回廊

お粥定食

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ギシギシと軋む床を歩きながら宵は、神社の中を見回した。 
どこか湿気が部屋全体に広がっていて、かび臭い匂いが宵の鼻腔をついた。
宵(…どれぐらい前に建っていたんだ?)
宵は初めてこの神社の内部に入ってきてから、心の片隅でこの建物に疑問を持った。
宵は幼少期あまり活発ではなく、むしろ家で一人読書をするのが好きな少年だった。
それが原因かあまり地元に友達はおろか、古くから伝わる伝統も深くは知らなかった。
宵(…しかし、本当にこのまま歩けば目的地に着くのか?)
宵は半信半疑で歩いていると、廊下の先に何か光るものが見えた。
宵(あれは、一体?)
宵はまるで導かれるようにその光のもとに向かった。
その光の正体は宵が歩を進めるごとに段々と形を見せていった。
宵「これは鏡?」
宵の目の前には、御神鏡が部屋の真ん中に置かれていた。
宵(山内さんが言っていた。鏡はこれの事か?)
宵は御神鏡の前で星座をした。
宵(ん?これは?)
宵は御神鏡の前に置かれている、桧で出来た。神饌台の上に盃が置かれていた。
宵(中に何か入ってる。)
宵は盃の中をまじまじと良く見ると、底まで見えるほどの透明な液体が入っていた。
宵(まさか、これを飲むのか?)
宵はこの未知の物体に口付けるのを躊躇ったが、このままここで戸惑っているわけにもいかず、恐る恐る盃の中の液体を自身の口へ流し込んだ。
ゴクッゴクッゴクッゴクッゴクッ。
盃の中が殻になり、盃を元の場所に宵は戻した。
しかし、突然。宵の視界がぼやけた。
宵(何だか、急に眠気が…。)
宵は意識を失いその場で倒れ込んだ。



……………朧気な頭で意識が浮上した。宵はまだ身体がゆうことをきかないにも関わらず周りに目をやった。
宵(さっき見た所とは?違う?)
宵は、さっきまでの灯りが灯っていた。神社の中とは真逆でろくに灯りもささない。薄暗い部屋の中にいた。
宵(誰かが、運んでくれたのか?)
宵は誰かいるのかと思い、その場で呼び掛けた。
宵「あのー、誰かいませんかー。もう儀式は終わったんですかー。」
宵の呼び掛けに全く応えず、ただ宵の発した言葉は木霊と化して闇の中に消えていった。
宵「誰もいないのか?」
宵は、自分で人を探そうと重い腰を上げ、拙い足取りで薄暗い廊下を一歩ずつ歩いていった。
ギシッギシッギシッギシッギシッ。
建物の中はドコモかしこも静寂に満ち溢れており、宵の足音だけがその中で虚しく響き渡った。
宵「あのー、どなたか返事をして下さい!」
しかし宵の問に返事を返す者はいなかった。 
宵(もしかして、みんな帰ったのか?)
宵は、その考えに囚われて若干焦りを覚えた。 
その時、宵の目に一つの明かりが灯った部屋を見つけた。
宵(人がいるのか?)
宵は、その明かりの灯った部屋に向かった。
宵はその部屋の戸に手を掛け、戸を開けた。
部屋の中は微かな明かりが灯っており、ゆらゆらと明かりが揺れて影ができていた。
宵は部屋の中を人がいないか探し回った。
宵「ん?」
宵はふと部屋の奥に何か白い物を発見した。
その白い物体が気になり、宵はそこに近付いていった。 
しかし、段々と近づいていって、鮮明になってくると宵は驚愕した。
宵「これは…骨か?」
白い物体は、人の形に似た白骨だった。
それもかなりの数があり、部屋の奥にまでその骨の群れは続いていた。
宵はその光景を見て言葉にならない悲鳴を上げそうになった。
瞬間宵は一刻でも早くここから出なくては行けないと思い踵を返して元の道へ戻った。

タッタッタッタッタッタッタッタッタッ。
どれぐらい走っただろうか、宵は来た道を戻り神鏡のある部屋へ戻ろうとしたところ何かに躓いた。
バタンッ!
宵「痛っ!何だ急に?」
宵は躓いた自分の脚を見てみると、
血のように赤黒い縄らしきものが宵の足首に巻き付いていた。
宵「何なんだ?これは!?」
無我夢中で宵はその赤黒い縄を解こうとしたが、
急に冷たい空気が宵の身体を包んだ。
宵「いきなり、気温が変わった?」
その途端、背後で人の気配がした。
宵は突然のことで後ろを振り返る事が出来ず、ただじっとその場で動きを静止していた。
すると、後ろの“何か”は不意に宵の耳元に近付き、宵の胸元に手を這わせた。
宵は、自分自身の身体に張り付いている何者かの手を見た。
宵(女…?)
その雪のように白く細い手は、宵の白い着物の帯の中に手を差し込んだ。
宵(!!?何をする気だ!!?)
宵は暴れてその場を逃げようとしたが、不思議な事に身体はびくともしなかった。
その途端、宵の目が急に眩み、宵は再び意識を手放した。
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