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本編
19 もうちょっと我慢
しおりを挟む「ご主人様ぁ…怖い夢をみました…」
「そうか…こっちにおいで。レド」
「あは」
寝支度を整えて寝具に着いてからそう時間は経っていない。
いつもの悪夢を見たにしては平静なレドをこれといって問い詰める事はなく、アルヴィンは自分の布団を捲りレドを迎え入れた。
ただ感情が乱れていない状態で向き合うのは多少気まずいので、レドに背を向けた。
当初それなりに距離があったがレドが寝返りを打つたびにアルヴィンとの距離が縮まり、最終的には互いの体温を感じるぐらい近い位置になっていた。
「ご主人様…あったかい…いい匂いがする…」
「こら、くすぐったいからあまり動くな」
「ご主人様…ご主人様ぁ……………おいしそう…」
甘えて擦り寄ってくるレドの口が軽くアルヴィンの首筋に触れた。
その瞬間にパチリッと軽い衝撃が起こった。
「?……なんだ?」
「……だいぶ弱まってますね…。あは、ご主人様ぁ…」
「分かったからもう寝るぞ。明日はギルドからの依頼が入っているからな」
「はい、申し訳ありません…」
幾分か悩んでアルヴィンはレドと向き合うとその赤毛の頭を抱え込んだ。
「!?…ど、どうしたのですか?」
「ん…。これなら悪夢を見ても俺が側にいる事を直ぐに思い出せるだろう?…お前に健やかな眠りを…。おやすみ、レド」
赤髪を撫でる優しい指先と、一定のリズムを刻む鼓動の音を聴きながらレドは心地よい幸福感に酔った。
「いい子だ…。お前は良い子だよ、レド」
「ご主人様…ご主人様ぁ…」
やがて眠りに落ちたレドは、陽だまりの中をアルヴィンと戯れ合う幸せな夢を見た。
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