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第五部:勉強と試験
【神の愛】
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「それは……神としての権能です」
さっきの【神の愛】についてミレーヌに聞いたところ、そんな答えが返ってきた。
「権能?」
「はい。人にとっての魔法やスキルの上位互換のようなものと思ってください」
神は様々な力を持っている。その力を細かく分け、効果を落として人に与えたのが魔法やスキルらしい。
「どうして俺がその権能とやらを使えるんだ?」
俺がそう言うと、ミレーヌは少し言いにくそうな表情をした。
「怒ってるとかどういうんじゃないから。ただの疑問だ」
「……実は……以前から気づいていたんですけど、シュウジさんは神になりかけています、というかなっています」
「え?」
俺のステータスでは神にはなれないと言ってなかったか?
「シュウジさんに初めて抱かれた時に気づいたんですけど、【女神ミレーヌの夫】って出ませんでしたか?」
「そう言えば、召喚後のステータスチェックで出たな」
エミリアがタブレットを俺に渡した時だ。【女神ミレーヌの加護】【女神ミレーヌの夫】の二つがあった。いつの間に正式に夫になったのかと疑問に思った記憶がある。
「向こうにいる時……最初に私の胸を揉んだ時ですけど、何かが体の中に入ってくる感覚はありませんでしたか?」
「入ってくる感覚か……」
アレか? ピリッとしたやつか?
「入ってきたかどうかは覚えてないけど、うなじを舐めた時にピリッと痺れるような感覚が一瞬だけあったな。静電気みたいだった覚えがある」
「それならその時に私の力を取り込んでしまったようです」
「〔神の欠片〕って出てたな」
「それですね」
ミレーヌによると、何でもいいので神の一部を体内に取り入れると、神の力を少し得ることができるらしい。神を抱けば一〇〇パーセントだそうだ。ただし薄まったり時間が経ったりしたものじゃ意味がないそうだから、ミレーヌが入った後の風呂の水を飲んでもダメらしい。俺にはそういう趣味はないけど、黄金色の聖水を浴びてもOKだそうだ。
「それなら【神の愛】というのは神としての力なのか。でもステータスには出ないぞ」
「ステータスは人の力を表示するためのものなので、神の力は表示できないはずです。神としてのステータスを見たいと意識すれば別の画面が見えると思いますよ」
「なるほどなあ」
神としてのステータスなあ。なりたいわけじゃないんだけどな。
ミレーヌが言いにくそうだったのは、もしかして「神になるのは面倒ごとが増えそうだから遠慮する」と言ったのを気にしてたのか? そこまで嫌なわけじゃない。それにミレーヌの側にいられるなら神になろうが何になろうが気にしない。
====================
【神名:シュウジ】
【位階:愛の神(下級神見習い)】
【権能:神の愛】
※注記
【美の女神ミレーヌの夫】
====================
ミレーヌのは……見れるな。
====================
【神名:ミレーヌ】
【位階:美の神(下級神)】
【権能:神の美】
※注記
【愛の男神シュウジの妻】
====================
「あるな。下級神見習いか。そして【愛の神】か、って俺が【愛の神】? ネタか?」
「愛を囁いてその気にさせるのは【愛の神】の仕事です。しかも見習いなのに何の神になるかが決まっているのは、おそらく私よりも神格が上なんでしょうね。妻としては鼻が高いです♪」
ミレーヌは自分のことのように喜んでくれた。こいつはホントに嫉妬しないな。でも適当に扱っても離れない都合のいい女とかじゃない。こういう女だからこそ戻ってきたくなるんだ。勝手な言い分だろうけど、すぐそこに自分の家があるという安心感だ。
「愛の神である俺本人が抱いても問題ないのか?」
「この場合の愛は愛欲です。自分で抱いても他人に抱かせてもいいんです。もう好き勝手にバンバン抱いてバンバン子供を作ってください。ギリシャ神話みたいに」
うちの妻は超寛大だ。妻公認で浮気OK。
「さすがに貴族だから、あまり好き勝手にはできないけどな。そういえばミレーヌにも【美の神】って付いてるぞ?」
「——えっ⁉」
ミレーヌは一瞬「この人は何を言ってるの?」だて顔をしたけど、慌てて何かをし始めた。おそらく自分のステータスのチェックでもしてるんだろうか?
「ぃやった~~~! やりました~~~! 合格で~~~す!」
ミレーヌはぴょんぴょん跳ねながら抱きついてきたので、抱き上げてくるくる回る。愛いやつめ愛いやつめ。
「それにしても早すぎないか?」
俺がミレーヌと知り合ってから、まだ二週間も経ってない。
「期間は関係ないんです。勇者が結果を出したかどうかということが重要で」
「それなら……ん? 俺がエミリアに愛を囁いた時点で合格だったのか?」
「ええっと……もっと後……リュシエンヌさんを抱いた後ですね。一人ではダメみたいです」
「リュシエンヌは落とす前に勝手に落ちてたけどな。てことはだ、あの時ミレーヌに手を出しだからこそ俺に【愛の神】としての力が備わった。それで【神の愛】を二人に使ったおかげでミレーヌは合格したと」
「はい、そうなります」
ミレーヌのために頑張るついでに夜も頑張る生活をしたら、勝手に合格していた。俺らしいといえば俺らしいか。でもひょっとしたら、図書室にいたオリエンヌを抱いてたらその時点で合格してたのかもしれないな。スタート地点がすぐゴールって、ゲームならクソゲー扱いだろう。
「でも神の試験に神の力を使うってどうなんだろうな」
まあいいか。抱きついているミレーヌを抱き上げる。うーん、収まりがいいな。まさに俺のための女神だ。
「ということで、正式に女神になれましたので、これでシュウジさんの妻になります。末永く可愛がってください、あなた」
「ああ、可愛がってやるよ。さっそくな」
「きゃあ♡」
さっきの【神の愛】についてミレーヌに聞いたところ、そんな答えが返ってきた。
「権能?」
「はい。人にとっての魔法やスキルの上位互換のようなものと思ってください」
神は様々な力を持っている。その力を細かく分け、効果を落として人に与えたのが魔法やスキルらしい。
「どうして俺がその権能とやらを使えるんだ?」
俺がそう言うと、ミレーヌは少し言いにくそうな表情をした。
「怒ってるとかどういうんじゃないから。ただの疑問だ」
「……実は……以前から気づいていたんですけど、シュウジさんは神になりかけています、というかなっています」
「え?」
俺のステータスでは神にはなれないと言ってなかったか?
「シュウジさんに初めて抱かれた時に気づいたんですけど、【女神ミレーヌの夫】って出ませんでしたか?」
「そう言えば、召喚後のステータスチェックで出たな」
エミリアがタブレットを俺に渡した時だ。【女神ミレーヌの加護】【女神ミレーヌの夫】の二つがあった。いつの間に正式に夫になったのかと疑問に思った記憶がある。
「向こうにいる時……最初に私の胸を揉んだ時ですけど、何かが体の中に入ってくる感覚はありませんでしたか?」
「入ってくる感覚か……」
アレか? ピリッとしたやつか?
「入ってきたかどうかは覚えてないけど、うなじを舐めた時にピリッと痺れるような感覚が一瞬だけあったな。静電気みたいだった覚えがある」
「それならその時に私の力を取り込んでしまったようです」
「〔神の欠片〕って出てたな」
「それですね」
ミレーヌによると、何でもいいので神の一部を体内に取り入れると、神の力を少し得ることができるらしい。神を抱けば一〇〇パーセントだそうだ。ただし薄まったり時間が経ったりしたものじゃ意味がないそうだから、ミレーヌが入った後の風呂の水を飲んでもダメらしい。俺にはそういう趣味はないけど、黄金色の聖水を浴びてもOKだそうだ。
「それなら【神の愛】というのは神としての力なのか。でもステータスには出ないぞ」
「ステータスは人の力を表示するためのものなので、神の力は表示できないはずです。神としてのステータスを見たいと意識すれば別の画面が見えると思いますよ」
「なるほどなあ」
神としてのステータスなあ。なりたいわけじゃないんだけどな。
ミレーヌが言いにくそうだったのは、もしかして「神になるのは面倒ごとが増えそうだから遠慮する」と言ったのを気にしてたのか? そこまで嫌なわけじゃない。それにミレーヌの側にいられるなら神になろうが何になろうが気にしない。
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【神名:シュウジ】
【位階:愛の神(下級神見習い)】
【権能:神の愛】
※注記
【美の女神ミレーヌの夫】
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ミレーヌのは……見れるな。
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【神名:ミレーヌ】
【位階:美の神(下級神)】
【権能:神の美】
※注記
【愛の男神シュウジの妻】
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「あるな。下級神見習いか。そして【愛の神】か、って俺が【愛の神】? ネタか?」
「愛を囁いてその気にさせるのは【愛の神】の仕事です。しかも見習いなのに何の神になるかが決まっているのは、おそらく私よりも神格が上なんでしょうね。妻としては鼻が高いです♪」
ミレーヌは自分のことのように喜んでくれた。こいつはホントに嫉妬しないな。でも適当に扱っても離れない都合のいい女とかじゃない。こういう女だからこそ戻ってきたくなるんだ。勝手な言い分だろうけど、すぐそこに自分の家があるという安心感だ。
「愛の神である俺本人が抱いても問題ないのか?」
「この場合の愛は愛欲です。自分で抱いても他人に抱かせてもいいんです。もう好き勝手にバンバン抱いてバンバン子供を作ってください。ギリシャ神話みたいに」
うちの妻は超寛大だ。妻公認で浮気OK。
「さすがに貴族だから、あまり好き勝手にはできないけどな。そういえばミレーヌにも【美の神】って付いてるぞ?」
「——えっ⁉」
ミレーヌは一瞬「この人は何を言ってるの?」だて顔をしたけど、慌てて何かをし始めた。おそらく自分のステータスのチェックでもしてるんだろうか?
「ぃやった~~~! やりました~~~! 合格で~~~す!」
ミレーヌはぴょんぴょん跳ねながら抱きついてきたので、抱き上げてくるくる回る。愛いやつめ愛いやつめ。
「それにしても早すぎないか?」
俺がミレーヌと知り合ってから、まだ二週間も経ってない。
「期間は関係ないんです。勇者が結果を出したかどうかということが重要で」
「それなら……ん? 俺がエミリアに愛を囁いた時点で合格だったのか?」
「ええっと……もっと後……リュシエンヌさんを抱いた後ですね。一人ではダメみたいです」
「リュシエンヌは落とす前に勝手に落ちてたけどな。てことはだ、あの時ミレーヌに手を出しだからこそ俺に【愛の神】としての力が備わった。それで【神の愛】を二人に使ったおかげでミレーヌは合格したと」
「はい、そうなります」
ミレーヌのために頑張るついでに夜も頑張る生活をしたら、勝手に合格していた。俺らしいといえば俺らしいか。でもひょっとしたら、図書室にいたオリエンヌを抱いてたらその時点で合格してたのかもしれないな。スタート地点がすぐゴールって、ゲームならクソゲー扱いだろう。
「でも神の試験に神の力を使うってどうなんだろうな」
まあいいか。抱きついているミレーヌを抱き上げる。うーん、収まりがいいな。まさに俺のための女神だ。
「ということで、正式に女神になれましたので、これでシュウジさんの妻になります。末永く可愛がってください、あなた」
「ああ、可愛がってやるよ。さっそくな」
「きゃあ♡」
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