失恋した上に嫌われ、死んでしまった俺は…目が覚めたら彼に愛される世界に居た。

櫻坂 真紀

文字の大きさ
上 下
33 / 33

未来編⑩ ※

しおりを挟む
「んんッ……あ、あぁ……ッ!」

「本当に可愛いなぁ、お前は。俺に触れられて、こんなにビクビクして……。俺は、お前が愛しくて堪らないよ、慎。」

 そして亮は、俺の固く閉じられた蕾をユルユルとほぐすと……ツプリと一本、指を突き入れた。

「あ、んッ!俺、かわいぃ……?ずっと、りょうのいとしい人……?」

「そうだよ、ずっとだ。」
 
 亮は微笑みながら、俺に何度もキスをくれる。

「う、れし……ッあぁッ!?」

 俺の中にはいつの間にか指が三本入れられており、それが俺のイイ所を掠めた。

「あ、ああっ……ふッ……んぅッ……りょ、う……も、だいじょーぶだから、きてぇ……?」

「ッ……!慎!」
 
 指が引き抜かれ、一瞬寂しさを覚えたその直後……俺の中に、固くて大きい物がグチュリと入って来た。

「んッ……!あ、あぁッ……あ、りょ、りょう……うごいていいから……あいつのこと、ッ……ぜんぶ、わすれたい──んぁッ!?」

 俺の言葉に、最初はゆっくりだった亮の腰の動きが、大きく、激しいものへと変わって行く。

「ァッ……、あぁッ……りょう……きもちぃッ……りょう……すきッ……!」

「……慎、俺だけの慎……!好きだ、愛してる……ッ!」

 亮は俺の腰をガシリと掴むと、俺の中をガツガツと突いて来る。

「あッ、ソコッ……!やぁッ……も、だめぇ──!」

「フッ……慎は、ここ大好きだもんな……!」

「う、んッ!すき、すきなのぉ……だ、から、もうイッっちゃ……ッ!」

「いいよ、一緒にイこうか。」
 
 そう言って耳元で囁かれ……ガジリと耳たぶを齧られた俺は、ビクリと体を震わせ、熱い熱を吐き出した。

 そしてそれと同時に、俺の中にジワリと温かい物が吐き出され……それが俺の中に広がって行くのを感じ、俺はウットリと目を閉じた──。

※※※

「まさか、あの男が貼り紙の犯人だったとはねぇ。無事捕まってくれて良かったわぁ。このお知らせ通り、本当に当分お店が休みになっちゃったら、寂しかったもの。」

「えぇ。私たちだけじゃなく、ワンちゃんたち皆もね。」

 常連さんたちは、口々に店の休業撤回と俺の無事を喜んでくれた。

「皆さん、心配かけてごめんなさい。そして……そう言って下さって、本当に有難いです。田岡さんには、本当にお世話になっちゃって……。あの監視カメラの映像があったから、彼を罰する事が出来ました。」

「マスターと亮君のお役に立てたら、それでいいのよぉ。彼ね、愛する人を守りたいからって言って、必死に頭を下げ頼んできたのよ。もうそれを見たら、協力しない訳にはいかないでしょう?」

「マスター、本当にその彼に愛されてるのねぇ。」

「いいわね、仲が良くて。」

「み、皆さん、俺の事はもう──」

 カラン──。

「慎、ケーキセットくれるか?」

「りょ、亮!どうして……お店は?」

「半休貰った。たまにはさ、お前の店でゆっくりしたくて。それに、お前の手作りケーキ食べたいし……って、どうしてそんなに顔が赤いんだ?もしかして熱が──」

 途端に心配そうな表情を浮かべた亮が、俺の腕を引き寄せると……そのおでこを、俺のおでこにピタリとくっ付けてきた。

「りょ、亮……ここ、お店!」

「あ、いつもの癖で──」

「マスター、私たちの事はお気になさらず~。」

「いいわねぇ、若いって……。」

「あら、奥様だって十分若いわよ!」

 常連さんたちはその言葉通り、俺たちの事など気にせず、ワイワイ楽しくお喋りを続けている。

「ッ……フフッ。」

「慎……?」

「俺、お客様に恵まれたなって……このお店が持てて良かったなって思って。」

「そうだな。慎……俺もな、新しい店の場所、決めて来たんだ。今度、一緒に行ってくれるか?それで……そこで最初に髪を切るのはお前だって、俺……もう決めてるんだ。」

「……うん!」

※※※

 思いがけない人物との出会いで、俺と亮の絆は一度は断ち切られかけたけど……でも、俺たちの愛は、却ってその結びつきが……深さが増したように思う。

 俺たちにはこの先も、今回の様に思いがけない事や、困難がいくつも降りかかるのかもしれない。
 でもその度に、俺は彼と助け合い、支え合い……それらを乗り越え、更に愛を深めていくのだろう。

 だってここは……俺たちが愛を育み、最期まで共に生きていく……そんな輝かしい世界なのだから──。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

弟が生まれて両親に売られたけど、売られた先で溺愛されました

にがり
BL
貴族の家に生まれたが、弟が生まれたことによって両親に売られた少年が、自分を溺愛している人と出会う話です

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

処理中です...