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第一部:ロクデナシと勇者
魔法とスキルの説明
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「次は魔法とスキルの説明をしますね♪」
キスマークを付けたあたりからミレーヌの機嫌が良くなった。オラオラでオドオドした表情もいいけど、こっちの方がいいな。オラオラはやめだ。あんまり俺向きじゃない。
「魔法とスキルに関しては、訓練は必要ですけど、一般的な魔法やスキルは使えるようになりました。さらにシュウジさん限定の魔法やスキルもあります」
俺限定?
「世界で俺しか使えないってやつか?」
「一〇〇パーセントそうとは言いきれませんけど、全く同じものは地球生まれの勇者でなければ身に付きません」
「そういう意味か」
固有魔法や固有スキルと呼ばれるものか。それくらいなら俺にでも分かる。
「生まれ育った世界を元にカスタマイズされるものです。いきなり未知の世界にある未知の種族が使う魔法を与えられても困りますよね? 水の中で暮らす種族が陸上で使うスキルとか、そういうものです」
「俺には必要ないな」
逆ならアリかもしれない。水中で呼吸ができるようになるスキルとか。
「はい。そういうわけで、シュウジさんが理解できる範囲の固有の魔法やスキルが付きます。勇者なら、主に味方に対して使う全体回復魔法などです。死者蘇生も得意になりますね」
「蘇生ってできるのか?」
「できます。普通の蘇生魔法なら運頼みですけど、勇者の蘇生魔法ならほぼ確実に生き返ります。勇者は人々を救うのが仕事ですから。いずれにせよ肉体の破損がひどいと難しいですけど」
ドラゴンのブレスで消し炭にされたのに、次の瞬間にエフェクト付きで生き返るとかはないってことだ。わりと現実的か。
「普通の蘇生魔法と勇者の蘇生魔法の違いって何だ?」
「そうですね……例えばサイコロが二つあるとして、勇者以外なら足して七以上なら生き返します」
なるほど。五〇パーセントよりは高いのか。
サイコロを二つ振ると合計が絶対に一にはならないから、二から一二までのどれかが出る。そして中央の七が出る確率が一番高い。確率的には七以上なら五八・三三パーセント、六以下は四一・六七パーセント。
パッと聞くと六以下と七以上は同じに聞こえるかもしれないけど、実はかなり違う。何かを賭ける時は気をつけた方がいい。
「なら勇者は?」
「勇者の場合は足して二以上なら生き返ります」
「一〇〇パーセントじゃねえか」
思わず突っ込んだ。何をしたらサイコロを二つ振って一が出るのかって話だ。
「サイコロが割れたりした時は無効です。片方が一で、もう片方が割れたとか、二つとも割れてしまったとか、そういう可能性もゼロではありませんから」
こじつけっぽいなあ。でもサイコロだろ?
「普通のを何回もかけたらダメなのか?」
一回でダメなら二回目を試してもいいと思うんだけどな。
「一度失敗すると、ステータスの数値はその年齢のごく標準的な数値になります。一方でこれまで得た経験値やレベルはそのままですから、冒険者ならほぼ詰みますね」
「なるほどね。鍛えに鍛えたスタータスが一般人レベルに戻って、しかもすでにレベルは高いからこれ以上は上げづらいってことか」
「そうなります」
鍛えれば鍛えるほど蘇生が失敗した時のデメリットが大きくなる。逆に一般人ならデメリットはほとんどないんだろうな。簡単に蘇生魔法をかけてもらえるかどうかは別だろうけど。
「さすがに自分に蘇生魔法をかけるのは無理だよな?」
「無茶しないでくださいね。泣きますよ?」
「お前を泣かせたりしないから安心してくれ」
向かい合わせだと表情がよく分かってしまう。でも慰めるにはちょうどいい。キスをして少し曇った表情を宥める。
……。
…………。
キスのしすぎで少し疲れた。ミレーヌは紅茶を入れ直すと、当然のように俺に跨った。
「魔法とスキルは、様々な神の持つ力を細分化して効果を落としたものです。人はその中で魔力を消費するものが魔法、それ以外がスキルと呼び分けるそうです。だからスキルの中に魔法があると考えてもいいと思います」
「なるほど。いっぱいあるな」
今度はスキルのチェックをする。使い方が分からなければ持ってる意味がない。
「人間として普通に使う可能性のあるものは使えるようになっています。でも鍛えなければ使いこなせませんので注意してください」
スキルや魔法の習得はゲームの醍醐味かもしれないけど、ここはゲームじゃないからな。
「一つ注意してほしいのは、魔法でも体力を消耗するものがあります。例えば身体強化系です。その場合は魔力も体力も消費します」
「体を使うからだよな?」
「はい。ヘトヘトに疲れた状態で敵から逃げようとして【移動速度増加】や【瞬発力増加】を使っても、さらに疲れて動けなくなるだけなので注意してください」
「ゲームっぽいけどやっぱり現実はゲームじゃないんだな」
「そこまで上手くはできていませんね」
そこまで説明されてから、魔法とスキルをチェックする。
「魔力ってどういうものなんだ?」
「大気中には魔素と呼ばれる成分があります。これを生物も植物も自然と取り込みます。それが体の中に蓄えられて魔力に変換されます」
「つまり放っておいても溜まるってことだよな?」
「はい。人は必要以上に魔力が溜まると放出します。でも魔物や魔獣はそれを魔石として体内に蓄えます」
魔石か。ファンタジー物質だな。
「それを色々なことに使えるんだな?」
「そうです。魔道具のエネルギー源にしたり、魔法を使う際の燃料タンクにしたり」
「それはどこにあるんだ?」
「大抵は胸か頭ですね。血の流れとともに魔力も循環しますから、その流れのどこかにできます。個体によって形も大きさも違うそうなので、割って確認するまでは分からないことがほとんどです」
もしかしたら結石みたいなもんか?
「魔法とスキルに話を戻しますけど、それぞれ個別に隠すことができます。非表示項目だけを見ることもできますから、必要に応じて切り替えて使ってください。隠しても効き目は変わりません。隠すと基本的に他人からも見えなくなりますけど、【鑑定】をかけられたら見られることもあります。非表示にするだけではなく、機能をオフにすることもできます。一度所持スキルを確認してください」
そう言われてスキルをチェックするとずらずらっと出た。
キスマークを付けたあたりからミレーヌの機嫌が良くなった。オラオラでオドオドした表情もいいけど、こっちの方がいいな。オラオラはやめだ。あんまり俺向きじゃない。
「魔法とスキルに関しては、訓練は必要ですけど、一般的な魔法やスキルは使えるようになりました。さらにシュウジさん限定の魔法やスキルもあります」
俺限定?
「世界で俺しか使えないってやつか?」
「一〇〇パーセントそうとは言いきれませんけど、全く同じものは地球生まれの勇者でなければ身に付きません」
「そういう意味か」
固有魔法や固有スキルと呼ばれるものか。それくらいなら俺にでも分かる。
「生まれ育った世界を元にカスタマイズされるものです。いきなり未知の世界にある未知の種族が使う魔法を与えられても困りますよね? 水の中で暮らす種族が陸上で使うスキルとか、そういうものです」
「俺には必要ないな」
逆ならアリかもしれない。水中で呼吸ができるようになるスキルとか。
「はい。そういうわけで、シュウジさんが理解できる範囲の固有の魔法やスキルが付きます。勇者なら、主に味方に対して使う全体回復魔法などです。死者蘇生も得意になりますね」
「蘇生ってできるのか?」
「できます。普通の蘇生魔法なら運頼みですけど、勇者の蘇生魔法ならほぼ確実に生き返ります。勇者は人々を救うのが仕事ですから。いずれにせよ肉体の破損がひどいと難しいですけど」
ドラゴンのブレスで消し炭にされたのに、次の瞬間にエフェクト付きで生き返るとかはないってことだ。わりと現実的か。
「普通の蘇生魔法と勇者の蘇生魔法の違いって何だ?」
「そうですね……例えばサイコロが二つあるとして、勇者以外なら足して七以上なら生き返します」
なるほど。五〇パーセントよりは高いのか。
サイコロを二つ振ると合計が絶対に一にはならないから、二から一二までのどれかが出る。そして中央の七が出る確率が一番高い。確率的には七以上なら五八・三三パーセント、六以下は四一・六七パーセント。
パッと聞くと六以下と七以上は同じに聞こえるかもしれないけど、実はかなり違う。何かを賭ける時は気をつけた方がいい。
「なら勇者は?」
「勇者の場合は足して二以上なら生き返ります」
「一〇〇パーセントじゃねえか」
思わず突っ込んだ。何をしたらサイコロを二つ振って一が出るのかって話だ。
「サイコロが割れたりした時は無効です。片方が一で、もう片方が割れたとか、二つとも割れてしまったとか、そういう可能性もゼロではありませんから」
こじつけっぽいなあ。でもサイコロだろ?
「普通のを何回もかけたらダメなのか?」
一回でダメなら二回目を試してもいいと思うんだけどな。
「一度失敗すると、ステータスの数値はその年齢のごく標準的な数値になります。一方でこれまで得た経験値やレベルはそのままですから、冒険者ならほぼ詰みますね」
「なるほどね。鍛えに鍛えたスタータスが一般人レベルに戻って、しかもすでにレベルは高いからこれ以上は上げづらいってことか」
「そうなります」
鍛えれば鍛えるほど蘇生が失敗した時のデメリットが大きくなる。逆に一般人ならデメリットはほとんどないんだろうな。簡単に蘇生魔法をかけてもらえるかどうかは別だろうけど。
「さすがに自分に蘇生魔法をかけるのは無理だよな?」
「無茶しないでくださいね。泣きますよ?」
「お前を泣かせたりしないから安心してくれ」
向かい合わせだと表情がよく分かってしまう。でも慰めるにはちょうどいい。キスをして少し曇った表情を宥める。
……。
…………。
キスのしすぎで少し疲れた。ミレーヌは紅茶を入れ直すと、当然のように俺に跨った。
「魔法とスキルは、様々な神の持つ力を細分化して効果を落としたものです。人はその中で魔力を消費するものが魔法、それ以外がスキルと呼び分けるそうです。だからスキルの中に魔法があると考えてもいいと思います」
「なるほど。いっぱいあるな」
今度はスキルのチェックをする。使い方が分からなければ持ってる意味がない。
「人間として普通に使う可能性のあるものは使えるようになっています。でも鍛えなければ使いこなせませんので注意してください」
スキルや魔法の習得はゲームの醍醐味かもしれないけど、ここはゲームじゃないからな。
「一つ注意してほしいのは、魔法でも体力を消耗するものがあります。例えば身体強化系です。その場合は魔力も体力も消費します」
「体を使うからだよな?」
「はい。ヘトヘトに疲れた状態で敵から逃げようとして【移動速度増加】や【瞬発力増加】を使っても、さらに疲れて動けなくなるだけなので注意してください」
「ゲームっぽいけどやっぱり現実はゲームじゃないんだな」
「そこまで上手くはできていませんね」
そこまで説明されてから、魔法とスキルをチェックする。
「魔力ってどういうものなんだ?」
「大気中には魔素と呼ばれる成分があります。これを生物も植物も自然と取り込みます。それが体の中に蓄えられて魔力に変換されます」
「つまり放っておいても溜まるってことだよな?」
「はい。人は必要以上に魔力が溜まると放出します。でも魔物や魔獣はそれを魔石として体内に蓄えます」
魔石か。ファンタジー物質だな。
「それを色々なことに使えるんだな?」
「そうです。魔道具のエネルギー源にしたり、魔法を使う際の燃料タンクにしたり」
「それはどこにあるんだ?」
「大抵は胸か頭ですね。血の流れとともに魔力も循環しますから、その流れのどこかにできます。個体によって形も大きさも違うそうなので、割って確認するまでは分からないことがほとんどです」
もしかしたら結石みたいなもんか?
「魔法とスキルに話を戻しますけど、それぞれ個別に隠すことができます。非表示項目だけを見ることもできますから、必要に応じて切り替えて使ってください。隠しても効き目は変わりません。隠すと基本的に他人からも見えなくなりますけど、【鑑定】をかけられたら見られることもあります。非表示にするだけではなく、機能をオフにすることもできます。一度所持スキルを確認してください」
そう言われてスキルをチェックするとずらずらっと出た。
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