15 / 33
15
しおりを挟む
あの出来事をきっかけに、俺は亮に対しどこか余所余所しいと言うか……少し怯えた態度を取る様になってしまった。
するとそれを見た幸は、亮に対し積極的に話しかける様になった。
幸は、いつの間にか、亮君から亮って呼び捨てになってるし……。
このまま行ったら、亮と幸の仲は間違いなく進展してしまう──。
そう思っていたのだが……事態は思わぬ方向へ動いた。
その日の放課後、俺は担任に頼まれた用事を済ませ教室へと戻った。
すると、静かなはずの教室から話し声が──。
それは、幸と亮だった。
※※※
「ねぇ、亮のお家って俺の家の結構近くにあるんだね。毎朝慎君が起こしに行くのも大変でしょう?たまには俺が起こしに行ってあげる!」
それって、慎と亮の仲に亀裂が入る事になるエピソードの……。
朝起こす事も、お弁当を作る事も、次第に幸がやる様になって行って……結局慎は、たまに夕ご飯を届けに行く程度になるんだ。
そしてある日、二人が一緒に楽しそうにご飯を食べてる所に慎は出くわしてしまって──。
俺は、亮がどうするのか、様子を伺った。
すると、亮は一瞬驚いた顔をし……すぐに眉を顰めこう言った。
「いや、俺は慎じゃないと起きれないから。蓮見が来ても、絶対起きれない。」
「で、でもさ、それじゃ将来困らない?いくら幼馴染兼恋人でも、慎が居なきゃ起きられないなんて……そんな甘えてちゃ──」
「うん、俺の親にも良く言われる。でもさ、俺が甘えたいのは慎だけなんだよ。他の奴には、そんなふうに思えない。それに慎が居なくて将来困るなら、一緒に暮らす。だって……同棲したら毎朝一緒な訳だし?」
「な、何それ……もう決めてるの!?」
「俺の中では、な。でも……慎にはまだ言ってないし、今の慎が何て言ってくれるか分からないけど。」
「だったら──」
「でも……一度拒否されても、俺は簡単にあいつを諦めたりはしないよ。っていうか……お前、慎に何か言っただろう?俺が日直の日……慎が遅れて教室に入ってきた時、お前はあいつを見て、一瞬馬鹿にしたみたいに笑った。その日を境に、慎は俺を避けるし……いや、あれは怖がってると言うか、怯えてる感じだな。蓮見……お前、何言ったんだ?」
亮に詰め寄られ、幸はガクガクと震えている。
「た、ただ……二人の好きは勘違いなんじゃないかって。それなら、俺が亮を好きになっても、チャンスはあるんじゃないかって……。」
亮は一瞬目を見開き、壁にドンッと手を突きこう言った。
「俺の気持ちを、お前が勝手に決めるな。俺が慎を好きなのは……愛してるの好きだ。勘違いしてるのは、蓮見……お前の方だ。」
その言葉に、幸は目を見開き教室を飛び出した。
そして廊下に居た俺と目が合うと……俺の手を掴み、そこから引きずって行った──。
するとそれを見た幸は、亮に対し積極的に話しかける様になった。
幸は、いつの間にか、亮君から亮って呼び捨てになってるし……。
このまま行ったら、亮と幸の仲は間違いなく進展してしまう──。
そう思っていたのだが……事態は思わぬ方向へ動いた。
その日の放課後、俺は担任に頼まれた用事を済ませ教室へと戻った。
すると、静かなはずの教室から話し声が──。
それは、幸と亮だった。
※※※
「ねぇ、亮のお家って俺の家の結構近くにあるんだね。毎朝慎君が起こしに行くのも大変でしょう?たまには俺が起こしに行ってあげる!」
それって、慎と亮の仲に亀裂が入る事になるエピソードの……。
朝起こす事も、お弁当を作る事も、次第に幸がやる様になって行って……結局慎は、たまに夕ご飯を届けに行く程度になるんだ。
そしてある日、二人が一緒に楽しそうにご飯を食べてる所に慎は出くわしてしまって──。
俺は、亮がどうするのか、様子を伺った。
すると、亮は一瞬驚いた顔をし……すぐに眉を顰めこう言った。
「いや、俺は慎じゃないと起きれないから。蓮見が来ても、絶対起きれない。」
「で、でもさ、それじゃ将来困らない?いくら幼馴染兼恋人でも、慎が居なきゃ起きられないなんて……そんな甘えてちゃ──」
「うん、俺の親にも良く言われる。でもさ、俺が甘えたいのは慎だけなんだよ。他の奴には、そんなふうに思えない。それに慎が居なくて将来困るなら、一緒に暮らす。だって……同棲したら毎朝一緒な訳だし?」
「な、何それ……もう決めてるの!?」
「俺の中では、な。でも……慎にはまだ言ってないし、今の慎が何て言ってくれるか分からないけど。」
「だったら──」
「でも……一度拒否されても、俺は簡単にあいつを諦めたりはしないよ。っていうか……お前、慎に何か言っただろう?俺が日直の日……慎が遅れて教室に入ってきた時、お前はあいつを見て、一瞬馬鹿にしたみたいに笑った。その日を境に、慎は俺を避けるし……いや、あれは怖がってると言うか、怯えてる感じだな。蓮見……お前、何言ったんだ?」
亮に詰め寄られ、幸はガクガクと震えている。
「た、ただ……二人の好きは勘違いなんじゃないかって。それなら、俺が亮を好きになっても、チャンスはあるんじゃないかって……。」
亮は一瞬目を見開き、壁にドンッと手を突きこう言った。
「俺の気持ちを、お前が勝手に決めるな。俺が慎を好きなのは……愛してるの好きだ。勘違いしてるのは、蓮見……お前の方だ。」
その言葉に、幸は目を見開き教室を飛び出した。
そして廊下に居た俺と目が合うと……俺の手を掴み、そこから引きずって行った──。
64
お気に入りに追加
1,200
あなたにおすすめの小説
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる