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 翌日の昼休み、俺は裏庭にアルトの取り巻きたちを呼んだ。

「皆、今日は大事な話があるんだ。俺はもう、今後一切ノアさんに虐めはしません。もう二度と、馬鹿な真似はしません。この前は、本当に情けない姿を見せてしまいました。本当にごめんなさい!」

「あ、頭を上げて下さい!どうしたんですか、アルト様!?」

「そうですよ!アルト様はあの男の事を嫌ってたんじゃ──」

「……アルトが嫌いなのは、きっと自分自身だったんだ。どんなに頑張ってもノアさんに勝てない自分が、この世界で一番嫌いだった……ノアさん自身じゃない。」

「お、仰っている意味が、分かりかねますが……アルト様がそれでいいならば……。」

「まぁ、そうですね……。俺たちはアルト様のお言葉に従うと決めてますので──。」

※※※

「よし!これで、ノアへの虐めフラグはへし折った!俺も俺の取り巻きも、もう二度と過ちは犯さない。後は……俺の婚約問題だ。どうやってサリュー様との婚約を破棄に持ち込むか──。」

 これまでの言動からして、サリュー様はかなりプライドが高い。
 ゲームの中でも、結構な俺様気質だったもんなぁ……。
 
 下手な言い方すると、かえって面倒な事になりそうだな……。
 いっそ、向こうから婚約破棄を言ってきてくれないかな──。

「アルト、お前こんな所に居たのか!」
 
 おぉっと、このタイミングでサリュー様ご登場……俺、また何かやらかした──?

「やはりお前は、最低な奴だ!お前が、ノアの教科書を捨てた犯人だったんだな?俺の親衛隊が、わざわざ報告に来てくれたぞ。」

「ええ、まぁ……そうなります。ですが俺は、それを彼に謝罪しました。結果、彼も分かってくれました。そして俺は、二度と過ちを犯さないと誓ったばかりです。」

「お前が無理やりノアを脅し、そう言わせたんじゃないのか!?彼が大人しいのを良い事に、上手く言い包めたんだろう!」

「……彼が、そう言ったんですか?」

「いいや、全て俺の独断だ。こんな場に、彼を連れて来られるか。そんな事をしてお前に逆恨みをされたら、ノアが可哀そうだからな!」

「はぁ~……。あなたって人は、本当にどうしようもないですね。確かに、虐めをしたアルトは悪いです。でもね、あなたが今やってる事は虐めじゃないんですか?こっちの言い分も聞かず一方的に決めつけて、お前は最低だの脅しただの言うなんて……。アルトはね、本当にあなたが好きだったんです……!これじゃあ、彼があまりに報われないじゃないか──。」
 
「婚約者である俺に対し、その言い方は何だ!しかしお前……昨日からどうも妙な言い方をするな?。まさか……俺を好きすぎて、ついに頭でもおかしくなったか?」

「好き……?俺が、あなたを……?」

「だが、生憎だな。俺はお前の事など、ちっとも好きではなかった。俺たちが婚約したのは、親同士の意思……俺の気持ちなど、考慮されていない。だから、今日をもってお前との婚約は無かった事にさせて貰う。今ここに、お前との婚約破棄を言い渡す──!」
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