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第5章:初夏、新たなる出会い
第11話:専用装備
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「ダンジョンはどうだった? 俺たちだってまだ二回目だけど」
白鷺亭に戻ると、レイはケイトとシャロンに感想を聞いてみました。レイ個人としては、ダンジョンもたまにはいいと思いましたが、毎日ダンジョンというのも気が滅入りそうだと感じているからです。ましてや、ダンジョン内で宿泊しようなどとは思いません。転移部屋を使えばすぐに戻れますからね。
「気分的には外のほうがいいですわ。それでも、もう数回くらいは経験してもいいとは思いますの」
ダンジョンではどうしても他のパーティーとすれ違うことがあります。周りを見ても、石でできた壁と床と天井しか見えません。ケイトの耳には冒険者と魔物の足音の違いが判別できません。
何かが、あるいは誰かが近づいてくればラケルかシーヴが教えてくれますが、どうしても落ち着かないようです。幼いころから護身のために様々な訓練を受けてきましたが、基本的にはお嬢様なのです。ナンパされると超サ〇ヤ人になりますが。
「私はあまりお役に立てませんので、ご一緒していいものかどうか」
シャロンは屋外なら他のメンバーが戦っている間にガーデンパーティー風の昼食の準備をすることができますが、それをダンジョンの安全地帯ですれば悪目立ちします。それに、戦闘にも向いていません。それでも彼女がいることによって場の雰囲気が明るくなるのは大きいでしょう。
「それなら……ダンジョンは明日もう一日くらい潜って、それからはたまに潜るくらいにするか。基本的には町の外で魔物を狩るのでいいか?」
「それでいいんじゃない? 宝箱を見つけたいとかじゃなければ」
「そうだな……って、あの中身を確認するのを忘れてた。シーヴ、頼む」
「はい」
シーヴはボスが落とした宝箱を取り出しました。罠がないのは確認済みなので、そのまま開けます。
「こちらの中身は……魔法のメイド箒、魔法のメイド服、魔法のメイド下着セット、魔石コンロ。コンロ以外はメイド系の専用装備ですね」
「それなら全部シャロンだな」
「よろしいのですか?」
「誰も使えないからな」
そう言われてシャロンは箒とメイド服と下着を受け取りました。
特定のジョブ限定となっている装備は、もちろんそのジョブでなくても身に着けることはできます。ゲームのように「装備できません」とはなりません。そこは現実的なんです。
サラが装備したとすると、魔法のメイド箒は単なる箒で、魔法のメイド服は単なるメイド服、魔法のメイド下着セットは単なる下着にしかなりません。ところが、これらをシャロンが装備すると真の力を発揮します。魔法のメイド箒はわずかなホコリですらきちんと集めることができ、さらには魔物すら掃除することができるようになります。メイドが持つと、なぜか箒が鈍器に変わります。そこは超現実的です。
シャロンはメイド服に着替えました。最初は少し大きいように思えましたが、シャロンが着た瞬間にすすすと縮みました。
「旦那様、いかがですか?」
「いいな」
そこには小柄なヴィクトリアンメイドがいました。レイはメイド好きというほどでもありませんが、この魔法のメイド服はシャロンによく似合っています。箒もピッタリですね。箒なら割烹着のほうが似合うかもしれませんが、これは単なる竹箒ではありません。
「さすがは専用装備です。メイド服にはかなり高い耐性がいろいろと付いているようです。下着には防汚・防臭・消臭効果もありますので、どこにいてもお務めを果たせます。さっそく……なさいますか?」
シャロンがスカートの裾をつまんで持ち上げながら、にこりと微笑みました。
「まるで俺が我慢できない人間のような言い方はやめてくれ」
「我慢なさっているところを見たことがないのですが」
「してるぞ、普段から」
「旦那様は街中ですれ違った女性に欲情して我慢していらっしゃると」
「違うぞ。ここの五人に対してだけだ」
危うく年中発情中認定されるところでした。
「魔石コンロは買わなかったけど、こんなところで手に入ったか」
「そんな話もしてたよね」
「忘れかけてたな」
クラストンに来て最初のころ、時間が進んでしまうマジックバッグの中で料理を作るのに、魔石コンロを買うか、鉄板の上に石でかまどを作って乗せようかという話をしていました。結局は何もしていませんね。
「もう一つは……投げナイフ+3、魔法のタイツ、魔法のメイド靴下ですね」
「+3って、他のと名前の付け方の方向性が違うよな」
「無骨って感じがするね」
TRPGでよくありますね。ちなみに、普通の投げナイフは1D6で、投げナイフ+3は1D6+3です。ダメージはあってないようなものですが、目を狙って成功すれば足止めできます。
「タイツと靴下もシャロン向けか?」
「タイツは魔法職なら誰でも防御力が上がるものですね。白魔法か黒魔法が使えるのが条件のようです。靴下はメイド用ですね」
「靴下はシャロンに、それからタイツは……ケイトか」
ケイトはグレーターパンダ狩りのときでも ダンジョンに潜るときでもドレス姿です。さすがに素足ではなく、タイツの上からブーツを履いて、その上にグリーブを着けています。手には革の手袋をはめています。でも、それだけです。
最初のころにレイは、どうして鎧を着けないのかとケイトに尋ねました。すると一言、「可愛くないからですわ」と返ってきました。
怪我をしたら元も子もないとレイは思いますが、彼女はわりと動きが素早く、これまで魔物に遅れをとったことはありません。それでも、いつ攻撃が当たるとも限りません。この際にできれば防御力を上げてもらいたいとレイは思っています。
「よろしいのですか?」
「ケイトは前衛なのに鎧を着てないから、これくらいあってもいいだろう」
「レイはケイトの脚線美が大切なんだよね」
「磨きをかけますわ!」
タイツですからね。守ってくれるのは腰から下だけです。ゲームとは違って、全体が丈夫になるわけではありません。防具のある部分だけが保護されるんです。
「投げナイフはシーヴ用だな」
「では私がいただきます」
この投げナイフはホルスターとセットになっていて、投げたナイフが何かに当たると、次の瞬間にはホルスターに引き戻されます。ただし一本しかありませんので、連投は無理ですね。
「探すのが地味に面倒なんですよ」
シーヴは魔物の目などを狙ってナイフを投げます。動きを止めた魔物を倒すのがレイやサラなら問題ありませんが、ケイトが攻撃するとナイフごと頭が飛んでいくので見つからないことも多いのです。ラケルのウォーハンマーで頭が潰れると、ナイフも一緒に砕けることがあります。だから完全に消耗品なんですね。買えば済む話なので、シーヴは文句は言いませんが。
「宝箱は二つともマジックバッグと同じ機能があります」
宝箱は中身を取り出すと消えるものがほとんどです。消えないものは宝箱そのものが戦利品になっています。
ごく普通の宝箱、つまり中身を出すと消える宝箱は、マジックバッグや収納スキルには入れられません。逆に、マジックバッグに入ればこのタイプの宝箱ということになります。ただし、うかつに触ると罠が作動することがありますので、その場で開けるにせよ収納するにせよ、シーヴに任せるのが一番でしょう。
宝箱を鑑定して開けるのはケイトにもできますが、「わたくしの勘が大丈夫だと言っていますわ」と言って何も考えずに開けそうに思えるので、レイは許可を出していません。
「持ち主は特定の場所に設置できるようですね。持ち主以外は場所を動かせません。開閉の許可を得た人は中身を取り出すことができます。許可のない人は何をしても開けることができないようになっています」
シーヴが宝箱の説明をしています。
「やっぱり設置型のマジックバッグってことでいいのか?」
「はい。マジックバッグと同じく人は収納できません。でも箱なので入ること自体は可能ですね。その場合は人の時間は止まりません。単なる箱です。それと、この宝箱をマジックバッグに入れることは可能です。人が入ったままでは無理のようですけどね」
「でもマジックバッグに入れておく意味はないよな?」
「マジックバッグの容量を節約できますよ」
「中身の確認だけが問題だな」
マジックバッグを入れ子にするようなものです。この宝箱の容量は確認していませんが、実際のサイズよりも大きいのは間違いありません。それならマジックバッグに宝箱をぎゅうぎゅうに詰めれば、マジックバッグの容量が何十倍にも増えることになります。
実際に宝箱をマジックバッグに入れてみると、宝箱があることしかわかりません。マジックバッグの中で宝箱を開けることはできません。中身の確認に手間がかかりますので、パッと出してパッと使うことは難しくなるでしょう。これで中身がわかるならもう少し使い勝手もよくなるでしょうが。
「部屋に金庫として置いておくのはどうです?」
「それもありだな。樽風呂は置いていけばいいからな」
これまでレイのマジックバッグがいっぱいになったことはありません。ギリギリになったことはありますが、それは意図して魔物を狩っていたときの話です。普段なら七割程度までしか入れないようにしています。
「専用装備かあ……」
サラが日本刀を見ながらつぶやきました。
「やっぱり欲しいのか?」
「そういうわけじゃないけど、魔物が大きいのばかりだから、使うのがグレイブばっかりでさあ」
「半分包丁の代わりだからな」
「よく切れるけどね」
サラは苦笑します。彼女の日本刀は刃渡り八〇センチを超える太刀で、日本刀としては長いほうです。それでもバスタードソードに比べれば短く、大型の魔物相手には使えません。砥石を使って手入れしていますので、切れ味は鋭いですが、今では解体のときにしか使われていないのをサラは残念に思っているのです。
「それじゃ明日もダンジョンって言ったけど、それは明後日にして、明日は店を回ってみるか?」
「いいの?」
「たまには武器屋巡りもいいかもしれないな」
「物騒なウィンドウショッピングだね」
「レイ様とお買い物ですわ」
女性陣だけで買い物に行くことがありますが、そのときレイは薬剤師ギルドに行くことがほとんどです。女性の買い物は長いからといって、そこから逃げているわけではありませんよ。
「そうだ、ケイト。可愛い装備品があったら着けてもらうからな」
「可愛ければ問題ありませんわ」
なかなか難しそうな条件ですね。
白鷺亭に戻ると、レイはケイトとシャロンに感想を聞いてみました。レイ個人としては、ダンジョンもたまにはいいと思いましたが、毎日ダンジョンというのも気が滅入りそうだと感じているからです。ましてや、ダンジョン内で宿泊しようなどとは思いません。転移部屋を使えばすぐに戻れますからね。
「気分的には外のほうがいいですわ。それでも、もう数回くらいは経験してもいいとは思いますの」
ダンジョンではどうしても他のパーティーとすれ違うことがあります。周りを見ても、石でできた壁と床と天井しか見えません。ケイトの耳には冒険者と魔物の足音の違いが判別できません。
何かが、あるいは誰かが近づいてくればラケルかシーヴが教えてくれますが、どうしても落ち着かないようです。幼いころから護身のために様々な訓練を受けてきましたが、基本的にはお嬢様なのです。ナンパされると超サ〇ヤ人になりますが。
「私はあまりお役に立てませんので、ご一緒していいものかどうか」
シャロンは屋外なら他のメンバーが戦っている間にガーデンパーティー風の昼食の準備をすることができますが、それをダンジョンの安全地帯ですれば悪目立ちします。それに、戦闘にも向いていません。それでも彼女がいることによって場の雰囲気が明るくなるのは大きいでしょう。
「それなら……ダンジョンは明日もう一日くらい潜って、それからはたまに潜るくらいにするか。基本的には町の外で魔物を狩るのでいいか?」
「それでいいんじゃない? 宝箱を見つけたいとかじゃなければ」
「そうだな……って、あの中身を確認するのを忘れてた。シーヴ、頼む」
「はい」
シーヴはボスが落とした宝箱を取り出しました。罠がないのは確認済みなので、そのまま開けます。
「こちらの中身は……魔法のメイド箒、魔法のメイド服、魔法のメイド下着セット、魔石コンロ。コンロ以外はメイド系の専用装備ですね」
「それなら全部シャロンだな」
「よろしいのですか?」
「誰も使えないからな」
そう言われてシャロンは箒とメイド服と下着を受け取りました。
特定のジョブ限定となっている装備は、もちろんそのジョブでなくても身に着けることはできます。ゲームのように「装備できません」とはなりません。そこは現実的なんです。
サラが装備したとすると、魔法のメイド箒は単なる箒で、魔法のメイド服は単なるメイド服、魔法のメイド下着セットは単なる下着にしかなりません。ところが、これらをシャロンが装備すると真の力を発揮します。魔法のメイド箒はわずかなホコリですらきちんと集めることができ、さらには魔物すら掃除することができるようになります。メイドが持つと、なぜか箒が鈍器に変わります。そこは超現実的です。
シャロンはメイド服に着替えました。最初は少し大きいように思えましたが、シャロンが着た瞬間にすすすと縮みました。
「旦那様、いかがですか?」
「いいな」
そこには小柄なヴィクトリアンメイドがいました。レイはメイド好きというほどでもありませんが、この魔法のメイド服はシャロンによく似合っています。箒もピッタリですね。箒なら割烹着のほうが似合うかもしれませんが、これは単なる竹箒ではありません。
「さすがは専用装備です。メイド服にはかなり高い耐性がいろいろと付いているようです。下着には防汚・防臭・消臭効果もありますので、どこにいてもお務めを果たせます。さっそく……なさいますか?」
シャロンがスカートの裾をつまんで持ち上げながら、にこりと微笑みました。
「まるで俺が我慢できない人間のような言い方はやめてくれ」
「我慢なさっているところを見たことがないのですが」
「してるぞ、普段から」
「旦那様は街中ですれ違った女性に欲情して我慢していらっしゃると」
「違うぞ。ここの五人に対してだけだ」
危うく年中発情中認定されるところでした。
「魔石コンロは買わなかったけど、こんなところで手に入ったか」
「そんな話もしてたよね」
「忘れかけてたな」
クラストンに来て最初のころ、時間が進んでしまうマジックバッグの中で料理を作るのに、魔石コンロを買うか、鉄板の上に石でかまどを作って乗せようかという話をしていました。結局は何もしていませんね。
「もう一つは……投げナイフ+3、魔法のタイツ、魔法のメイド靴下ですね」
「+3って、他のと名前の付け方の方向性が違うよな」
「無骨って感じがするね」
TRPGでよくありますね。ちなみに、普通の投げナイフは1D6で、投げナイフ+3は1D6+3です。ダメージはあってないようなものですが、目を狙って成功すれば足止めできます。
「タイツと靴下もシャロン向けか?」
「タイツは魔法職なら誰でも防御力が上がるものですね。白魔法か黒魔法が使えるのが条件のようです。靴下はメイド用ですね」
「靴下はシャロンに、それからタイツは……ケイトか」
ケイトはグレーターパンダ狩りのときでも ダンジョンに潜るときでもドレス姿です。さすがに素足ではなく、タイツの上からブーツを履いて、その上にグリーブを着けています。手には革の手袋をはめています。でも、それだけです。
最初のころにレイは、どうして鎧を着けないのかとケイトに尋ねました。すると一言、「可愛くないからですわ」と返ってきました。
怪我をしたら元も子もないとレイは思いますが、彼女はわりと動きが素早く、これまで魔物に遅れをとったことはありません。それでも、いつ攻撃が当たるとも限りません。この際にできれば防御力を上げてもらいたいとレイは思っています。
「よろしいのですか?」
「ケイトは前衛なのに鎧を着てないから、これくらいあってもいいだろう」
「レイはケイトの脚線美が大切なんだよね」
「磨きをかけますわ!」
タイツですからね。守ってくれるのは腰から下だけです。ゲームとは違って、全体が丈夫になるわけではありません。防具のある部分だけが保護されるんです。
「投げナイフはシーヴ用だな」
「では私がいただきます」
この投げナイフはホルスターとセットになっていて、投げたナイフが何かに当たると、次の瞬間にはホルスターに引き戻されます。ただし一本しかありませんので、連投は無理ですね。
「探すのが地味に面倒なんですよ」
シーヴは魔物の目などを狙ってナイフを投げます。動きを止めた魔物を倒すのがレイやサラなら問題ありませんが、ケイトが攻撃するとナイフごと頭が飛んでいくので見つからないことも多いのです。ラケルのウォーハンマーで頭が潰れると、ナイフも一緒に砕けることがあります。だから完全に消耗品なんですね。買えば済む話なので、シーヴは文句は言いませんが。
「宝箱は二つともマジックバッグと同じ機能があります」
宝箱は中身を取り出すと消えるものがほとんどです。消えないものは宝箱そのものが戦利品になっています。
ごく普通の宝箱、つまり中身を出すと消える宝箱は、マジックバッグや収納スキルには入れられません。逆に、マジックバッグに入ればこのタイプの宝箱ということになります。ただし、うかつに触ると罠が作動することがありますので、その場で開けるにせよ収納するにせよ、シーヴに任せるのが一番でしょう。
宝箱を鑑定して開けるのはケイトにもできますが、「わたくしの勘が大丈夫だと言っていますわ」と言って何も考えずに開けそうに思えるので、レイは許可を出していません。
「持ち主は特定の場所に設置できるようですね。持ち主以外は場所を動かせません。開閉の許可を得た人は中身を取り出すことができます。許可のない人は何をしても開けることができないようになっています」
シーヴが宝箱の説明をしています。
「やっぱり設置型のマジックバッグってことでいいのか?」
「はい。マジックバッグと同じく人は収納できません。でも箱なので入ること自体は可能ですね。その場合は人の時間は止まりません。単なる箱です。それと、この宝箱をマジックバッグに入れることは可能です。人が入ったままでは無理のようですけどね」
「でもマジックバッグに入れておく意味はないよな?」
「マジックバッグの容量を節約できますよ」
「中身の確認だけが問題だな」
マジックバッグを入れ子にするようなものです。この宝箱の容量は確認していませんが、実際のサイズよりも大きいのは間違いありません。それならマジックバッグに宝箱をぎゅうぎゅうに詰めれば、マジックバッグの容量が何十倍にも増えることになります。
実際に宝箱をマジックバッグに入れてみると、宝箱があることしかわかりません。マジックバッグの中で宝箱を開けることはできません。中身の確認に手間がかかりますので、パッと出してパッと使うことは難しくなるでしょう。これで中身がわかるならもう少し使い勝手もよくなるでしょうが。
「部屋に金庫として置いておくのはどうです?」
「それもありだな。樽風呂は置いていけばいいからな」
これまでレイのマジックバッグがいっぱいになったことはありません。ギリギリになったことはありますが、それは意図して魔物を狩っていたときの話です。普段なら七割程度までしか入れないようにしています。
「専用装備かあ……」
サラが日本刀を見ながらつぶやきました。
「やっぱり欲しいのか?」
「そういうわけじゃないけど、魔物が大きいのばかりだから、使うのがグレイブばっかりでさあ」
「半分包丁の代わりだからな」
「よく切れるけどね」
サラは苦笑します。彼女の日本刀は刃渡り八〇センチを超える太刀で、日本刀としては長いほうです。それでもバスタードソードに比べれば短く、大型の魔物相手には使えません。砥石を使って手入れしていますので、切れ味は鋭いですが、今では解体のときにしか使われていないのをサラは残念に思っているのです。
「それじゃ明日もダンジョンって言ったけど、それは明後日にして、明日は店を回ってみるか?」
「いいの?」
「たまには武器屋巡りもいいかもしれないな」
「物騒なウィンドウショッピングだね」
「レイ様とお買い物ですわ」
女性陣だけで買い物に行くことがありますが、そのときレイは薬剤師ギルドに行くことがほとんどです。女性の買い物は長いからといって、そこから逃げているわけではありませんよ。
「そうだ、ケイト。可愛い装備品があったら着けてもらうからな」
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