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第九部:教えることと教わること
ベラの想い
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「シュウジ様、ありがとうございました」
そのままシャワーで汚れを落として、それからバスローブに着替えさせると部屋までお姫様抱っこをした。ベラは終始上機嫌だった。
「いや、これは俺の方が感謝すべきだな。最高の体験をした」
これは本心だ。ハーフエルフという種族のせいか、それとも三七歳という年齢のせいか、最高に具合が良かった。でも俺はもっと年上も抱いたことがある。年齢が上がるにつれて男を包み込むような感覚があった。でもベラの中はこれまでにないほどに優しかった。俺の欲棒を優しく撫で回し、それでいて掴みんで離さず、俺の好きにさせてくれる度量があった。
「いえ、これまで行き遅れだと馬鹿にされていた私をシュウジ様は抱いてくれました。たしかに種族の問題はあります。ですが私がずっと実家にいることによって父が辛い思いをするのは私にとっても辛いことでした」
懺悔ではないだろうけど、ベラが自分のことを話し始めた。
「社交を始める頃までは普通に付き合いがありました。ですが一〇歳を超えたあたりからでしょうか、何となくですが周囲の目がよそよそしく感じられるようになりました」
たしかに美少女かもしれない。でも少し冷たく感じられただろうな。
「その頃から父が結婚相手を探してくれましたが、なかなか見つかりません。私はそんなに急ぐ必要はないと思いましたが父は違いました。なるべく早く私の嫁ぎ先を見つけようとしているようでした」
「ベラはその頃はまだ理由は分からなかったんだな?」
「はい。自分がハーフエルフだということを特別なことだと思っていませんでした」
自分のことは意外に分からないものだ。俺だってそう。イケメンと言われるようになって初めて気づいた。それからは自分の武器にした。
「そんなある時、父に尋ねました。どうしてそれほど急いでいるのかと。その時でした、父が言いにくそうに言ったのは」
長命種は妻として受け入れてもらいにくい。特に貴族のように相続が重要な者たちの間では。
「私は嫁ぎ先が見つからないまま二〇歳を越えました。私自身はそれほど危機感は感じませんでしたが、父はそれでも私の相手を探してくれました」
釣り合いが取れそうな相手はほとんど聞いたらしい。それでもいなかった。そうなると残るは平民ということになる。
「その間に兄に子供が生まれ、さらに孫もできました。さすがに私にもその頃には居心地の悪さを感じていました」
「それなら屋敷を出るという選択肢はなかったのか? 役人として働いてたんだったら自活もできるはずだろう」
ベラは王都にあるロジエ男爵邸にずっといた。出ようと思えば出られたはずだ。
「はい、もちろん何度も出ようとしました。その度に父に止められました。お前を分かってくれる相手が必ず現れると。それを待てと」
「待った挙げ句、俺は勘違いでお前を妻にすることになってしまったな」
俺が秘書にすると言わなければこうはならなかったかもしれない。
「いえ、どのような理由があったとしても運命の相手は変わらないと思っていました」
「運命の相手か」
「はい。ペガサスに乗った王子様です」
ペガサス? こっちの王子様は白馬じゃなくて。ペガサスに跨るのか。ベラが望むならやってもいいな。
◆◆◆
一通り話して気が済んだのか、ベラは今度は甘えるような表情で俺の胸に顔を擦り付けた。いや、耳を擦り付けてるのか。斬新なマーキングだな。俺もお返しに首筋に派手なキスマークを付ける。
それはそうと俺にも確認したいことがあった。こんないい雰囲気がどうなるか分からないけどな。
「ベラ、少し聞いてもいいか?」
「はい。何でもお聞きください」
ベラは真面目な顔になった。真面目な内容じゃないんだけどな。
「お前は俺に初めてを捧げてくれたな?」
「はい。誰にも触れさせたことはありません!」
お、言葉に勢いが増した。
「疑ってるわけじゃないぞ。俺はお前の初めての相手になれたわけだ。美女の初めてを貰って嬉しくない男はいないだろう」
俺は処女至上主義じゃない。それでも初めてを奪うということには特別な意味があるのは分かる。だからこそ、その機会があるなら相手にとって大切な思い出にしてもらいたいと思う。自分が快楽を経験するのも必要だけど、相手を喜ばせるのはもっと重要だ。
「あ、ありがとうございます」
あまり褒められてないんだろう。貴族の妻に向いてないのは別として、美女だと言われないというのも不思議……でもないか。テンション低めで無表情だからな。鉄仮面と言われたこともあったそうだ。
そのベラは告白してOKを貰った少女のように恥ずかしそうな笑顔になった。この表情を見たら惚れる男は多いと思うけどな。
「ただ一つ聞きたい」
「はい」
俺が口調を変えるとベラは背筋を伸ばして返事をした。でも聞く内容はロクなもんじゃないけどな。
「後ろはどれくらい弄ってたんだ?」
「え? う、後ろですか?」
ベラの目が泳いだ。たしかに前は初めてだった。処女膜が残っていたのが分かった。ハーフエルフにもあるんだなとあの瞬間に思った。
前に関してはあまり触ったことがなかった気がした。気がしたというのは、人間と比べていいのかどうか分からないからだ。触ればどうしても黒ずむ。そういう気配がなかったからだ。綺麗なピンク色だった。でも後ろの蕾の感じ方に違和感があった。
「ああ、後ろを弄った瞬間に感じたのが分かった。指を軽く挿れたら、それだけでイったな?」
「……はい」
「後ろは自分でかなり使い込んだんだろう。そうじゃなきゃ簡単に俺のは入らないぞ?」
ベラは真っ赤な顔になり、真面目な顔とニヨニヨと弛んだ顔を行ったり来たりしながら口を開けたり閉じたりしていた。
「ま、毎日……です」
「毎日後ろか。挿れてたのか?」
「……はい。ですがどうしてお分かりになったのですか?」
分かるだろ。例えローションを使っても、初めてで根元まですんなり入るなんてまずあり得ない。どうしても違和感で力が入るから、時間をかけて慣らす必要がある。無理をしたら切れるからな。
「丸分かりだ。ローションとか道具とかも使ってたんだろ?」
「ううう……。はい、こっそりと買いに出かけていました……」
これ以上ないくらいに顔を赤くし俯いた。
「なあ、ベラ。俺はそれが悪いと言ってるわけじゃない。これからは隠さなくてもいいと言ってるんだ」
俺がそう言うと俯いていたベラの顔がぐるっと俺の方を向いた。
「おかしくはないのですか⁉」
急に口調が強くなった。
「何がおかしいんだ? 男であれ女であれ、生きているなら抱きたい抱かれたいというのはあるだろう。俺だって美女を抱きたいと思う。だからこそベラがブレーズ殿と一緒にここに来た時、困りはしたけど嬉しくも思った」
俺は正直なところをベラに話した。
ベラは美女だ。いや、美少女か? ハーフエルフで三七歳というのは若いんだろうけど、年齢だけ聞くと若くは思えない。でも見た目は若く、切れ長の目をした無表情系美女だ。もし日本にいたら、とんでもない人気になるだろう。常に塩対応と言われるだろうけどな。
「前だろうが後ろだろうが、道具を使おうが使わなかろうが、そんなことはどうでもいいんじゃないか? 俺はベラが好きだしベラは俺が好きだ。俺は道具を使うのが好きだしベラは使われるのが好きだろう。それで問題あるか?」
「い、いえ、何も問題ありません! あらためてシュウジ様に私の全てを捧げる所存です‼ そのお命が尽きるまで、いえ、尽きてもシュウジ様のために生き続けます‼」
これまでで一番語調が強くなったな。俺が死んだ後か。普通ならそう考えるよなあ。
「そうだな、俺は人間でお前はハーフエルフ。普通なら寿命が違う。でも一つ聞いてくれ」
「はい」
秘密の話でもするかのように俺はベラの耳に口を近づけた。
「これは俺とミレーヌしか知らないことだ。エミリアもリュシエンヌも知らない。しばらくは誰にも話すな」
「は、はい。もちろんです」
「実はな……」
俺が神になったことと関係がある。エミリアとリュシエンヌにすらまだ言っていないこともある。どこかのタイミングで言おうと思っているけど、なかなかなあ。
「それではシュウジ様と私は……」
「ああ、別れることはないということだ。永遠にな」
「⁉」
ポロポロと涙を流すベラを抱きしめて慰める。こんなに好かれるとはなあ。
そんな俺もロジエ男爵の前で「お前を妻として愛することができるように努力をしよう」なんて言いながら、もうすでにベラを手放すつもりがないほど愛しいと思い始めていた。
そのままシャワーで汚れを落として、それからバスローブに着替えさせると部屋までお姫様抱っこをした。ベラは終始上機嫌だった。
「いや、これは俺の方が感謝すべきだな。最高の体験をした」
これは本心だ。ハーフエルフという種族のせいか、それとも三七歳という年齢のせいか、最高に具合が良かった。でも俺はもっと年上も抱いたことがある。年齢が上がるにつれて男を包み込むような感覚があった。でもベラの中はこれまでにないほどに優しかった。俺の欲棒を優しく撫で回し、それでいて掴みんで離さず、俺の好きにさせてくれる度量があった。
「いえ、これまで行き遅れだと馬鹿にされていた私をシュウジ様は抱いてくれました。たしかに種族の問題はあります。ですが私がずっと実家にいることによって父が辛い思いをするのは私にとっても辛いことでした」
懺悔ではないだろうけど、ベラが自分のことを話し始めた。
「社交を始める頃までは普通に付き合いがありました。ですが一〇歳を超えたあたりからでしょうか、何となくですが周囲の目がよそよそしく感じられるようになりました」
たしかに美少女かもしれない。でも少し冷たく感じられただろうな。
「その頃から父が結婚相手を探してくれましたが、なかなか見つかりません。私はそんなに急ぐ必要はないと思いましたが父は違いました。なるべく早く私の嫁ぎ先を見つけようとしているようでした」
「ベラはその頃はまだ理由は分からなかったんだな?」
「はい。自分がハーフエルフだということを特別なことだと思っていませんでした」
自分のことは意外に分からないものだ。俺だってそう。イケメンと言われるようになって初めて気づいた。それからは自分の武器にした。
「そんなある時、父に尋ねました。どうしてそれほど急いでいるのかと。その時でした、父が言いにくそうに言ったのは」
長命種は妻として受け入れてもらいにくい。特に貴族のように相続が重要な者たちの間では。
「私は嫁ぎ先が見つからないまま二〇歳を越えました。私自身はそれほど危機感は感じませんでしたが、父はそれでも私の相手を探してくれました」
釣り合いが取れそうな相手はほとんど聞いたらしい。それでもいなかった。そうなると残るは平民ということになる。
「その間に兄に子供が生まれ、さらに孫もできました。さすがに私にもその頃には居心地の悪さを感じていました」
「それなら屋敷を出るという選択肢はなかったのか? 役人として働いてたんだったら自活もできるはずだろう」
ベラは王都にあるロジエ男爵邸にずっといた。出ようと思えば出られたはずだ。
「はい、もちろん何度も出ようとしました。その度に父に止められました。お前を分かってくれる相手が必ず現れると。それを待てと」
「待った挙げ句、俺は勘違いでお前を妻にすることになってしまったな」
俺が秘書にすると言わなければこうはならなかったかもしれない。
「いえ、どのような理由があったとしても運命の相手は変わらないと思っていました」
「運命の相手か」
「はい。ペガサスに乗った王子様です」
ペガサス? こっちの王子様は白馬じゃなくて。ペガサスに跨るのか。ベラが望むならやってもいいな。
◆◆◆
一通り話して気が済んだのか、ベラは今度は甘えるような表情で俺の胸に顔を擦り付けた。いや、耳を擦り付けてるのか。斬新なマーキングだな。俺もお返しに首筋に派手なキスマークを付ける。
それはそうと俺にも確認したいことがあった。こんないい雰囲気がどうなるか分からないけどな。
「ベラ、少し聞いてもいいか?」
「はい。何でもお聞きください」
ベラは真面目な顔になった。真面目な内容じゃないんだけどな。
「お前は俺に初めてを捧げてくれたな?」
「はい。誰にも触れさせたことはありません!」
お、言葉に勢いが増した。
「疑ってるわけじゃないぞ。俺はお前の初めての相手になれたわけだ。美女の初めてを貰って嬉しくない男はいないだろう」
俺は処女至上主義じゃない。それでも初めてを奪うということには特別な意味があるのは分かる。だからこそ、その機会があるなら相手にとって大切な思い出にしてもらいたいと思う。自分が快楽を経験するのも必要だけど、相手を喜ばせるのはもっと重要だ。
「あ、ありがとうございます」
あまり褒められてないんだろう。貴族の妻に向いてないのは別として、美女だと言われないというのも不思議……でもないか。テンション低めで無表情だからな。鉄仮面と言われたこともあったそうだ。
そのベラは告白してOKを貰った少女のように恥ずかしそうな笑顔になった。この表情を見たら惚れる男は多いと思うけどな。
「ただ一つ聞きたい」
「はい」
俺が口調を変えるとベラは背筋を伸ばして返事をした。でも聞く内容はロクなもんじゃないけどな。
「後ろはどれくらい弄ってたんだ?」
「え? う、後ろですか?」
ベラの目が泳いだ。たしかに前は初めてだった。処女膜が残っていたのが分かった。ハーフエルフにもあるんだなとあの瞬間に思った。
前に関してはあまり触ったことがなかった気がした。気がしたというのは、人間と比べていいのかどうか分からないからだ。触ればどうしても黒ずむ。そういう気配がなかったからだ。綺麗なピンク色だった。でも後ろの蕾の感じ方に違和感があった。
「ああ、後ろを弄った瞬間に感じたのが分かった。指を軽く挿れたら、それだけでイったな?」
「……はい」
「後ろは自分でかなり使い込んだんだろう。そうじゃなきゃ簡単に俺のは入らないぞ?」
ベラは真っ赤な顔になり、真面目な顔とニヨニヨと弛んだ顔を行ったり来たりしながら口を開けたり閉じたりしていた。
「ま、毎日……です」
「毎日後ろか。挿れてたのか?」
「……はい。ですがどうしてお分かりになったのですか?」
分かるだろ。例えローションを使っても、初めてで根元まですんなり入るなんてまずあり得ない。どうしても違和感で力が入るから、時間をかけて慣らす必要がある。無理をしたら切れるからな。
「丸分かりだ。ローションとか道具とかも使ってたんだろ?」
「ううう……。はい、こっそりと買いに出かけていました……」
これ以上ないくらいに顔を赤くし俯いた。
「なあ、ベラ。俺はそれが悪いと言ってるわけじゃない。これからは隠さなくてもいいと言ってるんだ」
俺がそう言うと俯いていたベラの顔がぐるっと俺の方を向いた。
「おかしくはないのですか⁉」
急に口調が強くなった。
「何がおかしいんだ? 男であれ女であれ、生きているなら抱きたい抱かれたいというのはあるだろう。俺だって美女を抱きたいと思う。だからこそベラがブレーズ殿と一緒にここに来た時、困りはしたけど嬉しくも思った」
俺は正直なところをベラに話した。
ベラは美女だ。いや、美少女か? ハーフエルフで三七歳というのは若いんだろうけど、年齢だけ聞くと若くは思えない。でも見た目は若く、切れ長の目をした無表情系美女だ。もし日本にいたら、とんでもない人気になるだろう。常に塩対応と言われるだろうけどな。
「前だろうが後ろだろうが、道具を使おうが使わなかろうが、そんなことはどうでもいいんじゃないか? 俺はベラが好きだしベラは俺が好きだ。俺は道具を使うのが好きだしベラは使われるのが好きだろう。それで問題あるか?」
「い、いえ、何も問題ありません! あらためてシュウジ様に私の全てを捧げる所存です‼ そのお命が尽きるまで、いえ、尽きてもシュウジ様のために生き続けます‼」
これまでで一番語調が強くなったな。俺が死んだ後か。普通ならそう考えるよなあ。
「そうだな、俺は人間でお前はハーフエルフ。普通なら寿命が違う。でも一つ聞いてくれ」
「はい」
秘密の話でもするかのように俺はベラの耳に口を近づけた。
「これは俺とミレーヌしか知らないことだ。エミリアもリュシエンヌも知らない。しばらくは誰にも話すな」
「は、はい。もちろんです」
「実はな……」
俺が神になったことと関係がある。エミリアとリュシエンヌにすらまだ言っていないこともある。どこかのタイミングで言おうと思っているけど、なかなかなあ。
「それではシュウジ様と私は……」
「ああ、別れることはないということだ。永遠にな」
「⁉」
ポロポロと涙を流すベラを抱きしめて慰める。こんなに好かれるとはなあ。
そんな俺もロジエ男爵の前で「お前を妻として愛することができるように努力をしよう」なんて言いながら、もうすでにベラを手放すつもりがないほど愛しいと思い始めていた。
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