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回想その10
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あの人は。
少し離れたところからこっちを見ている彼女……いや彼は。
『ヨウヨル』攻略キャラクターなのに恋愛エンドがないおねえキャラ、フスタフ王子ではありませんか。
名前を出した途端。
ハムスターがこっちみてこっちみてと飛び跳ねた。
ハムスターのもっふりした腹に、帯が巻かれている。
その帯の端を、見えない何かがグっと引っ張った。グルグル回りだすハムスター。所謂、お代官様~~あ~れ~という状態だ。
『フスタフはエイラスの三つ上の兄で』
引っ張られた帯に文字が書かれている。
『元々は彼が第一王位継承者であった』
その文字をハムスターが目をまわしながら読んでいる。謎の解説方法だ。
『王位を継ぐのは、王族の中で一番妖精の力が強い者。同程度の力を持つ場合には、先に生まれた者と決まっている。エイラスとフスタフの力は同程度だったので、先に生まれたフスタフが継ぐことになっていた。
しかし、先代王が体調を崩したあたりから。
フスタフは、女装趣味の遊び人に変貌して世間の評判を落とし、自業自得ながらそのことが精神に響いたのか、徐々に妖精の力を上手く操ることが出来なくなってしまった』
あーそれは攻略したときに見たかも。
フスタフは、てっぺんからどん底に落ちた割にいつなんどきでも飄々としている印象があって。
常にカツラを被っているから、本来の髪色は不明。瞳は琥珀色で、シュっと筆をひいたような細い目をしている。塩顔のイケメンなのだろうけれど、すっぴんも不明。
体格は割とガッシリしてるし背もかなり高く、どこからどうみても男なのに、不思議と女装が似合う。ミステリアスが魅力のキャラだ。
しかし彼に関してプレイヤーは賛否両論だった。
攻略キャラクターに恋愛エンドがないなんてあり得ないっていうのと。
もしかしたら、女装男子というより本当に男が好きで女性の恰好をしているのではという疑いがあって。
フスタフ×エイラスとかそういう二次創作を書いている人が結構居た。
『なぜ女装してる方が上なのだろうか……』
ハムスターが帯に絡まりながら首を傾げた。
……さ……さぁ。
くだらない話をしていたらいつの間にか気持ちが落ち着いていた。深く息を吸い込んで吐くと。
現実に見えているもう一つの謎物体であるモフモフマリモが、疑わしそうに私を睨みつつも、フワっと消えた。
ほっと一息つくと。
「何があった?」
近づいてきたエイラスが、落ち着いた声でそう問うた。
さて……今度こそどうしようか。
イファンとエイラス。汚れて着れなくなったドレス。
なんやかんやイレギュラーはありまくりだが、材料は揃っている。なにより現在の状況をモフモフマリモが公認している。
なら、やってみるしかない。
「エイラス様っ」
私は、誰よりも早く声を上げ、エイラスを見据えた。
「ワインを零してしまいましてっ着替えのためにお部屋を用意してくださると嬉しいのですが」
「…………ん?」
エイラスが、数回瞬きした。睫が長くて音がしそうだ。
「ワイン零しましたっの」
私は、馬鹿みたいに二度同じことを言った。
もう何が何でもこれで押し通すしかなくて、目をかっぴらいて訴えた。
「…………」
エイラスは、イファンとアイコンタクトを取り、たぶん きみの姉は何を言ってるんだい? 的なことを問うた。
イファンは、何が何だかわからないというふうに首を傾げた。
二人の仲は、順調そうだ……って喜んでる場合じゃない。
もしもエイラスがバッチリ現場を目撃していたとして、なぜワインをかけたのかと問われれば、やり返しただけですわと言えばいいかもしれない。しかしそうすると女子三人も黙ってはいないだろう。ここで女同士のバチバチバトルを繰り広げてる場合でもない。
私は、女子三人を精一杯睨んだ。
あなたたちも陛下の前でややこしいことにしたくないでしょう? 零したってことでいいでしょう? 今またエーゼンがやったなんて言ってみなさいな。こっちは罪をかぶせられたまま泣き寝入りなんてしないわよ。
という気持ちをのせて、懇願した。お願いした。唇を嚙みしめて頼むよプリーズと目で訴えた。
するとそこに
「陛下。宜しければ私が事の顛末をお話致しましょうか」
一部始終を見ていた妖精一族の男がしゃしゃり出てきた。
伏兵現る。
ピンチ。
かと思いきや。
「いや……」
エイラスはその申し出をやんわり断った。
「みな気にせずパーティを続けてくれ」
男は大人しく下がり。
みなも、不満げではあるが、元の立ち位置へ戻りはじめた。
「お嬢様方はどうぞこちらへ」
私たちは使妖精にエスコートされ、チラチラ見られながらエイラスと共にホールを出た。
『やったよ! ちょっと進んだよ!』
だね! そうだね!
あの空間からは取りあえず脱出できた。イファンの服もちゃんと汚せた。エイラスが何考えてるのか全然わかんなくて怖いけど。
あとは好き同士二人きりにしてしまえばいけるかもしれない。
よしっ。よしよしっ。
私は、一人気合を入れ、エイラスの後ろを歩く金髪の子の肩を軽くたたいた。
「あのね」
どこかの部屋へ辿り着く前に邪魔なものを排除するべし!
といっても……排除排除……思いつかない。エーゼンに借りた本にいい台詞とかシチュエーションあったかな。情報。繋げる。出す。さっきは出来たんだ。やるっきゃない。
私はスーっと細く息を吸い込んで。
「あなたたちがやったこと。誰も見てないと思ったら大間違いよ。証人なんて見つけようと思ったらいくらでも見つけられる」
彼女らにしか聞こえない程度の声で告げた。
効果のほどは……。
金髪の子が、ゴクっと唾を飲んで歩をゆるめ。前を行く仲間二人も体を強張らせた。
いじめっ子のわりに結束力はあるようだ。
「やるならもっと味方を増やさないと。最後の最後で大変などんでん返しに遭う……じゃなくて。
自分の部屋へ帰って出直すと宣言し、今すぐここから去ってくれるなら、この件は追及しないであげるけど?」
金髪の子が、がたがた震えだした。
仲間二人も、同じような反応をしている。
たぶんもうひと押しだ。
もうひと押し。
私の強み……は。怖がられてること。だから……えっと。
「早くしなきゃ呪うわよ」
低い声で囁くように言うと、金髪の子がビクーンっと跳ねて、仲間二人の腕を掴んだ。
「あっあの陛下っ! わたくしたち、替えの服が自室にございますのでっ下がらせていただきたいのです!」
金髪の子は震える声でそう言い、スカートを詰まんでお辞儀した。
怪訝な顔で振り返ったエイラスは
「? それなら使妖精に取りにいかせれば……」
震えながら頭を下げる三人を見て、その後ろに居る私に目を止めた。
「置いてる場所がややこしいんですのっ!」
金髪の子が、一刻も早く私から離れたいのか、すぐさま言い訳した。
私は、今度こそ決して目を逸らすなっと己に言い聞かせ。
全身全霊かけてエイラスと対峙した。
動揺は表に出ていないはずだ。なにせ私は氷の幽霊女。前世では能面系女子だ。内面は……ガクブルだけれども、そう、内面にも強い味方が住んでいるんだから。感じられるのなら感じなさい。私にはモフモフした思考しかないんだからね。決して悪意なんて抱いてませんとも。
じりじりと見つめ合って、いや睨みあっていたら。
「陛下。どうもご無沙汰~~」
この空気に合わない緩い声がした。
え? また? 今度は誰?
紫色の箒みたいに逆立った髪、黄色いつり目、黒いピッチピチタンクトップの獣じみた猫背の男が廊下の向こうから歩いてくる。
イケメンだけど、まったく知らないキャラクターだ。
「オルレシアン様っ……」
彼を見た金髪の子があからさまに頬を赤らめ。エーゼンは……顔ごと背けて震えはじめた。妙な反応だ。
「オルレシアン。お前、家長会議にも出ずに何やってた。やる気がないなら弟に交代してもらえっていうか交代してくれ」
一先ずエイラスの意識が男に移り、私はほっと一息ついた。
次から次へと、絶え間なく起こる想定外で、思考はもちろんのことだが、体力の方が限界に近付いている。
早めに片づけなければ、リリファリアは倒れてしまいそうだ。
「っはは。やる気ならあるある。ある議題のときは行くって決めてっから。俺が来てないってことはどう決まってもOKってことだと思って」
オルレシアンは、ヘラヘラ笑いながらエイラスの横を通り過ぎ、顔を背けるエーゼンの前で止まった。
「よぉ。いいパーティだったか?」
エーゼンは答えない。
「あんたの晴れ姿見に行こうと思ってたんだが、寝坊しちまってな。ん……なんだ? ワイン掛けられたのか? また泣いたか?」
エーゼンは、ぷいぷいとオルレシアンから顔を背け続けてだんまりだ。
そんな二人の様子を、金髪の子が、憎悪に満ちた瞳で睨みつけている。
これは。
私のゲーム脳がピコピコーっと働いて、ハムスターなしに彼らの構図があっという間に出来上がった。
あのオルレシアンって男はたぶん、エーゼンを気に入ってる。
そしてあの金髪の子はオルレシアンのことを狙っている。だからエーゼンに仮装パーティだとか嘘ついて嫌がらせをした。
そうだ。きっとそうだ。乙女ゲーム的展開だ。
「エイラスっ。ちょっとこの女借りてくわ」
陛下とすら呼ばず、オルレシアンはにぃっと親し気に笑った。
「脱がすの手伝ってほしいってさ」
「は?」
エイラスが、心底嫌そうな顔をした。こういう表情をするといっきに少年っぽくなる。
「そっ……そのようなことはっ言っておりませんっ」
エーゼンは全力で首を横に振って、逃げ出そうとしたが、あっさりオルレシアンに捕まりヒョイと持ち上げられた。
エイラスは長い長いため息をついて。
「使妖精、二人にピッタリ張り付け。何かあれば近くに居るやつ集めてその変態を拘束しろ」
近くの使妖精に命じた。
助けないんだ。
金髪の子が唇をかみしめて顔を真っ赤にし、エーゼンは逆に真っ青になった。そしてエイラスの横に居るイファンは、不満げな視線をエイラスに向けた。
「やっです。助けてっリ……」
私の名前を呼ぼうとして躊躇するエーゼン。
乙女ゲーム的に言えば、二人の邪魔をするなんてばかばかしい限りなんだけども。
あんな悲壮な顔で運ばれていくのを見てみぬふりするのは実際問題どうなんだ? この男大丈夫なのか?
でも好都合といえば好都合なわけで。どのみちエーゼンもこの場から遠ざけなければいけいわけで。
「待ちなさいな」
私は、横を通り過ぎようとしたオルレシアンの腕を、つい……掴んで引き留めた。
「んん?」
オルレシアンが、獣の動きで私を見下ろす。
はっきりいってさっきのエイラスと同じぐらい怖い。
「ひどいことしたら呪うから」
釘を刺そうと思ったけど、何にも出てこなず。結局さっきと同じことを言ってしまった。
金髪の子がビクっと反応して、涙目でこっちを見ている。
今の一言。エイラスとイファンにも聞こえてしまっただろうか。
二人の方を見るのが怖い。
どきどきしながら返答を待つこと数秒。
「っぷ……」
オルレシアンは、私の頭をポンっと叩くように撫で―ー。
「嫌ですわーーっ」
あっという間の誘拐劇だった。
気が付くと、エーゼンを抱えた逞しい背中が廊下の曲がり角に消えていった。
「お……お待ちになって! オルレシアン様!」
一拍おいて、金髪の子が叫びながら走り出し、残り二人も慌てふためきながら追いかけて行ったその間。
「お姉さまっ!」
イファンまでもが、私の傍に駆け寄って私が無事かどうか確かめてから、自分のスカートをまくり上げ。
「大丈夫。私がお姉さまのご友人を追いかけて取り戻してくっ」
「いいいいっいいですの! 使妖精にまかせればっいいですの!」
追撃しようとしたので、必死に止めた。
「でも……」
「いいんだってばっ」
「…………」
イファンはヒロインらしからぬしかめっつらで、エイラスを見上げた。
「エイラス様っなぜお二人を行かせたのですか?」
「え……」
まさか自分に飛び火するとは思っていなかったらしい、エイラスは口を半開きで、固まった。
私も予想外すぎて、同じように固まった。
「エイラス様! 嫌がってる女性をなぜ助けなかったんですか!」
目的達成したけどまた新たな問題勃発したわ。世の中ってどうしてこうも上手くいかないのだろう。
「いやその。あれは言うほどひどい男ではないし。そこそこ信用している……わけでもないが」
エイラスが、困っている。
彼にとってイファンは初恋の人だ。それゆえ、始終どういう態度を取っていいのかわからず、王なのにイファンの前でだけはらしく出来ないという可愛らしいところがあった。
イファンだって初恋のはず。それなのに……恋愛感情よりも正義感が勝ってるのだろうか。
このままでは、ドレスを渡すイベントなんてとてもじゃないが起きそうもない。
私は少し悩んで
「イ……イファンっ。実はあの二人、えっと……その……あーー嫌がってるフリしてますけど、いい仲なんですの。あれは照れ隠しよ!」
そう言いきった。
「えっ? でもお姉さまっ」
「鈍いわねイファンっ陛下が気を遣って二人を行かせたのに気付かないなんて」
「でもさっきお姉さま呪うって……」
「わたくしそんなこと言ってませんわ。おふふっ」
笑えねえ。全然まったく高笑いできねえ。
無理矢理声だけでも笑おうとしたらちょっと吐きそうになった。
二人は、キョトンとした顔で私を見ている。さっきワインをぶちまけたときもそんな顔をしていた。
「じゃ。私も部屋へ帰りますわ。ドレスを着替えますので」
適当言って去ろうとしたら、イファンに腕力で引き留められた。
「お姉さまっ他にちゃんとしたドレス買ってらしたの!?」
声がひっくり返るほどびっくりされてしまった。
「だったらどうしてそれ着てこなかったの!? 私てっきり節約のために安売りを買ったらアノ衣装で、後々コスプレだと知ってしまったものの着るものもなくて、誰かに頼むのも癪だから、意地で着て来たのかと思ってたわ」
おいーーこの妹は、姉のことをどう思ってんの?
私の部屋訪れた時点で、そんなこと考えてたの?
ムっとしたら、イファンは叱られた子犬のような態度で肩を落とした。
「お姉さまにちょっかいかける男が居なくなるなら丁度いいかなって思ってそのままに……ごめんなさい」
「よっ余計なお世話よぅ」
すぐさま言い返そうとしたが、勢いが出ない。
イファンはもしかしてもしかすると。ちょっと過保護がすぎるというか。シスコンと言っていい部類に入るのではないだろうかという疑念が……前からあったけど、沸き起こった。
「私は好きで着てきたんだからね。イファンはどうせそれ以外持ってないんでしょう?」
エイラスの目線が動いた。
え? そうなの? という顔をしている。だったら僕が買ってあるよって顔をしている。都合よくそう見えてるのかもしれないけれど、きっとそうだ。そういう顔だ。
これは最期のチャンスだ。
「まあ……そうね。中古のを友人から買ったので……替えはないけれど」
もじもじと目を逸らすイファンのいじらしい様を見てくれエイラス!
「あらそう。でも私は用意してるもの。あなたはせいぜい、その汚れたドレスをゴシゴシして会場に戻るなりしなさいなっ」
腰に手を当てて胸を張った。
ゴシゴシってなんぞ。
ハムスターが、桶と洗濯板を持って、お尻を振りながら踊っている。そうかそうか。これが世に言うゴシゴシダンス。
ってなんぞ。
しどろもどろな私を、目を細めて見つめるイファン。
「姉さま……? また嘘ついて……さっきから変なことばっかりしてるし……」
見透かされている。
「へへへっ変なことって何かしら? 偶然机にぶつかってワインかぶっちゃって、偶然こけて皆様にワインをぶちまけちゃったことかしら? 偶然ですわよ偶然っ。では失礼いたします陛下ーー!」
私は、エーゼンよろしく激しい動きで頭を下げて、前傾姿勢のまま廊下を走り出した。
イファンの足ならばすぐ追いつけるだろうけれど。
後ろから追ってくる音はしない。
エイラスが引き留めてくれたと考えていいだろうか。
頼むエイラス。信じてるエイラス。
男をみせてくれ。
気になる子と二人きりにしてやったんだから。
イファンに似合いそうだとついつい衝動買いしてしまったドレスを、周りの人にエイラスが与えたと気付かれないよう、こっそり着せてやってくれ。
プレイヤーの乙女心をくすぐってくれーーーー!
私は猛烈ダッシュして、外へ通じて居そうなドアを開け、建物外へ出てすぐ。
「ぎゃんっ!」
足をもつれさせてこけた。やはり体力が持たなかったようだ。
手はついたものの、腕力がないので体を支えきれなかった。
痛い。
結構痛い。情けない。
しばらく地面で悶えていると。
「大丈夫?」
子供の声がした。
少し離れたところからこっちを見ている彼女……いや彼は。
『ヨウヨル』攻略キャラクターなのに恋愛エンドがないおねえキャラ、フスタフ王子ではありませんか。
名前を出した途端。
ハムスターがこっちみてこっちみてと飛び跳ねた。
ハムスターのもっふりした腹に、帯が巻かれている。
その帯の端を、見えない何かがグっと引っ張った。グルグル回りだすハムスター。所謂、お代官様~~あ~れ~という状態だ。
『フスタフはエイラスの三つ上の兄で』
引っ張られた帯に文字が書かれている。
『元々は彼が第一王位継承者であった』
その文字をハムスターが目をまわしながら読んでいる。謎の解説方法だ。
『王位を継ぐのは、王族の中で一番妖精の力が強い者。同程度の力を持つ場合には、先に生まれた者と決まっている。エイラスとフスタフの力は同程度だったので、先に生まれたフスタフが継ぐことになっていた。
しかし、先代王が体調を崩したあたりから。
フスタフは、女装趣味の遊び人に変貌して世間の評判を落とし、自業自得ながらそのことが精神に響いたのか、徐々に妖精の力を上手く操ることが出来なくなってしまった』
あーそれは攻略したときに見たかも。
フスタフは、てっぺんからどん底に落ちた割にいつなんどきでも飄々としている印象があって。
常にカツラを被っているから、本来の髪色は不明。瞳は琥珀色で、シュっと筆をひいたような細い目をしている。塩顔のイケメンなのだろうけれど、すっぴんも不明。
体格は割とガッシリしてるし背もかなり高く、どこからどうみても男なのに、不思議と女装が似合う。ミステリアスが魅力のキャラだ。
しかし彼に関してプレイヤーは賛否両論だった。
攻略キャラクターに恋愛エンドがないなんてあり得ないっていうのと。
もしかしたら、女装男子というより本当に男が好きで女性の恰好をしているのではという疑いがあって。
フスタフ×エイラスとかそういう二次創作を書いている人が結構居た。
『なぜ女装してる方が上なのだろうか……』
ハムスターが帯に絡まりながら首を傾げた。
……さ……さぁ。
くだらない話をしていたらいつの間にか気持ちが落ち着いていた。深く息を吸い込んで吐くと。
現実に見えているもう一つの謎物体であるモフモフマリモが、疑わしそうに私を睨みつつも、フワっと消えた。
ほっと一息つくと。
「何があった?」
近づいてきたエイラスが、落ち着いた声でそう問うた。
さて……今度こそどうしようか。
イファンとエイラス。汚れて着れなくなったドレス。
なんやかんやイレギュラーはありまくりだが、材料は揃っている。なにより現在の状況をモフモフマリモが公認している。
なら、やってみるしかない。
「エイラス様っ」
私は、誰よりも早く声を上げ、エイラスを見据えた。
「ワインを零してしまいましてっ着替えのためにお部屋を用意してくださると嬉しいのですが」
「…………ん?」
エイラスが、数回瞬きした。睫が長くて音がしそうだ。
「ワイン零しましたっの」
私は、馬鹿みたいに二度同じことを言った。
もう何が何でもこれで押し通すしかなくて、目をかっぴらいて訴えた。
「…………」
エイラスは、イファンとアイコンタクトを取り、たぶん きみの姉は何を言ってるんだい? 的なことを問うた。
イファンは、何が何だかわからないというふうに首を傾げた。
二人の仲は、順調そうだ……って喜んでる場合じゃない。
もしもエイラスがバッチリ現場を目撃していたとして、なぜワインをかけたのかと問われれば、やり返しただけですわと言えばいいかもしれない。しかしそうすると女子三人も黙ってはいないだろう。ここで女同士のバチバチバトルを繰り広げてる場合でもない。
私は、女子三人を精一杯睨んだ。
あなたたちも陛下の前でややこしいことにしたくないでしょう? 零したってことでいいでしょう? 今またエーゼンがやったなんて言ってみなさいな。こっちは罪をかぶせられたまま泣き寝入りなんてしないわよ。
という気持ちをのせて、懇願した。お願いした。唇を嚙みしめて頼むよプリーズと目で訴えた。
するとそこに
「陛下。宜しければ私が事の顛末をお話致しましょうか」
一部始終を見ていた妖精一族の男がしゃしゃり出てきた。
伏兵現る。
ピンチ。
かと思いきや。
「いや……」
エイラスはその申し出をやんわり断った。
「みな気にせずパーティを続けてくれ」
男は大人しく下がり。
みなも、不満げではあるが、元の立ち位置へ戻りはじめた。
「お嬢様方はどうぞこちらへ」
私たちは使妖精にエスコートされ、チラチラ見られながらエイラスと共にホールを出た。
『やったよ! ちょっと進んだよ!』
だね! そうだね!
あの空間からは取りあえず脱出できた。イファンの服もちゃんと汚せた。エイラスが何考えてるのか全然わかんなくて怖いけど。
あとは好き同士二人きりにしてしまえばいけるかもしれない。
よしっ。よしよしっ。
私は、一人気合を入れ、エイラスの後ろを歩く金髪の子の肩を軽くたたいた。
「あのね」
どこかの部屋へ辿り着く前に邪魔なものを排除するべし!
といっても……排除排除……思いつかない。エーゼンに借りた本にいい台詞とかシチュエーションあったかな。情報。繋げる。出す。さっきは出来たんだ。やるっきゃない。
私はスーっと細く息を吸い込んで。
「あなたたちがやったこと。誰も見てないと思ったら大間違いよ。証人なんて見つけようと思ったらいくらでも見つけられる」
彼女らにしか聞こえない程度の声で告げた。
効果のほどは……。
金髪の子が、ゴクっと唾を飲んで歩をゆるめ。前を行く仲間二人も体を強張らせた。
いじめっ子のわりに結束力はあるようだ。
「やるならもっと味方を増やさないと。最後の最後で大変などんでん返しに遭う……じゃなくて。
自分の部屋へ帰って出直すと宣言し、今すぐここから去ってくれるなら、この件は追及しないであげるけど?」
金髪の子が、がたがた震えだした。
仲間二人も、同じような反応をしている。
たぶんもうひと押しだ。
もうひと押し。
私の強み……は。怖がられてること。だから……えっと。
「早くしなきゃ呪うわよ」
低い声で囁くように言うと、金髪の子がビクーンっと跳ねて、仲間二人の腕を掴んだ。
「あっあの陛下っ! わたくしたち、替えの服が自室にございますのでっ下がらせていただきたいのです!」
金髪の子は震える声でそう言い、スカートを詰まんでお辞儀した。
怪訝な顔で振り返ったエイラスは
「? それなら使妖精に取りにいかせれば……」
震えながら頭を下げる三人を見て、その後ろに居る私に目を止めた。
「置いてる場所がややこしいんですのっ!」
金髪の子が、一刻も早く私から離れたいのか、すぐさま言い訳した。
私は、今度こそ決して目を逸らすなっと己に言い聞かせ。
全身全霊かけてエイラスと対峙した。
動揺は表に出ていないはずだ。なにせ私は氷の幽霊女。前世では能面系女子だ。内面は……ガクブルだけれども、そう、内面にも強い味方が住んでいるんだから。感じられるのなら感じなさい。私にはモフモフした思考しかないんだからね。決して悪意なんて抱いてませんとも。
じりじりと見つめ合って、いや睨みあっていたら。
「陛下。どうもご無沙汰~~」
この空気に合わない緩い声がした。
え? また? 今度は誰?
紫色の箒みたいに逆立った髪、黄色いつり目、黒いピッチピチタンクトップの獣じみた猫背の男が廊下の向こうから歩いてくる。
イケメンだけど、まったく知らないキャラクターだ。
「オルレシアン様っ……」
彼を見た金髪の子があからさまに頬を赤らめ。エーゼンは……顔ごと背けて震えはじめた。妙な反応だ。
「オルレシアン。お前、家長会議にも出ずに何やってた。やる気がないなら弟に交代してもらえっていうか交代してくれ」
一先ずエイラスの意識が男に移り、私はほっと一息ついた。
次から次へと、絶え間なく起こる想定外で、思考はもちろんのことだが、体力の方が限界に近付いている。
早めに片づけなければ、リリファリアは倒れてしまいそうだ。
「っはは。やる気ならあるある。ある議題のときは行くって決めてっから。俺が来てないってことはどう決まってもOKってことだと思って」
オルレシアンは、ヘラヘラ笑いながらエイラスの横を通り過ぎ、顔を背けるエーゼンの前で止まった。
「よぉ。いいパーティだったか?」
エーゼンは答えない。
「あんたの晴れ姿見に行こうと思ってたんだが、寝坊しちまってな。ん……なんだ? ワイン掛けられたのか? また泣いたか?」
エーゼンは、ぷいぷいとオルレシアンから顔を背け続けてだんまりだ。
そんな二人の様子を、金髪の子が、憎悪に満ちた瞳で睨みつけている。
これは。
私のゲーム脳がピコピコーっと働いて、ハムスターなしに彼らの構図があっという間に出来上がった。
あのオルレシアンって男はたぶん、エーゼンを気に入ってる。
そしてあの金髪の子はオルレシアンのことを狙っている。だからエーゼンに仮装パーティだとか嘘ついて嫌がらせをした。
そうだ。きっとそうだ。乙女ゲーム的展開だ。
「エイラスっ。ちょっとこの女借りてくわ」
陛下とすら呼ばず、オルレシアンはにぃっと親し気に笑った。
「脱がすの手伝ってほしいってさ」
「は?」
エイラスが、心底嫌そうな顔をした。こういう表情をするといっきに少年っぽくなる。
「そっ……そのようなことはっ言っておりませんっ」
エーゼンは全力で首を横に振って、逃げ出そうとしたが、あっさりオルレシアンに捕まりヒョイと持ち上げられた。
エイラスは長い長いため息をついて。
「使妖精、二人にピッタリ張り付け。何かあれば近くに居るやつ集めてその変態を拘束しろ」
近くの使妖精に命じた。
助けないんだ。
金髪の子が唇をかみしめて顔を真っ赤にし、エーゼンは逆に真っ青になった。そしてエイラスの横に居るイファンは、不満げな視線をエイラスに向けた。
「やっです。助けてっリ……」
私の名前を呼ぼうとして躊躇するエーゼン。
乙女ゲーム的に言えば、二人の邪魔をするなんてばかばかしい限りなんだけども。
あんな悲壮な顔で運ばれていくのを見てみぬふりするのは実際問題どうなんだ? この男大丈夫なのか?
でも好都合といえば好都合なわけで。どのみちエーゼンもこの場から遠ざけなければいけいわけで。
「待ちなさいな」
私は、横を通り過ぎようとしたオルレシアンの腕を、つい……掴んで引き留めた。
「んん?」
オルレシアンが、獣の動きで私を見下ろす。
はっきりいってさっきのエイラスと同じぐらい怖い。
「ひどいことしたら呪うから」
釘を刺そうと思ったけど、何にも出てこなず。結局さっきと同じことを言ってしまった。
金髪の子がビクっと反応して、涙目でこっちを見ている。
今の一言。エイラスとイファンにも聞こえてしまっただろうか。
二人の方を見るのが怖い。
どきどきしながら返答を待つこと数秒。
「っぷ……」
オルレシアンは、私の頭をポンっと叩くように撫で―ー。
「嫌ですわーーっ」
あっという間の誘拐劇だった。
気が付くと、エーゼンを抱えた逞しい背中が廊下の曲がり角に消えていった。
「お……お待ちになって! オルレシアン様!」
一拍おいて、金髪の子が叫びながら走り出し、残り二人も慌てふためきながら追いかけて行ったその間。
「お姉さまっ!」
イファンまでもが、私の傍に駆け寄って私が無事かどうか確かめてから、自分のスカートをまくり上げ。
「大丈夫。私がお姉さまのご友人を追いかけて取り戻してくっ」
「いいいいっいいですの! 使妖精にまかせればっいいですの!」
追撃しようとしたので、必死に止めた。
「でも……」
「いいんだってばっ」
「…………」
イファンはヒロインらしからぬしかめっつらで、エイラスを見上げた。
「エイラス様っなぜお二人を行かせたのですか?」
「え……」
まさか自分に飛び火するとは思っていなかったらしい、エイラスは口を半開きで、固まった。
私も予想外すぎて、同じように固まった。
「エイラス様! 嫌がってる女性をなぜ助けなかったんですか!」
目的達成したけどまた新たな問題勃発したわ。世の中ってどうしてこうも上手くいかないのだろう。
「いやその。あれは言うほどひどい男ではないし。そこそこ信用している……わけでもないが」
エイラスが、困っている。
彼にとってイファンは初恋の人だ。それゆえ、始終どういう態度を取っていいのかわからず、王なのにイファンの前でだけはらしく出来ないという可愛らしいところがあった。
イファンだって初恋のはず。それなのに……恋愛感情よりも正義感が勝ってるのだろうか。
このままでは、ドレスを渡すイベントなんてとてもじゃないが起きそうもない。
私は少し悩んで
「イ……イファンっ。実はあの二人、えっと……その……あーー嫌がってるフリしてますけど、いい仲なんですの。あれは照れ隠しよ!」
そう言いきった。
「えっ? でもお姉さまっ」
「鈍いわねイファンっ陛下が気を遣って二人を行かせたのに気付かないなんて」
「でもさっきお姉さま呪うって……」
「わたくしそんなこと言ってませんわ。おふふっ」
笑えねえ。全然まったく高笑いできねえ。
無理矢理声だけでも笑おうとしたらちょっと吐きそうになった。
二人は、キョトンとした顔で私を見ている。さっきワインをぶちまけたときもそんな顔をしていた。
「じゃ。私も部屋へ帰りますわ。ドレスを着替えますので」
適当言って去ろうとしたら、イファンに腕力で引き留められた。
「お姉さまっ他にちゃんとしたドレス買ってらしたの!?」
声がひっくり返るほどびっくりされてしまった。
「だったらどうしてそれ着てこなかったの!? 私てっきり節約のために安売りを買ったらアノ衣装で、後々コスプレだと知ってしまったものの着るものもなくて、誰かに頼むのも癪だから、意地で着て来たのかと思ってたわ」
おいーーこの妹は、姉のことをどう思ってんの?
私の部屋訪れた時点で、そんなこと考えてたの?
ムっとしたら、イファンは叱られた子犬のような態度で肩を落とした。
「お姉さまにちょっかいかける男が居なくなるなら丁度いいかなって思ってそのままに……ごめんなさい」
「よっ余計なお世話よぅ」
すぐさま言い返そうとしたが、勢いが出ない。
イファンはもしかしてもしかすると。ちょっと過保護がすぎるというか。シスコンと言っていい部類に入るのではないだろうかという疑念が……前からあったけど、沸き起こった。
「私は好きで着てきたんだからね。イファンはどうせそれ以外持ってないんでしょう?」
エイラスの目線が動いた。
え? そうなの? という顔をしている。だったら僕が買ってあるよって顔をしている。都合よくそう見えてるのかもしれないけれど、きっとそうだ。そういう顔だ。
これは最期のチャンスだ。
「まあ……そうね。中古のを友人から買ったので……替えはないけれど」
もじもじと目を逸らすイファンのいじらしい様を見てくれエイラス!
「あらそう。でも私は用意してるもの。あなたはせいぜい、その汚れたドレスをゴシゴシして会場に戻るなりしなさいなっ」
腰に手を当てて胸を張った。
ゴシゴシってなんぞ。
ハムスターが、桶と洗濯板を持って、お尻を振りながら踊っている。そうかそうか。これが世に言うゴシゴシダンス。
ってなんぞ。
しどろもどろな私を、目を細めて見つめるイファン。
「姉さま……? また嘘ついて……さっきから変なことばっかりしてるし……」
見透かされている。
「へへへっ変なことって何かしら? 偶然机にぶつかってワインかぶっちゃって、偶然こけて皆様にワインをぶちまけちゃったことかしら? 偶然ですわよ偶然っ。では失礼いたします陛下ーー!」
私は、エーゼンよろしく激しい動きで頭を下げて、前傾姿勢のまま廊下を走り出した。
イファンの足ならばすぐ追いつけるだろうけれど。
後ろから追ってくる音はしない。
エイラスが引き留めてくれたと考えていいだろうか。
頼むエイラス。信じてるエイラス。
男をみせてくれ。
気になる子と二人きりにしてやったんだから。
イファンに似合いそうだとついつい衝動買いしてしまったドレスを、周りの人にエイラスが与えたと気付かれないよう、こっそり着せてやってくれ。
プレイヤーの乙女心をくすぐってくれーーーー!
私は猛烈ダッシュして、外へ通じて居そうなドアを開け、建物外へ出てすぐ。
「ぎゃんっ!」
足をもつれさせてこけた。やはり体力が持たなかったようだ。
手はついたものの、腕力がないので体を支えきれなかった。
痛い。
結構痛い。情けない。
しばらく地面で悶えていると。
「大丈夫?」
子供の声がした。
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