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イベント騒ぎは大騒ぎ
【オフ】26話
しおりを挟む『父さんは置いてきてよかったの?』
家族でお出かけじゃあなかったのか、というツッコミがスルーされて今現在。咲沢の双子姉妹が何時も連れている執事さんが運転している車で大き目なデパートに着いたところだ。
「良いのよ、どうせ後からコッソリ付けてくるに決まってるんだから」
それは一緒に行けなくて悔しかったからではないだろうか、哀愁漂う感じの涙目で見つめられたお……ボクの気持ちにもなって欲しいね。
琥珀も言ってるからか、何とかボクというのはセーフという扱いになっている。
……まだまだ慣れないけどね。
意識をしていないとどうしてもオレと言ってしまうのは、仕方ないだろう。
『でもこの場所って父さんは知ってるの?』
何時も来るような、すぐ近くにある様な場所じゃあないんだけど。
「どうせ今頃は、樹一君や雷刀君に聞き回ってるんじゃないかしら?」
少し考える素振りはしていたものの、何処か確信がある様な言い方だったきがする。
「ここって……最近テレビとかで話題になってる場所じゃない?」
小鳥ちゃんが駐車場から見える景色を見回し、テンションが上がっている様子だ。
「テレビ見てないから分からない?」
「葉月、頼むから少しは一般のテレビとかニュースも見てよ」
桜花ちゃんの言葉に執事さんが「全くですな」と小さく呟いていたが、葉月ちゃんにしてみれば何時もの事のようで、気にした様子もなく聞き流していた。
何時も黙々とパソコンを弄ってるもんね。見ているとしても動画だろうし。
そういう自分自身もテレビを見ていない気がする。
ズィミウルギアでは、このデパートみたいに俯瞰視点で物資とか労働力が見れる訳じゃないし、材料や人とのやり取りも自分が動かないとお話出来ないからなぁ。
「翡翠ちゃん? いま、ゲームの事を考えてなかった」
『いいえ、考えてません』
じ~っと笑顔のまま、段々と母さんの顔が近付いてくる。
「ほんとうに?」
何も言えず、耐えられなくなって視線を逸らせて携帯電話で顔を隠してしまう。
「ひすいちゃ~ん」
耳元まで迫って一言だけ「悪い子はお仕置き」とだけ、告げて来た。
『ひゃいっ! ごめんなさい』
「よろしい。全くもう、今日はちゃんと私達と楽しもうって言ってるでしょう」
「じゃあ行こうか、翡翠ちゃん」
「ごーごー」
「あ~‼ こら双子っ!、ちょっと私の場所を開けなさいよ」
ぎゅっと皆に抱き着かれて、そのまま店内へと連れ込まれていく。
まるで逃げ出さない様にと、オレを連行するかのように連れて行かれる。
母さんや執事さんは、微笑ましそうに見ているだけで助けてはくれないようだ。
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