26 / 56
第一章:友と仲間と見守り隊員
閑話 【???】
しおりを挟む【???】
「おいっ! なにがどうなっている」
「東のフィールドはまだ誰も手を付けていないはずだろう」
「東は特殊系のイベントだからな、クリアーするのが難しいはずだぞ?」
「そんな事をいまは聞いてないっ!」
「しょうがねぇよ、誰かがクリアーしたんだろ?」
「あそこは俺達が最初に攻略するって約束だったろうがっ! どうすんだよ」
「そういわれてもね~、しかたないじゃない。クリアーされちゃったんだし」
「あ~、あれだ。多分だけど新しいファーマーの子が居たって話題になってる子じゃね?」
「なんだ、その話は?」
「それって今日の話しでしょ。一日たってないじゃん……すっごい」
「そんな初心者に出し抜かれたのか、俺達は!?」
「もうリーダーってばバンバン机を叩かないでっ! うるさいなぁ~」
「コレが落ち着いていられるかバカやろうっ」
「もう~、誰でも良いからリーダー止めてよ~」
「無理無理、吹っ飛ばされて終わるもん」
「俺もパスで」
「アタシも嫌よ」
「こっちに話を降らないでくださいね」
「だ~、このメンバー纏まりないよ。皆無だよ!」
「はぁはぁ、クソが……とりあえず、アレだ。情報を集めるぞ」
全員が「了解」と声を揃えて言うと、その場から直ぐに姿を消した。
「グランスコートはAIがイベントやクエストを個で決める面倒なフィールドだぞ、素人如きがクリアーできる訳がねぇだろ。ったく、何もんだ」
★☆★☆
「で? 何をした」
シュネーとオレは視線を遥か右へと向けて、まずは相手を見ないようにする。
ちなみに、何故かティフォに正座をさせられている。
……理不尽です。
「ボク等は、特に、何もしていません」
『というか、オレらって決めつけるのは、良くないと思います』
ちょうどオレの視界に映るシュネーの頭を、いきなり鷲掴みにした。
「こっちを見て、喋れよ」
笑顔と明るい声色で言うのは、怖いと思います。
「まぁ、ふざけるのはこの辺にして……実際、何にもしてないよ」
『そうそう、勝手に何か流れ出しただけだし』
シュネーと顔を見合わせ「ねー」と言って、ティフォを見る。
ちょっとイラっとしたようで、こめかみと目尻辺りがピクピク動いている。
「じゃあ、アレは何だ、あれはっ」
ティフォがある一画を、何度も強く指差しして言う。
そこへ視線を移すと、ケリアさんが唖然とした表情でウサギ達を見ている。
「アレってケリアさん? 特に変わった様子はないかと」
シュネーの頭で鷲掴みにされているティフォの手に力が籠る。
物凄く不機嫌な声と共に、
「いだ、いたたたっ! 割れちゃうから、壊れちゃうからっ」
シュネーは両腕を広げて鳥のようにバタつかせている。
――アレは痛いのだ。……変な事は言わないでおこう。
飛び火は困るので、ここは何とかシュネーだけを生贄に捧げなければ。
拷問をし終えたのか、シュネーはほぼ力なく、その場に頭を押さえて蹲る。
「おい、何やった?」
傍観を決め込んでいたオレが、次の標的のようです。
『えっと、そのね、本当にオレ達にもよく分からないんだよ?』
オレがそう言うと、ティフォの目から光が消えたような目で睨んでくる。
『ただ、ウサギさん達と勝負事を決めて、こう、なんて言うの……運動会みたいな感じ? 勝負してただけだし』
慌ててオレは身振り手振りで、ちょっと前にやっていた事を説明する。
「ほう、それで? なぜ、ウサギ達があんなに一生懸命に畑仕事をしている」
ケリアさんが唖然と見ていたのは、今まで邪魔していたウサギ達が自ら畑仕事に精をなしている姿だった。
どこから持ってきたのか分からないウサギの背丈に合わせたクワ、それを元気いっぱいに振るっている姿もまた可愛らしいです。
『ね、別にオレ達はただ、競っていただけだよ』
どこも可笑しくないでしょう、という感じで胸を張って答えると。ティフォは頭を押さえて蹲っているシュネーの方へと顔を向ける。
「本当か、シュネー」
シュネーはびくっと反応し、ゆっくり身体揺らしながら涙目の顔を上げる。
「えっと~、間違いはないよ」
「そうか……じゃあなにが原因――」
これでま~るく収まる。
「……ただ~、何か画策してたっぽい顔だった気がする」
この、余計な一言がなければ。
「ほう、やっぱり何かを狙ってたのか?」
『ちがっ、ただウサギ達に「知能が高い癖に畑もだが耕せない」とか「オレよりも土を柔らかくしたり、穴を掘ったりっていう扱いが下手だ」っていう事を、言っただけだよ』
正確には、その差を見せつけただけだけど。
ニンジンに関しては、誰かが作ったモノだけど、
ウサギ達の自給自足で作る野菜より遥かに凄いモノだと分かった。
なら次にやるのは、ウサギ達よりも優れている所で勝負をしようと思っただけだ。
その際に、ちょっと……ほんのちょっと、おちょくってやっただけ。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした
水の入ったペットボトル
SF
これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。
ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。
βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?
そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。
この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる