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第十五部:勇者の活躍
アラクネたちと【人化】
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「一番伸びるのはこれになりますね。マスターの精のおかげです」
アリエーナが小さな糸玉を作って俺に渡してきた。糸を引っ張るとビヨーンとゴムのように伸びる。ここまで伸びるならもうゴムだな。
「そういう言い方をされると、何となく微妙な気分だな」
アラクネたちは元々【人化】が使えたので、人の姿になって俺に抱かれた。俺に抱かれることで出せる糸の種類が増やせるかもしれないとアリエーナが考えたからだ。他の四人も同じように糸玉を作ってくれるけど、全員が寝室で一度に下半身をクモに戻すとかなり窮屈に感じる。だから着替えて庭に出てもらうことにした。
アリエーナには他の四人と違うところがあるわけじゃない。でも五人いるアラクネ全員に意見を求めた時などは必ず一番最初に発言する。それはスキュラたちと変わらない。スキュラもアルベルティーヌが一番最初だ。ABCDEと五人いると優先順位はA→B→C→D→Eとなるようだ。もしかしたら俺が出会った順番がABCDEの順だったからかもしれない。そのあたりは彼女たちに聞いてもハッキリとした理由があるわけじゃないらしい。何となくそうした方がいいような気がしているだけらしい。
◆◆◆
「アルベルティーヌたちに話を聞いたのですが、私たちも抱いていただけませんか?」
食事が終わって食休みを取っていると、優しい笑みを浮かべたままアリエーナが側に寄ってきて隣に座った。その手が俺の手に重ねられた。人前で人の姿になったのは初めてらしいから本能的なものかもしれないけど、男心をくすぐるツボを押さえている。
アラクネたちは会った時から【人化】が使えた。そしてスキュラたちと一緒にいればそういう話もするだろう。
「ああ、そのつもりでいる。美女を抱いて愛を説くのが俺の仕事だからな」
「ありがとうございます。抱かれた後にどうなるのかが気になっていましたので」
その言い方が俺には他人事のように聞こえた。
「どうなるのかって、何かあるのか?」
俺が質問するとアリエーナは頷いた。
「私たちの出す糸は環境によって変化するという言い伝えがあります。特に男性の精を体内に取り込むと一段と変わるそうです」
「変化か。でもすでに太い糸から細い糸、伸びる糸から伸びない糸、もう一通り出せてないか?」
色だって変えられる。彼女たちが出す光沢のある細くて黒い糸で編んだストッキングはかなりレベルが高かった。あれはいいものだ。
「マスターの仰るように、今でもそれなりの種類の糸を出すことはできます。ですが私たちの目標は、雲のように軽くて鉄のように丈夫で、その上で夏場は川の水のように涼しく、かつ冬場は焚き火よりも暖かく感じる布を織ることです」
何たらリズムと何たらテックを合わせたような服か。アウトドアが趣味なら欲しがりそうだ。
彼女たちは温泉宿の若女将のような穏やかな雰囲気を持っているけど、自分たちの出す糸については強いこだわりがある。今までに出してきた糸よりもさらに質の高い糸を出そうと決めて俺に抱かれることになった。
そんな話を聞くと、俺も彼女たちが出す糸がどうなるかは気になる。それなら今日はこれから何をするか。もう少し腹が落ち着いたら軽い運動だ。
◆◆◆
「こ、これは……すっ、素晴らしい刺激ですっ! あっ、あっ、新しい糸がっ、生まれそうですっ!」
アリエーナが嬌声を上げながら、それでも冷静に自分の体の変化を分析していた。横を見るとビエターナとカロリーナ、ディディアーナ、エルカーナも同じように俺の化身と複体に跨って腰を叩きつけていた。
元がクモだからか、アラクネたちは思った以上に足腰が強いから今は全て任せている。俺は動かなくていいから楽だし、一定以上の胸のサイズがあると下から眺めるのも楽しい。アラクネたちも自分のペースで動けるからいいこと尽くめの体位だ。慣れないと抜けたりして上手くいかないこともあるけど、アラクネたちには才能があるようだった。
アリエーナが額に玉の汗を浮かべながら俺に顔を寄せてきた。唇を重ねて舌を絡める。ああ、いい女だ。キスをしたのも俺が初めてのはずなのに擦り込まれた知識でもあるのか、俺の唇を甘噛みしたりと変化を付けて楽しませてくれる。
「マ、マスター……お先に失礼しても……よろしいですか?」
イキそうなんだろう。その言い方までお淑やかだ。
「ああ、俺のことは気にするな。でも予定通りにさせてもらうぞ」
「は、はい、お望みのように……んっ!」
◆◆◆
アラクネたちがイッて力が抜けた後、俺は彼女たちの望む通りに行動した。体勢を変えて抱き続け、彼女たちの中に白い欲望を注ぎ込み続けた。それを五人の反応がなくなるまで続けた。気を失うほどの刺激が欲しいと言われたからだ。
アラクネたちは三〇分ほど目を覚さなかったけど、目が覚めると恥ずかしそうに起き上がって自分の下腹部を触り、それから下半身をクモに戻して糸を出し始め、そして驚愕の表情を浮かべた。
「マスター、やはり言い伝えは正しかったようです」
「変化があったか?」
「はい。この糸を触ってみてください」
アリエーナが俺に渡したのは長さ二〇センチほどの糸。色は少し黄色がかった白。太さが二ミリくらいあるから糸と呼ぶよりも紐の方がいいかもしれない。触ってみるとフニフニした感触があった。引っ張ってみるとかなり伸びる。これは……
「触り心地は完全にゴムだな」
形としては切れた輪ゴムだ。
「これは……よく伸びるなあ。でもこの色はちょっとな……」
まあ俺がさっきまで出していたアレの色だ。
「マスターの精を意識したのでその色になってしまったようです。全く違う色にしてみましたので、今度はこちらをお試しください」
次は同じ感触ながら青い色の糸を渡してくれた。ただこのままでは使いにくいな。端同士を繋げて……上手く繋がらない。なんでだ? ゴムなら加工できるのに。
「端と端を繋げて輪っかにしてくれないか? 俺にはできなかった」
「はい。お待ちください。…………どうぞ」
アリエーナは糸を受け取るとササッと端と端を繋げてくれた。青い色の輪ゴムだ。
「このままでは髪が抜けるからな。こうやって布の中に通して……」
俺が作るのは輪ゴムを使ったシュシュだ。シンプルだけど布地を変えることでどれだけでもゴージャスにすることができる。ゴムは存在するからシュシュもあるんだけど、売っているものは高い。大量生産されていないからゴムは高いんだ。
ゴムを使うものとなると馬車の車輪だろうか。木でできた車輪に鉄を巻き付けて割れないようにしているけど、振動は車輪から車軸を伝って車体に伝わる。要するに尻が痛くなる。だから俺は売っていたゴムを使ってハニカム構造のクッションを作って馬車などで使っている。車輪そのものを振動が伝わりにくいものに交換できれば一番いい。でもさっきの感じなら加工できない。初めて加工しようとしたからかもしれないけど。
「それでマスター、お願いがあるのですが」
「もう少しアクセサリーか?」
シュシュは五人の髪を飾っている。
「いえ、一度抱かれてこうなったのでしたら、もう一度抱かれればどうなるのかと」
「……なるほど。体の方はどうだ? 無理はしてないな?」
「はい。むしろこれまで以上に体調がいいようで」
男に抱かれると女の肌がツヤツヤになるというのはあくまでネタで、実際はそういうことはない。でもアラクネたちは間違いなくさっきよりも体調がいいらしい。イネスが俺の精液からポーションを作りたいと言ったくらいだから色々な効能がありそうだ。
「よし、それなら部屋に戻って続きをするか。スキュラたちの方も満足しきれていないみたいだからなあ」
「「「よろしくお願いします」」」
スキュラたちも分身を相手に励んでいる最中だ。あの子たちはアラクネたちよりも体力があるから、満足するには時間がかかる。【化身】と【複体】と【分身】が使えなければ大変なことになっていたな。
アリエーナが小さな糸玉を作って俺に渡してきた。糸を引っ張るとビヨーンとゴムのように伸びる。ここまで伸びるならもうゴムだな。
「そういう言い方をされると、何となく微妙な気分だな」
アラクネたちは元々【人化】が使えたので、人の姿になって俺に抱かれた。俺に抱かれることで出せる糸の種類が増やせるかもしれないとアリエーナが考えたからだ。他の四人も同じように糸玉を作ってくれるけど、全員が寝室で一度に下半身をクモに戻すとかなり窮屈に感じる。だから着替えて庭に出てもらうことにした。
アリエーナには他の四人と違うところがあるわけじゃない。でも五人いるアラクネ全員に意見を求めた時などは必ず一番最初に発言する。それはスキュラたちと変わらない。スキュラもアルベルティーヌが一番最初だ。ABCDEと五人いると優先順位はA→B→C→D→Eとなるようだ。もしかしたら俺が出会った順番がABCDEの順だったからかもしれない。そのあたりは彼女たちに聞いてもハッキリとした理由があるわけじゃないらしい。何となくそうした方がいいような気がしているだけらしい。
◆◆◆
「アルベルティーヌたちに話を聞いたのですが、私たちも抱いていただけませんか?」
食事が終わって食休みを取っていると、優しい笑みを浮かべたままアリエーナが側に寄ってきて隣に座った。その手が俺の手に重ねられた。人前で人の姿になったのは初めてらしいから本能的なものかもしれないけど、男心をくすぐるツボを押さえている。
アラクネたちは会った時から【人化】が使えた。そしてスキュラたちと一緒にいればそういう話もするだろう。
「ああ、そのつもりでいる。美女を抱いて愛を説くのが俺の仕事だからな」
「ありがとうございます。抱かれた後にどうなるのかが気になっていましたので」
その言い方が俺には他人事のように聞こえた。
「どうなるのかって、何かあるのか?」
俺が質問するとアリエーナは頷いた。
「私たちの出す糸は環境によって変化するという言い伝えがあります。特に男性の精を体内に取り込むと一段と変わるそうです」
「変化か。でもすでに太い糸から細い糸、伸びる糸から伸びない糸、もう一通り出せてないか?」
色だって変えられる。彼女たちが出す光沢のある細くて黒い糸で編んだストッキングはかなりレベルが高かった。あれはいいものだ。
「マスターの仰るように、今でもそれなりの種類の糸を出すことはできます。ですが私たちの目標は、雲のように軽くて鉄のように丈夫で、その上で夏場は川の水のように涼しく、かつ冬場は焚き火よりも暖かく感じる布を織ることです」
何たらリズムと何たらテックを合わせたような服か。アウトドアが趣味なら欲しがりそうだ。
彼女たちは温泉宿の若女将のような穏やかな雰囲気を持っているけど、自分たちの出す糸については強いこだわりがある。今までに出してきた糸よりもさらに質の高い糸を出そうと決めて俺に抱かれることになった。
そんな話を聞くと、俺も彼女たちが出す糸がどうなるかは気になる。それなら今日はこれから何をするか。もう少し腹が落ち着いたら軽い運動だ。
◆◆◆
「こ、これは……すっ、素晴らしい刺激ですっ! あっ、あっ、新しい糸がっ、生まれそうですっ!」
アリエーナが嬌声を上げながら、それでも冷静に自分の体の変化を分析していた。横を見るとビエターナとカロリーナ、ディディアーナ、エルカーナも同じように俺の化身と複体に跨って腰を叩きつけていた。
元がクモだからか、アラクネたちは思った以上に足腰が強いから今は全て任せている。俺は動かなくていいから楽だし、一定以上の胸のサイズがあると下から眺めるのも楽しい。アラクネたちも自分のペースで動けるからいいこと尽くめの体位だ。慣れないと抜けたりして上手くいかないこともあるけど、アラクネたちには才能があるようだった。
アリエーナが額に玉の汗を浮かべながら俺に顔を寄せてきた。唇を重ねて舌を絡める。ああ、いい女だ。キスをしたのも俺が初めてのはずなのに擦り込まれた知識でもあるのか、俺の唇を甘噛みしたりと変化を付けて楽しませてくれる。
「マ、マスター……お先に失礼しても……よろしいですか?」
イキそうなんだろう。その言い方までお淑やかだ。
「ああ、俺のことは気にするな。でも予定通りにさせてもらうぞ」
「は、はい、お望みのように……んっ!」
◆◆◆
アラクネたちがイッて力が抜けた後、俺は彼女たちの望む通りに行動した。体勢を変えて抱き続け、彼女たちの中に白い欲望を注ぎ込み続けた。それを五人の反応がなくなるまで続けた。気を失うほどの刺激が欲しいと言われたからだ。
アラクネたちは三〇分ほど目を覚さなかったけど、目が覚めると恥ずかしそうに起き上がって自分の下腹部を触り、それから下半身をクモに戻して糸を出し始め、そして驚愕の表情を浮かべた。
「マスター、やはり言い伝えは正しかったようです」
「変化があったか?」
「はい。この糸を触ってみてください」
アリエーナが俺に渡したのは長さ二〇センチほどの糸。色は少し黄色がかった白。太さが二ミリくらいあるから糸と呼ぶよりも紐の方がいいかもしれない。触ってみるとフニフニした感触があった。引っ張ってみるとかなり伸びる。これは……
「触り心地は完全にゴムだな」
形としては切れた輪ゴムだ。
「これは……よく伸びるなあ。でもこの色はちょっとな……」
まあ俺がさっきまで出していたアレの色だ。
「マスターの精を意識したのでその色になってしまったようです。全く違う色にしてみましたので、今度はこちらをお試しください」
次は同じ感触ながら青い色の糸を渡してくれた。ただこのままでは使いにくいな。端同士を繋げて……上手く繋がらない。なんでだ? ゴムなら加工できるのに。
「端と端を繋げて輪っかにしてくれないか? 俺にはできなかった」
「はい。お待ちください。…………どうぞ」
アリエーナは糸を受け取るとササッと端と端を繋げてくれた。青い色の輪ゴムだ。
「このままでは髪が抜けるからな。こうやって布の中に通して……」
俺が作るのは輪ゴムを使ったシュシュだ。シンプルだけど布地を変えることでどれだけでもゴージャスにすることができる。ゴムは存在するからシュシュもあるんだけど、売っているものは高い。大量生産されていないからゴムは高いんだ。
ゴムを使うものとなると馬車の車輪だろうか。木でできた車輪に鉄を巻き付けて割れないようにしているけど、振動は車輪から車軸を伝って車体に伝わる。要するに尻が痛くなる。だから俺は売っていたゴムを使ってハニカム構造のクッションを作って馬車などで使っている。車輪そのものを振動が伝わりにくいものに交換できれば一番いい。でもさっきの感じなら加工できない。初めて加工しようとしたからかもしれないけど。
「それでマスター、お願いがあるのですが」
「もう少しアクセサリーか?」
シュシュは五人の髪を飾っている。
「いえ、一度抱かれてこうなったのでしたら、もう一度抱かれればどうなるのかと」
「……なるほど。体の方はどうだ? 無理はしてないな?」
「はい。むしろこれまで以上に体調がいいようで」
男に抱かれると女の肌がツヤツヤになるというのはあくまでネタで、実際はそういうことはない。でもアラクネたちは間違いなくさっきよりも体調がいいらしい。イネスが俺の精液からポーションを作りたいと言ったくらいだから色々な効能がありそうだ。
「よし、それなら部屋に戻って続きをするか。スキュラたちの方も満足しきれていないみたいだからなあ」
「「「よろしくお願いします」」」
スキュラたちも分身を相手に励んでいる最中だ。あの子たちはアラクネたちよりも体力があるから、満足するには時間がかかる。【化身】と【複体】と【分身】が使えなければ大変なことになっていたな。
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