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第十五部:勇者の活躍
親子の愛情
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現在地下二四階にいる。他の海の階と違いはない。でもこのダンジョンそのものは前に潜った二つとは違って、常にそこそこの魔物がいる。魚介類ばかりだけど。
例えばコボルドは魔素から生まれる。でもここにいる魚介類は普通に卵から孵るようだ。実際にマダコの卵も見つかった。試しに五つほどコップに入れておいたら孵った。
====================
【名前:】
【種族:マダコ】
マダコが魔素の影響を受け魔物化したもの。大型化してはいるが煮てよし焼いてよしの食材。足は生でもよし。
【固有スキル:再生】
体の一部を失ってもしばらくすると再生する。
※注記
【愛の男神シュウジの従魔】
====================
「可愛いですね」
「仲間ですね」
スキュラたちはそんなことを言いながらそれぞれマダコを肩に乗せている。コップの中を見てたらたまたま五つとも孵って従魔になった。インプリンティングみたいなものかもしれない。まあスキュラたちも仲間ができたと喜んでるからいいだろう。でもタコが絡むと大抵はエロくなるからな。大きくなるのはもう少し先だろうけど。
マダコは小さくても空が飛べるから落ちたりしない。でもまだ小さいから水分が必要なんだろう。たまに俺の持っているコップに入ってまた戻るということを繰り返していた。
いまのところ頭のサイズが大豆くらいだけど、形はタコだ。タコの従魔って聞いたことあるか? ないよな? しかも美味いらしい。いくら【再生】というスキルがあっても従魔の切って食べるのは無理だろ。食べるならストレージにいっぱいあるクラーケン(タコ)という別のタコだ。
クラーケンって話の中ではイカだったりタコだったりするけど、この世界のクラーケンは複数いるらしい。だからクラーケン(タコ)なんだろう。そのうちクラーケン(イカ)とかクラーケン(ロブスター)が現れても不思議じゃない。
「マスターってタコが好きなの?」
「美味いものは好きだぞ」
セイレーンAの質問にそう答えた瞬間、失敗したと思った。子ダコたちが「えっ?」という顔をしたからだ。
「いやいや、お前たちは食べないから安心しろ。食べるのは別だ」
そう答えるとホッとした顔をした。タコの表情って意外に分かるものだな。
「いや、ホントに食べないから、その足は切り落とさなくていいぞ」
デルフィーヌの肩に止まってい子ダコがこっちに足を一本向けた。これでも切って食べてくれってことだろう。いや、そんな爪楊枝よりも細い足を切って食べる趣味はないからな。
とりあえず子ダコたちには食べたりしないことをきちんと説明すとコミュニケーションを取りながら下を目指す。そして地下三〇階に来た時だった。これは今までにない展開だ。
「ボスっぽい感じでタコがいるなあ」
「威圧感がありますね」
「あんなに大きくなるんですね」
「大きいというと、マスターのアレはもの凄く立派ですね」
「そうそう。あれは体が裂けそうになります」
「マスター、早く帰ってヤリましょう」
「お前たちもかなり露骨になったな」
緊張感がないのはもう諦めた。それよりタコだ。向こうにあるのがボス部屋で、その手前には馬鹿デカいタコがいる。クラーケン(タコ)かと思ったらマダコだった。今までの感じならスミを吐いて襲ってきそうなもんだけど……。
「動きませんね」
大ダコは足を広げているけど近寄ってこない。待ち伏せか? この距離から魔法で倒すべきか。そんなことを思っていたらスキュラたちの肩から子ダコたちが大ダコの方へ飛んでいった。
「父親だったのか」
「親子の愛情ですね」
あれから子ダコたちが大ダコに近寄ると、しばらくして大ダコがペタンと地面に伏せた。何が起きたのかと思ったら足を一本こちらに伸ばしてきた。すると子ダコたちが戻ってきて、大ダコが伸ばした足を指した。触れって言いたいのかと思って大ダコの足を触ると、一瞬だけその足が俺の腕に巻き付き、それから離れた。すると大ダコは海に中に潜っていった。
「それでお前たちは海には戻らなくていいのか?」
「「「(フルフル)」」」
子ダコたちに聞くと足をフルフルと左右に振った。戻らなくてもいいらしい。
「それなら先に進むぞ」
俺たちはボス部屋の扉を開けた。
◆◆◆
「予想通りとはいえ、心臓に悪いな」
「ごめんね、マスター」
「いや、お前が悪いわけじゃない。ダンジョンマスターと呼ぶべきかどうか分からないけど、お前たちをここに呼んだやつのせいだろう」
セイレーンCは開いた扉のすぐ前に倒れていたから踏みそうになった。やっぱり脱水症状だったので、水を飲ませて回復魔法をかけて寝かせ、目が覚めたところで樽の中に入れた。
「どうして私たちをここに呼んだのかって話よね」
「そうそう。適材適所って大切だと思うのよ」
「もうちょっと考えてほしいよね」
彼女たちの意見はもっともだ。水もないボス部屋にセイレーンを召喚して何がしたいのかという話だ。
「私たちに試練を与えたかったとか?」
「立場的に逆だな」
ボスに試練を与えてどうするんだ。
例えばコボルドは魔素から生まれる。でもここにいる魚介類は普通に卵から孵るようだ。実際にマダコの卵も見つかった。試しに五つほどコップに入れておいたら孵った。
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【名前:】
【種族:マダコ】
マダコが魔素の影響を受け魔物化したもの。大型化してはいるが煮てよし焼いてよしの食材。足は生でもよし。
【固有スキル:再生】
体の一部を失ってもしばらくすると再生する。
※注記
【愛の男神シュウジの従魔】
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「可愛いですね」
「仲間ですね」
スキュラたちはそんなことを言いながらそれぞれマダコを肩に乗せている。コップの中を見てたらたまたま五つとも孵って従魔になった。インプリンティングみたいなものかもしれない。まあスキュラたちも仲間ができたと喜んでるからいいだろう。でもタコが絡むと大抵はエロくなるからな。大きくなるのはもう少し先だろうけど。
マダコは小さくても空が飛べるから落ちたりしない。でもまだ小さいから水分が必要なんだろう。たまに俺の持っているコップに入ってまた戻るということを繰り返していた。
いまのところ頭のサイズが大豆くらいだけど、形はタコだ。タコの従魔って聞いたことあるか? ないよな? しかも美味いらしい。いくら【再生】というスキルがあっても従魔の切って食べるのは無理だろ。食べるならストレージにいっぱいあるクラーケン(タコ)という別のタコだ。
クラーケンって話の中ではイカだったりタコだったりするけど、この世界のクラーケンは複数いるらしい。だからクラーケン(タコ)なんだろう。そのうちクラーケン(イカ)とかクラーケン(ロブスター)が現れても不思議じゃない。
「マスターってタコが好きなの?」
「美味いものは好きだぞ」
セイレーンAの質問にそう答えた瞬間、失敗したと思った。子ダコたちが「えっ?」という顔をしたからだ。
「いやいや、お前たちは食べないから安心しろ。食べるのは別だ」
そう答えるとホッとした顔をした。タコの表情って意外に分かるものだな。
「いや、ホントに食べないから、その足は切り落とさなくていいぞ」
デルフィーヌの肩に止まってい子ダコがこっちに足を一本向けた。これでも切って食べてくれってことだろう。いや、そんな爪楊枝よりも細い足を切って食べる趣味はないからな。
とりあえず子ダコたちには食べたりしないことをきちんと説明すとコミュニケーションを取りながら下を目指す。そして地下三〇階に来た時だった。これは今までにない展開だ。
「ボスっぽい感じでタコがいるなあ」
「威圧感がありますね」
「あんなに大きくなるんですね」
「大きいというと、マスターのアレはもの凄く立派ですね」
「そうそう。あれは体が裂けそうになります」
「マスター、早く帰ってヤリましょう」
「お前たちもかなり露骨になったな」
緊張感がないのはもう諦めた。それよりタコだ。向こうにあるのがボス部屋で、その手前には馬鹿デカいタコがいる。クラーケン(タコ)かと思ったらマダコだった。今までの感じならスミを吐いて襲ってきそうなもんだけど……。
「動きませんね」
大ダコは足を広げているけど近寄ってこない。待ち伏せか? この距離から魔法で倒すべきか。そんなことを思っていたらスキュラたちの肩から子ダコたちが大ダコの方へ飛んでいった。
「父親だったのか」
「親子の愛情ですね」
あれから子ダコたちが大ダコに近寄ると、しばらくして大ダコがペタンと地面に伏せた。何が起きたのかと思ったら足を一本こちらに伸ばしてきた。すると子ダコたちが戻ってきて、大ダコが伸ばした足を指した。触れって言いたいのかと思って大ダコの足を触ると、一瞬だけその足が俺の腕に巻き付き、それから離れた。すると大ダコは海に中に潜っていった。
「それでお前たちは海には戻らなくていいのか?」
「「「(フルフル)」」」
子ダコたちに聞くと足をフルフルと左右に振った。戻らなくてもいいらしい。
「それなら先に進むぞ」
俺たちはボス部屋の扉を開けた。
◆◆◆
「予想通りとはいえ、心臓に悪いな」
「ごめんね、マスター」
「いや、お前が悪いわけじゃない。ダンジョンマスターと呼ぶべきかどうか分からないけど、お前たちをここに呼んだやつのせいだろう」
セイレーンCは開いた扉のすぐ前に倒れていたから踏みそうになった。やっぱり脱水症状だったので、水を飲ませて回復魔法をかけて寝かせ、目が覚めたところで樽の中に入れた。
「どうして私たちをここに呼んだのかって話よね」
「そうそう。適材適所って大切だと思うのよ」
「もうちょっと考えてほしいよね」
彼女たちの意見はもっともだ。水もないボス部屋にセイレーンを召喚して何がしたいのかという話だ。
「私たちに試練を与えたかったとか?」
「立場的に逆だな」
ボスに試練を与えてどうするんだ。
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