失恋した上に嫌われ、死んでしまった俺は…目が覚めたら彼に愛される世界に居た。

櫻坂 真紀

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未来編①

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※このお話は、番外編から六年後くらい後の話です。
 二人はもう社会人になっていて、仲良く同棲中です。
 
 そんな幸せな生活を送る二人に、ある日黒い影が忍び寄り……?

 二人が険悪になるのは嫌だと言う方は、ご注意下さい。
 でも最終的には、ハッピーエンドです!

 そして、この未来編①~⑩をもって、この二人の話はお終い……完結となります。
 いつもの様に、R18の話には※を付けてあります。

 大丈夫という方は、以降が未来編本文となりますので、そのまま読み進めて頂ければ嬉しく思います。
 

※※※

『社会人になったら、一緒に暮らそう。』

 俺と亮は、その約束を見事に(?)果たしていた。

 俺たちは今、マンションの一室を借り、そこで同棲をしている。

「亮……悪いけど、朝ごはんの片付け頼むな。」

「分かった。慎…今日も朝ごはん作ってくれてありがとな、美味しかった。気を付けて行って来てな。ポメ吉……今日も慎の事、守ってくれよ?」

「キャン!」

「守るって…ポメ吉はお店の番犬じゃなくて、看板犬だぞ?」

「だって…お前、お客さんからすっごいモテるからさ……俺、心配なんだよ。」

 亮ってば…自分だってお客さんにモテモテで、指名が一杯で予約が取れないって評判なのに…。

「亮…俺は誰にどれだけ好意を向けられたって、お前一筋だよ?だから、俺の事信じててよ。」

 そう言って、俺は亮にチュッと軽くキスをした。

「じゃあ、もう行くから。モーニングの準備に間に合わなくなっちゃうし。亮も、お仕事頑張ってね。行ってきます!」

 俺はポメ吉をケージに入れると、家を後にした。

 そんな俺を、亮が複雑な表情で見ている事に気付かずに──。

※※※

 俺はお店の鍵を開け、ポメ吉をケージから出してあげた。

 そして手早く、モーニングの準備に取り掛かる。

 今日は気温が高いから、アイスコーヒーの方がよく出るだろうな。
 あとこの曜日は…トーストじゃなくおにぎりの方が注文が多い日だから、ちょっと忙しいかも……。

 でも……有難い事に、このお店も大分常連さんが付いてくれたなぁ──。

 ここは、ペット同伴OKのカフェだ。
 俺は調理師学校に通い、調理師の資格を取り……自分で一から、このお店を開いたのだ。

 亮に色んな料理を作って行く中で……「慎」としてだけでなく、俺自身も料理をする事が好きになって……将来は、その道に進もうと思ったんだ。
  
 それに、二人で一緒に暮らすってなった時、ポメ吉が亮や俺と離れるのを寂しがり、一緒に連れて行く事に決め……マンションに置いて行くんじゃ意味ないから、ポメ吉と一緒に居られる場所をって考えたら、こういうお店が良いかなって思って──。

「キャン!」

「うん、急がないとだね。ポメ吉……今日も、お客さんに喜んで貰えるお店にしような。」

 そして開店と共に、店はあっという間にお客様で一杯になった──。

※※※

「ねぇ、マスター。この前、恋人さんと一緒に商店街の雑貨屋さんにいたでしょう?」

「田岡さんも、あそこにいらっしゃったんですか?だったら声をかけて下されば──」

「そんな野暮な事しないわよぉ。せっかく二人の時間を過ごしてるのに……。それにしてもマスターの彼ってば、相変わらずカッコいいわねぇ。」

「まぁ……彼は昔から、美形ですからねぇ。」

 田岡さんたち常連のお客様には、俺が男と……亮と付き合ってる事を知られている。

 俺が同性と付き合ってる事を知っても、皆は変わらずこの店に通ってくれてるし、俺を悪く言う事は全くなかった。

 高校の時もそうだったけど……ここは俺が死んだあの世界と違い、同性同士の付き合いに余り偏見が無い世界なのだろうか……?
 どうもその辺りの事はよく分からないままだが……俺にとっては有難い事なので、亮との関係は特に隠しもしていない。

「でもマスター、あなただってかなりの美形なんだから……油断してちゃ駄目よ!また何かあったら、私にも相談してね。うちのマル君も、このお店とマスターが大好きだから守ってくれるわよ?」

「ワン!」

「ありがとうございます、田岡さん。それにマル君。」

 田岡さんの言う、何かあったら…‥それは、あの貼り紙の事を言っているのだろう──。
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