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第七部:商会と今後のこと
素材集めと新商品
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「とりあえず魔物でも大丈夫だな」
今朝、オレリーから美容液を使っても何もなかったと報告があった。夜と朝の二回使ったようだ。それをイネスに報告している。
「はい。サンプルが少ないので細かなところは分かりませんが、今のところは問題は聞いていません」
新しい美容液の素材として魔物が使えないかということで、手に入ったゴブリンで試してみた。これまでイネスが使っていたものは薬草や蜂蜜などを使ったもので、それもこれまで通りに作っている。今作っているのは別の種類のものだ。
新しい美容液の材料になるのは動物の皮や骨で、その代わりとして魔物が使えるんじゃないかと考えてテスト中だ。ここにあるのはゴブリンの右耳だ。何百もある。魔物の素材は加工されて様々な製品になるけど、ゴブリンについてはほとんど活用されていない。肉は硬くて臭くて不味いからだ。スラムで暮らす者たちなら口にするけど、それでもできれば遠慮したい、そのレベルだそうだ。黒パンで生きていけるくらいだからな。
それに皮は防具にするほど丈夫じゃない。脂肪はあまりないから石鹸や蝋燭にもできない。辛うじて骨が肥料にできるくらいだ。その骨だって他の魔物で十分。それなら集めようなんて誰も思わない。
ゴブリンは子供には危険だけど大人なら問題ない。それでも一対一ならという条件で、二匹三匹をまとめて相手にしたら危ないそうだ。扱い的には害虫や特定外来生物みたいなもので、要するに邪魔なだけの存在になる。うちが美容液の素材として使用するなら、商品価値は高くはないけど、これまで見たいにゼロじゃなくなるだろう。
ここにあるのが耳ばっかりなのは、ゴブリンの討伐証明は右耳で、冒険者ギルドが廃棄するものを貰ってきたそうだ。ゴブリンの素材が欲しいって言ったら変な顔をされたそうだけど、俺の名前を出したらすんなり貰えたということだった。キンキラの身分証が役に立ったな。
「それなら魔物の皮を集めて……いや、集めさせればいいか。でもそんなに高くはできないよなあ」
もちろんわざわざ遠くまで狩りに出かけるようなものじゃない。王都から近いところに現れれば、仕事ついでに刈って持ち帰れば酒の一杯か二杯くらいにはなる。その程度だ。
「ギルドや軍に頼むのはいかがでしょうか? 一括で引き取るということにして」
「聞いてみるか。たまに湧くらしいからな」
冒険者ギルドにそれを依頼として出せば、駆け出し冒険者なら依頼稼ぎにいいかもしれない。軍も治安維持のために兵士を巡回させている。魔物が現れれば駆除をする。それを分けてもらえないか頼んでもいい。
魔物が増えるパターンは二つある。一つは人間と同じように親から生まれる。これは主に魔獣のようで、犬や熊や鳥などの魔獣は産んで増やすこともあるそうだ。もう一つは魔素の淀みから生まれる。ダンジョンがそのいい例だ。
親から生まれるなら一度徹底的に駆除すればそう簡単には増えないだろう。でも魔素の淀みが原因なら、そう簡単に駆除はできない。気を抜けばどんどん増える。
森の中、山の中、ダンジョンの中など、空気の流れの悪い場所の魔素は気がつけば澱む。それをできる限り引っかき回せば魔物が発生することは減るけど、そのまま放っておくとポコポコと出てくるそうだ。
どうせ何をしても湧くのなら、駆除のついでに少しでも金になればいい。
「軍の方は……伝手と呼べるような伝手じゃないけど、練兵場をたまに使わせてもらってるから、そっちで聞いてみよう。許可が出ればこっちに運んでもらうのでいいか?」
「はい。そのままだと腐りますので、マジックバッグでお願いします」
「軍にもあるだろう。なければ俺から渡しておく」
とりあえず俺から各所に話をしておこう……って、そうだ。
「イネス、ゴブリンを解体できるのか?」
丸ごと煮込むわけにはいかないだろう。色々と混ざるだろうからな。
「多分できます。他にも何人か魔物や動物を解体した経験がありますので大丈夫なはずです」
「それならいいけど、もし人手が必要になったら俺に言うか、作業要員を雇ってもいい」
「分かりました。ありがとうございます」
◆◆◆
「シュウジさん、こちらの準備も完了しました」
「よし、なんとかなったか」
ミレーヌが用意したのは下着。まだ日本のメーカーのようにはいかないけど、それなりの品質とデザインになっている。俺はこれには関わっていないぞ。
アンナさんが商会長ということで、エミリアが発案してミレーヌとリュシエンヌがそこに加わり、要するに内助の功をしようということになったそうだ。三人が何かをしてるのは分かってたけど、聞くのは無粋だろうと思って話してくれるのを待った。待って教えてくれたのが下着の話だった。どんなデザインが好きですかって。だからここにあるのは基本的には俺の好みのデザインばかりだ。
ベタかもしれないけど、ハーフカップから零れそうな胸もいいし、レースで透け感があるのもいい。でもこの国はきちんとした下着は高いからな。パンツなんて布をケチって適当に切って縫って横側を結ぶ紐パンが多い。これだと作りが簡単だからだそうだ。メイドたちが着けてるのはこういうのが多い。上を向いた俺の顔に落ちてくるのはこういうのばっかりだ。中には布をケチりすぎてほぼ紐だけってものもある。デザイン性はゼロだけどな。
この国では工業化はそれほど進んでいない。魔道具があるから、布には魔道具化された織機が使われている。もちろん普通に手で織る織機も多い。でも切ったり縫ったりするのは手作業がほとんどだ。
普通の服ならそれでいいけど、下着用はまた別になるだろう。それを見て興奮できるかどうかというのがポイントだからだ。だから高級な下着にはレースが使われる。繊細だからその分だけ高くなる。
うちの商会ならではの商品として、普通のオシャレな下着だけじゃなくて補整下着も作り始めた。これはしっかりと包み込むようにするので高級感よりも安心感が求められるだろう。でも地味にならないように、細かな部分のデザインには注意を払ったようだ。
俺が胸に貴賤はないと言ってるけど、それはあくまで俺にこだわりがないというだけだ。男であれ女であれ、常に外見には注意をするべきだと思う。そのためには胸を美しく見せることもその一つだろう。
ブラそのものに問題はないようだけど、ゴムを使うからどうしてもやや高めになる。ゴムが高いんだよ。いずれは何かしらの方法でコストダウンができればいいな。
自分ところでゴムを作れば済む話かもしれないけど、いきなりそこまで話を進めるのは無理だ。とりあえずイネスの実家のあるナントカッソンという西の方にある町に商会の支店を作る準備をしている。まだ稼働はしていない。人集めの段階だ。
商会の本店は今のところ順調なスタートを見せている。商品以外はアンナさんに丸投げだ。問題は起きていないから話すこともほとんどない。
今後はもっと独自色を出したい。そうすると次の一手を何にするかだけど、やっぱり美容が中心になるだろう。美容液や化粧品はすでに販売を始めている。
化粧品は美容成分を配合した肌に優しいファンデーションをラインナップに入れた。この路線しかないだろう。そうなると次は……健康食品か?
コラーゲンは口から入れてもいいそうだけど、もう少し味と栄養とのバランスを考えて、食品寄りでやりたいな。また試作品作りかな。
今朝、オレリーから美容液を使っても何もなかったと報告があった。夜と朝の二回使ったようだ。それをイネスに報告している。
「はい。サンプルが少ないので細かなところは分かりませんが、今のところは問題は聞いていません」
新しい美容液の素材として魔物が使えないかということで、手に入ったゴブリンで試してみた。これまでイネスが使っていたものは薬草や蜂蜜などを使ったもので、それもこれまで通りに作っている。今作っているのは別の種類のものだ。
新しい美容液の材料になるのは動物の皮や骨で、その代わりとして魔物が使えるんじゃないかと考えてテスト中だ。ここにあるのはゴブリンの右耳だ。何百もある。魔物の素材は加工されて様々な製品になるけど、ゴブリンについてはほとんど活用されていない。肉は硬くて臭くて不味いからだ。スラムで暮らす者たちなら口にするけど、それでもできれば遠慮したい、そのレベルだそうだ。黒パンで生きていけるくらいだからな。
それに皮は防具にするほど丈夫じゃない。脂肪はあまりないから石鹸や蝋燭にもできない。辛うじて骨が肥料にできるくらいだ。その骨だって他の魔物で十分。それなら集めようなんて誰も思わない。
ゴブリンは子供には危険だけど大人なら問題ない。それでも一対一ならという条件で、二匹三匹をまとめて相手にしたら危ないそうだ。扱い的には害虫や特定外来生物みたいなもので、要するに邪魔なだけの存在になる。うちが美容液の素材として使用するなら、商品価値は高くはないけど、これまで見たいにゼロじゃなくなるだろう。
ここにあるのが耳ばっかりなのは、ゴブリンの討伐証明は右耳で、冒険者ギルドが廃棄するものを貰ってきたそうだ。ゴブリンの素材が欲しいって言ったら変な顔をされたそうだけど、俺の名前を出したらすんなり貰えたということだった。キンキラの身分証が役に立ったな。
「それなら魔物の皮を集めて……いや、集めさせればいいか。でもそんなに高くはできないよなあ」
もちろんわざわざ遠くまで狩りに出かけるようなものじゃない。王都から近いところに現れれば、仕事ついでに刈って持ち帰れば酒の一杯か二杯くらいにはなる。その程度だ。
「ギルドや軍に頼むのはいかがでしょうか? 一括で引き取るということにして」
「聞いてみるか。たまに湧くらしいからな」
冒険者ギルドにそれを依頼として出せば、駆け出し冒険者なら依頼稼ぎにいいかもしれない。軍も治安維持のために兵士を巡回させている。魔物が現れれば駆除をする。それを分けてもらえないか頼んでもいい。
魔物が増えるパターンは二つある。一つは人間と同じように親から生まれる。これは主に魔獣のようで、犬や熊や鳥などの魔獣は産んで増やすこともあるそうだ。もう一つは魔素の淀みから生まれる。ダンジョンがそのいい例だ。
親から生まれるなら一度徹底的に駆除すればそう簡単には増えないだろう。でも魔素の淀みが原因なら、そう簡単に駆除はできない。気を抜けばどんどん増える。
森の中、山の中、ダンジョンの中など、空気の流れの悪い場所の魔素は気がつけば澱む。それをできる限り引っかき回せば魔物が発生することは減るけど、そのまま放っておくとポコポコと出てくるそうだ。
どうせ何をしても湧くのなら、駆除のついでに少しでも金になればいい。
「軍の方は……伝手と呼べるような伝手じゃないけど、練兵場をたまに使わせてもらってるから、そっちで聞いてみよう。許可が出ればこっちに運んでもらうのでいいか?」
「はい。そのままだと腐りますので、マジックバッグでお願いします」
「軍にもあるだろう。なければ俺から渡しておく」
とりあえず俺から各所に話をしておこう……って、そうだ。
「イネス、ゴブリンを解体できるのか?」
丸ごと煮込むわけにはいかないだろう。色々と混ざるだろうからな。
「多分できます。他にも何人か魔物や動物を解体した経験がありますので大丈夫なはずです」
「それならいいけど、もし人手が必要になったら俺に言うか、作業要員を雇ってもいい」
「分かりました。ありがとうございます」
◆◆◆
「シュウジさん、こちらの準備も完了しました」
「よし、なんとかなったか」
ミレーヌが用意したのは下着。まだ日本のメーカーのようにはいかないけど、それなりの品質とデザインになっている。俺はこれには関わっていないぞ。
アンナさんが商会長ということで、エミリアが発案してミレーヌとリュシエンヌがそこに加わり、要するに内助の功をしようということになったそうだ。三人が何かをしてるのは分かってたけど、聞くのは無粋だろうと思って話してくれるのを待った。待って教えてくれたのが下着の話だった。どんなデザインが好きですかって。だからここにあるのは基本的には俺の好みのデザインばかりだ。
ベタかもしれないけど、ハーフカップから零れそうな胸もいいし、レースで透け感があるのもいい。でもこの国はきちんとした下着は高いからな。パンツなんて布をケチって適当に切って縫って横側を結ぶ紐パンが多い。これだと作りが簡単だからだそうだ。メイドたちが着けてるのはこういうのが多い。上を向いた俺の顔に落ちてくるのはこういうのばっかりだ。中には布をケチりすぎてほぼ紐だけってものもある。デザイン性はゼロだけどな。
この国では工業化はそれほど進んでいない。魔道具があるから、布には魔道具化された織機が使われている。もちろん普通に手で織る織機も多い。でも切ったり縫ったりするのは手作業がほとんどだ。
普通の服ならそれでいいけど、下着用はまた別になるだろう。それを見て興奮できるかどうかというのがポイントだからだ。だから高級な下着にはレースが使われる。繊細だからその分だけ高くなる。
うちの商会ならではの商品として、普通のオシャレな下着だけじゃなくて補整下着も作り始めた。これはしっかりと包み込むようにするので高級感よりも安心感が求められるだろう。でも地味にならないように、細かな部分のデザインには注意を払ったようだ。
俺が胸に貴賤はないと言ってるけど、それはあくまで俺にこだわりがないというだけだ。男であれ女であれ、常に外見には注意をするべきだと思う。そのためには胸を美しく見せることもその一つだろう。
ブラそのものに問題はないようだけど、ゴムを使うからどうしてもやや高めになる。ゴムが高いんだよ。いずれは何かしらの方法でコストダウンができればいいな。
自分ところでゴムを作れば済む話かもしれないけど、いきなりそこまで話を進めるのは無理だ。とりあえずイネスの実家のあるナントカッソンという西の方にある町に商会の支店を作る準備をしている。まだ稼働はしていない。人集めの段階だ。
商会の本店は今のところ順調なスタートを見せている。商品以外はアンナさんに丸投げだ。問題は起きていないから話すこともほとんどない。
今後はもっと独自色を出したい。そうすると次の一手を何にするかだけど、やっぱり美容が中心になるだろう。美容液や化粧品はすでに販売を始めている。
化粧品は美容成分を配合した肌に優しいファンデーションをラインナップに入れた。この路線しかないだろう。そうなると次は……健康食品か?
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