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3月上旬
まだ冬の息吹が僅かに残る春風がそよぐ路地裏の石畳を歩き終え、目的地の場所についた身なりが古風なビロードの生地で纏った青年は店の扉のドアノブに手を掛ける。
ガチャッ
青年を迎えたのは
年代もののティーセット
錆びついたランプ
少しホコリが被ったルビーの指輪
漆塗りの木馬
どれもこれも店長各地方のお客様から買い取った貴重な商品であり宝物である。
青年は開店準備の為に直ぐ様、作業着を着て作業に取り掛かる。
床の上の埃や塵が箒によって次々と集められ、一つの山と化していく。
ゴミ箱に集めたゴミを片付けながら、青年は憂鬱そうに物思いに耽る。
青年(今日も、また僕の事に気付いてくれなかったな。)
残念そうに青年は肩を落とす。
青年が今気になっている向かいの家の女性は明るい茶髪に榛色の瞳を持つ、可愛らしい女の子である。
その子は青年がいつも仕事で家を出る時に下から見かけていて、良く絵を描いている。
青年「今日も来てくれるかな?」
その少女は偶に絵の具を買うために、青年の勤めるこの雑貨屋に客として来店している。
しかし、少女は自分の家の前のマンションに住む青年に全く気付かない。
青年(今日こそは気付いてくれるかな?)
淡い期待を込めて、青年は少女の来店を待つ。
カランカラン
店にやってきたのは店の主人である店長だった。
店長「おはよう、国重君。」
国重「おはようございます、店長。」
国重は店長に頭を下げる。
店長「今日も真面目に仕事をやってるねえ、感心するよ。
じゃあ私は倉庫の品を整理してくるから店番頼んだよ。」
店長は倉庫に向かっていった。
夜中の9時、国重は自宅のベランダから向かいの家を眺めている。
最近少女は店に来ないどころか満ちを歩く姿を見かけない。
国重「何かあったのだろうか?」
国重は少女の身を案じ、片手の紅茶を飲みながら独り言ちた。
その時、少女が住んでいる家の二階の窓から灯りが点滅した。
国重「ん?」
国重はその灯りに誘われるように、ショウジョの家へと足が運ぶ。
夜もふけ国重の頬を氷の様な風が突き刺さる。
ようやく少女の家に着いた国重はドアノブに手を掛け、中に入っていく。
家の中は薄暗く家具が少なく所々、埃を被っている。
国重が一歩一歩歩くとまた灯りが二階で点滅した。
国重「何だろう?あの灯りは?」
不思議に思いながら、階段を一歩ずつ上がる。
灯りの正体は壁に掛けられた大きな鏡である。
国重「何故鏡が?」
すると、鏡が光ったかと思えば国重の身体を吸い込んだ。
まだ冬の息吹が僅かに残る春風がそよぐ路地裏の石畳を歩き終え、目的地の場所についた身なりが古風なビロードの生地で纏った青年は店の扉のドアノブに手を掛ける。
ガチャッ
青年を迎えたのは
年代もののティーセット
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少しホコリが被ったルビーの指輪
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どれもこれも店長各地方のお客様から買い取った貴重な商品であり宝物である。
青年は開店準備の為に直ぐ様、作業着を着て作業に取り掛かる。
床の上の埃や塵が箒によって次々と集められ、一つの山と化していく。
ゴミ箱に集めたゴミを片付けながら、青年は憂鬱そうに物思いに耽る。
青年(今日も、また僕の事に気付いてくれなかったな。)
残念そうに青年は肩を落とす。
青年が今気になっている向かいの家の女性は明るい茶髪に榛色の瞳を持つ、可愛らしい女の子である。
その子は青年がいつも仕事で家を出る時に下から見かけていて、良く絵を描いている。
青年「今日も来てくれるかな?」
その少女は偶に絵の具を買うために、青年の勤めるこの雑貨屋に客として来店している。
しかし、少女は自分の家の前のマンションに住む青年に全く気付かない。
青年(今日こそは気付いてくれるかな?)
淡い期待を込めて、青年は少女の来店を待つ。
カランカラン
店にやってきたのは店の主人である店長だった。
店長「おはよう、国重君。」
国重「おはようございます、店長。」
国重は店長に頭を下げる。
店長「今日も真面目に仕事をやってるねえ、感心するよ。
じゃあ私は倉庫の品を整理してくるから店番頼んだよ。」
店長は倉庫に向かっていった。
夜中の9時、国重は自宅のベランダから向かいの家を眺めている。
最近少女は店に来ないどころか満ちを歩く姿を見かけない。
国重「何かあったのだろうか?」
国重は少女の身を案じ、片手の紅茶を飲みながら独り言ちた。
その時、少女が住んでいる家の二階の窓から灯りが点滅した。
国重「ん?」
国重はその灯りに誘われるように、ショウジョの家へと足が運ぶ。
夜もふけ国重の頬を氷の様な風が突き刺さる。
ようやく少女の家に着いた国重はドアノブに手を掛け、中に入っていく。
家の中は薄暗く家具が少なく所々、埃を被っている。
国重が一歩一歩歩くとまた灯りが二階で点滅した。
国重「何だろう?あの灯りは?」
不思議に思いながら、階段を一歩ずつ上がる。
灯りの正体は壁に掛けられた大きな鏡である。
国重「何故鏡が?」
すると、鏡が光ったかと思えば国重の身体を吸い込んだ。
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