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「レオ、これは一先ずここに置いていいか?大きい物は後で届く事になっているから……それの配置を決めて、細かい物を──レオ……?最近、よく俺の顔を見つめるが……何か俺に、言いたい事があるんじゃないのか?」
「あ……それは、えっと──。」
俺とシュウ君は、四月から住む部屋に荷物を置きに来ていた。
カーテンがかかり薄暗く、ベッドだけはもう置かれているその部屋に居ると、どうしても尊様とのあの会話が思い出され、その事で俺はシュウ君を意識してしまい……それを、彼に見事に気付かれてしまったのだ。
学校には大勢の生徒や教師が居て、家に帰ればお父様たちや使用人さん、東さんも傍に居る。
あ、でも今日東さんは、金子さんの喫茶店にお邪魔してて……シュウ君の傍を珍しく離れている。
シュウ君に聞いたけど‥…あの日、公園から去る金子さんを見た東さんは……その後どういう訳か、彼とお付き合いをする事になったという──。
それはさておき……俺たちの周りには、常にそうやって誰かが居てくれるから、だから──。
「シュウ君は……俺とこうしてこの部屋で二人きりで、ドキドキしないの?」
「そうだな……俺の家のゲストルームくらいしか、レオとは二人きりになれないから、勿論ドキドキしている。ドキドキしているが……それを、必死に抑えているだけだ。」
「どうして……?」
「俺は以前、レオが苦しんでいたら、その苦しみを和らげてあげたいと言った。そして、そんなレオの苦しみを、レオを愛する事で、俺も背負うと──。」
「うん。」
「その気持ちは今も変わっていない。だが、俺がレオに苦しみを与える側になりはしないかと、そう不安になったんだ。実はこの前……レオを抱く夢を見た。その夢の中で、俺はレオを激しく求め……レオが泣いても、それでもその身を離す事が出来なかった。夢から覚めた時、これでは俺は……あの男と同じだと、激しく自身を嫌悪して──。その時から、少し思い悩んでいるんだ。」
「そんな……違う。シュウ君は、あの人と一緒なんかじゃないよ!俺を傷付けたくなくて、そうして自分の気持ちを押し殺して、俺を気遣ってくれる。あの人はね、俺に言ったの。俺の体格なら、多少無体を働いても、壊れる事はない……そうして俺を抱くのが、愛なのだと。そうして、俺に欲望をぶつけて来たの。だから、あなたとは全然違うよ──!」
「あ、あの男──!」
「違うの、おじ様はもういい!俺が言いたいのは、シュウ君はそんな愛を……俺の心も体も壊すような、そんな乱暴な愛を俺には与えない。心も体も満たし、優しく包み込んでくれる……きっと、そういう愛をくれる人だって信じてるって事を言いたかったの。」
俺は怖い顔をしたシュウ君に、いつもの優しい顔に戻って貰いたくて、チュッとキスをした。
「俺、ある人に教えて貰ったんだ。その行為は、はしたない事でも、恥ずかしい事でも、不潔な事でもない。愛し合う二人がもっと幸せになれるものだって。そして思ったの……そんな幸せを、俺も感じてみたいって。その日から、俺はずっとシュウ君にドキドキしてるんだよ。」
「レオ……。」
「俺、シュウ君の愛が欲しい。卒業しなきゃダメ?心のままに、あなたを求めちゃ──ッ!」
シュウ君は……俺を抱き寄せると、深いキスを落とした──。
「あ……それは、えっと──。」
俺とシュウ君は、四月から住む部屋に荷物を置きに来ていた。
カーテンがかかり薄暗く、ベッドだけはもう置かれているその部屋に居ると、どうしても尊様とのあの会話が思い出され、その事で俺はシュウ君を意識してしまい……それを、彼に見事に気付かれてしまったのだ。
学校には大勢の生徒や教師が居て、家に帰ればお父様たちや使用人さん、東さんも傍に居る。
あ、でも今日東さんは、金子さんの喫茶店にお邪魔してて……シュウ君の傍を珍しく離れている。
シュウ君に聞いたけど‥…あの日、公園から去る金子さんを見た東さんは……その後どういう訳か、彼とお付き合いをする事になったという──。
それはさておき……俺たちの周りには、常にそうやって誰かが居てくれるから、だから──。
「シュウ君は……俺とこうしてこの部屋で二人きりで、ドキドキしないの?」
「そうだな……俺の家のゲストルームくらいしか、レオとは二人きりになれないから、勿論ドキドキしている。ドキドキしているが……それを、必死に抑えているだけだ。」
「どうして……?」
「俺は以前、レオが苦しんでいたら、その苦しみを和らげてあげたいと言った。そして、そんなレオの苦しみを、レオを愛する事で、俺も背負うと──。」
「うん。」
「その気持ちは今も変わっていない。だが、俺がレオに苦しみを与える側になりはしないかと、そう不安になったんだ。実はこの前……レオを抱く夢を見た。その夢の中で、俺はレオを激しく求め……レオが泣いても、それでもその身を離す事が出来なかった。夢から覚めた時、これでは俺は……あの男と同じだと、激しく自身を嫌悪して──。その時から、少し思い悩んでいるんだ。」
「そんな……違う。シュウ君は、あの人と一緒なんかじゃないよ!俺を傷付けたくなくて、そうして自分の気持ちを押し殺して、俺を気遣ってくれる。あの人はね、俺に言ったの。俺の体格なら、多少無体を働いても、壊れる事はない……そうして俺を抱くのが、愛なのだと。そうして、俺に欲望をぶつけて来たの。だから、あなたとは全然違うよ──!」
「あ、あの男──!」
「違うの、おじ様はもういい!俺が言いたいのは、シュウ君はそんな愛を……俺の心も体も壊すような、そんな乱暴な愛を俺には与えない。心も体も満たし、優しく包み込んでくれる……きっと、そういう愛をくれる人だって信じてるって事を言いたかったの。」
俺は怖い顔をしたシュウ君に、いつもの優しい顔に戻って貰いたくて、チュッとキスをした。
「俺、ある人に教えて貰ったんだ。その行為は、はしたない事でも、恥ずかしい事でも、不潔な事でもない。愛し合う二人がもっと幸せになれるものだって。そして思ったの……そんな幸せを、俺も感じてみたいって。その日から、俺はずっとシュウ君にドキドキしてるんだよ。」
「レオ……。」
「俺、シュウ君の愛が欲しい。卒業しなきゃダメ?心のままに、あなたを求めちゃ──ッ!」
シュウ君は……俺を抱き寄せると、深いキスを落とした──。
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