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 お父様は俺の身体に異常がない事を確認すると、部屋を出て行った。

 そしてベッドサイドには、涙を滲ませたジュリアス様が──。

「ジュリアス……俺はもう大丈夫だから、泣かないで?さぁ、もっと近くへおいで?」

 するとジュリアス様は、ベッドに身を乗り上げ……俺をギュッと抱きしめた。

「ジュ、ジュリアス……?」

「申し訳ありません、お兄様。僕がふがいないばかりに、お兄様を巻き込んでしまって。」

「ううん、いいんだよ。弟を守るのは兄の務め……。それに、ジュリアスのおかげで魔力が目覚めたんだし。」

「でも、もう少しでお兄様の魔力は暴走し取り返しがつかなくなる所でした!そうなったら、そのお身体だって無事では済まされなかったのです……。」

 俺から離れたジュリアスは、涙をグイッと手の甲で拭い、俺を見た。

 真剣な目……まだ幼いけど、この目は間違いなく、主人公シオンを守るジュリアス様のあの目だ──。

 ん……?
 守る……?
 
 どうして、そんな目で俺を……。
 
 俺……主人公じゃなく、一応悪役令息なんだけど──。

「お兄様、僕は守られてばかりでは嫌だ……。僕は強くなります……もう、虐められないように。そして今度は、僕があなたを守れるように──。」

 そして、ジュリアス様はベッドから降りると……俺の手を取り、そっと口づけた。

「ッ……!?」

 俺は思わず顔を真っ赤にし、傍にあったシーツをガバリと被った。

「お兄様、どうしたのですか!?もしや、まだお身体が……!」

「ち、違う、大丈夫だから!……あの、本当に気にしないで?」

 この子……こんなに可愛くっても、やっぱりあのジュリアス様だ──。

 ジュリアス様は、ゲームの中でシオンを守ると忠誠を誓った時、今と同じ様に手を取り誓いの口づけを捧げた。

 そうだった……ジュリアス様はゲームの中で、シオンを守る騎士になりたいと仰ってた。

 でもその前に、俺を守ると誓いを立ててしまった。

 すごく嬉しいんだけど……でも、大丈夫なのかな?
 
 シオンの攻略対象、一人奪っちゃった事にならない──?

※※※
 
 それから数日後、俺はお父様に話があると呼ばれた。
 
「ロイス、お前はまだ闇の魔力が芽生えたばかりで、その力は未知数で不安定だ。だから、この前の様に力が暴走しない様、魔道具を身に付ける事にしようか。」

「魔道具……?」

 お父様の提案に、俺は目をぱちくりさせた。

 ゲームの中のロイスは、そんな物、付けてなかった気がするけど……。
 俺がロイスになった事で、その辺りも変わっちゃったのかな?
 
 でも……確かにこの前みたいな事になったら、またジュリアス様に心配かけちゃうもんな──。

「分かりました。でもその魔道具は、どうやって手に入れるのです?」

「魔法商店だ。そこに行けば、自分に必要な魔道具を見つける事が出来る。きっと店主の方から、お前を呼んでくれるよ……。だから、お前はその声に導かれるままに行くといい──。」
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