50 / 56
イベント騒ぎは大騒ぎ
【オンライン】24話
しおりを挟む「戻ってくるときに居た人達はいったいなんだったんだろうね」
ホームまで戻って来てから、シュネーがさっきの人達を思い出したようで、少し噴き出しながらオレに聞いてくるけど、分かる訳がない。
『知ってるとしたら、ガウかケリアさんかティフォに聞いてよ』
絶対にオレに隠している事があるのはずだが、頑固なほど口を割らないんだ。
ケリアさんなんて「ボウガさんを連れてくる」と言って、オレが話しを聞こうとしたら速攻で話しをはぐらかす様に逃げ出して行ったしね。
目を細めながらジットリと見てやっても、視線をサッと逸らされるだけだ。
それだけでも、何か隠してるのは分かるって言うに言わない。
「楽しい人達だったよね~。よく露店を開いてる人達も居たし」
確かに何か不思議な人達が多かったけど、オレやシュネーが少し反応しただけで雄たけびを上げて、モンスターに突っ込んで行ってたからね。
『パニア、調子はどう?』
「モンダイ、ない。チョウシもヨク、カイテキ、な、ほど」
『そっか、働き過ぎないでね』
「ウム、ムリはシナイさ」
シャランシャランと光を散らしながら、タリスマンが台座でクルクルと踊っている。
「後で解体屋の所に行こうぜ。どういうもんか見てみたいしな」
「此処に住まう解体屋の主人は捻くれ者でござるから注意するんだな。まぁ渡り人……プレイヤーキャラが嫌いで有名な方だという噂なんだな」
オレ達もまだ会った事が無い人だ。
ボウガさんの紹介があれば、会ってくれそうだけど…… どんな人なんだろうな。
「ふむ、活気があると言えばあるのか。まぁ、なんとも伸び伸びと暮らしとる者達が多い」
エーコーさんが集落を見回って終わったのか、ニンフィと抱きしめて、知り合いのお姉さんがお散歩から帰って来た様な感じで声を掛けられた。
お疲れなのか、小さく寝息を立てているニンフィを泉に咲いた花に寝かせてあげて姿は、まさに面倒見の良い保母さん感がある。
「あのヤンチャなウサギ共や、悪戯好きなハチ共が何とも楽しそうに暮らして居るモノよ」
その辺はティフォやダイチ爺ちゃんの御蔭だね。
……あれ? オレって結局なにもしてない気がするんだけど。大丈夫なんだろうか?
いかん、気にしてはいけない部分に気付てしまったかもしれない。
「何を百面相をしておるんだ、主は?」
『気にしないでください』
「どうせ、どうでも良い事に気を張ってんだろう」
ティフォが急に後ろからオレの頭をグリグリと、力強く撫でまわしてくる。
「こら~、僕の特等席をぐちゃぐちゃにするな~」
お前の特等席でもないぞ、オレの頭の上は。
「まぁよい、しばらく厄介になるぞ。一日だけ見たとて、本質は見えんからな」
泉の近場には、もうエーコーさんがくつろげる様なスペースが出来ている。
大きな大木の木が育ち、そこにはツリーハウスさながらな家と、泉の面した場所にはハンモックという、なんともグウタラ出来る空間が出来上がっている。
大木だが、日差しを考慮してか、ニンフィの寝床に適度な日差しが入る様にしてある。
「居座る気が満々と感じるのは気のせいでござるかね」
「……気のせい、じゃない」
シュネー? それはどっちの意味で言っているのかな。
皆の顔が引き攣りながら笑っている。もちろん、オレもだ。
「どうしたのだ?」
『いえ、その……此処で良いんですか?』
オレのホームのすぐ真横なんだけど。
「うむ、この泉は良きモノのようだしな。心地良く過ごせそうだ」
綺麗なお姉さんの微笑みは、破壊力があるね。
一瞬、チラッとティフォとガウを見たけど、呆けた顔をしてたよ。
オレだって魅かれる程の微笑みだったけど。
性別が女性のせいか、威力はそこまでのモノじゃなかったけどね。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
江戸時代改装計画
華研えねこ
歴史・時代
皇紀2603年7月4日、大和甲板にて。皮肉にもアメリカが独立したとされる日にアメリカ史上最も屈辱的である条約は結ばれることになった。
「では大統領、この降伏文書にサインして貰いたい。まさかペリーを派遣した君等が嫌とは言うまいね?」
頭髪を全て刈り取った男が日本代表として流暢なキングズ・イングリッシュで話していた。後に「白人から世界を解放した男」として讃えられる有名人、石原莞爾だ。
ここはトラック、言うまでも無く日本の内南洋であり、停泊しているのは軍艦大和。その後部甲板でルーズベルトは憤死せんがばかりに震えていた。
(何故だ、どうしてこうなった……!!)
自問自答するも答えは出ず、一年以内には火刑に処される彼はその人生最期の一年を巧妙に憤死しないように体調を管理されながら過ごすことになる。
トラック講和条約と称される講和条約の内容は以下の通り。
・アメリカ合衆国は満州国を承認
・アメリカ合衆国は、ウェーキ島、グアム島、アリューシャン島、ハワイ諸島、ライン諸島を大日本帝国へ割譲
・アメリカ合衆国はフィリピンの国際連盟委任独立準備政府設立の承認
・アメリカ合衆国は大日本帝国に戦費賠償金300億ドルの支払い
・アメリカ合衆国の軍備縮小
・アメリカ合衆国の関税自主権の撤廃
・アメリカ合衆国の移民法の撤廃
・アメリカ合衆国首脳部及び戦争煽動者は国際裁判の判決に従うこと
確かに、多少は苛酷な内容であったが、「最も屈辱」とは少々大げさであろう。何せ、彼らの我々の世界に於ける悪行三昧に比べたら、この程度で済んだことに感謝するべきなのだから……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる