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好きな人のセフレでしかなかった僕は、異世界転移で獣の王様に愛される身となりました。
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何だろう、何かフワフワとして温かいものに包まれて居る気が──。
そう思い目を覚ますと……見知らぬ部屋のフカフカ絨毯の上で、僕はとっても大きな黒い犬に守られるかのようにその身体を包まれて居た。
な、何この大きな犬!?
犬‥‥犬にしては牙が鋭すぎるし手足も太い、かな──?
『漸く目が覚めたか。ここに来てから三日も眠りっぱなしだったぞ?』
「い、犬が喋った!?って言うかここ何処?僕、確か大ちゃんの家に居たはずだよね?そうだ、クロは何処?僕の足元に居たんだけど、あの光に一緒に包まれて──」
『落ち着け、俺ならここに居る。そもそもお前をここに連れて来たのはこの俺だ。故に傍を離れる訳ないだろう?』
え……?
こ、この大きな黒犬が、あの小さくてフワフワしたクロ?
それにここに連れて来たって、一体どういう事──!?
『ここは獣の世界だ、お前の居た世界とはまた別の所にある。あの世界で傷ついたお前を見て居られず、俺が転移魔法でこちらに連れて来たんだ。俺は犬狼国の王で犬と狼の混血、名は黒狼と言うが……お前が付けたクロがとても気に入って居る。お前には以前と変わらずそう呼んで欲しい』
「けんろうこく?こくろう…。わ、分かった。じゃあクロ…クロはどうしてあんな小さな姿で僕の世界に居たの?」
『敵国の刺客に襲われ、弱って居る所を時空の歪に落ちたんだ。そして行き着いた先が、お前の居た世界だったんだが……早々にあの礼儀知らずの小うるさい男に捕まり、ペットにされてしまった。それが嫌で反抗したら、今度はあの大輝とか言う男の元へ連れて居かれ……そこで躾と言う名の暴力を受けた。でも、お前が世話してくれるようになってからは毎日が快適だった。そのおかげで体も回復し、ああして転移魔法が仕えたのだ。心から礼を言うぞ』
「そんな、僕こそクロに色々と助けて貰って……。クロ、僕をここに連れて来てくれて本当にありがとう。あのままあそこに居たら、きっと心が壊れちゃう所だった」
『……ここにはお前を傷付ける者は居ない。心と体をゆっくり休め、またあの愛らしい笑顔を俺に見せてれ』
「う、うん」
愛らしいって……今まで他の人、大ちゃんすら言ってくれた事の無い誉め言葉に、僕は真っ赤になって俯いた。
それからの日々は、本当に穏やかで幸せだった。
クロに仕える城の者は、毛並みがフワフワの犬や艶々の狼達で……僕の事を春様、春様と慕い大層大事にしてくれる優しい子ばかりだった。
でもいつまでも皆にお世話になりっぱなしでは申し訳ないから、得意な掃除でもしようと申し出たら……僕のお世話係を務める柴犬は、とんでもないと言って首を大きく振った。
『春様は、いずれ黒狼様のお妃様になるお方…そんな事はさせられません』
「き、妃!?僕がクロの!?ど、どういう事──!?」
そう思い目を覚ますと……見知らぬ部屋のフカフカ絨毯の上で、僕はとっても大きな黒い犬に守られるかのようにその身体を包まれて居た。
な、何この大きな犬!?
犬‥‥犬にしては牙が鋭すぎるし手足も太い、かな──?
『漸く目が覚めたか。ここに来てから三日も眠りっぱなしだったぞ?』
「い、犬が喋った!?って言うかここ何処?僕、確か大ちゃんの家に居たはずだよね?そうだ、クロは何処?僕の足元に居たんだけど、あの光に一緒に包まれて──」
『落ち着け、俺ならここに居る。そもそもお前をここに連れて来たのはこの俺だ。故に傍を離れる訳ないだろう?』
え……?
こ、この大きな黒犬が、あの小さくてフワフワしたクロ?
それにここに連れて来たって、一体どういう事──!?
『ここは獣の世界だ、お前の居た世界とはまた別の所にある。あの世界で傷ついたお前を見て居られず、俺が転移魔法でこちらに連れて来たんだ。俺は犬狼国の王で犬と狼の混血、名は黒狼と言うが……お前が付けたクロがとても気に入って居る。お前には以前と変わらずそう呼んで欲しい』
「けんろうこく?こくろう…。わ、分かった。じゃあクロ…クロはどうしてあんな小さな姿で僕の世界に居たの?」
『敵国の刺客に襲われ、弱って居る所を時空の歪に落ちたんだ。そして行き着いた先が、お前の居た世界だったんだが……早々にあの礼儀知らずの小うるさい男に捕まり、ペットにされてしまった。それが嫌で反抗したら、今度はあの大輝とか言う男の元へ連れて居かれ……そこで躾と言う名の暴力を受けた。でも、お前が世話してくれるようになってからは毎日が快適だった。そのおかげで体も回復し、ああして転移魔法が仕えたのだ。心から礼を言うぞ』
「そんな、僕こそクロに色々と助けて貰って……。クロ、僕をここに連れて来てくれて本当にありがとう。あのままあそこに居たら、きっと心が壊れちゃう所だった」
『……ここにはお前を傷付ける者は居ない。心と体をゆっくり休め、またあの愛らしい笑顔を俺に見せてれ』
「う、うん」
愛らしいって……今まで他の人、大ちゃんすら言ってくれた事の無い誉め言葉に、僕は真っ赤になって俯いた。
それからの日々は、本当に穏やかで幸せだった。
クロに仕える城の者は、毛並みがフワフワの犬や艶々の狼達で……僕の事を春様、春様と慕い大層大事にしてくれる優しい子ばかりだった。
でもいつまでも皆にお世話になりっぱなしでは申し訳ないから、得意な掃除でもしようと申し出たら……僕のお世話係を務める柴犬は、とんでもないと言って首を大きく振った。
『春様は、いずれ黒狼様のお妃様になるお方…そんな事はさせられません』
「き、妃!?僕がクロの!?ど、どういう事──!?」
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