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トートは一ヶ月の折檻を思い出し、苦渋を顔に浮かべたまま
街にまだ反抗してくる敵がいないかどうか探していた。
そんな時、カンッ!と何処からかトートの近くで何かが
落ちたと思えば、鉄の塊みたいな物がトートの足元に転がってきた。
トート(?)
トートがそれに対して、不思議そうに首を傾げたとその途端
プシューーーーーーーーーー!
とその鉄の塊から白い煙の様な物が出て来て、トートの周りを包むように広がりトートはその白い煙を吸ってしまい、
トートは深い眠りに付いてしまった。
…しばらくして、トートの意識が静かに浮上してくると
寝ぼけ眼で辺りを見回したトートは目の前の光景に衝撃を受けた。
トートがいる部屋の中は豪奢な造りの内装で床は一面大理石で出来ており、家具や調度品は質の良さそうな物を素材にして作っている事が分かり、部屋の外はバルコニーがあり
その先には綺麗に剪定された庭が並んでいた。
トートは目を瞬かせた。
その時、トートのいる部屋の扉が唐突に開いた。
ギィー、ガチャ。
トートがいる部屋に入って来たのは、壮年の女性とその部下らしき騎士の男性だった。
トート「………?」
トートは訳も分からず、眼の前の男女に釘付けになっていた。
壮年の女性「シャルル王太子殿下、お身体の方は大丈夫でしょうか?」
トート「シャルル王太子殿下?」
トートは聞き慣れない名前に小首を傾げた。
壮年の女性は自身の横にいる騎士の男性と眼を合わせると
壮年の女性は再びトートと眼を合わせトートにこう質問をした。
壮年の女性「シャルル王太子殿下、貴方は2年前遠方の国へ遠征に向かわれた時、行方不明になりこの2年間貴方様を我々一同総員で世界各国を捜索していました。」
トートは動揺を隠せないでいた。眼の前の人物が自分に対して言っている事の意味がトートには理解できなかった。
トート「行方…不明?」
トートは壮年の女性が言った言葉を反芻した。
壮年の女性「シャルル様のご無事を国王様達に知らせましたので、直ぐに此方へ向かわれます。」
壮年の女性はトートの混乱を他所にトートに伝言を伝えた。
午前9時30分 シャルルの部屋 内部
トートはさっきの壮年の女性が言っていた事の意味が良く理解出来なかった。
トート「俺が、シャルル王太子殿下?」
トートは全く身に覚えのない名前に、頭を抱えた。
トート(俺は、気付いた頃からバシレウス様の下僕で常にバシレウス様の命令通りに任務を遂行していた。…
あれ?そういえば俺はいつの時からバシレウス様に仕えているんだ?」
トートは何時頃からバシレウスに仕えて、
バシレウスの命令に忠実に働き、
バシレウスに奉仕をしてきた。
しかし、それ以前の記憶がトートの頭の中にはすっぽりと
抜けていた。
トート(そういえば、外出する時は決まって任務かミミクリィー様に連れられて奉仕をする事しか外に行く事を許されなかった。)
トートはが今までの出来事を思い出していると、突然
何者かの気配がして、トートは身構えた。
コンコン、
侍女「あの、シャルル様、国王様がお呼びです。」
トートは自分の事を言っているのか最初分からず、困惑していると、トートはここで立ち止まっても意味がないと考えとりあえず侍女の呼び掛けに応える事にした。
トート「はい。」
ガチャ、トートの前にいたのは、トートより2回り年上の年配の女性だった。
侍女「はい、シャルル様。お父上様やお母上様が貴方様のお顔を拝見したがっていますので私の後ろに付いて来てください。」
玉座の間にて
トートはさっきの部屋よりもひらけた場所に着き、
眼の前の二人に注目した。
王「おおっ!シャルル無事だったか!」
王妃「シャルル!」
王妃らしき人物はトートに近付き、トートに抱きついた。
王妃「うっうう。」
トートはこの自分に今抱き着いている眼の前の女性に対して
困惑しか抱けなかった。
王妃「シャルル!ミーアの話では貴方は行方不明になる前の記憶が全て消えていると聞いたけど、直ぐに元の記憶を思い出せるのよね?大丈夫なのよね?」
王妃はトートにそう聞いた。
トート「あの、すみません。誰かと勘違いしているのではないでしょうか?俺はシャルルという名前は聞いた事がありません。」
王妃「シャルル?」
王妃はトートの放った言葉に驚愕の顔を隠せなかった。
王「お前、これ以上はシャルルに無理をさせる訳にもいかん。ミーア、シャルルを連れてこの城を見学させておきなさい。きっと少しでもシャルルの以前の記憶が戻るかもしれない。」
王妃「うっうう。シャルルが、シャルルが。」
王妃と思わしき女性は、隣の王と言われる男性に宥められながら涙を流していた。
トートはミーアに連れられて城内を見学していた。
ミーナ「シャルル様、あの部屋は浴室であの部屋は医務室です。」
トート「はい。」
トートは慣れない名前に四苦八苦しながらも、何とかミーアからの返事に応えた。
ミーア「シャルル様?あの、記憶が無いというのは本当ですか?」
トート「どうやら、そうみたいです。」
ミーア「あの、私ではお力になれませんが出来る事なら、相談に乗ります。大丈夫ですこの事は決して口外しません。」
トートはミーアの返事に
トート「はい。」
と応えた。
午後2時30分 シャルルの部屋にて
トートは部屋の中の片隅にある椅子に座り、今日あった事を考えていた。
トート(…シャルル王太子殿下。)
トートはそんな今までとは真逆なまでの扱いを受けていた。
夕食は豪華
綺羅びやかな家具
国の跡継ぎ
トートは誰かと勘違いして、ここに連れて来られたのかと思い、またあの国王夫妻に話をしようと部屋を出ようとしたその時、
トートの神経が何者かの気配を察知した。
シュッガシッ!
トートは何者かの手首を掴んだ。
トート(…誰?)
トートは眼の前の自分に対して刃物の切っ先を怒りにまみれた憎悪の象徴のような顔で、トートに対して、まだ抵抗を続けているうら若きトートとほぼ同じと言える若い娘が睨みつけながら、トートに対してこう怒鳴り散らした。
???「この人殺し!みんなを返せ!」
その娘は、トートに対してそう怒りの声を上げた。
トート「!!!」
トートは眼の前の娘の、放った言葉で自分の今までの行動が思い出された。
尽く破壊された街
物言わぬ屍と化した街の住民
そして、今までずっとそれに対して忠実にバシレウスからの命令に従ってきた己自身。
トートの中でそれらの激しい後悔と罪悪感で胸が一杯になっていた。
それが原因でトートの手の拘束が緩み、娘がその隙きに
トートの腕を振り払い、ナイフの切っ先を
トートに向けて突き刺そうとした時、
ミーア「待ちなさい!」
娘は慌てて、ミーアの静止を聞いて両手を止めた。
娘「ミーア叔母さん?何で止めるの?」
ミーア「この方に復讐の矛先を向けるのは間違いよ。
シャルル様は操られていただけ。」
娘「だけど…。」
ミーア「みかん!」
みかんはトートからナイフを下げた。
その様子を見た。ミーアはトートに対して謝罪をした。
ミーア「申し訳ありません!シャルル様この度は私の姪であるみかんが貴方様に対して、無礼な事をしました。
どうか非礼をお許し下さい。」
ミーアは必死でトートに頭を下げた。
トート「ミーアさん、俺は気にしてはいない。それよりも俺の防具や武器は何処なのか教えてくれないか?」
ミーア「それをどうするおつもりなのですか?」
トート「嫌っ決して悪い事には使いません。」
ミーア「では、一体何にお使うのですか?」
トート「旅に出たいんです。贖罪の旅に。」
街にまだ反抗してくる敵がいないかどうか探していた。
そんな時、カンッ!と何処からかトートの近くで何かが
落ちたと思えば、鉄の塊みたいな物がトートの足元に転がってきた。
トート(?)
トートがそれに対して、不思議そうに首を傾げたとその途端
プシューーーーーーーーーー!
とその鉄の塊から白い煙の様な物が出て来て、トートの周りを包むように広がりトートはその白い煙を吸ってしまい、
トートは深い眠りに付いてしまった。
…しばらくして、トートの意識が静かに浮上してくると
寝ぼけ眼で辺りを見回したトートは目の前の光景に衝撃を受けた。
トートがいる部屋の中は豪奢な造りの内装で床は一面大理石で出来ており、家具や調度品は質の良さそうな物を素材にして作っている事が分かり、部屋の外はバルコニーがあり
その先には綺麗に剪定された庭が並んでいた。
トートは目を瞬かせた。
その時、トートのいる部屋の扉が唐突に開いた。
ギィー、ガチャ。
トートがいる部屋に入って来たのは、壮年の女性とその部下らしき騎士の男性だった。
トート「………?」
トートは訳も分からず、眼の前の男女に釘付けになっていた。
壮年の女性「シャルル王太子殿下、お身体の方は大丈夫でしょうか?」
トート「シャルル王太子殿下?」
トートは聞き慣れない名前に小首を傾げた。
壮年の女性は自身の横にいる騎士の男性と眼を合わせると
壮年の女性は再びトートと眼を合わせトートにこう質問をした。
壮年の女性「シャルル王太子殿下、貴方は2年前遠方の国へ遠征に向かわれた時、行方不明になりこの2年間貴方様を我々一同総員で世界各国を捜索していました。」
トートは動揺を隠せないでいた。眼の前の人物が自分に対して言っている事の意味がトートには理解できなかった。
トート「行方…不明?」
トートは壮年の女性が言った言葉を反芻した。
壮年の女性「シャルル様のご無事を国王様達に知らせましたので、直ぐに此方へ向かわれます。」
壮年の女性はトートの混乱を他所にトートに伝言を伝えた。
午前9時30分 シャルルの部屋 内部
トートはさっきの壮年の女性が言っていた事の意味が良く理解出来なかった。
トート「俺が、シャルル王太子殿下?」
トートは全く身に覚えのない名前に、頭を抱えた。
トート(俺は、気付いた頃からバシレウス様の下僕で常にバシレウス様の命令通りに任務を遂行していた。…
あれ?そういえば俺はいつの時からバシレウス様に仕えているんだ?」
トートは何時頃からバシレウスに仕えて、
バシレウスの命令に忠実に働き、
バシレウスに奉仕をしてきた。
しかし、それ以前の記憶がトートの頭の中にはすっぽりと
抜けていた。
トート(そういえば、外出する時は決まって任務かミミクリィー様に連れられて奉仕をする事しか外に行く事を許されなかった。)
トートはが今までの出来事を思い出していると、突然
何者かの気配がして、トートは身構えた。
コンコン、
侍女「あの、シャルル様、国王様がお呼びです。」
トートは自分の事を言っているのか最初分からず、困惑していると、トートはここで立ち止まっても意味がないと考えとりあえず侍女の呼び掛けに応える事にした。
トート「はい。」
ガチャ、トートの前にいたのは、トートより2回り年上の年配の女性だった。
侍女「はい、シャルル様。お父上様やお母上様が貴方様のお顔を拝見したがっていますので私の後ろに付いて来てください。」
玉座の間にて
トートはさっきの部屋よりもひらけた場所に着き、
眼の前の二人に注目した。
王「おおっ!シャルル無事だったか!」
王妃「シャルル!」
王妃らしき人物はトートに近付き、トートに抱きついた。
王妃「うっうう。」
トートはこの自分に今抱き着いている眼の前の女性に対して
困惑しか抱けなかった。
王妃「シャルル!ミーアの話では貴方は行方不明になる前の記憶が全て消えていると聞いたけど、直ぐに元の記憶を思い出せるのよね?大丈夫なのよね?」
王妃はトートにそう聞いた。
トート「あの、すみません。誰かと勘違いしているのではないでしょうか?俺はシャルルという名前は聞いた事がありません。」
王妃「シャルル?」
王妃はトートの放った言葉に驚愕の顔を隠せなかった。
王「お前、これ以上はシャルルに無理をさせる訳にもいかん。ミーア、シャルルを連れてこの城を見学させておきなさい。きっと少しでもシャルルの以前の記憶が戻るかもしれない。」
王妃「うっうう。シャルルが、シャルルが。」
王妃と思わしき女性は、隣の王と言われる男性に宥められながら涙を流していた。
トートはミーアに連れられて城内を見学していた。
ミーナ「シャルル様、あの部屋は浴室であの部屋は医務室です。」
トート「はい。」
トートは慣れない名前に四苦八苦しながらも、何とかミーアからの返事に応えた。
ミーア「シャルル様?あの、記憶が無いというのは本当ですか?」
トート「どうやら、そうみたいです。」
ミーア「あの、私ではお力になれませんが出来る事なら、相談に乗ります。大丈夫ですこの事は決して口外しません。」
トートはミーアの返事に
トート「はい。」
と応えた。
午後2時30分 シャルルの部屋にて
トートは部屋の中の片隅にある椅子に座り、今日あった事を考えていた。
トート(…シャルル王太子殿下。)
トートはそんな今までとは真逆なまでの扱いを受けていた。
夕食は豪華
綺羅びやかな家具
国の跡継ぎ
トートは誰かと勘違いして、ここに連れて来られたのかと思い、またあの国王夫妻に話をしようと部屋を出ようとしたその時、
トートの神経が何者かの気配を察知した。
シュッガシッ!
トートは何者かの手首を掴んだ。
トート(…誰?)
トートは眼の前の自分に対して刃物の切っ先を怒りにまみれた憎悪の象徴のような顔で、トートに対して、まだ抵抗を続けているうら若きトートとほぼ同じと言える若い娘が睨みつけながら、トートに対してこう怒鳴り散らした。
???「この人殺し!みんなを返せ!」
その娘は、トートに対してそう怒りの声を上げた。
トート「!!!」
トートは眼の前の娘の、放った言葉で自分の今までの行動が思い出された。
尽く破壊された街
物言わぬ屍と化した街の住民
そして、今までずっとそれに対して忠実にバシレウスからの命令に従ってきた己自身。
トートの中でそれらの激しい後悔と罪悪感で胸が一杯になっていた。
それが原因でトートの手の拘束が緩み、娘がその隙きに
トートの腕を振り払い、ナイフの切っ先を
トートに向けて突き刺そうとした時、
ミーア「待ちなさい!」
娘は慌てて、ミーアの静止を聞いて両手を止めた。
娘「ミーア叔母さん?何で止めるの?」
ミーア「この方に復讐の矛先を向けるのは間違いよ。
シャルル様は操られていただけ。」
娘「だけど…。」
ミーア「みかん!」
みかんはトートからナイフを下げた。
その様子を見た。ミーアはトートに対して謝罪をした。
ミーア「申し訳ありません!シャルル様この度は私の姪であるみかんが貴方様に対して、無礼な事をしました。
どうか非礼をお許し下さい。」
ミーアは必死でトートに頭を下げた。
トート「ミーアさん、俺は気にしてはいない。それよりも俺の防具や武器は何処なのか教えてくれないか?」
ミーア「それをどうするおつもりなのですか?」
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