失恋した上に嫌われ、死んでしまった俺は…目が覚めたら彼に愛される世界に居た。

櫻坂 真紀

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 あの出来事をきっかけに、俺は亮に対しどこか余所余所しいと言うか……少し怯えた態度を取る様になってしまった。
 するとそれを見た幸は、亮に対し積極的に話しかける様になった。

  幸は、いつの間にか、亮君から亮って呼び捨てになってるし……。

 このまま行ったら、亮と幸の仲は間違いなく進展してしまう──。
 
 そう思っていたのだが……事態は思わぬ方向へ動いた。

 その日の放課後、俺は担任に頼まれた用事を済ませ教室へと戻った。
 すると、静かなはずの教室から話し声が──。

 それは、幸と亮だった。

※※※

「ねぇ、亮のお家って俺の家の結構近くにあるんだね。毎朝慎君が起こしに行くのも大変でしょう?たまには俺が起こしに行ってあげる!」

 それって、慎と亮の仲に亀裂が入る事になるエピソードの……。

 朝起こす事も、お弁当を作る事も、次第に幸がやる様になって行って……結局慎は、たまに夕ご飯を届けに行く程度になるんだ。
 そしてある日、二人が一緒に楽しそうにご飯を食べてる所に慎は出くわしてしまって──。

 俺は、亮がどうするのか、様子を伺った。

 すると、亮は一瞬驚いた顔をし……すぐに眉を顰めこう言った。

「いや、俺は慎じゃないと起きれないから。蓮見が来ても、絶対起きれない。」

「で、でもさ、それじゃ将来困らない?いくら幼馴染兼恋人でも、慎が居なきゃ起きられないなんて……そんな甘えてちゃ──」

「うん、俺の親にも良く言われる。でもさ、俺が甘えたいのは慎だけなんだよ。他の奴には、そんなふうに思えない。それに慎が居なくて将来困るなら、一緒に暮らす。だって……同棲したら毎朝一緒な訳だし?」

「な、何それ……もう決めてるの!?」

「俺の中では、な。でも……慎にはまだ言ってないし、今の慎が何て言ってくれるか分からないけど。」

「だったら──」

「でも……一度拒否されても、俺は簡単にあいつを諦めたりはしないよ。っていうか……お前、慎に何か言っただろう?俺が日直の日……慎が遅れて教室に入ってきた時、お前はあいつを見て、一瞬馬鹿にしたみたいに笑った。その日を境に、慎は俺を避けるし……いや、あれは怖がってると言うか、怯えてる感じだな。蓮見……お前、何言ったんだ?」

 亮に詰め寄られ、幸はガクガクと震えている。

「た、ただ……二人の好きは勘違いなんじゃないかって。それなら、俺が亮を好きになっても、チャンスはあるんじゃないかって……。」
 
 亮は一瞬目を見開き、壁にドンッと手を突きこう言った。

「俺の気持ちを、お前が勝手に決めるな。俺が慎を好きなのは……愛してるの好きだ。勘違いしてるのは、蓮見……お前の方だ。」

 その言葉に、幸は目を見開き教室を飛び出した。

 そして廊下に居た俺と目が合うと……俺の手を掴み、そこから引きずって行った──。
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