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【第1鈴・クズだと思ったことはない】
チ●コの余計な行動
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うちの学校は一階がコンビニになっている。
なので、コンビニの入口の隣に、校舎に入る入口もあって、行きたいときにすぐコンビニに行けるので、この入口の隣接はとても重宝している。
毎日、授業が終わるとここで昼ごはんを買って、そのまま友達宅に入り浸る。
そして、学校が終わった放課後。
あたしがいつもの入り浸り仲間と昼ごはんを選んでいたときだった。
このまはまいつものように友達宅に入り浸り、泊まるか帰るかは気分次第。
…だと、思っていた。
ほんの五分前までは。
「ハルカちゃん!ハルカちゃん!」
そこにコンビニで大声を上げながら入ってきた入り浸り仲間の女の子。
声を荒げて何やら慌てているみたい。
「どうしたの?」
「外で……、学校の玄関先で、…そ、園田くんが……!」
「園田くんが、何?」
「池内くんに土下座してるの!」
何事かと思った。
急いでコンビニを出ると、友達が言った通りの光景がそこにはあった。
地面のコンクリートに頭をつけて土下座をする園田くんと、それを黙って見つめる池内くんの姿。
何がどうしてこんな展開になったのか。
「ちょっと、池内くん…。これ…何があったの」
「ハルカは向こう行ってろ」
いつもなら何かとあたしに構いっきりの池内くんが、珍しくあたしを冷たく突き放した。
それがこの状況がいかに良くない状況かを物語る。
池内くんの声色も、園田くんを見つめる眼差しも、とにかく冷たかった。
あたしはその池内くんの横顔を見るのが、とても怖くなった。
「……園田さぁ、何の真似?こんな公衆の面前で土下座ってさぁ。それで許してもらおうって魂胆?」
「ちがう!そんなつもりは…」
許す、許さないって、一体何の話なの?
あたしはとても嫌な予感がした。
その予感は園田くんの次の一言で的中する。
「ハルカちゃんのことを好きになってしまって、池内くんから盗ろうとしたことは悪いと思ってる!本当にごめん!うっ…うう……」
……………え。
ちょっと。
今、ここで泣きながらその話…。
ちょっと待ってよ。
「えー?何事?」
「やだ、土下座~」
「なになに?」
「何かドロ沼らしいよ」
「彼女盗ろうしたって」
「なにそれ三角関係?」
「ウケる」
「土下座とかヤバ」
野次馬が…次々と…。
こんな公衆の面前で…、そんな話。
そして、この状況……。
「土下座までさせてさ~」
「許してやれよ彼氏」
「泣いてんじゃん」
「土下座とかひどくない?」
この今ここで池内くんが園田くんを許して和解しないと収拾がつかないこの状況。
被害者は池内くんなのに、池内くんに与えられた終止符を打つ選択肢は一択のみというなんとも屈辱な空間。
「い、池内くん…………」
あたしが池内くんの顔を覗いたときにはすでに遅かった。
この公衆の面前の中心で、野次の矛先を向けられた池内くんは、悔しさとか、怒りとか、恥ずかしさとか、そんなグチャグチャな感情を滲み出したような顔をしていた。
許したくないのに許すしかない空気。
求めてもいないのに勝手にやった土下座。
場所を弁えない身勝手な弁解。
公衆の面前に映る池内くんの印象は、
『彼女を盗られそうになった哀れな男』
『浮気相手に土下座をさせた酷い男』
と、様々な印象を勝手につけられて池内くんは今にも感情が噴き出して爆発しそうだった。
「……とにかく、詳しい話はもっと静かな場所で話そう、園田」
池内くん自身の中で感情を押し殺しながら、選んで選んで選び抜いた言葉は口から聞こえる一音一音が震えていた。
「ごめんけどさ、部屋、貸してくれない?」
池内くんは野次馬の中にいた毎日入り浸る友達宅の家主に断りを入れると、家主も状況が状況なので仕方なく許可をした。
今日の入り浸りのは中止になった。
だからといって、あたしは帰れるはずもなく。
池内くんと園田くん、あたしと家主、あと万が一の為の野郎二人ほどを連れて、あたしたちは家主の家に向かった。
その道中あたしは絶望していた。
池内くんに園田くんとの関係がバレたことに嘆いてるんじゃない。
こんな恥ずかしい形で池内くんがこの関係のことを知ってしまったことに絶望している。
池内くんは今、あたしと園田くんとの関係よりも、公衆の面前で恥をかかされたことによっての園田くんへの怒りが強い。
よって、あたしが池内くんに求めていた関係に対しての怒りとか、悲しみとか、その他もろもろのドロドロとしたギッスギスな感情は今、池内くんの心にはどこにも無いということ。
あたしが見たかった池内くんの表情はもう見れないということ。
何の為にあたしは今まで園田くんとこの関係を続けていたのか。
すべてはあたしの欲求を満たす為だったのに。
今、このせいであたしの欲求が満ちることはゼロとなったのだ。
園田くんの…………園田の、予想外の行動のせいで。
「…………ありえない………」
あたしの口から皆には聞こえない吐息のような言葉が漏れた。
…やりやがったな園田…。
…クソが…余計なことしやがって。
ただのチ●コの分際で……。
あたしの、…あたしの…、
あたしの邪魔をしやがった……………!
ただのチ●コが調子に乗りやがって…!
「……………許さない、園田…………」
道中、沸々と湧き上がる後悔と絶望と殺意に似た怒りをごちゃごちゃに混ぜて、あたしは先導を歩く園田の背中を睨みつけた。
もう二度と触れることのないチ●コをもう二度と勃たないぐらい追い詰める策を考えながら。
なので、コンビニの入口の隣に、校舎に入る入口もあって、行きたいときにすぐコンビニに行けるので、この入口の隣接はとても重宝している。
毎日、授業が終わるとここで昼ごはんを買って、そのまま友達宅に入り浸る。
そして、学校が終わった放課後。
あたしがいつもの入り浸り仲間と昼ごはんを選んでいたときだった。
このまはまいつものように友達宅に入り浸り、泊まるか帰るかは気分次第。
…だと、思っていた。
ほんの五分前までは。
「ハルカちゃん!ハルカちゃん!」
そこにコンビニで大声を上げながら入ってきた入り浸り仲間の女の子。
声を荒げて何やら慌てているみたい。
「どうしたの?」
「外で……、学校の玄関先で、…そ、園田くんが……!」
「園田くんが、何?」
「池内くんに土下座してるの!」
何事かと思った。
急いでコンビニを出ると、友達が言った通りの光景がそこにはあった。
地面のコンクリートに頭をつけて土下座をする園田くんと、それを黙って見つめる池内くんの姿。
何がどうしてこんな展開になったのか。
「ちょっと、池内くん…。これ…何があったの」
「ハルカは向こう行ってろ」
いつもなら何かとあたしに構いっきりの池内くんが、珍しくあたしを冷たく突き放した。
それがこの状況がいかに良くない状況かを物語る。
池内くんの声色も、園田くんを見つめる眼差しも、とにかく冷たかった。
あたしはその池内くんの横顔を見るのが、とても怖くなった。
「……園田さぁ、何の真似?こんな公衆の面前で土下座ってさぁ。それで許してもらおうって魂胆?」
「ちがう!そんなつもりは…」
許す、許さないって、一体何の話なの?
あたしはとても嫌な予感がした。
その予感は園田くんの次の一言で的中する。
「ハルカちゃんのことを好きになってしまって、池内くんから盗ろうとしたことは悪いと思ってる!本当にごめん!うっ…うう……」
……………え。
ちょっと。
今、ここで泣きながらその話…。
ちょっと待ってよ。
「えー?何事?」
「やだ、土下座~」
「なになに?」
「何かドロ沼らしいよ」
「彼女盗ろうしたって」
「なにそれ三角関係?」
「ウケる」
「土下座とかヤバ」
野次馬が…次々と…。
こんな公衆の面前で…、そんな話。
そして、この状況……。
「土下座までさせてさ~」
「許してやれよ彼氏」
「泣いてんじゃん」
「土下座とかひどくない?」
この今ここで池内くんが園田くんを許して和解しないと収拾がつかないこの状況。
被害者は池内くんなのに、池内くんに与えられた終止符を打つ選択肢は一択のみというなんとも屈辱な空間。
「い、池内くん…………」
あたしが池内くんの顔を覗いたときにはすでに遅かった。
この公衆の面前の中心で、野次の矛先を向けられた池内くんは、悔しさとか、怒りとか、恥ずかしさとか、そんなグチャグチャな感情を滲み出したような顔をしていた。
許したくないのに許すしかない空気。
求めてもいないのに勝手にやった土下座。
場所を弁えない身勝手な弁解。
公衆の面前に映る池内くんの印象は、
『彼女を盗られそうになった哀れな男』
『浮気相手に土下座をさせた酷い男』
と、様々な印象を勝手につけられて池内くんは今にも感情が噴き出して爆発しそうだった。
「……とにかく、詳しい話はもっと静かな場所で話そう、園田」
池内くん自身の中で感情を押し殺しながら、選んで選んで選び抜いた言葉は口から聞こえる一音一音が震えていた。
「ごめんけどさ、部屋、貸してくれない?」
池内くんは野次馬の中にいた毎日入り浸る友達宅の家主に断りを入れると、家主も状況が状況なので仕方なく許可をした。
今日の入り浸りのは中止になった。
だからといって、あたしは帰れるはずもなく。
池内くんと園田くん、あたしと家主、あと万が一の為の野郎二人ほどを連れて、あたしたちは家主の家に向かった。
その道中あたしは絶望していた。
池内くんに園田くんとの関係がバレたことに嘆いてるんじゃない。
こんな恥ずかしい形で池内くんがこの関係のことを知ってしまったことに絶望している。
池内くんは今、あたしと園田くんとの関係よりも、公衆の面前で恥をかかされたことによっての園田くんへの怒りが強い。
よって、あたしが池内くんに求めていた関係に対しての怒りとか、悲しみとか、その他もろもろのドロドロとしたギッスギスな感情は今、池内くんの心にはどこにも無いということ。
あたしが見たかった池内くんの表情はもう見れないということ。
何の為にあたしは今まで園田くんとこの関係を続けていたのか。
すべてはあたしの欲求を満たす為だったのに。
今、このせいであたしの欲求が満ちることはゼロとなったのだ。
園田くんの…………園田の、予想外の行動のせいで。
「…………ありえない………」
あたしの口から皆には聞こえない吐息のような言葉が漏れた。
…やりやがったな園田…。
…クソが…余計なことしやがって。
ただのチ●コの分際で……。
あたしの、…あたしの…、
あたしの邪魔をしやがった……………!
ただのチ●コが調子に乗りやがって…!
「……………許さない、園田…………」
道中、沸々と湧き上がる後悔と絶望と殺意に似た怒りをごちゃごちゃに混ぜて、あたしは先導を歩く園田の背中を睨みつけた。
もう二度と触れることのないチ●コをもう二度と勃たないぐらい追い詰める策を考えながら。
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