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ここ……どこだろう?
俺、どうしてこんな所に……?
一体、何があって……ッ──!
思い出した、俺……あの世界に居るのが怖くなって……そしたら目の前が真っ暗になって、気付けばここに──。
『ロイス……ううん、憂!君は、こんな所に居ちゃ駄目だよ!』
「シオン……?ここは、君や神様が居る世界?俺、もしかして死んじゃった──?」
『ううん、違うよ!そこはね、生と死の狭間にある世界なの。憂、そこにいつまでも居たら危険なの!早く、あの世界に戻りたいと願って!』
「でも、俺……俺があんな願いしなきゃ、シオンは……。お願い、俺に優しくなんてしないで──!」
『違う!悪いのは、憂じゃなくてあの子だよ!でも……でも、もうそれはいいんだ!僕はね……今、神様の元で幸せで居るから。例えこういう形でも、あの方の元に来れて良かったと、今は心から思えるから……だから──!』
俺は涙を流し、フルフルと首を振った。
『憂、自分で自分の存在を否定しては駄目だ。』
「か、神様……。」
『お前の魂は、今大変不安定な状態にある。元々、お前はあの世界の魂ではないからな。このままの状態で居れば、その生と死の狭間で永遠にさ迷う事になるか……魂が消滅してしまうかも知れない。』
『そうなったら……憂の大好きなジュリアスに、二度と会えなくなっちゃうんだよ──!?』
ジュ、ジュリアスに、会えなくなる……?
俺の大好きな弟……そして、愛するジュリアスに──?
※※※
「そ、そんなの嫌だよ。でも、そのジュリアスを変えてしまったのも俺で──」
「俺はあなたを愛し、あなたを守りたいと……そう思える俺になる事が出来て、本当に良かったと思っていますよ?」
突然、後ろからふわりと温かい物に抱き締められ……俺は、驚いて後ろを振り返った。
「な、んで……?何で、ジュリアスがここに……?だってここ、生と死の──まさか、ジュリアスまで!?」
「あなたが目覚めなくなり早十日……俺は、決めたのです。あなたが帰って来れないなのらば、俺が迎えに行こうと。だから、あの聖剣で胸を突きました。」
「ッ……!?い、や……そんな事……俺の為に、そんな事しないでよぉ!」
「聞いて下さい、兄上!本来ならば俺は、あなたに虐められ、そのせいであなたを嫌い……そしてあなたを、この先断罪する者の一人となった。そんな地獄のような日々、考えただけでも恐ろしい!だけど、あなたがあの世界に転生して下さり、兄として俺を可愛がり……そして一人の男として愛してくれた。そのおかげで俺がそうならずに済んだ事、俺は心から嬉しく思うのです!ですからどうか、あの世界に今一度戻って来て下さい。そして……再び俺に、愛を与えて欲しいのです!」
その言葉を聞いて、俺の心が大きく揺れた。
俺、あの世界に居ていい存在だった……?
ジュリアス、あなたには、俺が必要……?
「ジュ、ジュリアス……!俺……俺、消えたくない。せっかくあなたと会え、兄になり、愛し合う事が出来たのに……!戻りたい……あの世界に、ジュリアスと戻りたいよ──!」
俺は、ジュリアスにギュッと抱き着き、涙を流した──。
『そうと決めたなら、早く戻れ……私が力を貸してやるから。』
「で、でも神様……あなたはもうこれ以上、俺に介入できないって……。」
『……構わない。私も……心を決めたからな。』
「それ……どういう?」
すると、俺たちの前に光の道が現れた。
『さぁ、その光の道をひたすら進め。そうすれば、あの世界に戻れる。』
『憂……僕は、今度はちゃんと幸せになるから大丈夫だよ。だから憂も、彼と幸せになってね。』
「神様、シオン……。うん、分かったよ。俺、今度は自分の意思であの世界に行き、ジュリアスと生きるね!」
「あなたと俺は、ずっとこの先一緒です。さぁ、行きましょう、兄上──。」
ジュリアスは俺の手を握り、前を向いた。
そして、俺はそんなジュリアスの手を握り返し、同じ方を見ると……一歩足を踏み出した──。
俺、どうしてこんな所に……?
一体、何があって……ッ──!
思い出した、俺……あの世界に居るのが怖くなって……そしたら目の前が真っ暗になって、気付けばここに──。
『ロイス……ううん、憂!君は、こんな所に居ちゃ駄目だよ!』
「シオン……?ここは、君や神様が居る世界?俺、もしかして死んじゃった──?」
『ううん、違うよ!そこはね、生と死の狭間にある世界なの。憂、そこにいつまでも居たら危険なの!早く、あの世界に戻りたいと願って!』
「でも、俺……俺があんな願いしなきゃ、シオンは……。お願い、俺に優しくなんてしないで──!」
『違う!悪いのは、憂じゃなくてあの子だよ!でも……でも、もうそれはいいんだ!僕はね……今、神様の元で幸せで居るから。例えこういう形でも、あの方の元に来れて良かったと、今は心から思えるから……だから──!』
俺は涙を流し、フルフルと首を振った。
『憂、自分で自分の存在を否定しては駄目だ。』
「か、神様……。」
『お前の魂は、今大変不安定な状態にある。元々、お前はあの世界の魂ではないからな。このままの状態で居れば、その生と死の狭間で永遠にさ迷う事になるか……魂が消滅してしまうかも知れない。』
『そうなったら……憂の大好きなジュリアスに、二度と会えなくなっちゃうんだよ──!?』
ジュ、ジュリアスに、会えなくなる……?
俺の大好きな弟……そして、愛するジュリアスに──?
※※※
「そ、そんなの嫌だよ。でも、そのジュリアスを変えてしまったのも俺で──」
「俺はあなたを愛し、あなたを守りたいと……そう思える俺になる事が出来て、本当に良かったと思っていますよ?」
突然、後ろからふわりと温かい物に抱き締められ……俺は、驚いて後ろを振り返った。
「な、んで……?何で、ジュリアスがここに……?だってここ、生と死の──まさか、ジュリアスまで!?」
「あなたが目覚めなくなり早十日……俺は、決めたのです。あなたが帰って来れないなのらば、俺が迎えに行こうと。だから、あの聖剣で胸を突きました。」
「ッ……!?い、や……そんな事……俺の為に、そんな事しないでよぉ!」
「聞いて下さい、兄上!本来ならば俺は、あなたに虐められ、そのせいであなたを嫌い……そしてあなたを、この先断罪する者の一人となった。そんな地獄のような日々、考えただけでも恐ろしい!だけど、あなたがあの世界に転生して下さり、兄として俺を可愛がり……そして一人の男として愛してくれた。そのおかげで俺がそうならずに済んだ事、俺は心から嬉しく思うのです!ですからどうか、あの世界に今一度戻って来て下さい。そして……再び俺に、愛を与えて欲しいのです!」
その言葉を聞いて、俺の心が大きく揺れた。
俺、あの世界に居ていい存在だった……?
ジュリアス、あなたには、俺が必要……?
「ジュ、ジュリアス……!俺……俺、消えたくない。せっかくあなたと会え、兄になり、愛し合う事が出来たのに……!戻りたい……あの世界に、ジュリアスと戻りたいよ──!」
俺は、ジュリアスにギュッと抱き着き、涙を流した──。
『そうと決めたなら、早く戻れ……私が力を貸してやるから。』
「で、でも神様……あなたはもうこれ以上、俺に介入できないって……。」
『……構わない。私も……心を決めたからな。』
「それ……どういう?」
すると、俺たちの前に光の道が現れた。
『さぁ、その光の道をひたすら進め。そうすれば、あの世界に戻れる。』
『憂……僕は、今度はちゃんと幸せになるから大丈夫だよ。だから憂も、彼と幸せになってね。』
「神様、シオン……。うん、分かったよ。俺、今度は自分の意思であの世界に行き、ジュリアスと生きるね!」
「あなたと俺は、ずっとこの先一緒です。さぁ、行きましょう、兄上──。」
ジュリアスは俺の手を握り、前を向いた。
そして、俺はそんなジュリアスの手を握り返し、同じ方を見ると……一歩足を踏み出した──。
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