犠牲

お粥定食

文字の大きさ
上 下
1 / 7

発端

しおりを挟む
ヒュウウウウウウウ
風が草原一帯を凍てつかせる。
長老「おい!カゴ!ちょっとこっちを手伝ってくれ!」
カゴ「ああ、分かりました!」
カゴは長老の所に屠殺したばかりの羊を干し肉にする手伝いをしていた。
長老「やれやれ村の男達は冬が近づいて来ているというのに。中々働こうとしない!カゴお前だけだ頼れるのは。親御さんを亡くして一年しか経っていないというのに、族長に就任してこの村を率いて齢百歳の妹を養っているのは。」
カゴ「長老、俺達よく分からないことが沢山あって大人達にも教えて貰うことが多いし。まだまだ頼りない所が多いです。」
長老「いやいや、お前はよくやってる。所で?カゴお前さんの妹のユメ朝から見かけないがどうしたんだ?」
カゴ「そういえば朝起きた時から、姿を見かけないのですが長老知ってませんか?」
長老「いや、全く知らん。叔母の所には行ってきたか?」
カゴ「行ってきましたが、叔母さんは『ユメはここに来て遊んではいない。』と言ってました。」
長老「居ないのか?」
カゴ「長老」
長老「ん?」
カゴ「俺、ちょっと村の外に行ってきます。」
長老「カゴ!お前自分が何を言っているのか分かっているのか!村の外は危険だ!」
カゴ「従順承知しております。すぐにユメを見つけたら直ちにこの村に戻ってきます。」
そう言ってカゴは村を後にした。
長老「カゴ・・・。」

タッタッタッ「ハアッハアッハアッここにあるはず。」
ユメは叔母から聞いた幸せになれる幸の果実が村の外にあると聞いていつもよりも朝早く起きて村を出てきた。
ユメ「えっと、確かここに。」
ユメは叔母の話を頼りに手当たり次第、周辺の木々を探した。
ユメ「あった!これだわ!」
ユメは幸の果実が生っている木を見つけ手に握っていた収穫棒で幸の果実を採ろうとしていた。
ユメ「よっと、もうちょっと。あ!採れた!」
ユメはその幸の果実をまじまじと見た。
ユメ「わあーとっても綺麗ー!」
その幸の果実は濃い赤色をしていて宝石のように光沢があった。
ユメ「よし!村に帰って兄上に。」
カゴ「ユメ!」
ユメ「わ!兄上!」
カゴ「ユメ!あれほど村の外に出ては危険だと言ったのにどうして村を出たんだ!?」
ユメ「私、どうしても兄上の誕生日にプレゼントを渡したかったんです。」
そう言ってユメは幸の果実をカゴに渡した。
ユメ「兄上、父上と母上が亡くなってからは村の為、私の為に身を粉にして一生懸命仕事をしていました。それで私は少しでも兄上にお礼がしたかったんです。」
カゴ「ユメ・・・俺はお前が無事でいてくれればそれで十分だ。」
ユメ「兄上・・・。」
ガサッ突然、物陰から視線がした。
カゴ「ユメ!早く村に戻るぞ!」
カゴはユメの手を引いて元来た道を引き返した。
シュッブスッ
カゴ「うっ!」
カゴはその場に膝をついた。
ユメ「兄上!」
兵士A「動くな!」
兵士B「宝殖族はどうやら二人だけのようだな。」
カゴ「う、うう。」
ユメ「あっああ・・・。」
ユメはガタガタと体を小刻みに震えさせていた。
カゴ「ハアッハアッユメ!」
カゴは手をユメの方に伸ばして何やら力を込めた。
スッ
ユメの体が突然消えた。
兵士達「な!?」
そこでカゴの意識は切れた。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

禁断の密事

お粥定食
恋愛
記憶喪失の青年が男娼として働くお話です。

一途

お粥定食
恋愛
αの貴族家庭出身のΩの少年がΩの少女に恋をするお話です。

紅雨-架橋戦記-

法月
ファンタジー
時は現代。とうの昔に失われたと思われた忍びの里は、霧や雨に隠れて今も残っていた。 そこで生まれ育った、立花楽と法雨里冉。 二人の少年は里も違い、家同士が不仲でありながらも、唯一無二の親友であった。 しかし、里冉は楽の前から姿を消した。それも里冉の十歳の誕生日に、突然。 里冉ともう一度会いたい。 何年経ってもそう願ってしまう楽は、ある時思いつく。 甲伊共通の敵である〝梯〟という組織に関する任務に参加すれば、どこかで里冉にも繋がるのではないか、と。 そう思っていた矢先、梯任務にも携わる里直属班・火鼠への配属が楽に言い渡される。 喜ぶ楽の前に現れたのは​─────── 探していた里冉、その人であった。 そんな突然の再会によって、物語は動き出す。 いきなり梯に遭遇したり、奇妙な苦無を手に入れたり、そしてまた大切な人と再会したり…… これは二人の少年が梯との戦いの最中、忍びとは、忍道とはを探しながらもがき、成長していく物語。 *** 現代×忍びの和風ファンタジー創作『紅雨』の本編小説です。 物語の行く末も、紅雨のオタクとして読みたいものを形にするぞ〜〜!と頑張る作者の姿も、どうぞ見届けてやってください。 よろしくお願い致します。 ※グロいと感じかねない描写も含むため一応R-15にしています

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜

あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。 そんな世界に唯一現れた白髪の少年。 その少年とは神様に転生させられた日本人だった。 その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。 ⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。 ⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。

転生王子はダラけたい

朝比奈 和
ファンタジー
 大学生の俺、一ノ瀬陽翔(いちのせ はると)が転生したのは、小さな王国グレスハートの末っ子王子、フィル・グレスハートだった。  束縛だらけだった前世、今世では好きなペットをモフモフしながら、ダラけて自由に生きるんだ!  と思ったのだが……召喚獣に精霊に鉱石に魔獣に、この世界のことを知れば知るほどトラブル発生で悪目立ち!  ぐーたら生活したいのに、全然出来ないんだけどっ!  ダラけたいのにダラけられない、フィルの物語は始まったばかり! ※2016年11月。第1巻  2017年 4月。第2巻  2017年 9月。第3巻  2017年12月。第4巻  2018年 3月。第5巻  2018年 8月。第6巻  2018年12月。第7巻  2019年 5月。第8巻  2019年10月。第9巻  2020年 6月。第10巻  2020年12月。第11巻 出版しました。  PNもエリン改め、朝比奈 和(あさひな なごむ)となります。  投稿継続中です。よろしくお願いします!

処理中です...