15 / 56
第一章:友と仲間と見守り隊員
【オンライン】9話
しおりを挟む皆で顔を向かい合わせ、全員が首を傾げながら玄関による。
『はい?』
ドアを開くとムスっと膨れっ面なオジサンが仁王立ちしていた。
「おまえら、ここでなにしとるんじゃ?」
『今日からここに住むんですけど?』
「なんじゃチビッ子、俺みたいなヤツととは口で話す事さえせんのかか?」
ドスを利かした声に、思わず体が震えてしまう。
「ひ……スノーは喋れないのっ! 自分より小さい相手に威圧して食って掛かるなんて、そっちの方が礼儀知らずなんじゃないの?」
妖精であるシュネーを見て驚いた様子のオジサンは、更に気まずそうな目でオレを見る。
「……それは本当か?」
「本当よっ!」
そう叫ぶように言うシュネーに合わせて、コクと頷いて答える。
「それは……その……すまないっ」
『いえ、別に気にしていませんよ』
片手で髪を掻き、オレとシュネーを視線から外して、きまりの悪い思いをしながらもとりあえずの体裁を保とうと後ろの二人には、威圧的な態度は変えない。
「まぁ、お前らが何処に住もうがかまわんがなぁ、此処でのテメェらの居場所は無いと思えよ、俺達はお前らを絶対に認めないからな」
オレの事はほったらかしで、後ろの二人を指差して怒鳴る。
――この人、案外に良い人っぽいな。
「お、おい、チビッ子。な、なんだよその目は」
きょとん、と首を傾げるオレ。
「その、のほほんとした顔に生暖かい目で、こっちを見るんじゃあねぇ」
オジサンが片方の眉毛をピクつかせて、戸惑った様子でオレを睨む。
――そんな目で見ていたのか、コレは反省反省。
かるく頬をペチペチ叩いて、顔を引き締める。
取り繕った顔でもう一度オジサンを見ると、何故か一瞬ビックリした表情をして、なんかワザとらしい咳込みをしてから、また険しい顔に戻ってしまった。
周りの三人が何故か微笑ましく笑っているか、一体何があったのだろう。
訳の分からない状況に戸惑いながらも、とにかく話を勧めよう。
『あの、過去に何があったのかは知りませんが、オレ達にチャンスをくれませんか?』
「チャンス?」
ちょっと険しい顔をオレ……じゃなくて、後ろの二人を見る。
『どうしたらちょっとは認めてくれます?』
「あぁ? だからみとめ……ねぇ……って……………………」
なんかジッーっと見つめていたら次第にオジサンの態度が変わってきたので、しばらく見つめていることにした。
「……あのなぁ、チビッ子……オレ達はだな、その……」
――やっぱりダメかなぁ、過去の人達は過去の人、いまのオレ達を見てくらないかな。
後悔はさせないとは言い切れないが、簡単に投げ出さない自身はあるんだけど。
少し気持ちが落ちてしまう。真っすぐに見ていた顔を下げても、視線だけはオジサンをちゃんと見ようとじっと見つめる。
「だぁ~もうっ! わぁった。い、一度だけチャンスをやる」
『ほんとっ!?』
「お、おう……(そんな嬉しそうな顔でこっちを見るな)ったく」
――なんか顔やら耳に赤みがかっているように見えるけど、調子が悪いのだろうか?
大丈夫かなと思い、顔を除こうとすると慌てた様子で顔を逸らされてしまう。
嫌われたかな、そう思うも、今は認めてもらってから仲良くなっていこう。
『それで、どうすれば少しは認めてくれます?』
「あぁ、そうだな……じゃあ、このあたりなら何処でも良い、一から畑を作って、その畑で何でもいいから育ててみろ。そんで、その畑で生ったモノを収穫できる状態にしてみろよ。それができりゃあ俺を含めて、このあたりに住んでるヤツら全員が認めるだろうよ」
挑発的に言われたので、エフケリアさん以外はオレと同様に息巻いて、畑を作ろうと外へと飛び出して行く。
ただ、エフケリアさんだけは―――
「はぁ、大丈夫かしら」
と、不安な表情でオレ達の後に遅れて付いてくる。
とにかく、必要な道具やモノを色々と買い込んで戻り。
城下町から戻ると、空は暗くなっていた。
『夜っ! もうそんな時間!?』
「違うぞスノー、30分で昼夜が変わる。ゲーム世界の1日が現実の⒈時間だ」
ボンっと説明書を取り出して調べてみる。
「ホントだ~、そう書いてあるね」
『30分……もっとやってる感覚だった?』
「だよね~、リアルの時間を全然気にしてなかったね」
きゃっきゃと説明書を一緒に見ながらシュネーと騒いでいると、頭をガッシリ掴まれる。
「お前ら、俺の言った事を信じろよ」
「いや~、スノーが徐に説明書を出したから……思わずね~、えへへ」
『ティフォの言った事にウソは無いと思う? でも、調べるのはお約束かなって?』
「なんでだよっ! あと一々言葉の最後に疑問詞っぽくするなよなっ! 泣くぞ」
てへっ、と小さく舌御出しておどけてみる。
「いたたっ!」
『ギブ、ギブですティフォさん』
シュネーと共にちょっとお説教された。
そして意気揚々とホームに戻ると、おもしろ……大変な事態になっていた。
ホームの中にはモンスターは居ないし、入ってこないが……その周りには転々とモンスターの小さい影がチラホラと見える。
「あ~、やっぱりねぇ~」
エフケリアさんが右手を頬に当てて、困ったようにた大きなため息を吐く。
「やっぱりって事は、これが問題だって言ってた子とか?」
「えぇ、ホーム内には湧かないけど、それ以外の場所にはモンスちゃんがポップするのよ」
ため息交じりに言う。
「でも、アイツらってアクティブモンスターじゃあないよな」
「それは、そうなんだけど……まぁ、畑を作ってみれば分かるわよ」
オレとシュネーはホームに農業道具が一式まるっと揃っていたのでそれを使い、エフケリアさんとティフォは適当なクワやら熊手などを飼ってきたのだ。
そして畑を作っている最中に、何故かスライムやウサギが邪魔をするよにすり寄ってきて、イライラしだしたシュネーが暴れて攻撃してしまい、追われる羽目になった。
◇◆◇◆
「なぁ、エフケリアさん」
「なぁ~に……ティフォナスちゃん」
「………………ファーマーってさ、戦えるんだよな」
「…………ごめんなさい、そこまでは知らないわ」
「……そうか」
「えぇ、うっかりしてたわね……PTじゃあないから手が出せないわね」
「ホームに一回もどったからな~、フレンドならホームには入れるんだっけか」
「そうよ、フレンドで許可を許したものならその人のホームに出入り出来るわ……PTが解除されるってことはすっかり頭から抜け落ちてたけど」
「クワってさ、武器……じゃあないよな」
「攻撃は、多分出来ると思うわ?」
「そうか、ならスノーがさっきから攻撃しようとして止まるのは……」
「多分、モフモフでかわゆいウサギちゃんや、デフォルメっぽい可愛さ重視の見た目のスライムちゃんに攻撃が出来ないんだわね、スノーちゃんが……」
「鬼気迫る状況なんだろうけどさ、和むな」
「そうね、スノーちゃんとシュネーちゃんにじゃれついて居る様にしか見えないわね」
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる