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俺の告白に、ジュリアス様は目を見開き驚いたような表情になり……そして、真っ赤な顔になった。
「あ、兄上、今のは……!」
「フフ、気付くのが遅くなってごめんね。俺、ずっと前からジュリアス様の事が好きだったから、これが恋だって気付くのが遅くなっちゃった。」
「ジュリアス、様……?」
突然の様付けに、ジュリアス様は不思議そうに俺を見た。
こうして、自分の好きという気持ちを伝えたんだ。
だったら、俺がずっ──と前から、どれだけあなたを好きだったか……ううん、それだけでなく、自分の全てを知って貰いたいよ。
俺は悪役令息ロイスとしてだけでなく……転生前の俺も含め、丸ごとジュリアス様に好きになって欲しい……愛して欲しいと思った。
俺は、ロイスであってロイスじゃないんだよ──?
こんな願いを持つのって、やっぱり我儘なのかな……でも、それでも俺は──。
「帰ったら、俺の話を聞いてくれる?」
「分かりました。兄上……俺は、どんな兄上でも受け入れますからね──。」
ジュリアス様は、俺の手にそっと自身の手を重ねた。
この時の俺は、そんな俺たちの様子をじっと見ている人物に気付く事が出来なかった。
「ジュリアス様、ねぇ……。やっぱそうじゃん。ハハッ、今度も楽しめそう──。」
※※※
その晩、俺は自身の部屋にジュリアス様を呼んだ。
「俺が今から話す事は、全部本当だから。だから、どうか信じて?」
「俺は、あなたが嘘など付かない人物だと分かってます。だから、安心して話して下さい──。」
俺は、この世界に転生者としてやってきた事、そして、転生前の記憶が全てある事を話した。
そして転生前の俺は、あまり恵まれた人生とは言えなかった事……だけどそのおかげで、この世界を、そしてジュリアス様を知る事ができて、好きになれたという事を伝えた。
俺の話を一通り聞き終えたジュリアス様は、俺の目を見てこう言った。
「兄上は……その記憶があるから、俺を好きになってくれたのですか?その……今の俺とは全く違う、冷たくて、捻くれ者の俺の記憶があるから……。もしそうなら、今の俺では……。」
「そうじゃないよ。きっと俺は、自分に似たそのジュリアス様に、親近感を持ったんだ。その好きは、あくまで推しとしてで……今の俺のジュリアスに対する気持ちは、特別な好きだよ。俺がこの世界に来て、意地悪な義兄にならず……そしてそのおかげかな?俺を好きになってくれたジュリアスに対してだけ抱いた、特別な気持ちだ。」
俺は、ジュリアス様にギュッと抱き着いた。
「俺はジュリアスが好きだから、意地悪な義兄を、悪役令息を捨てちゃった。後に残ったのは、闇魔法が使えて、そして今のジュリアスが好きな俺だけ。こんな俺でも、変わらず愛してくれる……?」
するとジュリアス様は、俺を強く抱きしめ返し、こう言った。
「当然です。俺の心は、あなたに初めて会った時からあなたに奪われていました。両親に捨てられどこにも行き場がなかった事で、冷え切ってしまった俺の心を、あなたは優しく温めてくれた。その時に思ったのです、俺はあなたを失いたくない、誰にも渡したくない……あなたを、愛していると。そしてその気持ちは、今も変わりません。」
ジュリアス様……ううん、ジュリアスは俺をじっと見つめた。
俺はそんなジュリアスを見て……そっと目を閉じた。
ジュリアスの大きくて暖かな手が、俺の頬にそっと触れ……そして彼は、俺の唇にキスをした。
「……ンッ。」
「あなたは、俺が守ります……この先、何があっても──。」
「あ、兄上、今のは……!」
「フフ、気付くのが遅くなってごめんね。俺、ずっと前からジュリアス様の事が好きだったから、これが恋だって気付くのが遅くなっちゃった。」
「ジュリアス、様……?」
突然の様付けに、ジュリアス様は不思議そうに俺を見た。
こうして、自分の好きという気持ちを伝えたんだ。
だったら、俺がずっ──と前から、どれだけあなたを好きだったか……ううん、それだけでなく、自分の全てを知って貰いたいよ。
俺は悪役令息ロイスとしてだけでなく……転生前の俺も含め、丸ごとジュリアス様に好きになって欲しい……愛して欲しいと思った。
俺は、ロイスであってロイスじゃないんだよ──?
こんな願いを持つのって、やっぱり我儘なのかな……でも、それでも俺は──。
「帰ったら、俺の話を聞いてくれる?」
「分かりました。兄上……俺は、どんな兄上でも受け入れますからね──。」
ジュリアス様は、俺の手にそっと自身の手を重ねた。
この時の俺は、そんな俺たちの様子をじっと見ている人物に気付く事が出来なかった。
「ジュリアス様、ねぇ……。やっぱそうじゃん。ハハッ、今度も楽しめそう──。」
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その晩、俺は自身の部屋にジュリアス様を呼んだ。
「俺が今から話す事は、全部本当だから。だから、どうか信じて?」
「俺は、あなたが嘘など付かない人物だと分かってます。だから、安心して話して下さい──。」
俺は、この世界に転生者としてやってきた事、そして、転生前の記憶が全てある事を話した。
そして転生前の俺は、あまり恵まれた人生とは言えなかった事……だけどそのおかげで、この世界を、そしてジュリアス様を知る事ができて、好きになれたという事を伝えた。
俺の話を一通り聞き終えたジュリアス様は、俺の目を見てこう言った。
「兄上は……その記憶があるから、俺を好きになってくれたのですか?その……今の俺とは全く違う、冷たくて、捻くれ者の俺の記憶があるから……。もしそうなら、今の俺では……。」
「そうじゃないよ。きっと俺は、自分に似たそのジュリアス様に、親近感を持ったんだ。その好きは、あくまで推しとしてで……今の俺のジュリアスに対する気持ちは、特別な好きだよ。俺がこの世界に来て、意地悪な義兄にならず……そしてそのおかげかな?俺を好きになってくれたジュリアスに対してだけ抱いた、特別な気持ちだ。」
俺は、ジュリアス様にギュッと抱き着いた。
「俺はジュリアスが好きだから、意地悪な義兄を、悪役令息を捨てちゃった。後に残ったのは、闇魔法が使えて、そして今のジュリアスが好きな俺だけ。こんな俺でも、変わらず愛してくれる……?」
するとジュリアス様は、俺を強く抱きしめ返し、こう言った。
「当然です。俺の心は、あなたに初めて会った時からあなたに奪われていました。両親に捨てられどこにも行き場がなかった事で、冷え切ってしまった俺の心を、あなたは優しく温めてくれた。その時に思ったのです、俺はあなたを失いたくない、誰にも渡したくない……あなたを、愛していると。そしてその気持ちは、今も変わりません。」
ジュリアス様……ううん、ジュリアスは俺をじっと見つめた。
俺はそんなジュリアスを見て……そっと目を閉じた。
ジュリアスの大きくて暖かな手が、俺の頬にそっと触れ……そして彼は、俺の唇にキスをした。
「……ンッ。」
「あなたは、俺が守ります……この先、何があっても──。」
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