失恋した上に嫌われ、死んでしまった俺は…目が覚めたら彼に愛される世界に居た。

櫻坂 真紀

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「よし、俺たちまた同じクラスだったな!」

 登校しその事実を知った亮は、喜び俺に抱き着いてきた。

 そっか……俺は当たり前の様に知ってるけど、亮はこのクラス票見るまではそんな事分からないよな。

 俺たち、席も前後になるよ?

 それを知ったら、亮はもっと喜んでくれるかな──。

「……慎、お前嬉しくないのか?」

「え、何で?すごく嬉しいよ?」
 
「だって、抱き締め返してくれないし!」

「それは、皆が見て──」

 いや……この世界で、俺たちは人気アイドルのNEXTじゃない。
 ファンの目とか、周りの視線を過敏に気にする事なんかないんだ。

 ドラマの中では、俺が亮にくっ付いても、それを咎めたり、怒ったりする人はいなかったはず──。

 俺はねる亮に、思い切ってギュッと抱き着いた。

「俺も、亮と同じクラスに慣れて嬉しいよ?一年間、よろしくな。」

「おう。」

※※※

 それにしても、こうしてまた高校生活を送る事になるとは──。
 
 俺もリョウも仕事が忙しくて、学校を休みがちだったけど……俺とリョウが同じ高校に通って同じクラスだったら、こんなふうに盛り上がったんだろうか──?

 教室に入れば早速席を決めるくじ引きがあり、予想通り亮が前の席、俺が後ろの席になった。

「俺、授業中は寝ちゃうだろうから、朝みたいに優しく起こしてくれる?」

「駄目。せめて授業は、ちゃんと起きてて。」

 俺がそう言えば、亮は冗談だよとおどけて見せた。

 この世界の亮は高校生だからなのか、精神的にもあっちのリョウと比べ、少し幼いんだよな。
 あと、喜怒哀楽が豊かというか……俺への愛情表現だって、心のままにしてくれるというか……。
 
 何か……そこが俺から見たら、すごく可愛くて愛しく思える。

「何か……慎が急に大人びた気がする。俺を見る目が、ちょっと変わったっていうか……。」

「……え!?」

 亮の言葉に、俺はドキッとした。

 まぁ、俺は実年齢は十九歳で……もう高校は卒業してるけど……。
 あれかな、芸能界で揉まれたのと、ずっとリーダーやってたからか──?

 こんな慎じゃ、イヤ……って事なのか?
 俺じゃ、駄目だって事なのだろうか?

 そう思い、暗い気持ちになる俺に気づいたのだろうか……リョウは俺の頭を撫で、ニコリと笑った。

「俺は、お前がどんなお前でも好きだよ?お前が俺を好きで居てくれる……そこが変わらない限り、ずっとな。」

※※※

 そんなの、絶対に変わらないよ。
 むしろ変わるのは……俺じゃなくて、亮だ。

 だって、この世界がドラマの世界なら……あいつは、ユキは必ずやって来る。
 六月に、転校生として。

 結局亮がどっちを選んだか……最終回の台本を見る前に死んだ俺には、分からない。
 
 視聴者や制作陣からは、亮とユキ、いや、幸が結ばれて欲しいという意見が少し多かったんだっけ。

 だったら、その意見通りの最終回が用意されたんだろうな。
 
 この世界が、丸っきりドラマと同じ道を辿るのかは分からないけど……今こんなに仲の良い恋人同士の俺達でも、いつまでもそれが続くかは分からないって事だよな?

 どうかお願いします、神様。

 この世界では、俺は最後までこの彼に愛されたいんです。
 愛されなかったり……嫌われて死んじゃうのは、もう嫌だ──。
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