギーが取り込めるようになります。結果として、食べる量はそれほど変わりません。普通なら。
レイとサラの場合は、いきなり上級ジョブになった上にレベルアップしたせいもあって、エネルギー消費量が急激に増えてしまいました。いずれは落ち着くでしょうが、しばらくは食事量が多くなるはずだとシーヴは説明します。
「大食いキャラってのは嫌だなあ」
「そのうち落ち着くらしいから、しばらく我慢だな」
一五〇センチあるかないかないのに大柄な男性以上に食べるのは、年頃の少女としては微妙な気分でしょう。サラにもそれくらいの恥じらいはあるんですよ。
ただ、悪いことばかりではありません。エネルギー消費量が増えるので、そう簡単に太らなくなります。むしろ、食べないと体重が維持できなくなります。だからダイエットにはいいんでしょうね。
◆◆◆
朝食を済ませると三人は宿屋を出てまた南に向かいます。
「あまり人がいないな」
ライルにつながる街道には人影はそれほどありません。前方に馬車が一台、そのさらに先、見えるか見えないか、ぎりぎりのところにもう一台の馬車が見えるだけです。
「領地の端のほうに向かうわけですからね」
旅に出るというのは故郷を離れること。だから旅人はそれほど多くはありません。領民の過半数を占める農民は、旅に出る必要はないからです。
農民が移動の自由を制限されているということはありません。ただし、農地を捨てて別の場所に行ったとして、そこで何ができるのかということです。
手に職がない限り、どこへ行っても畑を耕すしかありません。そう考えると、居住地を変える意味はほとんどないのが実情なのです。悪辣な領主から逃げたいとでも思わない限りは。
町から町へ移動する必要があるのは、まずは貴族でしょう。他の貴族の領地へ行くこともありますが、自領の領民たちに顔を見せるというのも大切な仕事だからです。屋敷でゴロゴロしていてできる仕事ではありません。
次に巡察使でしょう。地方に問題が起きていないかなどをチェックする国の役人です。抜き打ちで監査・監督し、必要があれば指導さえ行う権限を持っています。この巡察使は国王の代理であり、指示に従わなければ叛意ありとみなされることもあります。
他には遍歴商人がいます。彼らの生涯は旅の繰り返しです。町で暮らす定住商人は手に入る商品だけで商売をする場合が多く、よほどの大店でないのなら、その町の中だけで商売は完結します。
それ以外には吟遊詩人や大道芸人などの旅芸人がいるでしょう。町から町へと旅をし、街角で芸をするだけではなく、場合によっては領主の屋敷に呼ばれることもあります。
そして最後が冒険者です。自分で町を出ることもあれば、護衛などの仕事で移動することもあります。
「それなら冒険者って変わり者なんだな」
「そうですね。畑仕事さえしていれば飢えることはありません。それなのにわざわざ不便な生活をしようというのが冒険者です」
ギルモア男爵領の人口は三〇万人ほどですが、一時的な移動は別として、生まれた町や村を離れて暮らす人は多くはありません。離れる必要がほとんどないからです。
領民の多くを占める村の住人の場合、三男四男となると耕す畑がないので近くの町に出ます。だから農地が広がらなければ村は人口が増えません。畑を分けてもらえない人たちが集まって故郷の近くに新しい村を作ることもありますが、開拓というのは一年や二年では終わりません。
畑がなければ仕事を探しに町に出かけます。町でも仕事がなければもっと大きな町に行くしかありません。そうして最終的に集まるのが、さらに大きな都市やダンジョン都市、あるいは王都ということになります。
それでも全員が仕事を得られるわけではないのです。大都市になるほどスラムは大きくなり、町の城壁の外には町の中で暮らせない人たちが住む掘っ立て小屋が並ぶこともあります。
「マリオンの周辺にも新しい村を作っていましたね」
「そうでもしないと人が増えないからなあ」
モーガンは領地の人口を増やそうと開拓を進めていて、冒険者ギルドにもそのような作業の依頼を出しています。
レイたちは期間の関係で受けませんでしたが、場合によっては新しく開拓した村で家と畑を与えられて住人になることもできます。とりあえず成人したから冒険者になったものの、なかなか食べていくのが難しいとなれば、このように開拓民になるというのも一つの考えです。
この件に関して、昔からレイはモーガンにアドバイスをしていました。村を離れる人を減らさなければ人口は増えないと。農家の三男四男が定住できる場所を作るべきだと。ようやくそれが実を結んだ形になっています。
新しい村は土地を集約し、集団で管理する形になっています。世帯数のわりに収穫量が多くなっていると聞き、レイは安心しました。
◆◆◆
三人がそろそろ休憩を終わろうかと思ったとき、シーヴの耳が動きました。目もそちらに動きます。
「向こうから魔物が来ます。音からすると、おそらくブッシュマウスです」
その報告を受けたレイとサラは武器を手に取りました。
「あの木の右側からです」
レイがその方向を見ると、向こうから巨大な茶色い物体がいくつも走ってくるのが見えました。マウスという名前でも、実際にはカピバラのようなサイズです。レイたちも名前は聞いていましたが、マリオンのあたりでは見かけない魔物です。
「匂いに引き寄せられたんでしょうね」
「鼻が利くのか?」
「はい。何でも食べるそうですが、人の食事を好みます。たまに人里を襲うこともあります」
「クマやイノシシみたいだな」
森で手に入るエサよりも美味しいものがあると知ってしまえば森から出てきます。それは動物でも魔物でも同じです。
「レイ、狩るよ」
「はいはい」
サラは飛び出していきました。レイはやれやれとそのあとを追おうとします。
「レイ、ブッシュマウスは歯を飛ばしますので気をつけてください! 下の歯です!」
「了解」
シーヴは馬たちが襲われないように、その場に留まって耳を澄ませます。
二〇匹ほどのブッシュマウスたちはサラの五メートルほど前まで来ると、威嚇するように後脚だけで立ち上がりました。
「「キ「キキーーーッ!」ーッ!」キッ!」
「威嚇されたっ⁉」
「冗談言ってないでやるぞ。強くはないらしい」
「はいはい。それならサクッと——⁉」
キンッキンッキンッ!
サラが刀を振ります。すると何かが刃に当たって地面に落ちました。
「おおっ、歯が飛んできた」
「シーヴが言ってただろ。一度飛ばすとまた生えるまでに時間がかかるらしい。今のうちに仕留めるぞ」
ブッシュマウスは体の大きさに対して脚が短いので、飛んでくる歯に注意すれば倒すのは難しくありません。すべてがマジックバッグに入るまでに五分もかかりませんでした。
「強くはないけど、あの歯はビックリしたね。飛んでくるのが上じゃなくて下の歯っていうのが」
「ちゃんと話を聞かないからだ。油断大敵だぞ」
ブッシュマウスは敵が近づくと後脚で立ち上がり、大きく口を開けて威嚇します。その際に凶悪な上の前歯を見せつけますが、それに気を取られると、次の瞬間に下の前歯が飛び道具のように首を目がけて飛んできます。
「わかってれば避けられるだろ」
「わかってればね。知らないとドキッとするけど」
サラは飛んできたブッシュマウスの歯をすべて刀で叩き落としました。
「解体は……後日にするか」
「オグデンに着いてからかな? 途中で味見くらいしてもいいけど」
「そうだな。野営のときにちょっと食べてみるか」
二人だけなら休憩時間に解体してもいいのでしょうが、今はシーヴを護衛しているという形です。町から町への移動は馬車で朝に出れば夕方には着くようになっていますが、モタモタしていると夜になってしまいます。できれば早いうちに次のライルに到着して宿屋に入りたいと思うのが当然でしょう。
109
お気に入りに追加
542
あなたにおすすめの小説

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

伯爵家の三男は冒険者を目指す!
おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました!
佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。
彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった...
(...伶奈、ごめん...)
異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。
初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。
誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。
1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる