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聖女は二人も必要ないそうなので、私は言われた通りあなたの元を去ります──。
1話完結
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私は婚約者である王子の為に、聖女として日々祈りを捧げて居た。
だが王子は地味な容姿の私の祈りなど要らない……有難迷惑だと言い、私との婚約自体も無かった事にしようとして居た。
私はとても悲しかったが……王の命で彼の婚約者に選ばれた事もあり、自身の役目を真面目にこなすのだった──。
そんなある日……お忍びで城下に出た王子は、一人の美しい娘と出会った。
彼女は、他国からこの国にやって来た聖女だと言う。
自国には自分の他に聖女が居るから、他国でこの力を役立てようと思い……彼女は遠く離れたこの地まで旅をして来たそうだ。
すると王子は、だったら自分の為にその聖女の力を役立てて欲しい…その礼として君を俺の新たな婚約者にすると言い、彼女を城に招いた。
その際、王は隣国である儀式に参加する為不在で……王子の行動を止められる者は誰も居なかった。
そして王子は困惑する私に対し……この先はお前に代わり彼女が俺に祈りを捧げる。
加護も彼女から新たに貰うからもうお前は必要ないと言い、私に婚約破棄と城からの追放を命じた。
「本当に、あなたの為に祈らなくても良いと仰るのですか?」
「あぁ。聖女は二人も必要ない……お前はもう、どこへなりとも行ってしまえ──」
そこまで言われては、もう私が彼の傍に居る必要はないわね──。
私は、言われた通り王子の元を去った。
その後、王子はその聖女を新たな婚約者に迎え……そして彼女に新たに加護を授けて貰った。
だがそれ以降、王子には不吉な事ばかり起きるように──。
それには、ある理由があった。
実は、彼女は自ら自国を旅立ったのではなく……悪事を働いた事で追放になった身だった。
彼女は、双子の妹の方が聖女の力が強い事を逆恨みし……彼女がその国の王子の婚約相手に選ばれると、神殿に眠る邪神の力を借り妹を呪い殺そうとしたらしい。
そしてその時点で、彼女は聖女としての力を失い……代わりに邪神の力を得る事に──。
つまり、彼女はその身に邪神の力を宿した不吉な女だったのだ。
そしてそんな女をこの国に引き入れたのは……何と王子自身だった事が判明した。
この国の国境は、私の結界によって守られて居たが……国境線上で立ち往生する彼女を見かけた王子が、その美しさに心奪われ……結界の要となる石碑を破壊、彼女を招き入れて居たのだ。
すると全てを知った王は……王子のこの愚かな行いに激怒──。
そんな事になったのは自業自得だと言い……そのような者には次期王は任せられないと決断された。
また、そんな邪神の力を持った女を国に引き入れた責任を取れと言い……邪神と共に城の地下深くに封印される事となった彼女の見張りを、自身の命が尽きるまで務めろと王子に命じた。
つまり王子は、死ぬまで城の地下に幽閉状態となり……闇の中でその一生を終える事になってしまったのだ。
私はそんな話を、後に隣国の王子から聞かされる事に──。
あの時城を追放された私は、すぐに王が居る隣国に赴き一部始終をお話した。
そして、そんな事になったからには私はもう二度とあの国に戻れないと訴えた。
王は、ならば仕方ない……むしろ愚息が迷惑をかけ済まなかったと詫び、隣国の王に私を託し帰還されたのだった。
隣国とあの国は友好的な関係だから、それが出来たのだろう。
すると隣国の王は……ならば、是非自分の息子の第一王子の伴侶になって欲しと仰り、私と彼を引き合わせて下さった。
そして私は、第一王子にすっかり気に入られる事となり……今は彼の傍で幸せな日々を過ごして居るわ──。
だが王子は地味な容姿の私の祈りなど要らない……有難迷惑だと言い、私との婚約自体も無かった事にしようとして居た。
私はとても悲しかったが……王の命で彼の婚約者に選ばれた事もあり、自身の役目を真面目にこなすのだった──。
そんなある日……お忍びで城下に出た王子は、一人の美しい娘と出会った。
彼女は、他国からこの国にやって来た聖女だと言う。
自国には自分の他に聖女が居るから、他国でこの力を役立てようと思い……彼女は遠く離れたこの地まで旅をして来たそうだ。
すると王子は、だったら自分の為にその聖女の力を役立てて欲しい…その礼として君を俺の新たな婚約者にすると言い、彼女を城に招いた。
その際、王は隣国である儀式に参加する為不在で……王子の行動を止められる者は誰も居なかった。
そして王子は困惑する私に対し……この先はお前に代わり彼女が俺に祈りを捧げる。
加護も彼女から新たに貰うからもうお前は必要ないと言い、私に婚約破棄と城からの追放を命じた。
「本当に、あなたの為に祈らなくても良いと仰るのですか?」
「あぁ。聖女は二人も必要ない……お前はもう、どこへなりとも行ってしまえ──」
そこまで言われては、もう私が彼の傍に居る必要はないわね──。
私は、言われた通り王子の元を去った。
その後、王子はその聖女を新たな婚約者に迎え……そして彼女に新たに加護を授けて貰った。
だがそれ以降、王子には不吉な事ばかり起きるように──。
それには、ある理由があった。
実は、彼女は自ら自国を旅立ったのではなく……悪事を働いた事で追放になった身だった。
彼女は、双子の妹の方が聖女の力が強い事を逆恨みし……彼女がその国の王子の婚約相手に選ばれると、神殿に眠る邪神の力を借り妹を呪い殺そうとしたらしい。
そしてその時点で、彼女は聖女としての力を失い……代わりに邪神の力を得る事に──。
つまり、彼女はその身に邪神の力を宿した不吉な女だったのだ。
そしてそんな女をこの国に引き入れたのは……何と王子自身だった事が判明した。
この国の国境は、私の結界によって守られて居たが……国境線上で立ち往生する彼女を見かけた王子が、その美しさに心奪われ……結界の要となる石碑を破壊、彼女を招き入れて居たのだ。
すると全てを知った王は……王子のこの愚かな行いに激怒──。
そんな事になったのは自業自得だと言い……そのような者には次期王は任せられないと決断された。
また、そんな邪神の力を持った女を国に引き入れた責任を取れと言い……邪神と共に城の地下深くに封印される事となった彼女の見張りを、自身の命が尽きるまで務めろと王子に命じた。
つまり王子は、死ぬまで城の地下に幽閉状態となり……闇の中でその一生を終える事になってしまったのだ。
私はそんな話を、後に隣国の王子から聞かされる事に──。
あの時城を追放された私は、すぐに王が居る隣国に赴き一部始終をお話した。
そして、そんな事になったからには私はもう二度とあの国に戻れないと訴えた。
王は、ならば仕方ない……むしろ愚息が迷惑をかけ済まなかったと詫び、隣国の王に私を託し帰還されたのだった。
隣国とあの国は友好的な関係だから、それが出来たのだろう。
すると隣国の王は……ならば、是非自分の息子の第一王子の伴侶になって欲しと仰り、私と彼を引き合わせて下さった。
そして私は、第一王子にすっかり気に入られる事となり……今は彼の傍で幸せな日々を過ごして居るわ──。
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