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 玲央に蹴られたお腹がシクシクと痛むが、俺はそれを顔に出さないように、屋上へと戻った。

 そんな俺たちを迎えた秀一郎様は、帰って来た玲央を抱きしめ、頬に一つキスを落とした。

 俺はそんな二人から目を離し……開けっ放しになっていたお弁当の蓋を閉じると、続きを食べる事無くその場を去った。

 その時、何故か秀一郎様がこちらを見ていたような気がするけど……気のせいだよね──?

『今のお前は湊……母親の名字の湊、それだけ名乗ってろよ。レオン……礼音っていう名は、自分からは一切名乗るな!まぁ……そんな見てくれじゃ、名前が分かった所でどうにかなる訳もないけど。何よりお前には、前の学校の事、僕の父さんとの事もある……。いいか?もし秀一郎様にちょっかい出したら、お前が男好きの淫乱で傷物だって事、全部バラしてやるからな──!』

 トイレの個室に連れ込まれた俺は……玲央に謝罪した上で、お腹を蹴られる罰だけで許して貰えた。

 流石さすがに学校では、玲央も目立った事はできないもんね。

 でも、そう安心していた俺は、大いに絶望する事となった。

 俺が秀一郎様に色目を使ったと、玲央がおじ様たちに泣いて訴えたのだ。

 おば様はこの子の恋の邪魔をするなと俺を厳しく折檻し……おじ様は、そんな俺を険しい顔で見ていた──。

※※※

「お前には私という男がいるのに、まだ男を欲しがるのか!」

「ち、ちがいま、あッ……やッ──!」

 おじ様はまだろくに解してもいない俺の蕾に、無理やり自身を捻じ込んだ。

「うぅッ……んッ……ぬ、抜いて……いた、いッ……!」

 嫌がる俺を無視し、おじ様は激しく腰を突き上げる。

「ッ……あッ……やぁ……。」

「あの男には玲央が居る……お前の相手は、この私だッ──うぅッ!」

「ヒッ──!?」

 お腹の奥にじんわりと広がる熱を感じ、俺の目からポロポロと涙が零れ落ちた。

「礼音……お前は私が愛してやる。お前は、私だけのものだ──。」

 あ、い……?
 これが、愛なの……?

 俺の知ってる「愛」は、もっと温かくて、優しくて……胸が幸せで満ち足りて……あの公園で、シュウ君と一緒に過ごした、あの日々の様な──。

 おじ様に激しく体を揺さぶられ、俺はもう何も考える事ができす……ただ、ぼんやりと天井を見ていた──。

※※※

「尊様!秀一郎様、風邪でお休みなんですか?」

「そうなんだよ。何か夜遅くまで調べものしてたみたいで、それで風邪ひいたらしくてさ。だから今日のお昼は、屋上に集まるの無しね。」

「分かりました。」

 秀一郎様、お休みされるほど体がお辛いんだ。
 心配だ……。

「ねぇ……!今日の放課後、お見舞いに行くから。だから一緒に付いて来てよ。」

「俺が……?」

「秀一郎様の為におかゆ作ってよ。僕は、家庭的で料理上手だと思われてるでしょう?それにこういう弱った時こそ、その相手を落とすチャンスなの!」

「しゅ……人が苦しんでるのに、チャンスだなんて、そんな言い方──」

「一々細かい事に文句つけてんじゃねーよ。」

「ッ──!?」

 玲央にグリリと足を踏まれ、俺はもうこれ以上は口答えしない事にした。

 それに、どんな形であれ……秀一郎様の助けになるなら、俺はそれで──。
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