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「……ここが音楽室で、こっちは美術室。一度に覚えなくても平気だよ、移動教室の時は僕が一緒に行くから!」
「あ、ありがとう、シオンさん。」
「シオンでいいよ!僕も君の事、ロイスって呼びたいし。光魔法と闇魔法……それぞれ全く違うけど、立派な魔力の使い手になりたいって志は同じだもんね。」
そう言って、シオンはニコニコと微笑んだ。
初対面の俺に、こんなに優しくしてくれるなんて……シオンって、すっごくいい子だなぁ。
こんな子だから、攻略対象の皆に好かれるんだろうな。
「シオンを始めて見た時、ビックリしたよ。大勢の生徒が集まってたから、何事かと思って見てれば、すごく格好いい人たちに囲まれてる、可愛い子が居るんだもん。まさかそれがシオンで、同じクラスだったなんて。」
「あの人たちは、皆生徒会執行部のメンバーでね、僕も仲良くさせて貰ってるんだ。格好いいか……でも、ロイスの隣に居た彼も、格好いい子だったね。」
「あの子、俺の弟なんだ。学年は一つ下だけど……今日一緒に、この学校に編入して来て──。」
するとシオンは、少し考え込みこう言った。
「ねぇ、ロイス。ロイスの弟さんなら、僕も是非仲良くしたいな。僕に紹介してくれる?」
「……え?あ、も、勿論いいよ。」
あ、れ……何か、一瞬心がもやもやして……。
でも、シオンとジュリアス様が接触するのは、ゲームとしては当然の流れだ。
なのに俺、シオンにジュリアス様と仲良くして欲しくないって……一瞬、そう思ってしまった。
俺、心狭すぎだな。
推しを取られるとか、弟を取られるとか、そんなつまんない嫉妬して……。
推し、弟……うん、そうだよね。
他に理由なんて──。
※※※
「兄上!こちらです、席を取っておきました……そちらの方は?」
「彼は、同じクラスの──」
「シオン・フォードです。ロイスと同じクラスですが……僕は彼とは違い、光魔法の使い手です。どうぞお見知りおきを。」
「……俺は、ジュリアスと申します。兄上がお世話になっております。」
「ジュリアス……今日のお昼は、シオンも一緒に……。」
「兄上が仰るなら、私は構いません。」
そう、言ってるけど……何だかその顔がちょっと不機嫌そうなのはどうして……?
俺、ずっとジュリアス様のお兄ちゃんやってきたから、すぐ分かるよ──?
「あ、あのね、今日はシオンに学園を案内して貰ったんだ。」
「そうですか。兄がお世話になりました。」
「フフッ……何だか、ジュリアスの方がお兄さんみたいだね。しっかりしてて、頼りがいがありそう。」
うん……お恥ずかしながら、よく言われる……。
「ねぇ……ジュリアスさえ良かったら、生徒会に入らない?今、人手が足りなくてね……皆大変なんだ。だから僕も、色々と仕事を手伝ってるの。」
「そっか、それで皆と一緒に……。ジュリアス、どうする?せっかくだから──」
「今はまだ、俺はこの学園の事を何も知りません。そんな俺が入っても、逆に迷惑になります。」
「そう……でも、すごくやりがいはあるんだよ。この学園に慣れてきた頃、また改めて聞くから……今度は是非いい返事を頂戴ね──?」
「あ、ありがとう、シオンさん。」
「シオンでいいよ!僕も君の事、ロイスって呼びたいし。光魔法と闇魔法……それぞれ全く違うけど、立派な魔力の使い手になりたいって志は同じだもんね。」
そう言って、シオンはニコニコと微笑んだ。
初対面の俺に、こんなに優しくしてくれるなんて……シオンって、すっごくいい子だなぁ。
こんな子だから、攻略対象の皆に好かれるんだろうな。
「シオンを始めて見た時、ビックリしたよ。大勢の生徒が集まってたから、何事かと思って見てれば、すごく格好いい人たちに囲まれてる、可愛い子が居るんだもん。まさかそれがシオンで、同じクラスだったなんて。」
「あの人たちは、皆生徒会執行部のメンバーでね、僕も仲良くさせて貰ってるんだ。格好いいか……でも、ロイスの隣に居た彼も、格好いい子だったね。」
「あの子、俺の弟なんだ。学年は一つ下だけど……今日一緒に、この学校に編入して来て──。」
するとシオンは、少し考え込みこう言った。
「ねぇ、ロイス。ロイスの弟さんなら、僕も是非仲良くしたいな。僕に紹介してくれる?」
「……え?あ、も、勿論いいよ。」
あ、れ……何か、一瞬心がもやもやして……。
でも、シオンとジュリアス様が接触するのは、ゲームとしては当然の流れだ。
なのに俺、シオンにジュリアス様と仲良くして欲しくないって……一瞬、そう思ってしまった。
俺、心狭すぎだな。
推しを取られるとか、弟を取られるとか、そんなつまんない嫉妬して……。
推し、弟……うん、そうだよね。
他に理由なんて──。
※※※
「兄上!こちらです、席を取っておきました……そちらの方は?」
「彼は、同じクラスの──」
「シオン・フォードです。ロイスと同じクラスですが……僕は彼とは違い、光魔法の使い手です。どうぞお見知りおきを。」
「……俺は、ジュリアスと申します。兄上がお世話になっております。」
「ジュリアス……今日のお昼は、シオンも一緒に……。」
「兄上が仰るなら、私は構いません。」
そう、言ってるけど……何だかその顔がちょっと不機嫌そうなのはどうして……?
俺、ずっとジュリアス様のお兄ちゃんやってきたから、すぐ分かるよ──?
「あ、あのね、今日はシオンに学園を案内して貰ったんだ。」
「そうですか。兄がお世話になりました。」
「フフッ……何だか、ジュリアスの方がお兄さんみたいだね。しっかりしてて、頼りがいがありそう。」
うん……お恥ずかしながら、よく言われる……。
「ねぇ……ジュリアスさえ良かったら、生徒会に入らない?今、人手が足りなくてね……皆大変なんだ。だから僕も、色々と仕事を手伝ってるの。」
「そっか、それで皆と一緒に……。ジュリアス、どうする?せっかくだから──」
「今はまだ、俺はこの学園の事を何も知りません。そんな俺が入っても、逆に迷惑になります。」
「そう……でも、すごくやりがいはあるんだよ。この学園に慣れてきた頃、また改めて聞くから……今度は是非いい返事を頂戴ね──?」
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