推し様の幼少期が天使過ぎて、意地悪な義兄をやらずに可愛がってたら…彼に愛されました。

櫻坂 真紀

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「兄上……あなたの全ては、俺のものです。」

「うん、うん……!も、入れてぇ……!」

「ッ、兄上──!」

 ジュリアスは俺に一つ口づけると、俺の中にソレをグチュリと突き入れた。

「ああぁッ!」

「うッ──!」

 ジュリアスは切なそうに眉を顰めると、ユルユルと腰を進めてきた。

 あぁ……あったかいを通り越して、あっつい……熱くて固くて大きな物が、俺の中を犯していく──!

「あ……あぁッ……んあ、あぁんッ!?」

 そこ、ダメ……気持ち良すぎて……!

「兄上……兄上──!」

 その身を震わす俺を見たジュリアスは、大きく腰を揺らし……まだ誰も入った事のない奥深い場所目がけ、俺を犯してくる。

「んッ……あぁッ……じゅり、あす……おれのなか、き……きもちいぃ……?」

「ッ……!勿論です、兄上……俺は、あなたを愛してる──!」

「俺、も……ジュリアス……あなたが、すき!あッ……あいして、るの──ッ!?」

 俺の言葉に、ジュリアスは堪らないと言った表情を浮かべ……俺の最奥を突き上げた。

 そしてその衝撃に、俺は嬌声を響かせると……その熱を放った──。

※※※

 俺が久しぶりに学園に登校して見れば……学園はすっかり元通りとなっていた。

 学園長の手配で、寮からは魔法陣の気配は完全に消え失せ……そしてあの薬は、マルスさんの手により処分されていて……ユジンは退学処分に、会長たち生徒会執行部の皆は、すっかり元の元気な体と精神を取り戻していた──。

 あぁ、そうだった……本来の会長たちは、この学園を愛し生徒を大事にする人たちだったな。
 ゲーム通りの皆がここに居る……本当に良かった──。

 でも……ここにはシオンが、あの子が居ない。

 シオン、今頃は神様と幸せに過ごしてる……よね──?

「兄上、大丈夫ですか?昨日、俺が無理をさせたから……。」

「あ、そうじゃなくて──」

 その時、廊下の向こうから、二人の男の子たちが楽しげな様子で歩いて来るのに気づいた。

 私服……。
 転入生の子たちかな……?
 
 すると、その内の一人の男の子が、こちら向かって駆けて来て……そして、俺にギュッと抱き着いた。

「ロイス……会いたかった!」

「え、な……シ、シオン!?ど、どうして?」

 それは、消滅してしまったはずの、あのシオンだった。

 見た目はシオンそのもので……その中身も……神様の元で心を通わした、あのシオンに間違いない──!

「僕ね、新しい肉体を与えられて……こうしてこの世界に、生まれ変わって来たんだよ!」

「で、でも、あのシオンの姿じゃ──」

「大丈夫だ。天上界の……神の力で、あのシオンとは全く別の人間だと、お前たち以外のこの世界の者は認識している。」

 近寄って来たもう一人の男の子は……このゲームの世界では見た事ない人物だけど……俺には、すぐに彼が誰か分かった。

「あなた、神様?」

「……そうだ。だが、もう俺は神ではない。神の座は剥奪され、こうして普通の人間としてこの世界で生きる事になった。この者と一緒にな。」

 神様はシオンをそっと抱き寄せ、愛おしそうな目で彼を見た。
 そしてシオンも、幸せそうに彼を見ている。

「もしかして……あの時神様が言ってた、心を決めたって──。」

「私は、お前たちをこの世界に返した事で、もう神では居られなくなった。だが、何も後悔などしていない。そのおかげで……こうしてシオンと同じ世界で、同じ時を生きる事が出来るのだから。」

「言ったでしょう、ロイス。僕は、今度はちゃんと幸せになるから大丈夫だよ、って。」

「シ、シオン~、神様……本当に、良かったよ──!」

 ポロポロと涙を流す俺を、隣にいたジュリアスが優しく抱きしめ、落ち着かせてくれる。

「兄上、あの後もお二人の事を気に掛けていましたから……良かったですね。」

「うん!」

「僕たち、明日からこの学園に通う事になってるから……二人共、仲良くしてね!」

「そういう事だから、よろしく頼むぞ。では……私たちはもう行く。」

 二人は肩を並べ、仲良くそこから去って行き……俺とジュリアスは、そんな二人を笑顔で見送った──。

※※※

「ジュリアス……俺、本当にこの世界に来れて良かった。大好きな世界で、こうして大切な友達が出来て……そして、大好きなあなたの兄に……恋人にもなれた。こんなに幸せな事はないよ。」

「きっと……俺とあなたの魂は、運命の赤い糸で結ばれていたのでしょう。」

 ジュリアスは俺の左手を取ると、その小指に自身の小指を絡めた。

「ジュリアス……この先も、俺と生きて行ってね?この世界で、俺が命を終わらすその時まで……ずっと。」

「勿論です。俺の心は……魂は、いつまでもあなたと共に──。」

 そしてジュリアスは俺を抱き寄せると、誓いのキスをくれた。
 
 こうして意地悪な義兄になる事はなく、可愛くて天使の様な弟を愛で……そしたらそんな彼からとても愛される事になった俺は……この先もずっと、彼と共に幸せに生きて行くのだ──。
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