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人生一発逆転勝利を目指して (((ʕ•̫͡•ʔ
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しおりを挟むいったいどれくらい歩いただろうか。
右へ、左へ、鬱蒼とした獣道を掻き分け、道なき道を行き、川を渡り、谷を降り、崖を登った。
「ちょ…マジ限界…少し休憩させて…」
『わにゃあ?』
ぜいぜいと輝が息を乱して立ち止まると謎の生物も止まり、一定の距離を保ったままウロウロした。
不思議な事にソレについて奥に進んでいると、暗くなりかけていた周辺が段々と明るくなっていった。
片手を木について項垂れる輝を真似して、謎生物も同じ格好をした。
『ゼヒゼヒ』
「…馬鹿にしてんのかぁ?」
青筋を立てながら隙をついて網を被せる。が、素早く逃げられてしまった。
「くっそお…、手強いぜ…。あー…かったりい…」
イライラしながら懐から煙草を取り出し、深く吸い込む。肺を煙で燻して少し落ち着いた。
「はー……。こっから帰れる自信ねえ…」
『わにゃ』
『ウ?』
「ん?」
I•̫͡•ʔ" "ʕ•̫͡•ʔ
『『わにゃ』』
「う!?お!…ふ、増えてる!スーパーリーチ…遅れ演出か…?へ、…へへ…確変来るなコレ…」
2匹は仲良さそうにモチモチと戯れあった。そうして転がりながら草むらの奥へ消えてしまった。
「あ!待て待て…ここまで来て逃さねぇぞ…」
慌てて輝は追いかけた。背丈の高い雑草を掻き分けて進んで行く。
『わにゃわにゃ』
『わにゃ』
「くそっ…こっちか…?」
視界は便りにならないので、声のする方角へ懸命に進む。
ガサガサ…ガサガサ…ガサガサ…ガサッ
「…う、…お…?…………鳥居…?」
草むらを抜けた先には剥き出しになった地面と真っ赤な鳥居が聳え立っていた。
一つではない。奥に続くように数多の鳥居が。
それは真新しく建てたように美しい緋色だった。
「こんな山奥に?……ハハ、どっか抜け道でもあんのかな?…もしかして、俺ってすんげえ回り道してた?…クソッ」
まぁ、それだったら帰りは楽だな。と輝は楽観的に考えて歩を進めた。
2匹の餅は輝を振り返りながら鳥居を潜って行く。
(((ʕ•̫͡•ʔ
『わにゃ』
(((ʕ•̫͡•ʔ
『わにゃ』
「うおー、…すげえな。何本建ってるんだ?…こんな所に作った奴尊敬するわあ…」
いくつもの鳥居を抜け、眩く光る場所に出た。
「う…わあ…。すげえ…。なんだここ…?」
そこは一面に花が咲き、樹には果実が実り、美しい鳥が羽ばたいた。
暖かく優しい風は今が真夏だという事を忘れさせる。
桜、梅、木蓮、椿、金木犀、蝋梅、シクラメン、クレマチス、パンジー、ビオラ、ラナンキュロス、紫陽花、向日葵、スイトピー、テッセン、クロッカス、水仙、ネモフィラ、チューリップ、鈴蘭、藤、菜の花、芍薬、アマリリス、百合、蓮、睡蓮、朝顔、クチナシ、桔梗、コスモス、薔薇、彼岸花…
ありとあらゆる花が季節関係なく咲き誇る。
しかし、花に詳しくない輝にはその異常さは分からなかった。
「ほわー…。すっげぇ花畑だ…」
『わにゃ』 ((( ʕ•̫͡•ʔ ((🦋
『うにゃ』 ((( ʕ•̫͡•ʔ
少し開けた場所で餅が2匹で蝶々を追いかけて遊んでいる。
その長閑な光景に気が削がれて、輝はドサリと座り込みぼんやりと楽しそうな生き物を眺めた。
「やべ…なんだここ…。天国か?…俺気付かないうちに崖から落ちて死んだのかな…?はは…まぁ、いっか。……気持ち良いー…」
ゴロリと横になり、輝は疲れた身体を休めた。
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