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これまでの浮気の代償、払って貰いますね──。
1話完結
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私の夫は、酒に酔うと女癖が悪くなる男だった。
彼は婚約中は酒を一切飲む事なく、私にその悪癖を隠して居たらしい。
私は夫が他の女に走る度、もうこんな事はしないで欲しいと泣いて縋った。
そんな私に、夫は分かったと返すものの…すぐにその約束を忘れ浮気を繰り返すのだった。
そんな事が繰り返される内、とうとう私は夫と離縁する決意を固めた。
そして夫が酒を飲んで居ない時を狙い、その話をする事に──。
「私は、もうあなたとはやって行けません。どうか離縁して下さい」
私の言葉に、夫は馬鹿な事を言うなと激怒した。
「普段はまともに働きお前を養ってやってるんだから、多少羽目を外すくらい良いじゃないか!お前は心の狭い女だな」
そう言って夫は私を非難したが、私の気持ちが変わる事は無かった。
そして私は、夫にあるものを見せた。
「これはあなたが私に書いてくれた誓約書です。浮気をした事で私が離縁を申し出たらそれに応じる事。その際は、この家を譲り渡す事。こちらが請求した分の慰謝料を払う事。事業を私に譲る事──。他にも細かく書かれて居ますが、要はこれまでの浮気の代償を私にえと言うものです」
すると夫は、これはそんなものだとは思って居なかった……酒を飲んで居る時に書かせたものなど無効だと言い張った。
だが私は、これらの書類によく目を通しサインをして欲しいと言っただけで強要はして居ない……よく読まずに了承したあなたの責任だと返した。
「こうなったのは、あなたが家に居る時は常に酒を飲んでばかり居たからでしょう?そのお酒のせいで女癖が悪くなるから、もう酒を飲むのは辞めて欲しいとも言って居たのに……全く言う事を聞かず反省しなかったから、こんな物に簡単にサインをしてしまうのです」
私の言葉に、夫は何も言い返す事が出来ず……直筆のサインが書かれて居るならどうしようもないと言う事で諦めるしかなかった。
その後、夫は約束通り家や財産等を全て私に譲り……身一つで家を出る事に──。
だが夫は当初、そんな事になってもどうにかなると楽観視して居た。
と言うのも……これまでに関係を持った多くの女達の誰か一人くらいは、こんな自分を助け養ってくれると考えて居たからだ。
だが実際はそんな女は誰一人としておらず……彼は、ついに路頭に迷う事になってしまった──。
一方、私はと言うと……自由になった財産を使い、事業を今まで以上に大きくする事に成功して居た。
どうやら元夫より、私の方が商才があったようだ。
そしてそれにより、私はある名家のお金持ちの殿方と知り合い……互いに惹かれ合った私達は交際を始める事に──。
彼はお酒を飲んで我を忘れるような事も無く、とても真面目で誠実な人だった。
きっとそんな彼となら、再婚しても上手くやって行けるだろう……私はこの先の幸せな未来を想い、心弾ませるのだった──。
彼は婚約中は酒を一切飲む事なく、私にその悪癖を隠して居たらしい。
私は夫が他の女に走る度、もうこんな事はしないで欲しいと泣いて縋った。
そんな私に、夫は分かったと返すものの…すぐにその約束を忘れ浮気を繰り返すのだった。
そんな事が繰り返される内、とうとう私は夫と離縁する決意を固めた。
そして夫が酒を飲んで居ない時を狙い、その話をする事に──。
「私は、もうあなたとはやって行けません。どうか離縁して下さい」
私の言葉に、夫は馬鹿な事を言うなと激怒した。
「普段はまともに働きお前を養ってやってるんだから、多少羽目を外すくらい良いじゃないか!お前は心の狭い女だな」
そう言って夫は私を非難したが、私の気持ちが変わる事は無かった。
そして私は、夫にあるものを見せた。
「これはあなたが私に書いてくれた誓約書です。浮気をした事で私が離縁を申し出たらそれに応じる事。その際は、この家を譲り渡す事。こちらが請求した分の慰謝料を払う事。事業を私に譲る事──。他にも細かく書かれて居ますが、要はこれまでの浮気の代償を私にえと言うものです」
すると夫は、これはそんなものだとは思って居なかった……酒を飲んで居る時に書かせたものなど無効だと言い張った。
だが私は、これらの書類によく目を通しサインをして欲しいと言っただけで強要はして居ない……よく読まずに了承したあなたの責任だと返した。
「こうなったのは、あなたが家に居る時は常に酒を飲んでばかり居たからでしょう?そのお酒のせいで女癖が悪くなるから、もう酒を飲むのは辞めて欲しいとも言って居たのに……全く言う事を聞かず反省しなかったから、こんな物に簡単にサインをしてしまうのです」
私の言葉に、夫は何も言い返す事が出来ず……直筆のサインが書かれて居るならどうしようもないと言う事で諦めるしかなかった。
その後、夫は約束通り家や財産等を全て私に譲り……身一つで家を出る事に──。
だが夫は当初、そんな事になってもどうにかなると楽観視して居た。
と言うのも……これまでに関係を持った多くの女達の誰か一人くらいは、こんな自分を助け養ってくれると考えて居たからだ。
だが実際はそんな女は誰一人としておらず……彼は、ついに路頭に迷う事になってしまった──。
一方、私はと言うと……自由になった財産を使い、事業を今まで以上に大きくする事に成功して居た。
どうやら元夫より、私の方が商才があったようだ。
そしてそれにより、私はある名家のお金持ちの殿方と知り合い……互いに惹かれ合った私達は交際を始める事に──。
彼はお酒を飲んで我を忘れるような事も無く、とても真面目で誠実な人だった。
きっとそんな彼となら、再婚しても上手くやって行けるだろう……私はこの先の幸せな未来を想い、心弾ませるのだった──。
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