転生悪役令息の俺、婚約破棄して脇役第二王子を射止めたい!

櫻坂 真紀

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番外編1

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※時系列でいうと、アルトとカイル様の結婚までの間の出来事を書いたものです。


※※※

「それでは、カイル様と近く結婚を……。おめでとうございます、アルト様!」

「ありがとう。ノアさんを見習って、俺もちゃんと自分の気持ちを、カイル様に伝えなきゃって思ったんだ。」

 俺とノアは、学園のカフェテリアで久しぶりの恋愛話を楽しんでいた。

 するとノアが、俺をじっと見たと思ったら顔を近づけ……コソッと耳打ちして来た。

「あの、アルト様とカイル様って……もうそういう事、なさいました?」

「え、えぇ……!?」

 そう言う事って、つまりその、エッチな事、か──?

 俺は真っ赤になって、ブンブンと首を振った。

「そうですか、実は……僕とアダムも、まだ……。アダムは、僕が大事すぎて……しかも、僕が神の愛し子という事もあって、それで出来ないと──。そこまで大事にされるのは、嬉しくもあり……寂しくもあります。」

「うん……ノアさんは神の神の愛し子でも、同時に一人の人間だもんな。」

「いっそ、僕の方から抱いてと……そう言ってしまえば早いんでしょうが、それもまた難しく……。」

「そっか……。でも、俺もそうかも。俺とカイル様は、抱き締め合ったり、キスはよくしてるけど……まだそういう事はしてない。多分、結婚式の夜かなって、勝手に思ってるんだけど……。でも俺は叶うなら、すぐにでも抱いて欲しいかなって……。」

 俺とノアって、こうしてそれぞれ互いの好きな相手と両想いになったけど……今、同じ様な事で悩んでるんだな。

 アダムは、ノアが好きすぎて手が出せない、か……。

 じゃあ、カイル様はどうなんだろうか?
 俺との行為について、どう思っているんだろう──。

※※※

 なんて思ってはみたものの……中々直接本人に聞けないし、言えないよね──!

 俺は、隣で本を読むカイル様をちらりと見た。

 うぅ……真剣な眼差しで読書を楽しまれるカイル様も、また素敵だ──!

 俺を抱く時も、あんな真剣な目で、俺の事を見てくれるのかな?

 ページをめくる、あの長くて綺麗な指で、俺の身体を──。

「…ト、アルト。顔が赤いけど、大丈夫かい?」

 本を閉じ、俺の方に向き直ったカイル様は、俺の顔をじっと見て来た。

 授業が終わり、カイル様の待つお城へと戻ってきた俺。

 学園での出来事は、何でも聞かせて欲しいとカイル様は仰っているが……流石にこんな事──。

「あの……熱とかじゃないから大丈夫です。ただ、カイル様は素敵だなって……新ためて見惚れていただけです。」

「アルト……君は、本当に可愛い事を言ってくれるね。」

 カイル様は、俺の頬にそっと手を添え、もう片方の手で俺の腰を引き寄せると……俺の唇にキスを落とした。

「ッ……ンンッ……。」

 カイル様、キス、上手だな……。

 俺、いつもあなたのキスに溺れてしまう。

 でもカイル様……俺、本当はキスだけじゃなくて、あなたが──。

 俺は、いつもは閉じている目をちらりと開け、カイル様を見た。

 するとそこには、俺は食べてしまいそうな……猛獣の様な目をした男が居た。

 俺、こんなカイル様、知らない──!

 俺は、思わずビクリと体を震わせた。

 するとカイル様は、少し際しそうなお顔をなされて……俺から唇を放した。

「嫌だったかい?アルト……ごめんよ。」

 そう言ってカイル様はソファーから立ち上がると、新しい本を取りに行ってしまった。

 あ、れ……もしかして俺、失敗したかも……!

 ち、違うよカイル様!
 俺、カイル様のキスが嫌だったんじゃなく、ちょっとビックリしちゃっただけで……。

 どうしよう、これじゃあエッチな事どころか、キスまでして貰えなくなっちゃうかも──!
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