6 / 28
6
しおりを挟む
何それ、凄い面白そう──!
「お兄様、是非僕もお供します。僕が、お兄様を守りますね!」
「ジュリアス……。」
ジュリアスは、俺が魔力を暴走させてからというもの、常に俺の傍に居て体調を気遣ってくれるようになった。
「ありがとう。じゃあ、一緒に行こうね──。」
※※※
「凄い、お店が一杯だ!」
ゲームの中に出て来た町並みにそっくり──!
行ってみたいお店が、あっちにもこっちにも……。
でもお父様は、声を辿れと言ったな。
お父様の言葉を思い出した俺は、目を閉じ……その心を落ち着かせた──。
「……。ジュリアス、あっちに行ってみない?」
「お兄様、僕もあの通りが気になります。」
早速俺たちは手を繋ぎ、裏通りを進んで行った──。
『……その角を曲がり、進むんだ。そうしたら、魔法陣が描かれた旗が立つ店がある。そこに、お二人の求める物があるぞ。』
「ジュリアス、聞こえた?」
「はい、確かに。行きましょう兄上!」
そしてその言葉通りに進むと……成程、何かの魔法陣が描かれた旗が──。
あ、れ……?
もしかして、このお店って──。
魔法薬を作る趣味が高じて自身の店を持った、魔法商店のマルスさん……彼のお店じゃないか!?
彼は、悪魔と人間のハーフで……彼は決してメインキャラクターではないけど、ゲームを進める上では大事なキャラだ。
主人公が恋に悩んだり行き詰まると、店に招き、お助けアイテムを売ってくれるんだ。
そんな彼なら、間違いなく良い魔道具を売ってくれるよ──!
※※※
「お邪魔します!」
俺は店の扉を開け、一声かけると……店の中に足を踏み入れた。
「いらっしゃい、ロイスお坊ちゃま、ジュリアスお坊ちゃま。」
凄い、本物のマルスさんだ──!
すると彼は、俺を見て不思議そうな顔をした。
「普通、闇の魔力を持つ者の魂からは、そのような聖なる光は感じないが……。ロイスお坊ちゃま……あなたは、余程心が綺麗なんだろう。そんなあなただから、この指輪がピッタリなんだろうな。」
そう言って、マルスさんは一つの指輪を差し出した。
「あなたの闇の魔力が暴走しそうになったら、これがその余分な魔力を吸い取ってくれる。この指輪は、魔のエネルギーが大好物で……闇の魔力だけでなく、悪しき者の持つ力を、取り込む事が出来るんだ。」
「凄い!あ、でも今の俺には大きいから……チェーンを付けて貰ってもいいですか?そしたら首から下げられるので。」
「お安い御用だ。うん……?ジュリアスお坊ちゃまは、そちらの剣が気になると見える。」
「……はい。この剣からは、とても美しく、神々しい力を感じます。」
するとマルスさんは、一瞬何かを考えた後……その剣を手に取り、ジュリアス様に差し出した。
「ならばジュリアスお坊ちゃま……これは、あなたにお譲りしよう。」
「いいのですか?」
「この剣は……かつて俺の母が持っていた物で、聖女の力を宿している。本来売り物じゃないが……この剣の方があなたを呼んでいるならば、お売りしない訳にはいかない。」
するとその剣は姿を変え……光の球体となって、ジュリアス様の体の中に消えた。
「ジュリアス!?」
「ロイスお坊ちゃま、大丈夫だ。あの剣は、ああして普段は聖なる力として体の中に宿っていて……主の危機には体から出て来て、剣となりその身を守ってくれる。ただ、今のジュリアスお坊ちゃまにはまだ扱えん。何せあれは、ただの剣でなく聖剣だからな。」
俺の指輪も、ジュリアス様の聖剣も……ゲームの中で、二人はそういう物は身に付けていなかった。
それを使う事になる危機だなんて……そんなもの、無い方がいいんだけど──。
※※※
その後俺は、本格的に魔力について学ぶ事を決めた。
一方ジュリアス様は、そんな俺を守る為だと、剣を習い始めた。
毎日特訓に励むジュリアス様の剣の腕前はどんどん上達していき……そしてその体つきも、次第に逞しくなっていった──。
そして、俺が十六歳の誕生日を迎える事には、一歳下のジュリアス様の方が身長が高くなり……天使の様に可愛らしかった少年は、凛々しい美形の男へと変わった。
そう……俺が推していた、あのBLゲームのジュリアス様の容姿そっくりに──。
「お兄様、是非僕もお供します。僕が、お兄様を守りますね!」
「ジュリアス……。」
ジュリアスは、俺が魔力を暴走させてからというもの、常に俺の傍に居て体調を気遣ってくれるようになった。
「ありがとう。じゃあ、一緒に行こうね──。」
※※※
「凄い、お店が一杯だ!」
ゲームの中に出て来た町並みにそっくり──!
行ってみたいお店が、あっちにもこっちにも……。
でもお父様は、声を辿れと言ったな。
お父様の言葉を思い出した俺は、目を閉じ……その心を落ち着かせた──。
「……。ジュリアス、あっちに行ってみない?」
「お兄様、僕もあの通りが気になります。」
早速俺たちは手を繋ぎ、裏通りを進んで行った──。
『……その角を曲がり、進むんだ。そうしたら、魔法陣が描かれた旗が立つ店がある。そこに、お二人の求める物があるぞ。』
「ジュリアス、聞こえた?」
「はい、確かに。行きましょう兄上!」
そしてその言葉通りに進むと……成程、何かの魔法陣が描かれた旗が──。
あ、れ……?
もしかして、このお店って──。
魔法薬を作る趣味が高じて自身の店を持った、魔法商店のマルスさん……彼のお店じゃないか!?
彼は、悪魔と人間のハーフで……彼は決してメインキャラクターではないけど、ゲームを進める上では大事なキャラだ。
主人公が恋に悩んだり行き詰まると、店に招き、お助けアイテムを売ってくれるんだ。
そんな彼なら、間違いなく良い魔道具を売ってくれるよ──!
※※※
「お邪魔します!」
俺は店の扉を開け、一声かけると……店の中に足を踏み入れた。
「いらっしゃい、ロイスお坊ちゃま、ジュリアスお坊ちゃま。」
凄い、本物のマルスさんだ──!
すると彼は、俺を見て不思議そうな顔をした。
「普通、闇の魔力を持つ者の魂からは、そのような聖なる光は感じないが……。ロイスお坊ちゃま……あなたは、余程心が綺麗なんだろう。そんなあなただから、この指輪がピッタリなんだろうな。」
そう言って、マルスさんは一つの指輪を差し出した。
「あなたの闇の魔力が暴走しそうになったら、これがその余分な魔力を吸い取ってくれる。この指輪は、魔のエネルギーが大好物で……闇の魔力だけでなく、悪しき者の持つ力を、取り込む事が出来るんだ。」
「凄い!あ、でも今の俺には大きいから……チェーンを付けて貰ってもいいですか?そしたら首から下げられるので。」
「お安い御用だ。うん……?ジュリアスお坊ちゃまは、そちらの剣が気になると見える。」
「……はい。この剣からは、とても美しく、神々しい力を感じます。」
するとマルスさんは、一瞬何かを考えた後……その剣を手に取り、ジュリアス様に差し出した。
「ならばジュリアスお坊ちゃま……これは、あなたにお譲りしよう。」
「いいのですか?」
「この剣は……かつて俺の母が持っていた物で、聖女の力を宿している。本来売り物じゃないが……この剣の方があなたを呼んでいるならば、お売りしない訳にはいかない。」
するとその剣は姿を変え……光の球体となって、ジュリアス様の体の中に消えた。
「ジュリアス!?」
「ロイスお坊ちゃま、大丈夫だ。あの剣は、ああして普段は聖なる力として体の中に宿っていて……主の危機には体から出て来て、剣となりその身を守ってくれる。ただ、今のジュリアスお坊ちゃまにはまだ扱えん。何せあれは、ただの剣でなく聖剣だからな。」
俺の指輪も、ジュリアス様の聖剣も……ゲームの中で、二人はそういう物は身に付けていなかった。
それを使う事になる危機だなんて……そんなもの、無い方がいいんだけど──。
※※※
その後俺は、本格的に魔力について学ぶ事を決めた。
一方ジュリアス様は、そんな俺を守る為だと、剣を習い始めた。
毎日特訓に励むジュリアス様の剣の腕前はどんどん上達していき……そしてその体つきも、次第に逞しくなっていった──。
そして、俺が十六歳の誕生日を迎える事には、一歳下のジュリアス様の方が身長が高くなり……天使の様に可愛らしかった少年は、凛々しい美形の男へと変わった。
そう……俺が推していた、あのBLゲームのジュリアス様の容姿そっくりに──。
248
お気に入りに追加
3,505
あなたにおすすめの小説

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる