石英の華

お粥定食

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軍生活

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何とか研究所から脱出出来た麗はトボトボとこれからどうするべきか頭を悩ませていた。
この社会はΩの人間にとっては生き地獄そのもので、殆ど真っ当な職に就く事が出来ず、大抵は、浮浪者か売春するしか生きる道は無かった。
麗「これから僕はどうしたら良いんだろう?)
麗は抑制剤もなく帰る家もなくしばらく路上で生活する事になると思うと暗く絶望した。
もし、夜中道の隅で野宿をしていると、見知らぬ誰かに自身の身体を暴かれて誰の子だか分からぬ赤子を孕んでしまうことに背筋が凍り付いたが、
それと同時に下腹部がキュッと締め付けられたように熱を帯びていた。
麗「?」
麗はふとしたことに気付いた、研究所に囚われて、何とか脱走する事に成功してから一度も麗は抑制剤を飲んではいない
だが、不思議とかつての自分の運命の番のα男性である和真が死んだ事により精神不安定だったにも関わらず、今は意識がはっきりとしている。
和真がいない事で漠然とした不安感や焦りに以前は苛まれていたのに、それが今ではすっかり無くなっており、まるで地に足をちゃんと着けて歩いているみたいである。
麗(いくら抑制剤を飲んでも殆ど効かなかったのに。)
麗が悩んでいた所に偶然、麗の眼に壁紙が入った。
どうやら壁に貼ってあったポスターは軍隊への入隊希望者を募集しているらしい。
麗(…行ってみよう。)
早速麗はポスターの書かれてあった軍事基地へと足を運んだ。
数カ月後
軍生活は苦労の連続だった。
最初麗はまず朝の6時に起床ラッパで起こされて、5分以内に身支度を整えないと、教官に怒られたりしたり、周りについていけなくて良く連帯責任で腕立て伏せ一万回をやらされたりしていた。
しかし、麗は諦めなかった。
どんなに過酷な状況でも決して努力を怠らず、ずっとひたむきに厳しい軍事学や戦闘訓練を学んでいった。
これも麗自身が一人で生きていく為に必要な事だった。
その夜麗は寄宿舎で筆記科目の復習をしていた。
カリカリカリとシャーペンの芯が白いノートに書き写されていく。
麗(…僕がまさか、真っ当な職業に就けるなんて思っても見なかった。)
麗は軍に入る前の身体検査の時の事を思い出していた。
Ωだった頃とは比べ物にならない程の身体能力を体力測定で繰り出し、筆記試験も直ぐに合格した。
麗(でも、まさか性別が変わっていたなんて。)
自分でもいまだ不思議でならなかった。
麗は血液検査でαと判定されて、直ぐに正式に軍隊への入隊が決まった。
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