見世物小屋の料理人

お粥定食

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味9

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…玻璃は娘に自分の身体を散々陵辱されてから、眠りに落ち
深い夢の中を彷徨っていた。
ヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタ。
玻璃は自身の身に起きた事を、頭の中で反芻しながら歩いていた。
玻璃(あの娘は一体?私は何故ここに?)
玻璃は頭の中で次々と疑問が浮かび上がっては消え、何も解決しないままただひたすら暗い夢の世界を徘徊していた。
玻璃はやがてまたあの野原の時の香りが漂っていることに気付いた。
玻璃(この香り何処かで、嗅いだ事がある。)
玻璃は香りを頼りに歩いていった。
ひたっひたっひたっひたっひたっひたっひたっひたっ。
玻璃(ん?あれは?)
玻璃の眼の前には小さな店らしき建物が立っていた。
玻璃(ここは料理屋?)
その店の中は料理に使うであろう調理器具や食材が並んでいた。

玻璃(何処かで見た事がある。)
玻璃はぼんやりとみせの中を見ていたら、突然背後から声を掛けられた。
???「おや、晶ちゃん。今日も手伝いに来てくれたの?」
玻璃「え?」
???「偉いねぇ~。じゃあ今日はこの店の中の掃除をお願いするね。」
玻璃は店の主人らしき人物に言われるがまま、店の中の掃除を行った。
シャッシャッシャッシャッシャッシャッ。
玻璃は箒を使って、床の上のゴミを集めていた。
玻璃(ここは一体?)
竈門と流しの間の隅や七輪の燃えカスなどをどんどんと掃き集めていった。
玻璃は集め終わったゴミをちりとりで集めてくずかごの中にその集めたゴミを入れた。
パラパラパラパラパラ。
玻璃(次は。)
玻璃は雑巾で台所の隅々までも拭いた。
水桶をどかして、流しに着いたシミを玻璃は雑巾で拭い取り、台所の全てを拭いた玻璃は共同井戸で汲んできた水で自身が使った雑巾をゆすいだ。
じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ。
雑巾に着いたシミを自分の両手で水に着けて擦り合わせ、
綺麗になった雑巾に水をたっぷり含ませて自分の両手で雑巾を二つに折り、
共同井戸用の桶の中に雑巾をねじれさせ、水を沢山滴らせた。
その水を店の外の路地に撒いた。
ばしゃあ!
玻璃は共同井戸用の桶を台所の隅の方に置き、絞った雑巾を物干し竿に干し、さっきの店の主人に掃除が終わった事を報せに行った。
???「おやもう、終わったんかい!じゃあ次は人参とネギ白菜を切ってもらおうかい。それが終わったらどじょう鍋を作っておいてね。」
玻璃「はい、分かりました。」
玻璃は店の女主人の指示を受け、人参とねぎと白菜を切り
桶の中に料理酒をたっぷり入れ、その中にどじょうを入れる事にした。
玻璃はどじょうを料理酒に漬けている間にどじょう下茹用の味噌汁(味噌は甘めのもの)を作り、
30分(四半刻(しはんどき))経ったらその強火で煮た味噌汁の中にどじょうを入れ(5分間)
火を弱火にして25分(合計30分)煮込む
どじょうを取り出しておく。
醤油、みりん、砂糖を、かつおだしと合わせ割り下を作る。
鍋にどじょうを入れ先程の割り下を張る(鍋に合わせて全部使わなくていい)。
後はねぎをどばっと乗せて火に掛け、煮えたら山椒をかけていただく。
玻璃「出来ました。」
???「まあ、また腕を上げたね!良しじゃあ早速この『どじょう鍋』をあそこのお客さん達に持っていくから、晶ちゃんは次は『太刀魚定食』を作っておいてね。」
玻璃「はい。分かりました。」

暮れ六つ
玻璃達は日が沈みかけ、店じまいをしている頃
女将が玻璃の元に近付いてきた。
女将「晶ちゃん。」
玻璃「はい。どうしましたか?」
女将「これ、いつも晶ちゃんにお世話になっているから。私からのご褒美だよ。」
女将は玻璃に『かりん糖』を褒美としてくれた。
そこで玻璃の意識は浮上した。
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