ズィミウルギア

風月泉乃

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イベント騒ぎは大騒ぎ

【オンライン】23話

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 木々の葉をイメージしたような、緑を基準としたワンピースを着ている女性だ。

 やっぱりというか、妖精や精霊とかって美人しか居ないのだろうかね。胸も腰のくびれに脚だって艶っぽく綺麗だし、そして尚且つ顔も整ってるし。

「まさかここに訪れてくれる者が居るとは思いませんでした」

 驚きと脳を整理するのに皆がしばらく見合ったりして沈黙してしまった。

 そんな中で、逸早く動いたのは……というより動けたのはダイチ爺ちゃんだった。

「なにん、ここの森が荒らされるのは儂らかて一大事じゃからな」
「何時も木々を倒していくのに、ですか?」

 エーコーさんはおっとりした雰囲気を漂わせながらも、言葉にはどこかトゲがある。

 微笑みを浮かべて、首を傾げる姿は大体の男なら一撃で魅了されそうだ。

「その辺は悪かったとしか言えんな、儂らも生きていく上では必要なモノなのでな。今は儂らも環境を整えながら緑を増やしていこうと頑張っている最中でのう。その証拠に森の害虫や獣共を狩っておる」

 良くまぁ、平然としながらスラスラと言葉が続くものだと感心してしまう。

 嘘ではないけど、積極的に取り組んでいる訳でも無いし、駆除はただ単に調査に来たついでの様な感じで狩っていただけに過ぎないのにね。

 堂々と当然の如く喋っているから、嘘とも疑い辛いだろう。

 その上に説得力も追加も追加されてしまっている。

 妖精様も観察する感じでダイチ爺ちゃんを眺めて居るが、疑いというよりも関心に心が動いている感じが見て取れてしまう。

「そう、ですね。お互いに利点はありますね」

「じゃろう。それにじゃ、倒した木々は決して無駄にはしておらんよ。どうじゃね、それを知る為に一時避難として儂らが居る集落に来んかね」

「貴方達の住処に、ですか……」

 ダイチ爺ちゃんがオレに何かを訴えかける様に視線を向けてきた。

『えっと、森のすぐ近くに住んでるんですよ。も、森の管理者たる妖精様に来ていただけたら、信用して頂けるかと、思います?』

 咄嗟に話を振られてしまい、混乱している頭を必死に回しながらタイピングしていく。

 必死にダイチ爺ちゃんとエーコーさんをチラチラと見ながら、反応を窺う。

「ふむ、良かろう。確かに此処に居てももう出来る事は無いしな」

 考える素振りも綺麗だ。
 おっとりした感じなのにしっかりと考え込んでる姿は何とも魅かれるモノがあるよ。

「ここの守りは大丈夫なの~?」
「ぴ~ぴ?」

 シュネーが心配そうに聞くと、エーコーは口端を少し上げ。得意げに胸を張った。

「守りが戻ったからな、しばらくは奴等は何も出来ぬよ。それに管理しているのは我だけではない。しっかりと機能を取り戻した一つでもあれば、我が一人抜けたところで問題は無い」

 何だろう、さっきからやり取りをしている感じと今の一瞬では、性格がちょっと違く見えたんだけど……もしかして、結構なお調子者だったりするのかな。

「話は纏まったの? なら急いでちょうだいね。突破して来た包囲網がそろそろ戻っちゃいそうなのよね。私とガウちゃんが踏ん張ってるけど、長くは持たないわよ⁉」

 さっきから姿が見えないと思ったけど、そんな事をしていたのか。

「では、詳しい話は主の住処で話すとしようか。急ぐぞ」

 エーコーさんがオレを真っすぐに見ながら言う。
 全員で来た道を全力のスピードで駆け抜ける。

 競争と勘違いしたのか、ニンフィとエーコーさんが凄いスピードで駆け抜けていく。

 必死に掴まるオレは怖い思いをしながら、「早くない⁉ 早いって⁉」と涙目で言っているのに聞いてくれなく、危なく漏らすところだった。

 シュネーに関しては、物凄く楽しそうにしてたよ。
 ジェットコースターにでも乗ってる人達みたいにね。



 ==運営から全プレイヤーの皆様へ《隠し事前イベントミッション:場所《グランスコート》にて【森の管理者との繋がり】が発生しました。イベントに関わる助っ人が参加する可能性が上がりました》



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