鈴木さんとハルカ

【第2鈴・懲りないクズ】

結婚前提

　不思議なことにシン先輩としたセッ●スの最中に脳裏に浮かんだのは、あの専門学校時代の彼氏だった池内ケイタの顔ばかりだった。

　あのネットカフェを出た後も、あたしの脳裏をめぐるのは池内ケイタとした過去のセッ●スのことばかりで、シン先輩の印象はことごとく池内ケイタに塗りつぶされていた。

　「…なんで今更…」

　「何か言った？」

　何か引っ掛かる気持ちを抑えられず、つい口から出た言葉をシン先輩に聞かれてしまった。

　「…先輩は、不意に脳裏によぎる人っている？」

　「いるよ」

　「その人は先輩にとってどんな人ですか？」

　「ん～…他の誰よりも今までで一番好きだった人、かな」

　「今までで一番…」

　と、なると、あたしは池内ケイタのことが今までで一番好きだった人だってことか？

　何それ。

　笑わせてくれる。

　「俺、今から関東支社の面接あるんだわ」

　「え？先輩、こっちの会社に移るんですか？」

　「まあな。美容関係だとこっちに来た方が何かと便利だからな」

　「…そのホストみたいなビジュアルで面接ですか？」

　「ばか。着替えるっての」

　「ですよね」

　「だからさ、もしこっちに会社に移ることになったら」

　「？」

　「一緒に住もうよ」

　「はい？」

　「結婚前提で俺と付き合ってほしい」

　「はい？」

　なんだ、突然。