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俺が最初に好きだったんだ
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しおりを挟む長道叶の精通は親友の裸だ。
今でも目を閉じれば鮮明に思い出す。
スラリとした体躯、日に焼けた滑らかな肌。服をポイポイ脱ぎ捨てて下着1枚で楽しそうに泳いでいた。
水滴がコロコロと彼の全身を転がって汗と混じって、舐めてみたい、と思った。
ピッタリと張り付いたパンツが尻の割れ目と幼い性器を浮かび上がらせていた。小さな乳首は水の冷たさで些細なその存在を主張していた。彼は魚を必死で目で追っていたけれど、叶はその可愛らしい肉粒を何度も目で追っていた。
水遊びを終えてびしょびしょだからと言って、下着を張り付かせながら脱いでいた彼の脚。ぐるぐる丸まっていく彼の下着。そこから現れた皮を被った子供ペニスが揺れて、そこから水が滴っていて、彼は笑顔で、……。
服が濡れていると怒られるからとそのまま全身を太陽光で乾かしていた全裸の彼と過ごした時間は至福だった。
木の枝にぶら下げた下着は乾いたら明日回収すると言っていて、持ち帰ってしまいたいと何度も悩み、しかし幼かった叶はそんな事は実行出来なかった。今でも後悔している。
パンツを履かないままのキュッと締まったお尻がズボンに隠されていく瞬間。性器が挟まれない様にチャックの隙間から指で抑えながら恐る恐るジッパーを上げていたその姿。楽しそうな彼の笑顔、笑顔、笑顔…。
伊東輝。彼は明るくて、元気でお調子者。いっつも笑っていて誰もが彼を好いていた。幼い叶にとってはヒーローそのものだった。
少し寂れたその街に叶が越して来たのは祖父母に引き取られたからだ。
中途半端な時期、都会からやって来た物静かな叶は新しい学校に馴染むことが出来るか不安だった。
元々社交的な性質とは遠く、両親が不在だという現状は叶の内向性に拍車をかけた。馴染めなくてもいい、ただ目立たず時を過ごせれば…そんな風に叶が願った時だった。
「転校生!…長道叶っ!」
「!?」
ポツンと座る叶に対し勢いよく少年が声をかけてきた。ガタタッとその両手が置かれた勢いで机が揺れる。
驚いた叶が顔を上げた瞬間、突然現れた少年に日差しがあたりその顔を明るく照らした。
「お前んちも親いねーって本当?オレもだよ!同じだな!」
なはは、と楽しそうに笑いながら輝はそう言った。
世界の憂いなど知らないかの様な満面の笑顔だった。顔いっぱいで笑い、キラキラと輝く大きな瞳に叶は釘付けになる。世界の時間が止まり、呼吸を忘れた。
目が、離せなかった。
にゅっと伸びてきた小麦色によく焼けた手が生白い叶の腕を掴む。力強い手のひらの熱が腕を伝わりバクバクと鼓動が高鳴った。
「遊び行こう!蝉10匹さきに捕まえたヤツが勝ちなんだ!」
「へっ?…えっ!?」
「親いない友達、略して『親友』ってか?あはは!俺たち今日から『親友』だぞっ!」
「なに…それ…全然面白く…な……ふ、ははっ」
「あははっ!」
「は、あははっ!」
生まれて初めて心から笑った。普段使わない顔面筋を酷使した笑顔は酷く強張ったものだっただろう。そんなぎこちない叶の顔を見て更に輝は楽しそうに笑っていた。
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