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好きな人のセフレでしかなかった僕は、異世界転移で獣の王様に愛される身となりました。
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僕には昔から大好きな人が居た。
それは幼馴染の大輝、通称大ちゃん。
明るくて活発で皆の人気者だった大ちゃんに、大人しく人見知りの僕は自然と恋心を抱くようになった。
そんな大ちゃんは可愛い女の子が大好きで……いくら幼馴染と言えど、冴えない僕の事を特別に好きになってくれる訳はないと思って居た。
でも頭ではそう理解して居ても、大ちゃんへの想いは歳を重ねるごとに募って行き……大学に入って大ちゃんが一人暮らしを始め、そこに遊びに行った時に僕はついうっかり「好き」と言ってしまった。
我に返った僕は、今のはナシと誤魔化そうとしたけれど……そんな僕を見た大ちゃんは少し考えた後、付き合っても良いと言ってくれた。
「ほ、ホントに良いの!?」
「あぁ、お前素直で可愛いしな。気心も知れてるし、一緒に居てラクだし?」
「嬉しい──!」
そしてその日から、僕は幼馴染では無く恋人として大ちゃんの元に通うようになった。
料理の苦手な大ちゃんの為に食事を作ったり、片づけが苦手な大ちゃんに代わりお掃除したり……と言うのは、これまでと変わりはなかったけれど……今ではそこに、大ちゃんの夜の相手を務める事が加わった。
「んッ、……大ちゃん、もっとゆっくりして──」
「はいはい、もう少し付き合え」
そう言って、大ちゃんは俺のナカを思い切り突き上げた。
お酒に酔った大ちゃんは、時々こうして強引に僕を抱く。
それはちょっと辛くもあるんだけれど……でも僕は女の子と違って濡れないし、柔らかくも無い僕を求めてくれるのは嬉しく、拒否など出来なかった。
そうして今日も大ちゃんに抱かれて居ると、何かがドアをカリカリと引っ掻く音が聞こえて来た。
「……チッ、うるせーな。大人しくしてろって言ったのに」
「え、猫か何か飼ったの?」
「猫じゃねーけど、まぁそんな所」
そう言ってベッドから降りた大ちゃんがドアを開けると、そこにはフワフワした毛並みの黒い子犬が居た。
「わぁ、小さくて可愛い!それに綺麗な顔立ちの子だね。大ちゃん、この子どうしたの?」
「あー……俺の姉貴が暫く面倒看ろって置いてったんだよ。でもこいつ、ちっとも俺に懐かないし困ってて……そうだ、お前動物好きだろう?俺の代わりに面倒看てくれよ」
「うん、良いよ。じゃあ今日から僕が一生懸命お世話するから、よろしくね?」
そう言ってその子を抱き上げれば、その子は僕の顔を暫しじっと見つめ……分かってくれたのか、僕の頬をペロリと舐めた。
それからの僕は、その子の為にも毎日大ちゃんの家に行くようになった。
大ちゃんは留守の時もあったが、そんな時はその子と二人きりでのんびりと過ごした。
大ちゃんはこの子の事、生意気で可愛くないなんて言って居るけど……僕には凄く懐いてくれて居るし、とても賢くて良い子だと思う。
だって何か、こっちの言ってる事を全部理解してる気がするんだよね──。
人間の言葉なんて分からない筈なのに、大ちゃんの機嫌が悪く理不尽に怒られてるとさり気なく間に入って僕を守ろうとしてくれたりするし……今もこうして、僕の話を傍で大人しく聞いててくれるし──。
「クロ、今日もご飯残さず食べて偉いね?ねぇクロ……僕、本当に大ちゃんが好きなんだ。最近の大ちゃん、家をしょっちゅう留守にしててまともに会えてないけど……でも帰って来て僕に笑いかけてくれる大ちゃんを見ると、凄く嬉しくて暗い気持ちがふき飛んじゃうんだ。それに今は、こうしてクロが僕の相手をしてくれてるしね……。ここに来てくれて、本当にありがとうね?」
そう言って、僕はクロの額にチュッとキスをした。
するとクロは、照れたようにプイッと横を向いたが……その尻尾はフリフリと揺れて居て、嬉しさが隠し切れて居なかった。
本当に可愛い子……大ちゃんが任されて居る子だけれど、この先もずっと一緒に居たいな──。
そんな事を考える内、僕はついついそこでうたた寝をしてしまった。
それは幼馴染の大輝、通称大ちゃん。
明るくて活発で皆の人気者だった大ちゃんに、大人しく人見知りの僕は自然と恋心を抱くようになった。
そんな大ちゃんは可愛い女の子が大好きで……いくら幼馴染と言えど、冴えない僕の事を特別に好きになってくれる訳はないと思って居た。
でも頭ではそう理解して居ても、大ちゃんへの想いは歳を重ねるごとに募って行き……大学に入って大ちゃんが一人暮らしを始め、そこに遊びに行った時に僕はついうっかり「好き」と言ってしまった。
我に返った僕は、今のはナシと誤魔化そうとしたけれど……そんな僕を見た大ちゃんは少し考えた後、付き合っても良いと言ってくれた。
「ほ、ホントに良いの!?」
「あぁ、お前素直で可愛いしな。気心も知れてるし、一緒に居てラクだし?」
「嬉しい──!」
そしてその日から、僕は幼馴染では無く恋人として大ちゃんの元に通うようになった。
料理の苦手な大ちゃんの為に食事を作ったり、片づけが苦手な大ちゃんに代わりお掃除したり……と言うのは、これまでと変わりはなかったけれど……今ではそこに、大ちゃんの夜の相手を務める事が加わった。
「んッ、……大ちゃん、もっとゆっくりして──」
「はいはい、もう少し付き合え」
そう言って、大ちゃんは俺のナカを思い切り突き上げた。
お酒に酔った大ちゃんは、時々こうして強引に僕を抱く。
それはちょっと辛くもあるんだけれど……でも僕は女の子と違って濡れないし、柔らかくも無い僕を求めてくれるのは嬉しく、拒否など出来なかった。
そうして今日も大ちゃんに抱かれて居ると、何かがドアをカリカリと引っ掻く音が聞こえて来た。
「……チッ、うるせーな。大人しくしてろって言ったのに」
「え、猫か何か飼ったの?」
「猫じゃねーけど、まぁそんな所」
そう言ってベッドから降りた大ちゃんがドアを開けると、そこにはフワフワした毛並みの黒い子犬が居た。
「わぁ、小さくて可愛い!それに綺麗な顔立ちの子だね。大ちゃん、この子どうしたの?」
「あー……俺の姉貴が暫く面倒看ろって置いてったんだよ。でもこいつ、ちっとも俺に懐かないし困ってて……そうだ、お前動物好きだろう?俺の代わりに面倒看てくれよ」
「うん、良いよ。じゃあ今日から僕が一生懸命お世話するから、よろしくね?」
そう言ってその子を抱き上げれば、その子は僕の顔を暫しじっと見つめ……分かってくれたのか、僕の頬をペロリと舐めた。
それからの僕は、その子の為にも毎日大ちゃんの家に行くようになった。
大ちゃんは留守の時もあったが、そんな時はその子と二人きりでのんびりと過ごした。
大ちゃんはこの子の事、生意気で可愛くないなんて言って居るけど……僕には凄く懐いてくれて居るし、とても賢くて良い子だと思う。
だって何か、こっちの言ってる事を全部理解してる気がするんだよね──。
人間の言葉なんて分からない筈なのに、大ちゃんの機嫌が悪く理不尽に怒られてるとさり気なく間に入って僕を守ろうとしてくれたりするし……今もこうして、僕の話を傍で大人しく聞いててくれるし──。
「クロ、今日もご飯残さず食べて偉いね?ねぇクロ……僕、本当に大ちゃんが好きなんだ。最近の大ちゃん、家をしょっちゅう留守にしててまともに会えてないけど……でも帰って来て僕に笑いかけてくれる大ちゃんを見ると、凄く嬉しくて暗い気持ちがふき飛んじゃうんだ。それに今は、こうしてクロが僕の相手をしてくれてるしね……。ここに来てくれて、本当にありがとうね?」
そう言って、僕はクロの額にチュッとキスをした。
するとクロは、照れたようにプイッと横を向いたが……その尻尾はフリフリと揺れて居て、嬉しさが隠し切れて居なかった。
本当に可愛い子……大ちゃんが任されて居る子だけれど、この先もずっと一緒に居たいな──。
そんな事を考える内、僕はついついそこでうたた寝をしてしまった。
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