ズィミウルギア

風月泉乃

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第一章:友と仲間と見守り隊員

【オンライン】9話

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 皆で顔を向かい合わせ、全員が首を傾げながら玄関による。

『はい?』
 
 ドアを開くとムスっと膨れっ面なオジサンが仁王立ちしていた。
 
「おまえら、ここでなにしとるんじゃ?」
『今日からここに住むんですけど?』
「なんじゃチビッ子、俺みたいなヤツととは口で話す事さえせんのかか?」
 
 ドスを利かした声に、思わず体が震えてしまう。
 
「ひ……スノーは喋れないのっ! 自分より小さい相手に威圧して食って掛かるなんて、そっちの方が礼儀知らずなんじゃないの?」
 
 妖精であるシュネーを見て驚いた様子のオジサンは、更に気まずそうな目でオレを見る。
 
「……それは本当か?」
「本当よっ!」

 そう叫ぶように言うシュネーに合わせて、コクと頷いて答える。
 
「それは……その……すまないっ」
『いえ、別に気にしていませんよ』
 
 片手で髪を掻き、オレとシュネーを視線から外して、きまりの悪い思いをしながらもとりあえずの体裁を保とうと後ろの二人には、威圧的な態度は変えない。
 
「まぁ、お前らが何処に住もうがかまわんがなぁ、此処でのテメェらの居場所は無いと思えよ、俺達はお前らを絶対に認めないからな」

 オレの事はほったらかしで、後ろの二人を指差して怒鳴る。
 
 ――この人、案外に良い人っぽいな。
 
「お、おい、チビッ子。な、なんだよその目は」

 きょとん、と首を傾げるオレ。

「その、のほほんとした顔に生暖かい目で、こっちを見るんじゃあねぇ」

 オジサンが片方の眉毛をピクつかせて、戸惑った様子でオレを睨む。
 
 ――そんな目で見ていたのか、コレは反省反省。
 
 かるく頬をペチペチ叩いて、顔を引き締める。
 
 取り繕った顔でもう一度オジサンを見ると、何故か一瞬ビックリした表情をして、なんかワザとらしい咳込みをしてから、また険しい顔に戻ってしまった。

 周りの三人が何故か微笑ましく笑っているか、一体何があったのだろう。
 訳の分からない状況に戸惑いながらも、とにかく話を勧めよう。
 
『あの、過去に何があったのかは知りませんが、オレ達にチャンスをくれませんか?』
「チャンス?」

 ちょっと険しい顔をオレ……じゃなくて、後ろの二人を見る。
 
『どうしたらちょっとは認めてくれます?』
「あぁ? だからみとめ……ねぇ……って……………………」
 
 なんかジッーっと見つめていたら次第にオジサンの態度が変わってきたので、しばらく見つめていることにした。
 
「……あのなぁ、チビッ子……オレ達はだな、その……」
 
 ――やっぱりダメかなぁ、過去の人達は過去の人、いまのオレ達を見てくらないかな。
 
 後悔はさせないとは言い切れないが、簡単に投げ出さない自身はあるんだけど。
 少し気持ちが落ちてしまう。真っすぐに見ていた顔を下げても、視線だけはオジサンをちゃんと見ようとじっと見つめる。
 
「だぁ~もうっ! わぁった。い、一度だけチャンスをやる」
『ほんとっ!?』
「お、おう……(そんな嬉しそうな顔でこっちを見るな)ったく」
 
 ――なんか顔やら耳に赤みがかっているように見えるけど、調子が悪いのだろうか?
 
 大丈夫かなと思い、顔を除こうとすると慌てた様子で顔を逸らされてしまう。
 嫌われたかな、そう思うも、今は認めてもらってから仲良くなっていこう。
 
『それで、どうすれば少しは認めてくれます?』
「あぁ、そうだな……じゃあ、このあたりなら何処でも良い、一から畑を作って、その畑で何でもいいから育ててみろ。そんで、その畑で生ったモノを収穫できる状態にしてみろよ。それができりゃあ俺を含めて、このあたりに住んでるヤツら全員が認めるだろうよ」
 
 挑発的に言われたので、エフケリアさん以外はオレと同様に息巻いて、畑を作ろうと外へと飛び出して行く。
 ただ、エフケリアさんだけは―――

「はぁ、大丈夫かしら」

 と、不安な表情でオレ達の後に遅れて付いてくる。
 
 
 とにかく、必要な道具やモノを色々と買い込んで戻り。
 城下町から戻ると、空は暗くなっていた。
 
『夜っ! もうそんな時間!?』
「違うぞスノー、30分で昼夜が変わる。ゲーム世界の1日が現実の⒈時間だ」

 ボンっと説明書を取り出して調べてみる。
 
「ホントだ~、そう書いてあるね」
『30分……もっとやってる感覚だった?』
「だよね~、リアルの時間を全然気にしてなかったね」
 
 きゃっきゃと説明書を一緒に見ながらシュネーと騒いでいると、頭をガッシリ掴まれる。
 
「お前ら、俺の言った事を信じろよ」
「いや~、スノーが徐に説明書を出したから……思わずね~、えへへ」
『ティフォの言った事にウソは無いと思う? でも、調べるのはお約束かなって?』
「なんでだよっ! あと一々言葉の最後に疑問詞っぽくするなよなっ! 泣くぞ」

 てへっ、と小さく舌御出しておどけてみる。
 
「いたたっ!」
『ギブ、ギブですティフォさん』

 シュネーと共にちょっとお説教された。
 
 そして意気揚々とホームに戻ると、おもしろ……大変な事態になっていた。
 ホームの中にはモンスターは居ないし、入ってこないが……その周りには転々とモンスターの小さい影がチラホラと見える。
 
「あ~、やっぱりねぇ~」

 エフケリアさんが右手を頬に当てて、困ったようにた大きなため息を吐く。
 
「やっぱりって事は、これが問題だって言ってた子とか?」
「えぇ、ホーム内には湧かないけど、それ以外の場所にはモンスちゃんがポップするのよ」

 ため息交じりに言う。
 
「でも、アイツらってアクティブモンスターじゃあないよな」
「それは、そうなんだけど……まぁ、畑を作ってみれば分かるわよ」

 オレとシュネーはホームに農業道具が一式まるっと揃っていたのでそれを使い、エフケリアさんとティフォは適当なクワやら熊手などを飼ってきたのだ。
 
 
 
 そして畑を作っている最中に、何故かスライムやウサギが邪魔をするよにすり寄ってきて、イライラしだしたシュネーが暴れて攻撃してしまい、追われる羽目になった。
 


 
   ◇◆◇◆


 
 
「なぁ、エフケリアさん」
「なぁ~に……ティフォナスちゃん」
 
「………………ファーマーってさ、戦えるんだよな」
「…………ごめんなさい、そこまでは知らないわ」
「……そうか」

「えぇ、うっかりしてたわね……PTじゃあないから手が出せないわね」
「ホームに一回もどったからな~、フレンドならホームには入れるんだっけか」
「そうよ、フレンドで許可を許したものならその人のホームに出入り出来るわ……PTが解除されるってことはすっかり頭から抜け落ちてたけど」

「クワってさ、武器……じゃあないよな」
「攻撃は、多分出来ると思うわ?」
「そうか、ならスノーがさっきから攻撃しようとして止まるのは……」
「多分、モフモフでかわゆいウサギちゃんや、デフォルメっぽい可愛さ重視の見た目のスライムちゃんに攻撃が出来ないんだわね、スノーちゃんが……」

「鬼気迫る状況なんだろうけどさ、和むな」
「そうね、スノーちゃんとシュネーちゃんにじゃれついて居る様にしか見えないわね」
 
 



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